更新日:2024/06/28
この記事のまとめ
30代で転職をするにあたり、できる限り長く働き続けられる企業へ勤めたいと考えることがあるでしょう。職場環境がよく、働きやすいいわゆる「ホワイト企業」への転職を目指すなら、成功のポイントを押さえたうえで転職活動を進めることが大切です。
そこでこの記事では、ホワイト企業の特徴や見極め方、転職を成功させるために押さえておきたいポイントを解説します。自分に合った企業を見つけ、後悔のない転職を実現しましょう。
目次
実は、ホワイト企業には明確な定義がありません。「ホワイト企業」という言葉は、違法または劣悪な労働環境を従業員に強いる「ブラック企業」の反対語として生まれました。そのため、「働きやすい企業」というぼんやりとした枠組みで捉えている人もいるでしょう。ここでは、よくいわれる「ホワイト企業」の特徴と、30代の転職で勘違いしてはいけないポイントを解説します。
ホワイト企業は働きやすい企業を表しているため、離職率の低さがひとつの判断材料とされます。離職率の算出期間は調査の目的によって異なりますが、まずは「新卒入社3年以内の離職率」を確認してみるとよいでしょう。
厚生労働省が2023年10月に発表した「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者で37.0%、新規大卒就職者で32.3%でした。この数値よりも離職率が低い場合には、ホワイト企業である可能性が高いといえます。
また同じく厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、2022年における一般労働者(パートタイム労働者を除く)の離職率は11.9%でした。こちらもホワイト企業を見分ける指標にできるでしょう。
離職率に加え、平均勤続年数も参考にできます。平均勤続年数が長い企業は、長く勤めている人が多い、つまり従業員が定着しやすい企業と言い換えられます。有価証券報告書などに記載されているデータで確認してみるとよいでしょう。
参照:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
参照:令和4年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省
ホワイト企業は従業員の健康維持に配慮している傾向にあります。残業が多いと身体面だけでなく精神面へも悪影響を与え、休職・離職者数の増加、生産性の低下、売上減少と負のループに陥ってしまうためです。
そこでホワイト企業では定時に仕事を終えられるようさまざまな取り組みをしており、業務の効率化、不必要な残業をなくすシステム作り、「ノー残業デー」などのルール作りにその姿勢が表れます。とはいえ、「残業があるからホワイト企業ではない」と単純に結論を下すことはできません。具体的な残業時間と企業の取り組みの両方を見て判断しましょう。
福利厚生とは、従業員の生活を豊かにするために企業が提供するサービスのことです。これにより入職希望者の増加や従業員の定着、働く意欲・生産性の向上といった好循環が生まれます。
福利厚生には、社会保険料の一部負担など法律で義務づけられた「法定福利厚生」と、住居手当や慶弔見舞いといった企業が任意で提供する「法定外福利厚生」の2種類があります。「法定外福利厚生」を多く提供する企業は、従業員の働きやすさや生活の質の向上に関心があるホワイト企業である可能性があります。
出産や子育てなどライフステージの変化が働き方に影響を与えることは避けられません。ホワイト企業ではライフスタイルの変化にも対応できる労働環境作りに取り組み、有能な人材が長く働けるよう配慮しています。
そのひとつが産休・育休に関する支援制度です。産休や育休を取得する権利は法律により定められているものですが、支援する内容は企業によって大きく異なるのが実情です。支援制度があるかどうかだけでなく、産休・育休制度の取得率にも注目して、子育てとの両立を応援している企業なのかどうかを判断しましょう。
保育園などからの呼び出しがあっても、業務をスムーズに分担するフォロー体制を構築して、子育てを応援している企業もあります。ほかにも、テレワークや時短勤務、フレックスタイム制度などの導入、託児施設の併設など取り組みは多岐にわたります。
ホワイト企業には安定した給与制度があるのが特徴です。一例として基本給の高さが挙げられます。基本給を高めに設定できるのは、業績が伸びている、または安定しているからであると見なすこともできるでしょう。効率的で生産性の高いビジネスを成功させている企業であれば、適正な労働時間でも利益を上げられるため、基本給という形で従業員に還元されます。
しかし、基本給だけでは判断できません。業務量が極端に多い場合や離職者が多くどうしても人員を確保できないことが理由で「基本給が高め」というケースもあるからです。ホワイト企業を見分けるためには総合的な判断が必要です。
賃金が支払われる「有給休暇」、いわゆる有休は法律で定められた労働者の権利であり、企業にとっては義務でもあります。とはいえ、有休を取りづらい社内の雰囲気や評価に響くのではないかという不安から、有休を自由に取れない職場も実際には存在します。
ホワイト企業は、好きなときに有休を取れるよう積極的に取得をすすめているほか、業務の停滞を気兼ねせずに済むような施策にも取り組んでいます。有休取得の促進はワークライフバランスを重視する企業の風土を示すもので、ホワイト企業の大きな特徴のひとつです。
社員教育に力を入れている企業は、「人」を大切にしているといえるでしょう。ホワイト企業が社員教育を徹底しているのは、社員一人ひとりのビジネススキルを高めることが、より生産性の向上や業績アップにつながると考えているためです。
従業員のキャリアマップを作成している、自社ビジネスに合った研修制度を準備しているといった企業は、「人」を大切にするホワイト企業である可能性があります。
ホワイト企業はコンプライアンスにも敏感です。コンプライアンスとは法令順守を意味しており、不祥事に対する企業の社会的責任という考え方も含まれます。労働基準法や個人情報保護法といった法律をしっかりと守ることに加え、社会の常識や自社のルールなどにも忠実です。不正やハラスメントといった不安材料のない職場環境は、従業員が安心して働けるだけでなく、企業の信用を守ることにもつながります。
コンプライアンスを呼びかけるだけでは不十分です。しっかりとしたガバナンスの構築、相談窓口など実行力のある施策、コンプライアンス研修といった教育制度など、取り組みが目に見える形で実現していてこそホワイト企業といえるでしょう。
30代でホワイト企業を目指す場合には、注意しておきたい点もあります。転職の軸やキャリアマップが見えない中で、「ホワイト企業」という漠然としたイメージだけを頼りに進める転職活動では納得のいく転職につながりません。転職活動を本格的に始める前に、ここで取り上げる4つの注意点を理解しておきましょう。
ホワイト企業には明確な定義がなく、「働きやすいとはどういった職場なのか」といった条件は人によって異なります。後悔のない転職を実現したいなら、「ホワイト企業」というぼんやりとしたイメージではなく、自分にとって働きやすい職場とは何なのか、条件を明確にしておく必要があります。
ホワイト企業の特徴に当てはまっている企業であっても、退職する方は一定数いるものです。大切なのは、自分の望む条件を満たしているか、自分と相性がよいかという点です。自分のイメージする「ホワイト企業」に求める条件を具体的に書き出し、優先順位と譲れない範囲を決めておきましょう。
「ホワイト企業は基本給が高め」とはいえ、転職で年収が上がるとは限りません。相応の社会人経験やスキルを持つ30代でも、転職希望先企業の事業規模や業態、必要とされているポストなどにより、いまよりも年収が下がるケースがあることは覚えておきましょう。未経験業種・職種への転職であればなおさらです。
年収アップをはずせない条件にする場合には、転職エージェントに年収交渉を依頼したり、ホワイト企業として求める条件に幅を持たせたりすることも必要になるでしょう。
ホワイト企業は転職先として人気があります。ホワイト企業は働きやすい職場環境を提供するだけの経済力や将来性がある企業と判断されるため、転職先に安定性を求める多くの求職者がライバルになるでしょう。知名度の高い大手のホワイト企業だけにチャレンジしていると、なかなか転職を実現できないかもしれません。
そこでおすすめなのが「隠れ優良企業」と呼ばれるホワイト企業です。知名度は高くないものの、働きやすいポイントをいくつも満たしている企業を指します。転職エージェントを利用するなどし、より多くの企業から自分に合った1社を選ぶとよいでしょう。
30代の転職では、これまでの実績や経験を評価されて転職に成功するケースがあります。同業種・同業界での転職は特に有利に進められる可能性が高く、年収アップにつながることも少なくありません。
しかし、ビジネスのノウハウや特殊なスキル、顧客情報などが他社に流れることを防ぐため、競合他社への転職を一定期間禁止している企業もあります。これは「競業避止義務」と呼ばれるもので、入社時や退職時に誓約書に同意することで義務を負うため注意が必要です。誓約書にサインする場合には、実際にどのような行為が禁止されているのか、きちんと確認しておきましょう。
30代の転職でホワイト企業を目指すのであれば、綿密なリサーチが必要です。ホワイト企業という言葉には明確な定義がありません。曖昧な情報に振り回されて転職先選びを間違えると、手痛いタイムロスになってしまいます。転職の好機を逃してしまうことにもなりかねません。ここではホワイト企業を見極める4つの方法を解説します。
ひとつ目の方法は、ホワイト企業マークの認定があるかどうかを確認するものです。ホワイト企業マークは、特定の分野において認定基準を満たしている企業に対して付与される認定マークです。働き方改革や次世代育成支援対策といった厚生労働省、経済産業省などの取り組みにより、数多くの認定マークが設定されています。代表的なホワイト企業マークは以下のとおりです。
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求人情報を詳しくリサーチするのも有効な方法のひとつです。残業時間や離職率、年間休日、福利厚生などを業界の平均と比較してみます。同じような業界・業種に似たような条件の企業がある場合には比べやすいでしょう。
求人が頻繁に出ている企業は要注意です。離職率が比較的低い点がホワイト企業の特徴ですが、求人が繰り返されている企業は人材が定着しにくい、つまり働きにくい企業であることを示している可能性が高いといえます。求人情報の記載内容が曖昧、または給与や残業についての記載がまったくない場合も同様です。
企業の口コミから、働きやすい職場環境かどうかを確認する方法も有効です。実際に働いている人、または働いていた人からの口コミであれば、求人票などに記載されている情報の信ぴょう性を確認する意味で参考にできるでしょう。
ただし、口コミはネガティブな意見ほど寄せられやすい傾向にあります。口コミに載せられた情報がすべてではないことや悪意をもって書かれるケースもあることは忘れないようにしましょう。
企業の実情を知る効果的な方法は、転職エージェントに尋ねることです。転職エージェントは転職先企業とのパイプを持っているため、企業の風土や職場環境といった内情にも通じています。具体的に知りたいことがあれば、企業に直接尋ねてもらうとよいでしょう。転職エージェントの利用は無料であるため、使わない手はありません。
自分にとっての「ホワイト企業」のイメージが固まってきたら、転職活動を開始します。ここでは、30代の方がホワイト企業への転職を目指す際に押さえておきたい成功のポイントを5つ取り上げます。30代の転職ならではの特徴を理解したうえで、成功への道を探りましょう。
30代であれば、若さやポテンシャルではなく、経験や実績に基づいた実力をアピールできます。多くの企業が30代に求めるのは即戦力です。企業が求めるスキルや経験にマッチしている人材であれば、即戦力としての働きをイメージしやすいため、転職成功につながりやすくなります。
まずは自分の経験や実績を棚卸しし、武器にできる強みを見極めることから始めましょう。ホワイト企業を見つけてから自分がマッチしているかどうか考えるよりも、自分の強みを求めている企業からホワイト企業を絞り込んでいくほうが近道です。
転職市場においてホワイト企業はどうしても競争率が高くなってしまいがちなため、武器はひとつでも多いほうが有利です。そこでおすすめしたいのが、現在の職場でマネジメント経験を積むことです。役職に就いていなくても、業務の進行状況の管理に関わったり、新人教育を担当したり、プロジェクトマネージャーを担ったりしたことはマネジメント経験としてアピールできます。
マネジメント経験者の需要は高く、30代であれば管理職として採用される可能性もあります。ホワイト企業への転職を視野に、マネジメント経験を積む機会を探してみましょう。
同職種・同業界への転職は、即戦力としての活躍が期待されることから転職を有利に進められるといわれています。しかし、同じ職種で業種・業界を変える方法もあります。職種が同じであれば、すぐに業務に携われるのはもちろん、業界ならではのビジネスのやり方やルールさえ把握すれば即戦力にもなり得ます。
「隠れ優良企業」が比較的多い業界もあるため、業界の変更が選択肢の幅を広げることにつながります。
ホワイト企業に魅力を感じる人の中には、前職の職場環境に不満を持っていたというケースも見られます。しかし、前職への不満をそのまま転職理由にすると、ネガティブな印象を与えてしまいかねません。
転職理由は、前向きな表現で伝えることが大切です。これから取り組みたいこと、新たな職場に期待していること、目標にしていることなど前向きな転職理由を述べると、応募先の企業に対して好印象を与えられます。
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ホワイト企業は働きやすい企業を指す言葉ですが、明確な定義はありません。働きやすい企業に求めることは人によって違うため、後悔のない転職を実現したいなら自分にとっての「ホワイト企業」の基準を明確にしておく必要があります。
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