更新日:2022/04/08
高圧ガス製造保安責任者の資格は、高圧ガス保安法によって定められている国家資格のひとつです。
資格を取得することで行える業務の幅が広がるため、就職や転職に役立つ資格といえるでしょう。
高圧ガス製造保安責任者の資格の種類や、資格の取り方をまとめました。
目次
高圧ガス製造保安責任者とは、高圧ガスを取り扱うための資格のひとつです。高圧ガス製造保安責任者の資格を取得することで、高圧ガスを扱う事業所で、保安業務を行うことができるようになります。
高圧ガス製造保安責任者は9つの資格があり、種類によって取り扱える高圧ガスは異なります。高圧ガス製造保安責任者の資格を取るときは、自分がどのような業務に就きたいのかを考えた上で取得する資格の種類を選びましょう。
資格を取得することで就きやすくなる職場として、化学および機械に関する資格ではLPガス製造事業所、LPガススタンド、石油化学コンビナートなどがあり、冷凍機械責任者であればビルメンテナンス、冷凍設備のある倉庫などがあります。
高圧ガス製造保安責任者に向いているのは、次のような人が挙げられます。
高圧ガスは、取扱い方によっては大きな危険やトラブルにつながる可能性があります。
危険物を取り扱うのだという意識を持ち、慎重に業務にあたれる方が適しているといえるでしょう。適当に装置を操作してしまったり、丁寧に設備を取り扱ったりできない方は、高圧ガス製造保安責任者には向きません。
高圧ガスに関わる仕事をする上では、計器の異常数値の見落としや、ちょっとした違和感の見過ごしは絶対にあってはならないものです。
注意深く点検を行い、小さな問題にもしっかり対処していく姿勢が大切です。
高圧ガス製造保安責任者試験の科目である「学識」では、計算問題や化学に関する問題などが出題されます。
理数系の勉強に対して強い抵抗感がある方にとっては、これらの問題は難しく感じられるでしょう。
学識の試験は講習を受けることで免除してもらうこともできますが、講習の内容をまったく理解できないようでは、資格を取得して仕事に活かしていくのは難しいと考えられます。
高圧ガス製造保安責任者試験は、誰でも受けることができる国家試験です。
試験科目は、基本的に「法令」「保安管理技術」「学識」の3科目。出題形式は択一式(選択式)、もしくは記述式で、資格の種類によって異なります。
合格基準は、各科目とも60%程度となっていて、1科目でも基準に達しないと不合格になります。
なお、合格した後は、各責任者の免状の交付を受けて、初めて資格保有者となります。
なお、資格の種類によって、製造される高圧ガスの種類や施設の規模に制限が設けられているものもあります。
それでは、9つある高圧ガス製造保安責任者の資格について、それぞれの特徴と試験内容について見ていきましょう。
甲種化学責任者は、高圧ガスの保安技術管理者や保安主任者、保安係員などに選任され、石油化学コンビナートなどの高圧ガス製造事業所において保安業務を行うことができる資格です。
甲種化学責任者の試験内容は化学関連が多い内容になっており、あらゆる製造施設に関して保安業務を行えます。
「法令」と「保安管理技術」は択一式、「学識」は記述式です。
甲種機械責任者の仕事内容は、甲種化学責任者と同一です。
試験内容は甲種化学責任者と比べると機械関連が多い内容になっていますが、実際に行える業務にあまり違いはないため、化学か機械のどちらか得意な分野を選んで資格取得を目指しましょう。
「法令」と「保安管理技術」は択一式、「学識」は記述式です。
乙種化学責任者は、石油化学コンビナートなどの高圧ガス製造事業所で保安の実務を行う人や、保安の統括をする人が取得する資格です。
取り扱える高圧ガスの種類に制限はなく、甲種の資格を取得した場合と同様に、保安技術管理者や保安主任者、保安係員などに選任されます。ただし、保安技術管理者の場合は、高圧ガスの処理能力が1日につき100万立方メートル未満の事業所に限られています。100万立方メートル以上の施設の場合は甲種化学責任者・甲種機械責任者の資格が必要です。
「法令」「保安管理技術」「学識」全て択一式です。
乙種機械責任者が行える業務内容や、施設の制限については乙種化学責任者と同一です。
試験内容は、乙種化学責任者では化学関連が多いのに対し、乙種機械責任者は機械関連が多くなっています。
「法令」「保安管理技術」「学識」全て択一式です。
丙種化学(液化石油ガス)責任者は、LPガス充填事業所やLPガススタンドのような、LPガス製造事業所で保安の実務を行う人や、保安の統括を行う人が取得する資格です。
丙種化学(液化石油ガス)責任者の資格があれば、LPガスの保安主任者、保安係員の場合、施設の規模を問わずに選任することができます(一定の経験がある場合、都道府県の確認においてLPガス以外の高圧ガス製造施設の保安係員に選任されることもあります)。
また、丙種化学(液化石油ガス)責任者の有資格者が保安技術管理者に選任される場合、ガスの処理能力が1日あたり100万立方メートル未満のLPガス事業所でなければなりません。100万立方メートル以上の施設の場合は、甲種化学責任者または甲種機械責任者の資格が必要です。
「法令」「保安管理技術」「学識」全て択一式です。
丙種化学(特別試験科目)責任者は、石油化学コンビナートなどの製造事業所、充填事業所、天然ガススタンドなどで保安の実務を行う人が取得する資格です。
保安の職務としては、保安技術管理者や保安主任者にはなれず、保安係員にのみ選任されます。なお、高圧ガスの種類や施設の規模の制限は受けません。
「法令」「保安管理技術」「学識」全て択一式です。
第一種冷凍機械責任者は、大型冷凍空調機器を備えている施設や、冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場などで、製造(冷凍)に関する保安の実務などを行う人が取得する資格です。
全ての冷凍製造施設で保安業務が行えます。施設の冷凍能力や冷媒ガスの種類にも制限はありません。
「法令」と「保安管理技術」は択一式、「学識」は記述式です。
第二種冷凍機械責任者は、中型冷凍空調機器を備えている施設や、冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場などで、製造(冷凍)に関する保安の実務などを行う人が取得する資格です。
携わることができるのは、1日の冷凍能力が300t未満の製造施設のみですが、冷媒ガスの種類には制限がありません。第一種冷凍機械責任者の資格よりも、試験の難度は低くなっています。
「法令」「保安管理技術」「学識」全て択一式です。
第三種冷凍機械責任者は、小型冷凍空調機器を備えている施設や、冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場などで、製造(冷凍)に関する保安の実務などを行う方が取得する資格です。
携わることができるのは、1日の冷凍能力が100t未満の製造施設のみですが、冷媒ガスの種類には制限がありません。冷凍機械責任者の資格の中で、最も試験の難度が低くなっています。
「法令」「保安管理技術」の2科目で、全て択一式です。
高圧ガス製造保安責任者試験は、上述のとおり分野や難度の違いによって、9つに細分化されています。
それぞれ指定の講習を受け、受講した講習に関する検定試験に合格することで一部の試験科目を免除してもらうことができます。
第三種冷凍機械責任者以外の8つの資格は、「法令」「保安管理技術」「学識」の3つについて受験をする必要がありますが、指定の講習を受け、受講した講習に関する検定試験に合格することで「保安管理技術」「学識」の2科目を免除してもらえます。
第三種冷凍機械は「法令」と「保安管理技術」の2つの試験が必要ですが、指定された講習を受け、検定試験に合格することで受験科目を「法令」だけに減らせます。
また、すでに高圧ガス製造保安責任者のいずれかの資格を持っている人が、別の種類の資格試験を受ける場合、試験科目の一部が免除されることもあります。
高圧ガス製造保安責任者試験を受けるための方法を説明します。
なお、下記の流れは、試験科目の一部免除が受けられる講習を受講する場合の方法ですが、講習を受けない場合は、受験の申込みから始めて3科目(第三種冷凍機械は2科目)の試験を受験します。
講習の申込みは、高圧ガス保安協会のウェブサイトから行うか、講習を実施する各都道府県の冷凍教育検査事務所などへ問い合わせて直接申し込むか、どちらかを選べます。
インターネット申込みのほうが費用は安くなるため、そちらを利用するのがおすすめです。
※全て税込
1日7時間、3日間の講習を受講します。
講習の内容をきちんと理解しているのか、検定試験が行われます。
内容は、「保安管理技術」と「学識」についての試験で、第三種冷凍機械責任者免状は「保安管理技術」のみとなっています。
検定試験に合格すると、講習修了証が送付されます。
講習修了証は、高圧ガス製造保安責任者試験の試験科目一部免除に必要な書類ですので、大切に保管しましょう。
受験の申込みは、書面とインターネットのどちらかで行うことができますが、インターネットからの申込みのほうが、受験手数料を抑えることができます。
講習修了証がある方は試験科目の一部を免除してもらい、ない方は決められた科目を全て受験します。
※全て非課税
試験に合格した後は、合格通知を受け取り、免状の交付申請を行います。
免状を受けて、初めて資格保有者として各種の責任者に選任されますので、免状の交付申請を忘れないようにしましょう。
高圧ガス製造保安責任者の資格の他にも、高圧ガスに関する資格があります。
これらの資格をあわせて取っておくことで、様々な業務に対応しやすくなるでしょう。
高圧ガスの販売所で選任しなければならないと決められているのが、高圧ガス販売主任者です。
高圧ガス販売主任者の資格には、第一種と第二種の2つがあり、第二種はLPガスのみ、第一種はアセチレンやアンモニア、酸素、水素など一般高圧ガス保安規則第72条第1項で指定された種類の高圧ガスを取り扱うことができます。LPガスを販売できるのは、第二種のみです。
一定量を超える高圧ガスを取り扱う場合に選任が必要となるのが、特定高圧ガス取扱主任者です。
高圧ガスの製造などの経験が1年以上ある方など、特定の資格を有する人が特定高圧ガス取扱主任者に選任されて講習を受け、最後に実施される試験に合格すると資格が取得できます。
事前の勉強は不要で、講習をきちんと受けていれば合格できる難度です。
高圧ガスをトラックなどで運ぶときに必要な資格が高圧ガス移動監視者です。
必要な講習を受け、最後に実施される試験に合格することで資格を取得できます。特定高圧ガス取扱主任者同様、事前の勉強などは不要で、講習をきちんと受けていれば試験は合格できるでしょう。
高圧ガス製造保安責任者は、様々な施設に配備されている、高圧ガス設備の保安に関わることができるニーズの高い資格です。数ある国家試験の中でも、対応する就職先は見つけやすいといえるでしょう。
しかし、自分で探すよりも有利な転職先を見つけたい場合や、資格をきちんと活かせるようキャリアアップを目指している方は、ぜひマイナビエージェントのキャリアアドバイザーにご相談ください。
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