更新日:2025/05/15
この記事のまとめ
SIerはIT業界の中でも特に注目を集めている企業であるため、就職や転職を考えている方も多いでしょう。
ただ、SIerで働くにはいくつかのスキルが求められます。適性のない人がSIerで働くと、本来の力を発揮できずに後悔する可能性があるため、自分がSIerに向いているかどうかチェックしてみましょう。
本記事では、SIerに向いている人の特徴や、SIerで活躍するために必要なスキル、役立つ資格を解説します。
目次
SIerは、顧客のヒアリングを含む要件定義から、設計、開発、運用・保守と幅広い業務を請け負う企業です。
そのため、SIerで働くためには多種多様なスキルを求められます。
ここではSIerで働くことに向いている人の特徴を6つご紹介します。
SIerは、要件定義では顧客の要望や課題を丁寧にヒアリングしたり、多数のメンバーが関わるプロジェクトを統括することもあります。
顧客の要望を正確に読み取ったり、チームメンバーと良好な協力関係を築くためには、コミュニケーションを十分に取ることが不可欠です。
したがって、人と接するのが好きな方や、コミュニケーションを取るのが苦にならない方はSIerに向いているでしょう。一方、人と会話するのが苦手な方や、接客にストレスを感じる方はSIerには不向きかもしれません。
SIerの業務には、システムの設計やプログラミング、テスト、運用・保守が含まれます。
これらの工程にはプログラミングやネットワークのスキルが必要になるのはもちろん、システムやソフトウェアなどへの幅広い知識も求められます。
ITへの基本的な知識・技術を有しているのはもちろんですが、IT業界は日進月歩で進化しているため、入社後も新しい技術や知識を積極的に習得していかなければなりません。
プログラミングやネットワークなどに元々興味・関心のある方なら、IT関連の知識を学ぶことも苦にならないため、SIer向けといえるでしょう。
SIerの主業務のシステム構築には、物事に筋道を立てて考える論理的思考が要求されます。
直感や感覚に頼るのではなく、多角的な視点から問題を分析し、論理的に答えを導き出すのが得意な人はSIerの仕事に適しているでしょう。
なお、論理的思考はシステム構築だけでなく、ヒアリングや要件定義では顧客に分かりやすく説明するのに役立つほか、プロジェクトの進行中に何らかの問題が発生した際にすばやく原因を特定し、適切な解決策を見出すときにも重宝するスキルです。
どれほど綿密な準備を重ねたとしても、プロジェクトは必ずしも計画どおりに進むわけではなく、途中で思わぬトラブルやアクシデントが生じることも少なくありません。
特に大人数が関わるような大規模プロジェクトの場合、工程やタスクも複雑化しやすいため、小さなアクシデントはもちろん、大きなトラブルが起こることも想定して計画を進めていく必要があります。
そのためSIerで働く人には、何らかの変化やトラブルが生じても慌てず冷静に対処できる能力や、臨機応変に対応するスキルが要求されます。
SIerは顧客の要望に応じて、納期までに求められたシステムを設計・開発しなければなりません。そのためには、綿密なスケジュールを立て、時間とリソースを適切に割り振る能力が求められます。
ただ、プロジェクトに必要なメンバーや予算は限りがあるため、いかに無駄なく効率的なスケジューリングを実現できるかがプロジェクト成功のポイントです。
元々スケジュールや計画を大切にできる人であれば、タスク管理・リスク管理を徹底し、納期を守ることができるでしょう。
SIerはシステム開発だけでなく、その後の運用や保守もセットで請け負うことが多々あります。そのため、開発完了後も継続して請け負う案件が多く、安定した事業基盤を築いているところがほとんどです。
特にメーカー系やユーザー系、外資系のSIerは大手企業を親会社に持っており、親会社から案件が回ってくることも多いため、経営はかなり安定しています。
経営基盤がしっかりしているところに勤めれば、安定した収入と雇用を確保しやすくなるため、賃金カットやリストラなどのリスクが少ないところで働きたいという方はSIerに向いているでしょう。
SIerで活躍するためには、IT関連のスキルだけでなく、ヒアリング力やマネジメント力など多彩な能力が必要です。
これらのスキルは個人差が大きいですが、トレーニングを積めば能力を伸ばすことも可能です。SIerで働きたい方はスキルアップを目指しましょう。
ここではSIerで活躍するために必要なスキルを4つご紹介します。
傾聴力とは、相手の話にしっかり耳を傾け、時に共感を示しながら強固な信頼関係を築いていく能力のことです。相手と信頼関係を構築できれば、より深い話を聞き出すことが可能となり、隠れたニーズや課題を洗い出せるようになります。
SIerの業務は、顧客へのヒアリングを通してシステムに求められる機能や性能を明確化する要件定義から始まるため、傾聴力は必須スキルです。
また、プロジェクトを円滑に進めるためには、チームメンバーとの密接なコミュニケーションが必要ですが、そこでも相手の意見や提案に耳を傾ける傾聴力が求められます。
傾聴力を高めるには、ただ相手の話を聞くだけでなく、相手が何を伝えたいのか。何を求めているのかを積極的に理解しようとする姿勢を心掛けることが大切です。
思考力とは、自身が保有する知識や経験に基づき課題を解決する方法を考える力のことです。SIerでは、要件定義やシステム設計などの工程で論理的な思考力が求められます。
また分析力とは、問題や課題の抽出、原因の特定などに欠かせない能力です。SIerの業務では、顧客のヒアリングで役立つほか、何らかのトラブルが発生したときの原因特定および解決策の考案に必要となります。
思考力や分析力を養うには、物事をよく観察する。何事にも疑問を持つ習慣をつける。新しいことを学んで思考や分析に必要な情報の引き出しを増やすなどの方法が有効です。
また、思考・分析の結果をアウトプットするために、本や新聞を読んで語彙力を身につけるのもおすすめです。
マネジメント力とは、ヒト・モノ・カネを管理する能力のことです。
SierではQCD、すなわち品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)を適切に管理し、プロジェクトを成功に導く能力を意味します。
Sierで働く場合は、マネジメント力を活かして綿密な計画を立て、限りあるヒト・モノ・カネを適切に割り振り、無駄なくプロジェクトを進行させていく必要があります。
マネジメント力を育成するには、論理的思考を習慣づけるとともに、経営者に近い視点で物事を見たり、コミュニケーション能力を高めたりする方法が有効です。
ビジネスパーソン向けのマネジメント講座やセミナーなどを受けてみるのもよいでしょう。
プログラミング能力は、システム設計や開発、テスト、運用・保守などのSIerの業務を遂行するうえで欠かせないスキルの一つです。
プログラミングに関する知識や能力がないと、要件定義ができない、トラブルに対応できない、適切なスケジュールを立てられないなどさまざまなリスクが発生する原因となります。
そのため、SIerとして働くにはある程度のプログラミング能力が求められますが、プログラミングの知識・技術は広範囲にわたるため、短期間で習得するのは困難です。
基本的な知識・技術を学べば、あとは現場で習得するという方法もありますが、基礎知識がない場合はプログラミングスクールに通ったり、プログラミングの技術書や学習サイトなどを利用したりして最低限の知識・スキルを身につけましょう。
SIerで働くのに特別な資格は必要ありません。ただ、現場では専門的な知識や技術が求められるため、資格を取得しておけば就職・転職活動を有利に進められるでしょう。
ここではSIerで働くために役立つ資格を6つご紹介します。
ITパスポートとは、ITに関する基礎的な知識を証明できる資格です。
出題範囲はテクノロジーに関連する基礎理論や技術要素をはじめ、企業や法務の知識、経営戦略マネジメント、システム戦略、プロジェクトマネジメントなど多岐にわたるため、経営戦略やマネジメントの知識・スキルを保有していることもアピールできます。
出題方式は、コンピュータ上に表示される問題をキーボードやマウスを使って解答していくCBT方式を採用しています。
基本情報技術者とは、ITを活用した製品やサービス、システム、ソフトウェアを開発する人材に必要な基礎知識や技能を保有し、かつ実践的な活用能力を習得していることを証明する資格です。
基本情報技術者の資格取得者は、ソフトウェアお設計やプログラムの作成スキルを有しているだけでなく、IT全般に関する基本的な事項に関して理解があることや、IT戦略に関する予測や分析、評価に参加できる能力を有している点などをアピールできます。
ITエンジニアの登竜門として広く知られる資格のため、SIerでの活躍を目指すのなら、まずは基本情報技術者の取得にチャレンジしてみるのがおすすめです。
応用情報技術者とは、ITを活用した製品やサービスを開発する人材に必要な応用的知識および技能を持ち、高度IT人材としての方向性を確立していることを証明できる資格です。
前述した基本情報技術者よりもワンランク上の資格試験で、ITに関連する技術からマネジメント、経理まで、幅広い知識と応用力を身につけることができます。
そのため、応用情報技術者を取得すれば、システム開発やもちろん、IT基盤構築などのシーンで高いパフォーマンスを発揮できる人材であることをアピールできるでしょう。
プロジェクトマネージャとは、前述した応用情報技術者試験の上位試験で、高度IT人材として確立した専門分野を持つことを証明できる資格です。
Sierでは、システム開発プロジェクトの目的の実現に向け、責任感を持ってプロジェクトマネジメント業務を担う人材であることの証となります。
プロジェクトマネージャを取得するには、組織の戦略やシステム全般に関する基本的な事項への理解に加え、目的実現のためのプロジェクト計画の作成、リスクや変化への柔軟な適応などのスキルが求められます。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)とは、ExcelやWord、PowerPointなどのMicrosoft Office製品の知識・操作スキルを客観的に評価・証明できる資格です。
Microsoft Office製品は業種を問わず幅広い企業で使われているソフトウェアで、SIerでは要件定義書の作成や顧客へのプレゼン、プロジェクト計画表の作成などに用いられます。
システム開発業務に直結する資格ではありませんが、汎用性の高いため、取得していて損はない資格でしょう。
中小企業診断士試験とは、中小企業の経営課題に対応するための診断や助言を実施する専門家の中小企業診断士になるための国家資格です。
中小企業が抱えている課題や問題を洗い出し、今後成長するためにはどのような施策が必要なのか、専門的な知識に基づいてアドバイスを提供する役割を担っています。
中小企業診断士の資格を取得すれば、顧客の要望やニーズ、課題を洗い出すヒアリングや要件定義のプロセスを効果的かつ効率的に行えるようになります。
SIerは、顧客とコミュニケーションを取ったり、プロジェクトメンバーと協力し合いながらシステムの設計、開発、運用・保守などを行っていく企業です。
そのため、コミュニケーションが得意な方や、プログラミングやネットワークに興味を持っている方、論理的思考に長けている方、臨機応変に対応できる方はSIer向けでしょう。
ただ、SIerでより活躍するためには、傾聴力や思考力、分析力、マネジメント力などのスキルが必要です。これらのスキルは独学で学べるほか、各種資格試験の勉強でも習得できるため、SIerへの転職を希望するのなら資格の取得にチャレンジするのも一つの方法です。
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