更新日:2021/12/22
履歴書・職務経歴書を企業に郵送する際には、「送付状」と呼ばれる書類を添えることがマナーとなっています。
送付状は、履歴書・職務経歴書とともに、第一印象を決める大事な書類です。しかし、送付状は書き慣れていないと、何を書いたらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、送付状の役割や書き方の他、書く際の注意点についてご紹介します。
目次
「送付状」とは、企業の求人に応募する際、履歴書や職務経歴書などに同封する挨拶状のことです。「添え状」と呼ぶこともあります。
企業側の視点に立って考えたとき、届いた書類を開封して最初に履歴書などの必要書類が出てくるのと、送付状が一番上に添えられているのとでは、受け取る印象が異なります。特に応募者の数が多い場合、採用担当者は送付状に目を通すだけで、誰から・どのようなものが送られてきたのかを確認できるため便利です。
転職や就職以外にも、ビジネスシーンでは送付状を目にする機会が数多くあります。たとえば、取引先に請求書や資料を郵送したり、顧客に向けて案内状を送付したりする場面などです。FAX文化が根強く残る日本では、FAXを送る際にも送付状を付けるのが一般的です。
使用頻度が高い送付状の役割や書き方を理解しておけば、転職だけでなく今後のビジネスの場においても役立つでしょう。
そもそも、なぜ企業に履歴書や職務経歴書を送る際、送付状を同封する必要があるのでしょうか。
「特に指定されていないのだから、必要ないのではないか」と考える方もいるかもしれません。しかし、送付状を添えることには重要な意味があります。
ここでは、送付状が持つ役割について解説します。
送付状は、応募書類を対面で手渡しできない場合の挨拶代わりとなるものです。また、「手渡しすべきところを、送付してしまい申し訳ない」という気持ちを伝える役割も果たします。
送付状は「いつ、誰が、誰に、何を、どれだけ、何の目的で」送ったかという概要を記した物です。
送付状をつけることで、応募先企業の担当者が送付物の内容を知ることができますし、送る側も入れ忘れや紛失などのトラブルを防ぐことができます。
送付状があれば、何を送ったかの送付物が分かると同時に、記載内容をおおよそ把握できます。特に、応募書類が履歴書以外にも設定されていてかさばる場合などは、受け取った応募先企業にとっても一目で確認できるため親切です。
郵送では直接口頭での説明ができない分、伝えるべき事項を送付状で補足説明しておくことが重要です。
履歴書や職務経歴書を送る際に送付状を添付することは「ビジネスマナー」として定着しています。
そのため、正しく書かれた送付状を添付することは、ビジネスマナーをきちんと身に付けていることをアピールすることにつながります。
送付状では、書くべき内容がある程度決まっています。
ここでは、書く内容や位置、より丁寧な印象を与えるために必要な頭語、結びの挨拶などについて一つひとつ確認していきます。
以下のポイントを押さえた上で、ご自身が伝えるべき内容もきちんと記載するようにしましょう。
日付は、最上行に右寄せで入れます。和暦・西暦どちらの表記でも構いませんが、履歴書や職務経歴書と統一します。
宛名は、日付の次の行に、少しフォントを大きくして左寄せで書きます。会社名、部署名、担当者名を正式名称で記載しましょう。
敬称は、個人が宛名の場合は「様」、部署が宛名の場合は「御中」とします。担当者の名前が不明の場合は「~課 採用ご担当者様」と書いても構いません。
自分の連絡先や氏名は、宛名から1、2行下げて、右寄せで書きます。郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、氏名を、改行しながらコンパクトにまとめます。
送付状のタイトルは、自分の連絡先から1、2行下げて、中央に「応募書類の送付につきまして」などと書き、送付内容がひと目でわかるようにします。
「こんにちは」のような挨拶にあたる頭語は、「拝啓」を使用するのが一般的です。
続けて「新春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」など、時候の挨拶を加えます。この季節に合わせた挨拶は、四季がある日本ならではの習慣です。相手に送付した書類が届く時期に合わせて、言葉を変えるようにしましょう。
以下、各月における時候の挨拶の例をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
<各月における時候の挨拶の例>
1月:新春の候・寒中の候・大寒の候
2月:立春の候・梅花の候・向春の候
3月:早春の候・春色の候・春分の候
4月:桜花の候・春風の候・春陽の候
5月:新緑の候・薫風の候
6月:初夏の候・深緑の候・梅雨の候
7月:盛夏の候・暑中の候
8月:立秋の候・残暑の候・晩夏の候
9月:初秋の候・涼風の候・秋涼の候
10月:秋色の候・紅葉の候
11月:晩秋の候・落葉の候・霜秋の候
12月:師走の候・寒冷の候・歳末の候
時候の挨拶に続いて、「この度、◯◯にて貴社の採用情報を拝見し、下記の応募書類を送らせていただきました」など、応募書類を送付したことを伝える一文を明記します。
なお、履歴書・職務経歴書に書いた志望動機や自己PRを補いたい場合は、志望動機やアピールポイントを強調する一文を入れても構いませんが、簡潔にまとめるように心掛けてください。
最後は「ご検討の上、面接の右下に記載機会をいただけましたら幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます」などと結び、改行して右詰めで「敬具」と記載します。
送付書類の具体的内容は、最後に「記」として箇条書きで書いて「以上」で締めます。
「記」は文書の中央に、「以上」は文書の最後、右下に記載するのがルールです。「以上」は締めの言葉ですので、以上の下に文章を続けないようにしましょう。
送付状・添え状は、書き方を誤ったり間違いがあったりすると、かえって印象を悪くしてしまう可能性があります。
相手に失礼がないように、また受け取る側の読みやすさを考慮して作成しましょう。
ここでは、送付状を書く際に注意すべき5つのポイントについて解説します。
送付状は、あくまでも応募書類への布石です。応募先企業に対する熱意や思いを長々と書き連ねてしまっては、「送付状の意味合いを理解していない」と判断される可能性があります。
送付状は、シンプルにまとめるのがベストです。
給与や勤務地、勤務時間への希望は、それがたとえ転職におけるゆずれない条件であったとしても、書くことは避けるべきです。
送付状に希望条件を書くことは、社会人としてのマナー違反であり、「ルールを守らず自分の主張ばかりする人物なのでは?」といった良くない印象を持たれてしまうでしょう。
自己PRや希望条件などを過剰に書くことはNGとご紹介しましたが、定型文だけで済ませてしまうのも考えものです。
定型文をつなげて作成した場合、応募先企業への熱意が伝わりにくいばかりではなく、「他の企業へ送った送付状の使い回しなのでは」「手抜きをしているのではないか」といったマイナスな印象を与えてしまう可能性もあるでしょう。
「人間関係が上手くいかない」「スキル不足で業務についていけなかった」などの理由ですぐに仕事を辞めてしまったり、転職回数が多くなることもあるでしょう。そのような場合でも、応募先の企業がマイナスの印象を受けるような書き方は避けるべきです。
送付状では転職に至った理由や、これまでの経歴でアピールしたい点などを簡単にまとめる程度にとどめ、ネガティブな印象を与えかねない経歴については、必要以上に書かないようにしましょう。
送付状・添え状は、基本的にはパソコンで作成しましょう。書く際に修正がしやすく、受け取る側も書式や文字がそろっていることで読みやすく感じるためです。
また、送付状がきちんと作成されていれば、一定のパソコンスキルがあることのアピールにもつながります。もちろん、字の綺麗さに自信がある方は、手書きでも何ら問題はありません。
しかしその場合、以下の3点に注意が必要です。
<手書きで送付状を作成する際の注意点>
修正液や修正テープを使用しないこと
履歴書や職務経歴書と併せて提出する送付状は、直接の選考には関係ないかもしれませんが、「この方の話を聞いてみたい」「この方と一緒に働きたい」といった好印象を与えるきっかけにはなり得ます。
ここでは、採用担当者に好印象を持ってもらえるよう、送付状の作成時に意識したいポイントを4つご紹介します。
送付状の文体は「ですます調」にして、礼儀正しさ、丁寧さを意識して書きましょう。
送付状の内容がどんなに良かったとしても、言葉遣いが適切でなかったり、誤字・脱字があったりしては、採用担当者に好印象を与えることはできません。
送付状の内容は、わかりやすく簡潔に書くことを心掛けてください。
採用担当者が、添え状を読むことに時間がかかってしまうことのないように配慮しましょう。
履歴書・職務経歴書の送付状はビジネス文書ですから、パソコンを使って横書きで作成するのが一般的です。
手書きにする場合は、シンプルな便箋に縦書きで書きます。横書きの場合と書き方が変わり、項目の書く位置が変わるので注意しましょう。また、ミスした場合、修正液を使用するのはNGです。もし間違えてしまった場合は、最初から書き直してください。
美しい文字を書ける方は、手書きでも構わないでしょうが、字の美しさに自信がない方や、ミスしないか不安がある方は、パソコンを使って作成するのがおすすめです。
送付状のサイズは、職務経歴書と同じものを選択してください。ほとんどの応募書類はA4サイズに統一されているため、基本はA4サイズで作成するものと考えておけば問題ありません。サイズが統一されていると、受け取った採用担当者も扱いやすくなります。反対に、付箋のような小さい紙で送付状を作ってしまうと、何らかの原因で剥がれたり、受け取った側に意図が伝わらなかったりすることがあります。
また、送付状は1枚に収まるように作成しましょう。挨拶や自己紹介、履歴書などに書ききれなかったPR文を複数枚にまとめるのはご法度です。あくまで概要を伝える程度にとどめましょう。
送付状・添え状を正しく作成できたら、履歴書や職務経歴書と一緒に封筒に入れます。
ここでは、郵送の準備をする際にチェックしておくべきポイントについて解説します。応募書類の最終確認を行う際の参考にしてください。
封筒に書類を入れるとき、すべての書類の一番上に送付状がくるように並べましょう。
書類の向きも、封筒から取り出した際に裏返しにならないよう、記載した面が封筒の表面側になるよう調整してください。送付状に書いた添付書類の順番と、封筒に入れた書類の順番が合っているとより親切です。
先にも述べましたが、送付状の誤字脱字は厳禁です。これは履歴書や職務経歴書にもいえることです。
これらの書類は、応募先企業があなたの人となりを最初に知る手がかりとなります。そこに誤字脱字があると、「この方は仕事でもミスをしてしまうのではないか」といった印象を与えかねません。封筒に入れる前に、もう一度チェックしましょう。
履歴書や職務経歴書を面接などのタイミングで直接手渡す場合は、送付状・添え状を用意する必要はありません。対面で渡す際、口頭で内容を説明して中身の確認ができるため、送付状を添付する意味がないからです。
送付状の役割とは、口頭で伝えられない場合に送付した旨を明確にし、その概要を紹介することです。そのため、採用担当者や面接官に直接提出する際は、送付状の代わりに「応募書類を提出いたします」「履歴書と職務経歴書を提出いたします」などと一言説明した上で手渡すほうが丁寧です。
一つ注意点として、履歴書などを手渡しする場合でも封筒に入れて提出しましょう。また、封筒の表には「応募書類在中」や「履歴書・職務経歴書在中」などと記載してください。文字は赤字で目立つように記載し、定規を使って周りを四角で囲むのがルールです。
なお「応募書類在中」と書く位置は、住所や宛名などが縦書きの場合は封筒の左下、横書きの場合は右下です。
送付状の役割や書き方を正しく理解しておくことで、転職などで履歴書を送付する際に役立ちます。
提出書類がきちんとしていることは、相手先の企業へビジネスマナーが備わっていることを印象付けることにもつながるため、要点をしっかりと押さえておきましょう。
「応募前に送付状を含めた履歴書などの応募書類についてチェックしてほしい」や「送付状の作成方法などが不安」など、転職についてサポートをお求めの場合は、ぜひマイナビエージェントにご相談ください。
担当のキャリアアドバイザーが、送付状を含む応募書類の添削を行うなど、アドバイスさせていただきます。
求職者の皆様の転職活動を全面的にサポートさせていただきますので、ぜひご活用ください。
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