更新日:2023/03/02
この記事のまとめ
さまざまな分野でIT技術の活用が進むにつれて、情報セキュリティの重要性がますます高まっています。それに伴い、需要が高まっているセキュリティエンジニアへの転職を検討している方もいるのではないでしょうか。
一方、「今後はセキュリティエンジニアの需要が減って仕事がなくなる」といわれることもあります。このように聞くと、不安に感じることもあるでしょう。
そこでこの記事では、セキュリティエンジニアの需要や今後予想される動向を紹介します。転職前にセキュリティエンジニアの将来性をチェックすることで、本当に転職してもよいか自信を持って判断できるようになるでしょう。
目次
さまざまなITシステムを運用するうえで欠かせない情報セキュリティの専門家で、サイバー攻撃からシステムを守るのがセキュリティエンジニアの役割です。セキュリティ対策を施したり、新たに見つかった脅威に対策したりすることを主な仕事としています。
セキュリティエンジニアは、開発プロジェクトにおいて以下の部分に携わる職種です。
プロジェクトの初期段階からシステム完成後の運用まで、幅広く携わる点が特徴です。セキュリティエンジニアとしてのキャリアアップを考えているのであれば、上流工程から下流工程まで幅広く対応できるスキルを習得するとよいでしょう。
「今後はセキュリティエンジニアの需要が減る」「いずれは仕事がなくなる」などと耳にして不安を感じている方もいるのではないでしょうか。しかし、セキュリティエンジニアの特徴や仕事内容を考えると、需要が減る可能性は低いといえます。ここでは、なぜセキュリティエンジニアの需要が減る可能性が低いと考えられるのかを解説します。
IT業界は全体的にエンジニアの数が不足しています。今後もIT業界では人材不足が継続するという予想が主流です。セキュリティエンジニアも同様で、増大する需要を満たすほど人材が増えることは考えにくく、売り手市場が続くでしょう。
高度なセキュリティスキルを有する人材の重要度が増す可能性が高いことを考えると、いまからセキュリティエンジニアを目指してスキルアップに励むのもおすすめです。
多くの産業でIT技術の活用が進んでいて、今後もその傾向が続くと考えられます。AIやIoT、ブロックチェーンなども社会に浸透していて、これらを利用した新たなシステムも続々開発されているのが特徴です。今後もIT技術は進歩し続けると予想されており、それに伴ってさまざまな産業にITが広く浸透していくと考えられるでしょう。
IT技術の活用が進めば、情報セキュリティの重要性も高まります。より重要度が高い情報を扱うようになれば、それを狙う悪意を持ったユーザーが増えるためです。したがって、IT化の進展によって高度なスキルを有するセキュリティエンジニアの需要が高まると考えられます。
IT技術を活用するうえで情報セキュリティ対策は必須です。一般企業だけでなく、政府機関をはじめとした公的機関でも機密情報を送受信するケースが多く、情報漏えいを防ぐ観点からも高いレベルのセキュリティが求められます。
そのため、セキュリティエンジニアはIT企業だけではなくさまざまな場所で求められている職といえるでしょう。日頃からスキルアップに励めば転職先の選択肢が増え、活躍の幅を広げられます。
セキュリティエンジニアの重要性が高まるといっても、実際に現場で活躍し続けるには高度なスキルを学ばなければなりません、スキルアップに励んで自身の市場価値を高めれば、キャリアの幅を広げられるでしょう。ここでは、セキュリティエンジニアを目指している方が習得したい5つのスキル・知識を解説します。セキュリティ以外のスキル・知識も求められるため、日頃から学習に励みましょう。
セキュリティエンジニアも別種類のエンジニアと同様に、ITシステムに深く携わる職種です。そのため、ITエンジニア全般に共通する以下のスキルが求められます。
セキュリティシステムを実装するには、プログラミングスキルが欠かせません。ITシステムを構築・運用する際にクラウドサービスを活用する事例も増えています。そのため、クラウドや仮想化をはじめとしたトレンドになっている開発スキルを学ぶことも必要です。これらはITエンジニア全般に求められていて、今後キャリアアップを目指すときには大きな武器になります。
セキュリティの根幹に携わる職種であることを考えると、サイバーセキュリティに関する知識が不可欠です。セキュリティエンジニアとして働いていると、以下のようなサイバー攻撃に対処するケースも多いでしょう。
IT技術の発展に伴ってサイバー攻撃も高度化しています。さまざまな脅威に対処するには、サイバーセキュリティについて学び続けて最新の技術を習得することが大切です。
ネットワークはサイバー攻撃を仕掛ける側が狙うポイントのひとつです。外部からインターネットを介してシステムに不正アクセスし、情報を盗み取るケースをはじめとしてさまざまな攻撃が考えられるでしょう。
サイバー攻撃は外部からネットワークを通じて行われるケースが多く、ネットワークに強固なセキュリティを施すことは欠かせません。ネットワークの基本や不審な通信を遮断する仕組み、監視の仕組みなど、ネットワークセキュリティに関するスキルを学ぶとよいでしょう。
通信面のセキュリティを確保する目的で、暗号化技術が活用されています。これは、あらかじめ定められた暗号化アルゴリズムを用いてデータを変換してから送信する仕組みです。受信側は暗号化したデータを復号化することで内容を読めるようになるため、通信経路上でデータが流出しても復号化されない限り内容を保護できるのが特徴です。
暗号化はセキュリティを確保する目的で幅広く使用されているため、主流になっている暗号化アルゴリズムをはじめとして必要な知識を学んでおくことをおすすめします。
セキュリティを確保するうえで認証技術の活用は欠かせません。2023年時点では、以下のような認証技術が幅広く活用されています。
構築するシステムに応じて、適切なセキュリティレベルを確保できる認証技術を実装するのが基本です。一般的に用いられている認証技術についてひととおり学んでおくとよいでしょう。
セキュリティエンジニアは重要度が高く将来性に期待できる職です。しかし、「セキュリティエンジニアへの転職はやめたほうがよい」と耳にすることもあります。将来性が高いのにもかかわらず、なぜこのようにいわれることがあるのでしょうか。
ここでは、セキュリティエンジニアへの転職は考え直した方がよいといわれる3つの理由を解説します。これらの情報を総合的に考慮し、自分に向いている職であるか判断するとよいでしょう。
情報セキュリティの重要度は非常に高く、システムを安全な状態に保って情報を守るために欠かせません。そのため、セキュリティエンジニアは重要かつ責任が重い仕事を任されているといえるでしょう。万が一制作したシステムに欠陥があり、大規模な情報漏えいが発生すれば社会的な責任を問われることもあります。大きなミスが許されない立場で働かなければならないことを厳しいと感じることもあるでしょう。
日々の業務で大きなプレッシャーを感じがちなため、転職前には責任の重さに耐えられるかどうかを考えることをおすすめします。
セキュリティインシデントが発生したときなど、緊急対応が必要になったときには激務に陥るケースがあります。大規模なトラブルが発生したら、必要な対策を講じてシステムが安全に稼働できる状態になるまで業務を離れられないこともあるでしょう。
実際にトラブルが発生していなくても、システムに重大なセキュリティホールが見つかって緊急で修正しなければならないケースもあります。セキュリティエンジニアがすべて激務というわけではありませんが、状況によって激務になる可能性があると覚えておきましょう。
より高度なサイバー攻撃に対応するため、セキュリティ技術は急速に進歩しています。日々新たな脅威が生まれたり、対処法が考案されたりする世界です。そのため、セキュリティエンジニアとして活躍するには継続的に学習する必要があります。
ITエンジニア全般に共通する点ですが、日頃から学習しなければならない点を厳しいと感じることもあるでしょう。
以下の条件に該当するのであれば、セキュリティエンジニアに向いている可能性が高いといえます。転職後のミスマッチを防ぐためにも、自分に向いている職かをじっくりと考えるとよいでしょう。
ひとつの仕事に根気強く取り組み、責任感を持って物事を遂行でき、情報セキュリティのスペシャリストとして働きたいと考えているのであれば転職を検討しましょう。
セキュリティエンジニアへの転職にあたって年収水準が気になる方もいるのではないでしょうか。厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、情報セキュリティに携わるセキュリティエキスパートの平均年収は584万4,000円です。セキュリティエンジニア以外の情報セキュリティ関連職種も含まれているデータですが、比較的高めの水準であるといえるでしょう。
転職するときには上記の水準と現職の年収を考慮し、適切な報酬を提示してくれる企業を選ぶことをおすすめします。
セキュリティエンジニアとして培ったスキルや経験を活かしてキャリアアップしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。さらなるキャリアアップを目指すのであれば、ここで紹介する2つのポイントを意識するとよいでしょう。上流工程を担当する職種か、より高いスキルを求められるエンジニア職のスペシャリストを目指すのがおすすめです。
さまざまなプロジェクトにおいて、設計や要件定義をはじめとした上流工程に携わりたいのであればマネジメント職を目指すのがおすすめです。マネジメント職を目指したい方は、セキュリティに関する最新の情報を学びつつ、マネジメントスキルを習得しましょう。
マネジメントスキルとは、人員や予算といったリソースを適切に管理するのに必要なスキルの総称です。プロジェクトマネージャーやセキュリティリーダーとして活躍したいのであれば、十分なマネジメントスキルが求められます。これらのスキルは一朝一夕で習得できるものではないため、日頃から意識するとよいでしょう。
情報セキュリティに携わるエンジニアには、より広範な業務を担う上位職種があります。技術職のスペシャリストを目指したい方は上位のエンジニアを目指すとよいでしょう。
セキュリティのスペシャリストとして技術面を極めたいのであれば、エンジニアとしてキャリアアップする道を検討するのがおすすめです。自分に適したキャリアパスを選ぶためにも、マネジメント層を目指したいのか技術を極めたいのかを明確にしましょう。
セキュリティエンジニアの先に開かれている具体的なキャリアパスについて、さらに詳しくチェックしていきましょう。ここでは、セキュリティエンジニアとしての経験を積んでスキルアップした方が目指せる3つの職種を紹介します。
いずれも情報セキュリティのスペシャリストですが、携わる細かい業務に違いがあるため、自分が考えているキャリアを実現でき、やりたい仕事に携われる職種を目指しましょう。
クライアントからの依頼を受けて情報セキュリティに関する施策を提案し、実行をサポートするのがセキュリティコンサルタントです。クライアントがセキュリティ面で抱えている課題をヒアリングし、どのような対策が必要かを考えて具体的な施策に落とし込むのが主な仕事といえるでしょう。そのため、情報セキュリティに関する広範なスキル・知識が求められます。
セキュリティエンジニアとして働いている間に習得した最新のセキュリティスキルやマネジメントスキル、ヒューマンスキルなどを活かせる転職先です。
サイバー攻撃が発生したときに、具体的な攻撃手法を分析して必要な対策を提案するのがセキュリティアナリストです。セキュリティエンジニアがサイバー攻撃からの保護を目的としているのとは異なり、セキュリティアナリストは攻撃を受けたときに活躍するのが主な違いといえるでしょう。
実際に攻撃を受けたときには、手法を分析してより強固なセキュリティ対策を講じる必要があります。IT技術の発展に伴ってサイバー攻撃の手法も高度化しているため、セキュリティアナリストの需要は高まっています。セキュリティエンジニアとして働いているとさまざまな攻撃手法を目にするため、そこで培った知識を活かせるでしょう。実際に脅威に立ち向かってさまざまな対策を施した経験も役立ちます。
各企業の情報セキュリティ対策全般に携わる職種がセキュリティアーキテクトです。セキュリティアーキテクトに転職した場合に携わる仕事の一例には、以下のようなものがあります。
セキュリティシステムの設計・開発・運用・マネジメントに携わるだけではなく、経営戦略の立案に関わることもある職種です。セキュリティのスペシャリストとして活躍する道で、情報セキュリティに関する広範なスキルや知識に加えて経営面の知識も求められます。
セキュリティエンジニアとして働きながら習得した知識を活用できますが、セキュリティアーキテクトを目指すのであれば、加えて経営について学ぶとなおよいでしょう。
IT化が進むにつれて、情報セキュリティの重要性がますます高まっています。そのため、情報セキュリティの専門家であるセキュリティエンジニアの需要も高く、将来性に期待できる職種のひとつです。セキュリティエンジニアの仕事はなくなるといわれることもありますが、スキルアップに励んでいれば過度に恐れる必要はないでしょう。
これからセキュリティエンジニアを目指す方や、セキュリティエンジニアの経験を活かしてキャリアアップしたい方は、IT業界に強い転職エージェントを活用するのがおすすめです。IT業界に精通したキャリアアドバイザーに相談したいと考えている方は、ぜひマイナビITエージェントにご相談ください。
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