更新日:2024/05/28
この記事のまとめ
30代は年代的に最後の転職になることも少なくありません。年収が下がることを恐れ、転職をためらう人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、30代の転職で年収が下がる原因と年収アップを実現する方法を解説します。30代の転職市場の実情を知ると、転職を不必要にためらう必要はないことを理解できるでしょう。またポイントを押さえて戦略的に転職活動を進めれば、年収アップを実現することも十分可能です。
目次
「30代で転職すると年収が下がるのでは」という不安から転職に二の足を踏んでいる人もいるでしょう。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。ここでは、株式会社マイナビの「転職動向調査2023年版(2022年実績)」(2022年12月調査)を基に30代の転職事情を深掘りしていきます。
株式会社マイナビの「転職動向調査2023年版(2022年実績)」(2022年12月調査)によると、30代で転職をした方の年収事情は以下のとおりです。
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転職により年収が下がった人の割合は、30代男性で16.0%、30代女性で16.5%でした。一方で、30代男性の47.7%、30代女性の31.4%が転職による年収アップに成功している実情が浮かび上がってきます。多くの30代が年収維持、または年収アップでの転職を成功させているという現状を理解しておくと、不必要に転職を恐れる必要はなくなるでしょう。
同じく株式会社マイナビの調査を基に、20代~50代の転職者全体の年収事情も見ていきましょう。
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年を追うごとに「年収が上がった」という回答が増え、「年収が下がった」という回答が減っていることが分かります。2022年の調査結果においては、年収が上がった割合と年収が下がった割合の差は20.9%にもおよびました。年代にかかわらず、転職で年収アップを実現している人が増えている実情が見えてきます。
株式会社マイナビの「転職動向調査2023年版(2022年実績)」(2022年12月調査)によると、2022年の転職理由で最も多いのは、「給与が低かった」というものです。給与アップを転職の譲れない条件に設定することが、「年収が上がった」という結果に結びついているともいえるでしょう。
一方で、「仕事内容に不満があった」「職場の人間関係が悪かった」「会社の将来性、安定性に不安があった」といった理由から転職をしている方も少なくありません。しかし職場環境を変えることを第一条件に転職活動をする場合には、年収が少々ダウンしても構わないという消極的な姿勢になってしまう傾向にあります。転職の軸をどこに置くかも、年収の増減に関わる要素であることは忘れないようにしましょう。
参照:「転職動向調査 2023年版(2022年実績)」(2022年12月調査)|株式会社マイナビ
30代の転職ではしっかりとした転職の軸を持ち、戦略的に転職活動を行うことで年収維持、または年収アップを実現できます。一方で、やり方を間違えると年収が下がる可能性もあるため注意が必要です。ここでは、30代の転職で年収が下がる原因として考えられる6つのケースを取り上げます。
ひとつ目は、自分の市場価値が分かっていないケースです。市場価値は需要と供給のバランスによって決まります。企業が求めている経験やスキルを持つ人材が「需要」、そのスキルや経験を持つ転職者が「供給」であり、供給に対して需要が高いほど市場価値は高いといえます。
市場価値が高ければ高年収を提示してもらいやすくなるため、年収アップを意識するのであれば、自分の市場価値を理解しておくことは不可欠です。自分の市場価値が分からないまま需要の低い転職市場に挑戦すると、低く値積もりされて年収が下がることになってしまうでしょう。
2つ目は未経験業界・職種へのキャリアチェンジを目指すケースです。30代の転職者に企業が期待しているのは「即戦力としての活躍」です。これまでに培ってきたスキルや経験が未経験職種で役立つことはありますが、即戦力として働くのは難しいため、転職当初はどうしても年収が下がってしまいがちです。
キャリアチェンジは年齢が上がるごとにハードルも高くなるといわれています。どうしてもトライしたい未経験の業界・職種がある場合は、できるだけ早く転職するほうが得策です。それでも年収ダウンは想定しておかなければならないでしょう。
30代の転職では、情報収集とリサーチ力が成否を大きく左右する要因です。現在の年収が同業界でどの位置にあるのか、希望業界・職種の年収水準はどれくらいなのか、転職希望先企業の評価基準はどうなっているのか、業界のニーズや中途採用の市場動向などの正確で最新の情報を収集してこそ効果的な戦略が立てられます。
情報収集もリサーチもないまま転職先を決めると、年収が下がる危険性は高まるでしょう。これが3つ目のケースです。
4つ目は転職活動の期間が短いケースです。転職先を早く決めなければという思いから、「年収が下がるのも仕方ない」と焦って転職を決めてしまうケースが見受けられます。一度退職してから転職活動を始めるケースに多く、想定していたよりも転職活動が長引くと、経済的な不安から冷静な判断ができなくなりやすいのです。30代の転職は仕事を続けながら、じっくりと時間をかけて転職先を選ぶことをおすすめします。
5つ目は、転職のタイミングを間違えたためにせっかくのマネジメント経験が転職で活かせないというケースです。タイミングによっては、現職と同じ役職(ポジション)に空きがないという状況も考えられます。転職により役職が変わる、または役職がなくなるということになれば、年収がダウンすることにもなりかねません。
6つ目は、地方の企業へ転職するケースです。これまでに培ったスキルや経験を武器に、地方の企業へ転職してキャリアアップを目指す人もいます。親との同居や田舎暮らしなど生活拠点を地方に移す理由は人それぞれですが、必ずしも年収アップを実現できるとは限らないことは覚えておきましょう。
2022年に厚生労働省が行った「令和4年賃金構造基本統計調査結果の概要」によると、平均月収上位の都道府県は東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県といずれも大都市です。
最も平均月収が高い東京都が37万5,500 円であるのに対し、25万円に満たない都道府県もあり、その差は12万円を超えます。単純計算で年収が144万円以上違うことが分かります。地方移住に伴う転職の場合には、年収が下がるケースもあることは頭に入れておきましょう。
出典:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概要|厚生労働省ホームページ
30代の転職で年収をアップさせたいのであれば、戦略的な転職活動が必要です。自分の市場価値に見合った転職先を選ぶこと、自分のスキルや経験を強みとして最大限活かすことなど、押さえておきたいポイントは数えきれないほどたくさんあります。ここでは、年収アップを実現するために有効な5つの戦略を解説します。
後悔しない転職をするためには、外せない条件と優先順位を明確にし、転職の軸を定めることが必要です。人間関係や労働環境など年収以外の条件が優先順位の上位になる場合には、年収が下がっても構わないと考えるケースもあるでしょう。しかし、「どれくらいまで下がってもよいのか」をきちんと決めておかなければ、自分の市場価値を不必要に下げてしまう可能性があります。
仕事への対価を使って生活を成り立たせる以上、年収レベルに条件をつけるのは妥当なリスクヘッジです。キャリアマップや将来のライフプランなども考え併せたうえで、具体的な年収の許容範囲を決めておきましょう。
いままで積み上げてきたスキルや経験を活かせるのは、同業界・同職種への転職です。これまでの成果に対する評価もされやすく、即戦力としての活躍が期待されるでしょう。企業側も現在の年収を基準に転職後の年収を提示できるため、これからの働きとそれに見合う年収のイメージがつきやすいメリットがあります。業界の動向を知ったうえで年収交渉もできるため、年収アップにつながりやすい点もメリットです。
同業界・同職種への転職で年収を上げたいなら、これまでの業務範囲や実績など説得力のある材料を用意し、即戦力になる人材であるとアピールすることがポイントです。
同じ職種であっても、業界によって年収水準は異なります。転職で年収アップを実現したいなら、年収水準が高い業界を目指すのもひとつの選択肢です。専門性や希少性の高い分野、需要や将来性のある業界は年収も平均的に高い傾向にあります。商社や金融、医薬品業界などは需要が高く、またITや電子部品、半導体などを扱うIT業界は将来性があると見込まれています。
業界経験がなくても職種が同じであれば短期間で即戦力になれるため、これまでのスキルや経験を強みとしてアピールできます。業界研究をしっかりと行い、年収アップを狙える業界を見極めましょう。
30代になると、実務において中心的な役割を果たすようになります。リーダーシップを発揮したりチームをまとめたりする経験も積んできたことでしょう。
プロジェクトの進行状況を管理する、トラブル発生時の改善策を提案するといった実務ではマネジメント能力が必要とされます。役職に就いていたわけではなくても、「マネジメント関連のタスクに携わった経験がある」「人材育成を担当していた」人はマネジメント職への転職にトライすることで年収アップを目指せます。
自分の市場価値を正しく理解し、需要の高い業界や企業に的を絞るとともに転職の軸をしっかり定めて転職活動を行うことが年収アップには欠かせません。
30代の転職で年収を上げるために活用したいのが転職エージェントです。転職エージェントは業界や企業に関する知識に精通しており、これまでに培ってきたスキルや経験を活かせて高年収を提示する企業を紹介してくれます。また担当のキャリアアドバイザーが、あなたが転職で武器として使える強みをどのようにアピールできるかを考え、書類作成から面接対策、年収交渉の代行までサポートしてくれるのも大きな利点です。
年収が下がってもよいから転職したいという場合もあるでしょう。年収アップだけが転職の成功ではありません。年収が下がったものの、満足のいく転職を実現した方も多くいます。とはいえ、30代は年齢的にも最後の転職になるケースが多く、ミスマッチだけは避けたいものでしょう。そこでここでは、転職で年収が下がる場合にチェックしておきたい転職成功のポイントを解説します。
「やりたい仕事がある」「魅力的な企業で働きたい」など、年収が下がってもよいから転職したいというケースも少なくありません。この場合にまずチェックしておきたいのが、想定される年収が生活できる最低水準を超えているかという点です。どれほど魅力的な仕事であっても、生活の維持に必要な年収を確保できないとやがて不安や不満が募り、続けていけなくなる可能性があります。
転職先を決める前に、生活していくのに必要な年収がいくらなのかを算出してみましょう。家族やパートナーがいる場合には、どこまで協力してもらえるのかをきちんと話し合っておくことも必要です。
転職により一時的に年収が下がったとしても、実績を積めば年収が上がる、評価がインセンティブやストックオプションなどの形で付与されるといった可能性があるのかどうかもチェックしておきたいポイントです。
実績に見合った評価制度がない、業界全体の将来性が見込めないといった状況では、今後も年収アップを期待できない可能性は高いでしょう。家族やパートナーがいる場合は、ライフステージによっても必要なコストが変わってきます。これが最後の転職だと思って、年収アップの可能性を長期的な視点で判断しましょう。
人間関係や労働条件に不満があるケースでは、感情的に転職先を決めてしまうことも考えられます。焦って転職先を決めようとすると視野が狭くなり、年収に関しても合理的な判断ができなくなってしまいます。ひとりで決めてしまうのではなく、転職エージェントなど異なる視点やアドバイスを提供してくれる第三者に相談するのが賢い方法です。
「早く転職先を決めたい」という思いが強いと、自分に対する評価、業界の市場動向を知らないなどの理由から不当な年収ダウンさえ受け入れてしまう危険性もあります。その点、転職のプロである転職エージェントに自分の市場価値を見定めてもらえば、年収が下がる場合であっても妥当な範囲で折り合えます。
転職で年収維持または年収アップを実現したい方は、30代の転職に強いマイナビエージェントをぜひご利用ください。
マイナビエージェントは取り扱っている業界・職種の幅が広い転職エージェントです。各業界に精通した専任のキャリアアドバイザーがあなたの市場価値を適正に見定めたうえで転職をサポートします。あなたのスキルや経験を活かせる転職先を紹介するだけでなく、年収交渉も代行しているため、より希望の転職を実現可能です。
30代の転職では、年収が下がるケースよりもむしろ上がった人のほうが多い傾向にあります。年収アップを転職の軸のひとつに据え、自分の市場価値や転職市場の動向などをしっかりと理解したうえで戦略的に転職活動を進めれば、年収アップの実現は不可能ではありません。
転職で年収アップを実現したいのであれば、30代の転職に強いマイナビエージェントをぜひご利用ください。転職に関する豊富な知識と実績のあるキャリアアドバイザーがあなたの強みを効果的な武器にする戦略を立て、転職成功までしっかりサポートします。登録は無料です。
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