更新日:2022/08/02
この記事のまとめ
REIT(不動産投資信託証券)市場の拡大に伴って、不動産金融業界に注目する方が増えています。不動産金融業界への転職を有利に進めるうえで、何らかの資格を取得したほうがよいか迷っている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、不動産金融業界の職種や転職時に役立つ資格を紹介します。自身が培ってきたスキルを証明する資格を取得することで、転職を有利に進められるでしょう。
目次
不動産金融とは、不動産と金融が密接に関わり合う産業の総称です。不動産を証券化して販売することで資金を調達し、運用して得た利益を出資した投資家に還元します。ビジネスの具体的な流れは以下のとおりです。
それぞれのプロセスに、アレンジャーやアセットマネージャー、プロパティマネージャーといったさまざまな職種が関わります。
不動産金融には不動産業や金融業を営むさまざまな企業・職種が携わります。転職を検討している方は、自身のスキルを十分に発揮できそうな企業・職種を探すことが大切です。ここでは、不動産金融業界で活躍する企業や職種を7つピックアップし、それぞれどのような役割を果たすのかを解説します。
アレンジャーはファンドを立案し、決済を実行して取引を成立させる仕事です。このプロセスには、以下の業務が含まれます。
アレンジャーとして活躍するには、不動産と金融両方の知識・スキルに加えて、法務や税務関連の知識も求められます。
不動産金融において、銀行は資金を調達するのが主な業務内容です。具体的には以下の業務が含まれます。
銀行で不動産金融に携わりたいと考えている方は、不動産担保ローン関連の業務や不動産ファンドの組成の経験があると有利になるでしょう。
信託銀行は、証券化した不動産の法的な所有者となり、不動産管理の実務を担うのが主な業務内容です。不動産の管理・運用は信託銀行の判断ではなくアセットマネージャーの指示に基づいて行い、対価として信託報酬を受けます。
信託銀行で不動産金融に携わりたいと考えている場合、不動産の運用や管理に関する知識・スキルを高いレベルで有していると有利です。
機関投資家とは、顧客から投資するための資金を調達して運用する法人投資家の総称です。ファンド運用会社や保険会社が機関投資家に該当し、不動産金融では銀行と同様に資金調達に携わります。効率的に資金を集めるには、良好な条件で資金を拠出してくれるレンダーを探すことが大切です。
取得した不動産を運用するのがアセットマネージャーの仕事です。具体的には以下を含みます。
実際の運用では、アセットマネージャーが資産管理を受託している信託銀行に指示を出し、指示を受けた信託銀行が実務を行います。アセットマネージャーは運用成果に直結する職種といえるでしょう。
プロパティマネージャーは、不動産の管理に携わります。資産価値の向上や収益力に直接影響する重要な業務で、以下の仕事が含まれます。
プロパティマネージャーを目指す場合、不動産管理の実務経験や管理業務に関する資格を保有しているとより有利です。
不動産金融において、デューデリジェンスは投資先の不動産の詳細情報を調査し、投資先として十分な資産価値を有するかを判断するのが仕事です。デューデリジェンスでは、以下の情報を精査します。
このプロセスには不動産鑑定士や弁護士、ゼネコンといった企業・職種が携わります。デューデリジェンスに役立つスキルや資格を有している場合、転職先として検討してもよいでしょう。
不動産金融業界で働くには、「不動産」「金融」双方の知識・スキルが求められます。資格が必要ない職種も多数存在しますが、不動産・金融・会計・法務の専門家が活躍する業界であることを考えると、転職したい職種に応じた資格を取得したほうが望ましいといえます。不動産金融業界で役立つ資格を計画的に取得し、働きたい職種への転職をより有利に進めましょう。
不動産系の職種は開発・流通・販売・管理の4種類で、それぞれ役立つ資格も異なります。まずは自分が活躍したい分野を明確にし、役立つ資格を取得するとよいでしょう。ここでは、不動産金融業界で活躍する職種のうち、不動産系に転職したい方におすすめの資格を紹介します。
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宅地建物取引士は、不動産業における代表的な国家資格のひとつです。受験資格がなく誰でも受験できるため、不動産業への転職を検討している方は合格を目指すとよいでしょう。特に、宅建業者に転職したいと考えている方におすすめです。
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不動産鑑定士は業務独占資格に該当し、不動産鑑定評価書を作成する際に必須の資格です。不動産金融においては、投資先不動産の価値を算定して投資対象として適切か判断するために欠かせません。デューデリジェンスに携わりたい方は取得を目指すとよいでしょう。
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土地家屋調査士は、不動産登記において「表示に関する登記」に携わる職種です。地積や形状を確定させて正確に登記するために欠かせない業務で、土地家屋調査士でなければ従事できません。地積や形状は不動産の価値を左右する重要な要素で、不動産金融においても大切です。投資対象として選定した不動産の価値が十分か判断するために、土地家屋調査士が必要です。
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管理業務主任者はマンション管理に特化した資格のひとつです。管理組合から業務を受託した不動産管理会社において、契約に関する重要事項説明や実際の管理業務を行うのに欠かせません。
不動産金融でも取得した不動産を管理するプロパティマネージャーが存在するため、管理業務に携わりたい方におすすめの資格です。
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テナントの募集や契約管理をはじめ、不動産の運営・経営に関する知識を証明する資格です。不動産金融では、取得した不動産から収益を生み出すために入居するテナントを探して契約を締結するといった業務があります。ビル経営管理士は不動産経営の専門家で、管理に携わるプロパティマネージャーを目指す方におすすめです。
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不動産コンサルティングマスターは、不動産の売買や有効活用、投資、相続といった不動産に関する相談を総合的に受け付けるコンサルティング業務に携わるときに役立つ資格です。不動産の活用に関するプロフェッショナルとして必要なスキルを有することが証明できるため、不動産金融への転職でも役立つでしょう。
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不動産流通実務検定は、不動産取引に必要とされる実践的な知識・スキルを有することを証明する資格です。宅地建物取引士のような関連する国家資格とセットで取得することで、より実践的な知識をアピールできるでしょう。宅建業者といった直接不動産取引に携わる業種に転職したい方におすすめです。
不動産金融への転職では、金融分野の資格も役立ちます。ファンド運用会社に就職したいと考えている方やアレンジャー・アセットマネージャーといった金融職を目指している方におすすめの資格です。ここでは、金融分野における代表的な資格を3つ紹介します。
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日商簿記検定は、会計や経理に関する知識・スキルを問う有名な資格です。1級~3級の3ランクに分かれていますが、転職市場で評価されるのは2級以上であるため、2級以上の取得を目指しましょう。2級以上を取得することで、会計・経理・財務の実践的なスキルを有することを証明でき、金融・会計分野への転職で有利になります。
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公認会計士は難関国家資格のひとつとして知られており、資格を取得すれば、監査・税務・コンサルティング分野で活躍できます。
不動産金融で必要とされる不動産を評価するのが監査法人ですが、公認会計士は監査法人として監査業務に携わるため、この分野を目指している方は資格を取得しなければなりません。財務書類の監査や内容証明は公認会計士の独占業務で、需要が高い資格です。
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ファイナンシャル・プランナー(ファイナンシャルプランニング技能士)は、個人や法人の資産形成をサポートする職業です。取り扱う資産には不動産も含まれており、不動産の売買や投資もサポートします。ファイナンシャルプランニング技能士の資格を取得し、実務経験がある方は不動産金融への転職でも有利になるでしょう。
不動産金融には業界独特の用語があり、分かりにくいと感じる方もいるかもしれません。ここでは、不動産金融で耳にする機会が多い用語として「不動産の証券化」と「REIT」について解説します。用語を理解したうえで選考に臨めば、より具体的な志望動機や目標を伝えられるでしょう。
不動産の証券化とは、不動産(土地・建物)を有価証券に換えて小口取引を可能にすることで、効率的に資金を調達する仕組みです。通常、不動産は高額で流動性が低く、売買したくても思うように取引できないことがあります。
不動産を証券化すると有価証券として小額から購入できるようになり、多くの投資家から資金を調達できるのがメリットです。不動産の運用によって上げた利益は、有価証券を購入することで出資した投資家に還元されます。不動産の証券化は資金調達を容易にして多くの投資家の出資を促し、流動性を高める仕組みといえるでしょう。
REIT(Real Estate Investment Trust)は投資信託の一種です。不動産投資信託とも呼ばれ、投資法人がREITを販売することで投資家から資金を集め、不動産を購入・運用します。
投資する不動産はオフィスビルや集合住宅、大規模商業施設とさまざまで、商品によって組成が異なるのが特徴です。なお、REITは証券取引所に上場されており、証券会社を通じて投資家が自由に売買できます。
不動産金融は、流動性が低い不動産を証券化することで資金を調達し、さまざまな不動産に投資・運用することで収益を上げる構造の産業です。不動産投資信託証券(REIT)の広まりと共に注目を集めており、市場も拡大傾向にあります。不動産金融業界への転職を検討している方は、不動産や金融に関する知識・スキルを習得しつつ、実務に役立つ資格を取得するのがおすすめです。
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