BaaSとは?仕組みやメリット、銀行や金融業界の今後についても解説|求人・転職エージェント

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更新日:2022/05/27

金融業界

BaaSとは?仕組みやメリット、銀行や金融業界の今後についても解説

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この記事のまとめ

  • BaaSは「Banking as a Service」の略称で、金融業界における銀行の機能やサービスをクラウドサービスとして提供することを指す。
  • BaaSを利用することで企業側にとっては開発コストの削減や利便性の向上、安全な利用が可能であり、銀行側にとっても新規顧客の獲得や他社との差別化などのメリットがある。
  • BaaSを選ぶ際は、自社の目的がどこにあるのかを十分に把握し、目的に沿ったものを選ぶことが大切になる。

他社に対して自社サービスの一部を公開するAPI技術が発達しつつあり、金融業界でもBaaSが積極的に取り入れられるようになってきています。とはいえ、BaaSがどのように活用されているのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、BaaSの基本的な仕組みや利用のメリット、銀行や金融業界の今後などについて詳しく解説します。

目次

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BaaSとは

BaaSは「Banking as a Service」の略称で、金融業界における銀行の機能やサービスをクラウドサービスとして提供することを指しています。たとえば、インターネットバンキングなど、銀行以外の第三者となる事業者が自社のアプリに金融サービスを搭載して提供することなどです。

BaaSが登場したことによって利用者は銀行に足を運ばずに振込や決済ができるようになり、事業者と利用者双方にとっての利便性が向上しました。

BaaSの市場規模

近年BaaSの市場規模は拡大しつつあり、将来にかけて大きく成長していく分野であるといわれています。
株式会社グローバルインフォメーションが実施した「BaaS(Blockchain as a Service)の世界市場:コンポーネント、アプリケーション、企業規模、エンドユーザー、地域別の展望、業界産業分析と予測(2021年~2027年)」によれば、BaaSの市場規模は2021年~2027年にかけて年平均成長率(CAGR)54.2%の成長が期待されており、2027年には179億米ドルの規模に到達すると予測されています。

銀行系のソフトウェア全体においては現段階でも市場規模が1000億ドル(約10兆4000億円)を超えていますが、今後BaaSの市場規模が拡大することによってさらに広大な市場となるでしょう。また、金融市場全体におけるBaaSの市場割合も上昇していくと考えられます。

BaaSの仕組み

BaaSは金融機関以外の事業者が一般消費者に対して金融サービスを提供する仕組みで、「API」という技術を利用しています。ここでいう「金融機関以外の事業者」とは、小売事業者や飲食店、旅行代理店などを指します。

APIとは「Application Programming Interface」の略称であり、自社のソフトウェアやサービスの一部機能をオープンにして外部の事業者が利用できる状態にする技術のことです。事業者がAPIを公開すると、他社が自社のサービスを利用できるようになるため、これまでは一社だけで提供していたサービス同士を連携して提供でき、利便性の向上や新たな商圏の拡大が期待できます

なぜBaaSが注目されるようになったのか

近年では通信技術が発展し、誰でも気軽にインターネットを利用できるようになりました。DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が注目を集めるなか、さまざまなデジタル技術を活用して異なる業種間での提携や連携が積極的に行われるようになってきています。

金融業界においても、一般消費者の利便性向上や他社連携による自社の利益拡大などを目的にAPIを公開する例が増えてきており、今後ますますの発展が期待されています。金融サービスをオープン化することで顧客満足度の向上もはかれるなど、事業者と一般消費者双方の利益を最大化するためにBaaSが注目されるようになっています。

BaaSの利用メリット

次に、BaaSを利用するとどのようなメリットがあるのかご紹介します。

企業側

コストの削減につながる

BaaSを利用すると、開発コストや人件費の削減が期待できます。一般的に、他社サービスとの連携を行うためにはサービスと連携するためのプログラムを一から開発する必要がありますが、提供されているAPIを活用することによって開発工数を大きく短縮できるため、コスト削減を実現しやすくなります。

利便性が高い

BaaSはどのような事業者に対してもオープンにされているため、自社のサービス企画・運用の都合に合わせてある程度自由に利用できる利便性の高さがメリットです。新たなサービスを企画した際に他社のサービスと連携するための調整を行う手間を最小限に抑えられるため、自社主導の開発が可能となります。

安全に利用できる

BaaSは金融事業者がサービスを提供しているため、非金融事業者が不慣れな金融サービスを取り扱う範囲を最小限に限定でき、サービス稼働の安定性をはかることができます。

銀行側

新規顧客を獲得できる

BaaSを提供することによって、銀行側は新規顧客の獲得が期待できます。銀行一社だけでサービスを提供する場合、顧客との接点は「銀行を利用しようと思っている顧客」のみになります。
しかし、BaaSを提供することで他社サービスに自社のサービスが組み込まれる形になるため、本来なら銀行が接点を持つのは難しい顧客との新たなつながりができ、銀行が一般消費者にとって身近な存在となります。

差別化がはかれる

BaaSを提供することにより、他社との差別化をはかることが可能となります。自社サービスをAPIとして他社に公開することで自社だけでは叶わなかった新たなビジネスモデルが生まれやすくなり、一般的な銀行としての業務以外のサービスを一般消費者に広く提供できるようになります。それが他社との差別化につながり、売上拡大や顧客満足度の向上が期待できます。

BaaS選びのポイント

BaaSを選ぶときにチェックしたいポイントとしては次の3つが挙げられます。

自社の目的に沿っているか

どのBaaSを利用すべきか迷ったときは、「自社が達成したい目的に沿っているか」を検討することが大切です。一口にBaaSといっても、提供している銀行によってさまざまなサービスがあります。自社が取り入れることによってビジネスに良い影響をおよぼすものを選びましょう。

そのためには、BaaSを活用して達成したい自社の目的を最初に洗い出しておくことが大切です。自社の課題を明確にすることで、どのBaaSを利用すべきなのかを明らかにできます。

サポート体制が整っているか

疑問点が生じたときやトラブルが起こったときにスムーズに解決するためには、BaaSの提供元となっている銀行のサポートが必要不可欠です。BaaSの利用を決定する前に、サポート体制が十分に整っているかどうかを確認しましょう。

費用や料金は適正か

BaaSには有料のものと無料のものがありますが、有料サービスを利用するのであれば費用対効果が十分かどうかをよく検討することが大切です。
開発コストや人件費の削減が期待できるといっても、利用料金が上回れば結果的に自社にとってマイナスになる可能性があります。開発によってかかるコストやサービスから得られる利益など、さまざまな観点から事前に費用対効果を検証しましょう。

BaaS活用の課題や今後の展望

BaaSは今後さらに成長が期待できる市場ですが、いくつかの課題も抱えています。
たとえば、現在提供されている各銀行のAPIは規格が統一されておらず、開発が複雑化しやすい点が挙げられます。今後は銀行APIの統一化をはかり、さらに利用しやすいBaaSを整備することが求められるでしょう。

また、これまで以上にデータセキュリティ対策を徹底する必要もあります。BaaSによって一般消費者のデータをやり取りする機会が増えることから、知らぬ間にデータが流出するなどの事態が起こらないような徹底した対策が重要です。

これらの課題を解消しながら、今後さらに金融事業者と非金融事業者の連携は活発になり、BaaS市場が発展していくことが期待されます。

まとめ

BaaSの市場規模は拡大しつつあり、2027年までの年成長率は50%以上と推定されています。
また、利用することで企業側にとっては開発コストの削減や利便性の向上、安全な利用が可能であり、銀行側にとっても新規顧客の獲得や他社との差別化などのメリットがあります。
BaaSを選ぶ際には、自社の目的がどこにあるのかを十分に把握し、目的に沿ったものを選びましょう。そのうえで、サポート体勢が充実しているかどうかや費用が適切かどうかも十分に検討することが求められます。

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マイナビエージェント編集部

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