更新日:2022/08/02
この記事のまとめ
不動産の証券化やREIT(不動産投資信託)が一般化するにつれて、不動産金融への注目が高まっています。金融業界や不動産業界で働いている方の中には、不動産金融への転職を検討している方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、不動産金融の仕事内容や年収水準など、転職時に気になるポイントを紹介します。業界の様子を詳しく知ることで、自分の思い描くキャリアプランが実現できるか判断できるでしょう。
目次
不動産金融は不動産ファンドとも呼ばれ、不動産業界と金融業界が相互に関わる産業です。基本的には、以下のロジックで収益を生み出します。
投資法人が不動産を取得するのに使用するノンリコースローンを貸し出す銀行も不動産金融に含まれます。不動産金融には多くの企業、スタッフが関わっていることが分かるでしょう。
不動産金融業界の職種はさまざまです。ここでは、収益不動産の取得・運用・管理に携わる3つの職種を紹介します。不動産金融への転職を検討している方は、それぞれの役割を正しく理解したうえで自分のキャリアプランを実現できそうな分野を選びましょう。
収益不動産の取得に携わるさまざまな業務を担う職種です。アクイジションの具体的な業務には以下が含まれます。
主要な業務は、投資用不動産を選定する「ソーシング」、投資価値を評価する「デューデリジェンス」、関係者の利害を調整する「ドキュメンテーション」、契約を締結して各種手続きを行う「クロージング」の4つです。
不動産の運用・売却に携わる職種です。具体的には、以下のような業務に携わります。
収益不動産の運用では、状況の変化に応じて投資戦略や出口戦略を随時見直さなければなりません。不動産が劣化したときは改修するなど、価値を維持・向上させるための取り組みも必要です。アセットマネジメントは、これらの業務に総合的に携わります。
不動産の管理に関する業務を遂行する職種です。主に以下のような役割を果たします。
所有している不動産から収益を生み出すには、テナントを誘致して賃料を支払ってもらわなければなりません。不動産の価値を高め、どのようにして空室を解消するかを考えるのはプロパティマネジメントの重要な業務です。
不動産金融に転職したいと考えている方の中には、転職後の年収水準が気になる方もいるでしょう。ここでは、不動産業界と金融業界の平均年収を紹介します。不動産金融への転職を検討しているのであれば、自分が目指す分野をチェックし、どの程度の年収になるか確認しましょう。
マイナビエージェントの調査によると、不動産業界の平均年収は457万円です。不動産金融への関連が強い分野では、プロパティマネジメント(PM)の平均年収が450万円と高くなっています。不動産に関連する職種では、不動産の売買や運用に携わる分野より建設に携わる分野のほうが高年収といえるでしょう。
マイナビエージェントの調査では、金融業界の平均年収は489万円です。不動産金融には、銀行や証券(金融商品取引業)、保険といった金融業界の関与が欠かせません。不動産金融に関連が深い業種をチェックすると、不動産ファンドの組成・運用に携わるファンドマネージャー・バイサイドアナリストの年収水準が632万円と高い傾向があります。
不動産金融業界の年収傾向に関しては、部門によって年収が変動するなど、転職前にチェックしておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、不動産金融業界の年収傾向を3つチェックしましょう。転職してから待遇面の不満を抱えないためにも、事前に確認することをおすすめします。
高年収を実現するために転職するのであれば、ファンド運用企業の運用部門を目指しましょう。運用部門は年収が高い傾向があり、収入に関する目的を実現しやすいのがメリットです。特に、外資系企業は高年収が期待できるでしょう。
ただし、運用部門に入ったからといって年収アップが約束されているわけではありません。高い年収を実現・維持するにはパフォーマンスを発揮し続ける必要があります。
ファンド運用企業にも一般的な企業と共通する部門やシステムを管理するIT部門があります。中でも、経理や事務、総務、人事といった直接運用に携わらない部門の年収は、運用部門より低いのが一般的です。このような部門に転職する場合、運用部門より年収水準が下がる可能性があることを覚えておきましょう。
また、具体的な年収水準は企業によって大きく異なります。入社後のミスマッチを防ぐためにも、事前に応募予定の企業について細かくリサーチするとよいでしょう。
不動産金融はパフォーマンスを重視する業界です。特に運用部門は、高いパフォーマンスを継続的に発揮する社員に高報酬を与える傾向があります。年収アップを目的として運用部門に転職しようと考えている方は、常に高いパフォーマンスを発揮しなければなりません。スキルアップに励み、市場状況を見極めつつ運用に取り組んで収益を上げる必要があります。
企業によっては期待されているパフォーマンスを発揮できない場合、運用部門から外されるケースがある点に注意しましょう。
年収アップを目指して不動産金融業界に転職する場合、押さえておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、転職してから年収に関して後悔しないために3つのコツを紹介します。入社した企業で年収アップを実現するためにも、事前に確認しておくとよいでしょう。
不動産金融業界に転職するうえで、必須とされる資格はありません。ただし、不動産業界や金融業界で役立つ資格を取得すると、選考で有利になる可能性があります。主な資格は以下のとおりです。
上記の資格を取得して、ファンド運用企業の運用部門に応募する際にアピールするとよいでしょう。不動産・金融のプロフェッショナルのスキルを有することを証明できれば、転職を有利に進められます。
金融業界や不動産業界で実務経験がある方は、積極的にアピールしましょう。特にアピールできる経験は以下のとおりです。
不動産金融も資産を運用する業種であることに変わりないため、これらの経験があると選考で有利になるでしょう。金融業界の経験がある方は、資産運用に関する知識を活かせます。不動産業界の経験があれば、不動産の取得や運用、管理、売却に携わる際に有利です。
不動産金融業界で活躍し続けるには、転職後もスキルアップに励まなければなりません。不動産金融を取り巻く市場環境は常に変化し、状況に応じて戦略を見直したり投資対象の物件を見極めたりする必要があるためです。
特に運用部門で成果を出し続けるには、継続的な学習が欠かせません。パフォーマンスを発揮し続けなければ収入を維持できないことを考えると、スキルアップは必須です。
転職するときは、長く業界で働くためにも将来性が気になるでしょう。不動産金融業界には市場を盛り上げる要素が数存在します。
国内だけでなく、海外市場に投資する投資家も増えています。途上国の不動産に投資する流れもあり、今後も継続的な成長が見込まれるでしょう。市場環境の変化によるリスクは考えられるものの、全体的に将来性が高い業界といえるでしょう。
年収アップを実現するために不動産金融業界への転職を検討しているのであれば、ファンド運用会社の運用部門を目指すのがおすすめです。高い年収水準を維持するには、常に学習に励んでパフォーマンスを発揮し続ける意識が欠かせません。
不動産金融への転職を検討している方は、必要なスキルや資格を取得しつつ年収アップを実現できる企業を探しましょう。企業選びで迷っている方は、金融業界に特化したマイナビ金融エージェントをご利用ください。業界に精通したキャリアアドバイザーが一人ひとりの転職をサポートします。
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