更新日:2022/06/06
この記事のまとめ
自動車が広く普及している現代において、車のメンテナンスを担う整備士は不可欠な存在です。しかし、自動運転機能を搭載した次世代自動車の台頭に伴い、整備士の将来性に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。活躍の場だけでなく、給料まで減るかもしれないと考える方も少なくありません。
そこでこの記事では、自動車整備士の現状や将来性について解説します。整備士の仕事に興味がある方や未来像が気になる方に役立つ情報をまとめました。
目次
自動車整備士は、深刻な人手不足の問題に直面しているのが現状です。一般社団法人日本自動車整備振興会連合会の調査では、全国約9万ヵ所の自動車整備工場のうち、約50%で整備士が不足しています。
問題の背景には、定年を迎える整備士に代わって入社する若い人材の不足が挙げられます。少子化に伴い若年層人口が減り続けているだけでなく、若者の車離れによって車に興味がある人が減っていることが原因です。年々整備士の平均年齢が上がる一方、安定的に人材を確保するのが難しくなっています。
また、離職率の高さも原因のひとつです。整備士の仕事は体力を必要とするため、長い期間は続けられずに、身体的負担の少ない職種へ転職する例が後を絶ちません。長期的に働ける環境づくりも課題といえるでしょう。
参考:『自動車整備人材の確保・育成に関する検討会|国土交通省』
現在、自動車整備士はニーズが高く人手不足の傾向にありますが、今後も同様の傾向が続くのか、不安に感じている方も少なくないでしょう。「今後仕事がなくならないか」「好条件で勤務できるか」は転職するうえで重要な情報です。ここでは、自動車整備士の今後や将来性について解説します。
自動車整備士は人手不足の影響で需要が増しており、転職しようという人にとっては売り手市場といえます。資格や経験がなくてもチャレンジしやすい状況で、給与や待遇の面で条件が良い企業への転職も十分期待できるでしょう。
また、整備士資格をすでに取得している人やこれから取得を目指す人は、さらに条件の良い職場やポジションへのステップアップも可能です。
国内メーカーや整備士工場ではグローバル化が進んでいます。人手不足解消に向けて、外国人整備士を積極的に採用する動きが活発化しているためです。今後は外国人整備士と一緒に働く機会も増えるため、チームでの連携が一層重要になるでしょう。
特に意識したいのは、コミュニケーションです。日本語でのやりとりが中心となると、業務で使う専門用語や細かい指示が伝わりづらいシーンもあると考えられます。お互いに寄り添う気持ちを忘れずに協力し合うことが重要です。
次世代自動車の普及に伴い、自動車整備士の仕事内容も徐々に変化しています。今後は傷やへこみの修繕方法だけでなく、自動運転のようなシステムに関する知見やIT知識が不可欠になるでしょう。ここでは、自動車整備士の今後の役割について解説します。
技術が進歩すれば交通事故の件数や自動車の破損・故障が減り、修理作業は機械が代行してくれるため、自動車整備士の仕事は今後なくなるかもしれないと不安視する声もあります。
しかし、自動車整備士の仕事が完全になくなることはないでしょう。どれだけ技術が発展しても、車の点検やメンテナンスは変わらず必要なためです。特に、先進技術に対応できる知識やスキルを持ち、専門性の高い業務もこなせる整備士は需要が高まると考えられます。
将来的に自動車整備士の仕事内容は変化するでしょう。ハイブリッドカーや電気自動車、自動運転機能を搭載した車が一般的になり、専門的な知識や技術を必要とする業務が増えるためです。
従来の整備士は、自動車の点検や修理、傷やへこみの修繕が主な仕事でした。今後は高精度カメラやセンサーのメンテナンスといった専門性の高い業務も担当しなければなりません。車に関する幅広い知識を身につけて、業務範囲を広げる努力が求められるでしょう。
自動車整備士の給料は、年々増加傾向にあります。日本自動車整備振興会連合会のデータによると、整備要員1人当たりの年間平均給与は約400万円で、2015年から2020年にかけて増加し続けています。
今後、自動車整備士のニーズが高まれば、給与水準が上昇することも十分に考えられます。新しい知識を学んで技術を磨き続ければ、さらなる給料アップが期待できるでしょう。
自動車整備士として長く活躍するには、専門性を磨いたりIT知識を身につけたりする努力が不可欠です。自分に最適な経験やスキルを積み、現場で重宝される人材を目指しましょう。ここでは、今後も自動車整備士として活躍するためのポイントを紹介します。
特定の分野に特化した整備士を目指す道があります。今後は事業を多角化する整備工場が増えるといわれており、特定の分野に強い整備士が求められる可能性があるためです。実際に「スポーツカー専門店」「ハイブリッドカー特化型」といった個性を生かした整備工場があります。
特定の分野に特化した整備士として活躍したいのであれば、専門性を高めてどのような要望にも応えられるスキルを身につけましょう。
IT化やコンピュータに対応できる力を身につける選択肢があります。ハイブリッド車や電気自動車のような次世代自動車では、専門的な知識や技術を要するシステムが採用されているためです。
たとえば、次世代自動車の電子制御システムには、衝突回避ブレーキアシスト装置や車線維持支援システムといった機能が搭載されています。次世代自動車の普及が進めば、そういった機能をメンテナンスできる知識やスキルを持った整備士のニーズが高まるでしょう。また、ほかの整備士たちとの差別化を図れます。
今後は経営安定を狙って事業の多様化を検討する整備工場が増える見込みです。代表的な事業の例として、カーシェアリングやカーリース、ロードサービス、中古車販売業といったものがあります。
そのため、現在は点検や修理を主に担当している自動車整備士も、整備以外の業務ができるように準備しておけば、将来活躍の場が広がるでしょう。
将来的に経営に携わるポジションを目指すのも選択肢のひとつです。特に、メーカーやディーラーに勤めている場合、整備士のような専門特化した仕事だけでなく、フロント業務や営業といったさまざまな業務に携われます。あらゆる業務を経験すればビジネスにおける視野が広がり、経営層として活躍する機会にも恵まれるでしょう。
自動車整備士は人手不足が問題となっており、将来的にニーズが高まると予想されます。仕事がなくなることを不安視する声もありますが、完全になくなることはないでしょう。
ただし、次世代自動車の登場により求められる役割が変わります。整備士として今後も活躍したいのであれば、専門性を磨いたり先進技術を学んだりする意識が重要です。整備以外の業務もこなして付加価値をつければ、大きなアドバンテージとなるでしょう。
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