更新日:2022/08/25
この記事のまとめ
近年、スマートフォンによるキャッシュレス決済や仮想通貨が普及し、フィンテックという言葉を耳にする機会が増えているかもしれません。フィンテックとは、金融とITを組み合わせたファイナンシャル・テクノロジーのことで、今後ますます発展する業態といわれています。 フィンテック業界への転職を考えているのであれば、業界の特徴や転職のポイントを押さえることが大切です。また、転職に有利な経験やスキルも知っておくとよいでしょう。そこでこの記事では、フィンテック業界の特徴や転職のポイントを紹介します。フィンテック業界への転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
ITが発展する中で、金融業界でもフィンテックは欠かせない金融サービスとなりました。実際に利用するユーザーも増えています。しかし、フィンテック業界と金融業界の違いや特徴を詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。ここでは、フィンテック業界の特徴と金融業界との違いを紹介します。
フィンテック(FinTech)とは金融情報技術のことで、ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語です。フィンテック業界では、ビッグデータやAI、デジタルデバイスといった最新のIT技術を活用した金融サービスを取り扱っています。
フィンテックを用いた金融サービスは早くて便利なのが特徴です。代表的なサービスに、クレジットカードやスマートフォンによるキャッシュレス決済、ブロックチェーン技術を利用した仮想通貨があります。
金融業界には、預金や融資を主体とした銀行業、株や債券を扱う証券業、保険商品を取り扱う保険業があります。金融業界で事業を展開するには、法律と金融庁の認可を得なければなりません。
一方、IT技術を駆使して幅広いサービスを展開し、金融庁の認可を必要としないビジネスにも携わっているのがフィンテック業界です。さまざまな金融サービスを取り扱っているフィンテック業界は、金融業界と密接に関わっています。
フィンテック業界では、電子マネーや仮想通貨、クラウドファンディングといった幅広い分野の金融サービスを取り扱っています。スマートフォンやクレジットカードによるキャッシュレス決済の利用者も増え、個人・法人を問わず欠かせないサービスとなりました。ここでは、フィンテック業界で扱うサービスの種類を紹介します。
銀行やローン会社でもフィンテックの活用が進み、インターネット上で融資やローンといったお金を借りるサービスを展開しています。ネット上に残った業績や取引履歴を調べて審査するため、スピーディーに取引できるのが特徴です。
スマートフォンで個人情報を打ち込めば、1時間程度で審査し、即日融資が受けられる便利で即時性の高いサービスといえるでしょう。ほかにも、住宅ローンの比較検討や貸付利息の決定にもフィンテックのテクノロジーが生かされています。
スマートフォンやクレジットカードを利用したオンラインの決済サービスにも、フィンテックのテクノロジーが活用されています。
フィンテックを活用した決済には「カード決済」と「QRコード決済」の2種類があり、カード決済はクレジットカードやデビットカードを用いた決済方法です。QRコード決済は、スマートフォンに表示したQRコードを読み込むことで決済します。
同じ決済・送金アプリを利用している個人間で送金できるサービスもフィンテックです。送金相手の口座番号を知らなくても、同じアプリを利用していれば送金でき、1円単位の細かい割り勘も簡単にできます。
金融機関の手続きが不要で即金性が高い点や手数料を安く抑えられる点も魅力です。今後フィンテックが日常に浸透すれば、電子的な決済や送金がさらに身近なサービスとなるでしょう。
投資・資産運用にAIの技術を用いて、金融商品の選定やリバランスをする金融サービスもあります。中でも有名な「ロボットアドバイザー」は、資産運用のアドバイスを受けたり自動で資産運用を任せたりと、フィンテックのテクノロジーを活用したサービスです。
AIは日々データを蓄え進歩するため、将来的には人の分析を超える精度を持つと予想されています。投資初心者にとっては専門的な知識や技術を必要としない点も魅力です。
売り上げや経費の把握、確定申告といった企業の会計や財務もフィンテックのテクノロジーが活用されるようになってきました。有名なものでは「freee」や「MFクラウド会計」が該当します。
これまでの会計処理は属人的なため、手間や労力がかかり、人的ミスが起こる恐れがありました。一方、クラウド型会計ソフトを使えば、会計処理の時間や人的ミスの削減が可能です。業務の効率化にもフィンテックは貢献しています。
仮想通貨は、インターネット上で利用できる世界共通の通貨のようなものです。ただし、法定通貨ではないため、特定の国家が価値を保証しているわけではありません。仮想通貨で使われている「ブロックチェーン」という技術にフィンテックが活用されています。
ブロックチェーンは分散型台帳とも呼ばれ、銀行のように中央に管理する機関を持たずに世界中のコンピューターで記録・管理するシステムです。不正取引やデータの改ざん防止に役立っています。
キャッシュレス決済やオンラインでの取引サービスが増え、フィンテックは日常生活においても欠かせないサービスとなりました。しかし、フィンテックのサービスが盛り上がる背景で、不正出金やハッキングが問題視されています。
金融資産を守るためにもフィンテックの技術は欠かせません。セキュリティサービスには不正ログイン防止やフィッシング対策があります。しかし、フィンテックの技術を悪用した「なりすまし」や「資金流出事件」がニュースになることもあり、セキュリティは今後改善の余地があるでしょう。
フィンテックを活用した資産・家計管理として代表的なのは、PFM(Personal Financial Management)ツールです。個人財務管理とも呼ばれ、身近なものでは「マネーフォワード」や「マネーツリー」といったスマートフォンの家計簿アプリがあります。
利用している金融機関の口座やクレジットカードを登録して一元管理したり、日々の家庭の入出金データを記録できたりと、簡単に資産管理ができる点が魅力です。
投資家が投資先を判断したり経営者が経営企画を立てたりする際には、企業の経営情報や業界のトレンドを効率良く集めることが重要です。そのようなニーズに対して、企業の業績や財務情報、投資対象の分析ができるプラットフォームが生まれました。
フィンテックの技術を用いることで、膨大な企業の情報や市場のトレンドを素早く把握でき、業務の効率化や会社運営に役立っています。
ソーシャルレンディングは貸付型クラウドファンディングとも呼ばれ、「お金を借りたい企業あるいは人」と「お金を貸したい企業あるいは人」をインターネット上で結ぶ融資仲介サービスのことです。
ソーシャルレンディングを提供する企業は、借り手の審査や投資家の募集、分配金の管理をします。高い利回りが期待できることから、投資家の新たな資産運用の手段として注目されています。
新たな資金調達の手段としてクラウドファンディングが注目されています。クラウドファンディングとは、不特定多数の方からインターネット上で資金を募るサービスです。主に新たなプロジェクトの立ち上げや公益団体の活動に際し、資金を集める手法として用いられます。
これまで一般的な資金調達の手法として、銀行からの借り入れや株、債券が用いられてきました。クラウドファンディングは誰でも気軽に資金を集められること以外に、現金ではなく物やサービスでリターンが設定できる点など、さまざまなメリットがあります。
フィンテック業界に転職するにあたり、「生かせるスキルが分からない」「ほかの業界と比べて難しそう」と不安な方もいるかもしれません。発展途上にあるフィンテック業界は今後金融業界で大きな役割を担っていくと予想され、得られる経験やスキルは貴重なものになるでしょう。ここでは、フィンテック業界に転職するメリットを3つ紹介します。
フィンテック業界はWebやITの経験がないと転職できないと思っている方もいるでしょう。フィンテック業界が未経験でも、無形商材営業やITの知識、金融業界で働いた経験があれば転職できる可能性があります。
未経験でIT業界に転職するのは簡単ではありません。しかし、フィンテック業界では金融サービスを取り扱っているため、金融の専門的な知識や経験が求められます。金融業界で働いた経験があれば、転職でも有利になるでしょう。
フィンテック企業に勤めることで、銀行や証券会社では得られない経験を積めます。フィンテック企業が扱う商材は最先端のIT技術を駆使したWebサービスやアプリケーションで、Webマーケティングや新しいプログラミング言語に関する知識を学べたり経験を積めたりします。
今後も発展が予想されるフィンテック業界で、エンジニアとともに働いた経験は、自身のキャリアアップにも役に立つでしょう。
フィンテック業界は歴史が浅い業界です。スタートアップ企業が多く、新しいサービスの開拓や改善に日々試行錯誤しています。大企業や歴史のある銀行と比べて古い組織体質や派閥は少なく、自分の意見や考えが通りやすく比較的風通しのよい職場が多い傾向があります。
自らアクションが起こせる方やチャレンジ精神が旺盛な方、いろいろな業務に携わりたい方にはおすすめの業界です。
フィンテック業界はスタートアップ企業が多いため、大手の銀行と比べて福利厚生が充実していないケースがあります。銀行は他業界と比べても福利厚生や給与面が充実している傾向があり、銀行から転職した方は福利厚生に不満を持つかもしれません。
しかし、やる気や成果が評価されやすいため、給与面では銀行を上回ることもあります。Webマーケティングやプログラミング言語に関する経験や知識を得られるのも、ほかの金融業界にはない大きなメリットです。
フィンテック業界への転職は難しいと感じる方もいるでしょう。金融業界で働いた経験やITに関する知識があれば、転職で有利になります。また、フィンテック業界は未経験でも挑戦できる業界です。ここでは、フィンテック業界への転職で求められる経験やスキルを2つ紹介します。
フィンテック業界への転職で求められる知識は「金融」と「IT」の2つです。金融機関に関わるシステムの開発やサービスを開始する際は、取引業務の流れや金融商品の知識が必要です。ほかにも、AIやブロックチェーン技術に関するIT知識があれば、転職で有利になります。
金融とITの両方に関して一定の知識があるのが理想ですが、どちらか片方でも学んでおけば、知識をアピールできるでしょう。
フィンテック業界で扱うサービスは多岐にわたります。金融情報サービス以外にも幅広いサービスを提供しているため、フィンテックに関わる業務経験がないか探してみるとよいでしょう。志望する企業に関連性のある業務経験があれば、高い評価を得られます。
特に、法人営業やエンジニアとして志望企業の商材に関わっていれば、入社後も即戦力として期待されるかもしれません。志望企業がどのような商材を取り扱っているのか、念入りに情報収集しましょう。
フィンテックは金融とITを組み合わせた造語で、金融サービス以外にも幅広いサービスを展開しています。発展途上の業界でスタートアップ企業が多いため、チャレンジ精神旺盛な方におすすめです。また、フィンテック業界は未経験でも挑戦できます。金融やITの知識のほか、フィンテック業界に関連した業務経験があれば転職で有利になるでしょう。
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