更新日:2025/07/31
この記事のまとめ
「退職したいけれど、失業中の生活が不安」「自己都合で辞めたら、失業保険はもらえるか」といった悩みを抱えている方は少なくありません。
自己都合退職でも「再就職手当」を活用すれば、経済的な不安を軽減しながら次のキャリアに進めます。 2025年4月に施行された法改正により、給付制限がある自己都合退職でも思ったより早く給付を受けられるケースがあります。
この記事では、自己都合退職者が再就職手当を受給するための条件や申請手続き、最大限活用するためのステップを詳しく解説します。
目次
「自己都合退職では再就職手当がもらえないのでは」と悩んでいる方もいるかもしれませんが、会社都合退職と同様、条件を満たせば受給できます。自己都合と会社都合では手続きや制限に違いがあるものの、適切な知識を持って行動すれば、どちらも経済的支援が受けられる仕組みです。
ここでは、再就職手当の基本的な仕組みから自己都合退職の場合の特有の条件、2025年4月以降の法改正による制限緩和まで、重要なポイントを解説します。
再就職手当とは、雇用保険制度の一環として設けられた「就業促進手当」の一種です。失業保険(基本手当)の受給資格がある方が早期に再就職した場合に支給される制度で、失業期間を短縮し、早期の再就職を促進することが目的です。支給額は「基本手当日額×支給残日数×支給率(60%または70%)」で計算され、再就職までの期間が短いほど支給率が高くなるよう設計されています。
失業保険が次の仕事に就くまでの生活を支えるものであるのに対し、再就職手当は次の仕事に早く就くことを奨励する制度という違いがあります。自己都合退職でも条件を満たせば受給可能で、早期の経済的自立を後押しする重要な制度です。
再就職手当を受給するには、以下の8つの条件をすべて満たす必要があります。
自己都合退職と会社都合退職では、再就職手当の受給条件に違いがあります。会社都合退職の場合、7日間の待機期間さえ満了すれば、就職先をどのような方法で見つけても再就職手当を受給できます。
一方、自己都合退職で給付制限がある場合、待機期間満了後の最初の1ヵ月間はハローワークもしくは職業紹介事業者からの紹介で就職した場合に限り受給可能です。なお、転職エージェントは職業紹介事業者に該当します。これは自己都合退職者に対して設けられた制限で、早期の再就職を促進するための条件といえるでしょう。この1ヵ月間が過ぎれば、自己都合退職でも会社都合退職と同様の条件で再就職手当を受け取れます。
自己都合退職の場合、原則として待機期間満了後の2ヵ月間は給付制限が設けられていました。しかし、2025年4月からの法改正により、この制限が大きく緩和されています。
改正後は、離職日前1年以内または離職後に雇用の安定や就職促進に役立つ教育訓練を自ら受講した場合、給付制限が解除されます。以前の制度では、ハローワークの指示による公共職業訓練を受ける場合のみ給付制限が解除されましたが、改正後は自主的な学び直しも対象です。
また、給付制限期間自体も2ヵ月から1ヵ月に短縮されました。この改正は労働者が安心して再就職活動に励めるように配慮されたもので、自己都合で退職する方にとって大きなメリットとなるでしょう。
再就職手当は再就職の時期によってもらえる額が異なるため、転職戦略に大きく影響する要素です。ここでは、支給額の計算方法や支給額について解説します。早めに再就職するメリットとデメリットも紹介するため、これらの要素も理解したうえで転職活動に活かすとよいでしょう。
再就職手当の支給額は「基本手当日額×支給残日数×支給率」で計算します。支給率は基本手当の所定給付日数の3分の1以上を残して就職した場合は60%、3分の2以上を残した場合は70%です。なお、再就職手当を求める際の基本手当日額には上限があり、60歳未満は6,395円、60歳以上65歳未満は5,170円です(2025年7月現在)。
たとえば、基本手当日額6,000円、所定給付日数90日間で、支給残日数が異なるケースを見てみましょう。
支給残日数50日(給付率60%)の場合:6,000円×50日×60%=18万円
支給残日数60日(給付率70%)の場合:6,000円×60日×70%=25万2,000円
このように、再就職手当は早期に再就職するほど支給率が高く総支給額も増えるため、計画的な就職活動が重要です。失業保険と合算すれば再就職までの日数が長いほど総支給額は大きくなるものの、再就職先の給与も考慮に入れると、早めに就職したほうが収入は安定するでしょう。
また、基本手当日額の上限は毎年8月1日以降に変更されることがありますので、注意が必要です。
再就職手当を受け取ることには、いくつかのメリットとデメリットがあります。最大のメリットは経済的な安定です。早期に再就職することで給与収入と再就職手当の両方を得られるため、家計が安定します。また、再就職手当は非課税所得のため、税金の心配がありません。失業期間が短くなることで、職歴のブランクを最小限に抑えられるという利点もあります。
一方、再就職手当を受給すると、その時点で失業保険は打ち切りとなるため、失業保険を満額受給した場合より総額で少なくなる可能性がある点がデメリットです。再就職手当の金額を多く受け取りたいという気持ちから、企業研究が不十分なまま自分に合わない転職先を選ぶリスクもあるでしょう。
自己都合退職でも再就職手当は受給できますが、メリット・デメリットを十分に理解したうえで、焦らず自分に合った仕事を見つけることが重要です。
再就職手当を受け取るには、適切な申請手続きと必要書類が不可欠です。自己都合退職でも条件を満たせば受給できますが、手続きの流れを正確に把握しておけば、申請がスムーズに進むでしょう。ここでは、再就職手当の申請に必要な書類と入手方法、申請手続きの具体的な流れについて詳しく解説します。
再就職手当を申請する際には、以下の5つの書類が必要です。
これらの書類をそろえて申請することで、再就職手当の受給手続きが完了します。申請期限は原則として再就職した日の翌日から1ヵ月以内です。時効期間は2年間ありますが、申請期限を過ぎると通常より支給が遅くなる場合があるため注意しましょう。
再就職手当の申請手続きは以下の流れで行います。
再就職手当に関するよくある質問と回答を以下にまとめました。
Q.働き始めてからさかのぼって請求できるか
A.原則として再就職手当の申請期限は1ヵ月ですが、就職した翌日から2年以内であれば、さかのぼって申請が可能です。働き始めてから時間が経過していても、この期限内なら諦めずに申請するとよいでしょう。
Q.いつ、どのような方法で支給されるか
A.申請から受給までの期間は約1ヵ月程度かかるのが一般的で、自身が指定した銀行口座に振り込まれます。
Q.再就職手当を早くもらうにはどうしたらよいか
A.失業保険の受給資格を得た状態で、待機期間7日が過ぎた翌日に内定をもらえれば最短での支給が可能です。その日を狙って内定をもらうのは難しいかもしれませんが、計画的に転職活動を進めることでより早く再就職手当を受け取れます。
自己都合退職後に再就職手当を確実に受け取るには、効果的な転職活動が不可欠です。ここでは、再就職手当を最大化するタイミングや給付制限期間を有効活用した効率的な転職活動の進め方、転職エージェントの活用方法について解説します。
再就職手当を最大限活用するには、転職活動のタイミングが重要です。支給率を70%にするには、所定給付日数の3分の2以上を残して再就職する必要があります。自己都合退職の場合、所定給付日数は最大でも150日です。最も短い90日の場合は30日以内、150日でも50日以内に内定をもらうことを目指しましょう。なお、再就職手当を満額受け取るには、一度も失業保険を受け取らずに再就職を決めるのがベストです。
ただし、金額だけを追求して焦って就職を決めると、職場との相性が悪く早期退職につながるリスクもあります。転職活動は早めに開始し、企業研究を十分に行って自分に合った仕事を選ぶことが長期的な成功につながるでしょう。
自己都合退職後の転職活動では、給付制限期間を有効活用することが重要です。この期間にハローワークが認める求職活動を積極的に行いましょう。求人への応募や求職支援セミナーへの参加、職業相談、民間企業の説明会参加が実績として認められます。
自己都合退職の場合、給付制限期間満了後の最初の認定日前日までに2回以上の求職活動実績が必要です。効率的に活動するには、インターネット経由での応募やオンラインセミナーへの参加がおすすめです。
また、転職エージェントを併用することで、求人情報の収集や応募書類作成のサポートを受けられます。転職エージェント経由の応募も求職活動実績になるため、給付制限期間中から積極的に活用することで、スムーズな再就職と再就職手当の受給につながります。
転職エージェントは「職業紹介事業者」として法的に認められています。自己都合退職の場合でも、待機期間7日間が過ぎてから転職エージェントに紹介された企業に内定をもらえば、再就職手当の受給資格を得られます。なお、求人情報を提供する転職サイトは、職業紹介事業者には該当しません。
給付制限がある自己都合退職の場合、待機期間満了後1ヵ月間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職が条件となるため、転職エージェントの活用は再就職手当受給の確実な道筋となるでしょう。
また、転職エージェントを利用すれば、専任のキャリアアドバイザーが書類添削や面接対策をサポートし、非公開求人も含めた豊富な選択肢から最適な企業を紹介してもらえます。早期再就職を実現するには、退職前から複数の転職エージェントに登録し、並行して活動するのが効果的です。
再就職手当は自己都合退職でも受給可能な制度ですが、会社都合退職の場合と条件が異なります。自己都合退職の場合、1ヵ月の給付制限期間中はハローワークや職業紹介事業者の紹介による就職が条件です。転職エージェントは職業紹介業者に該当するため、積極的に活用するとよいでしょう。
マイナビエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが履歴書・職務経歴書の添削から面接対策、条件交渉まで、転職活動を徹底サポートします。非公開求人も含めた豊富な選択肢から最適な企業を紹介し、再就職手当を受け取りながら理想の転職を実現できるように支援するため、ぜひご相談ください。
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