更新日:2023/05/26
この記事のまとめ
セキュリティエンジニアは、サイバー攻撃をはじめとするネットワーク上の脅威から企業のシステムを守る重要度の高い仕事です。未経験からセキュリティエンジニアへの転職は可能なのかが知りたい人もいるのではないでしょうか。
未経験からセキュリティエンジニアへの転職は可能ですが、「誰でも簡単に」というわけにはいきません。そこでこの記事では、未経験からセキュリティエンジニアを目指す方法を解説します。効率のよい転職活動の進め方が分かれば、未経験からの転職を成功させられるでしょう。
目次
結論から述べると、セキュリティエンジニアは未経験でも転職可能です。ただし、技術職である以上、ある程度の専門知識やスキルが求められます。誰でもすぐに転職できるとは限らないため注意が必要です。ここでは、未経験者がセキュリティエンジニアになれる背景について解説します。
セキュリティエンジニアはエンジニアの一種であるため、別のエンジニア職を経験していると転職で有利です。特にインフラエンジニアのようなIT関連のエンジニア経験があれば、身につけたスキルや経験を活用できます。
ほかにも、ネットワークエンジニアやアプリケーションエンジニアの経験者は、セキュリティエンジニアに必要なセキュリティの基本知識を持っている場合がほとんどでしょう。
IT関連のエンジニア未経験者の場合、スキルを磨かずに転職するのは難しいでしょう。ITの知見に欠けるため、まずはインフラやネットワークの知識・スキルを身につける必要があります。セキュリティエンジニアに必要な知識やスキルがあれば、未経験でも転職できる可能性は大きく広がるでしょう。
IT業界で経験を積むのも方法のひとつです。必要な知識やスキルが身につくことに加えて、業界の内情を知るためにも役立ちます。
異業種への転職を目指す際は、仕事内容を把握することも大切です。どのような業務を行うのか具体的に知っておかなければ、建設的な転職計画を立てることは難しいでしょう。セキュリティエンジニアの主な仕事は、以下の4つです。
サイバー攻撃に負けないシステムを構築するために、企業のシステムにはどのようなセキュリティ対策が有効かを調査し、企画・提案をします。また、個人情報の漏えいを防ぐためにも、個人情報保護法に対応できるセキュリティソリューションが求められます。
企画や提案内容に基づき、設計・構築をします。要件を満たした既製品がある場合、システムにマッチした製品を選定するのも業務の一環です。サイバー攻撃に対応するには、サーバーだけでなくOSやネットワークの幅広い知識が求められます。クラウドでデータ管理を行う企業も増えているため、クラウド関連の知識もあると転職には有利です。
構築したシステムを実際に運用するフェーズです。セキュリティに関する機器やソフトウェアを導入して設定作業をし、テストしてから運用を開始します。システム導入後の定期的な保守が主な業務ですが、サイバー攻撃を受けた際は直接的な対処も行います。システムに脆弱(ぜいじゃく)性が見つかった場合はアップデートをするため、最新の情報を取り入れて導入するスキルも必要です。
企業のセキュリティ戦略を立案する際のサポートや情報セキュリティポリシーの策定を行います。情報セキュリティを向上させるには、企業を取り巻く状況変化に対応するための基本方針を明確にすることが重要です。セキュリティの知識を活かしてコンサルティングを行い、企業のセキュリティ対策をサポートします。
未経験からセキュリティエンジニアを目指す場合には、スキルや知識を習得するための努力が欠かせません。しかしセキュリティエンジニアの職種には、努力するだけの価値があります。ここではセキュリティエンジニアという職種に就くとどのようなメリットがあるのか、収入ややりがい、将来性、キャリアパスなどの観点から解説します。
セキュリティエンジニアは高収入を狙える職種です。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると平均年収は579万8,000円であり、システムエンジニア(組込み、IoT)の平均年収550万2,000円を上回っています。
すでにIT関連のエンジニアとして働いているのであれば、セキュリティエンジニアを視野にキャリアパスを組み立てていくのも魅力的な選択といえるでしょう。ただし企業や地域、スキルレベルなどによって待遇は異なるため、転職先をしっかりと精査することが重要です。
参照:セキュリティエキスパート(情報セキュリティ監査)|職業情報提供サイト
参照:システムエンジニア(組込み、IoT)|職業情報提供サイト
セキュリティエンジニアは、サイバー攻撃や情報漏えいなどネットワーク上の脅威から企業のシステムを保護する職種です。自分の仕事がセキュリティリスクから企業を守っていると実感できる点に、やりがいを見いだせるでしょう。
さまざまな企業が関わり合いながら社会が構成されていることを考えれば、ひとつの企業を守ることは、社会の安全や安定にもつながります。企業だけでなく社会全体にも貢献できるセキュリティエンジニアという仕事は、やりがいのある職業といえるでしょう。
セキュリティエンジニアが目指せるキャリアパスには、主に以下の職種があります。いずれの職種も情報セキュリティを扱うことから、セキュリティエンジニアとしての経験を活かせるでしょう。
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さまざまな業界、業態でIT化やDX化が進んでいるため、セキュリティリスクを回避する必要性はますます高まっています。IT技術の進歩は、サイバー攻撃の高度化や巧妙化という副産物も生んでいます。サイバー攻撃は企業の業績だけでなく、社会や産業に多くの悪影響を与えるため、セキュリティ対策の強化はどの企業にとっても重要案件です。
企業や社会をセキュリティリスクから守るセキュリティエンジニアの役割は大きく、これからもその重要性は高まっていくでしょう。セキュリティエンジニアのニーズは高く、将来性のある職種といえます。
セキュリティエンジニアになるには経験や知識、スキルが求められますが、未経験者を募集している求人もあります。人材不足の観点から、未経験者を募集して自社で教育を施そうと考える企業は少なくありません。そういった求人に応募すれば、未経験からでもセキュリティエンジニアを目指せるでしょう。
ここでは、サーバーやネットワークを管理するセキュリティエンジニアに向いている人の特徴を3つ紹介します。どのようなタイプの人がセキュリティエンジニアに向いているのか、適性を理解していれば、企業が求める人物像も見えてきます。転職活動でアピールするポイントも絞れるでしょう。
企業のセキュリティを担うポジションであるため、きちょうめんで正確性を重視する人が向いています。サイバー攻撃や情報漏えいを防ぐには、機材やネットワークの適切な設定が欠かせません。ささいなことも見逃さずに正確な対応ができなければ、クライアントが多大な被害を受ける恐れがあります。
困難な状況でも最後まで仕事をやり遂げられる人は適性があるといえるでしょう。セキュリティに関する問題が起きた場合、解決まで導くのがセキュリティエンジニアの責務です。すぐに解決策が見つからなくても、最後まで粘り強く問題と向き合う姿勢が求められます。
IT技術が進化するにつれ、サイバー攻撃はより巧妙に、より複雑になってきています。目まぐるしく変わる攻撃手法から企業のシステムを守るには、常に知識やスキルを更新していく必要があります。新しい知識や技術を積極的に学ぶのが苦にならない人は、セキュリティエンジニアに向いているといえるでしょう。
ここでは、未経験者がセキュリティエンジニアを目指す方法を紹介します。未経験からセキュリティエンジニアに転職する方法は、主に4つあります。どの方法も計画的な行動が求められるため、スムーズに転職するには早い段階で自分に合ったやり方を見つけることが必要です。
まずは、セキュリティエンジニアとして働くために必要な知識やスキルを習得する必要があります。独学も可能ですが、正しい知識を体系的に身につけたいのであれば、専門学校に通って集中的に学ぶことも検討しましょう。
ほかの分野のエンジニアを経験している場合、これまでの職歴の中で身につけた知識をアップデートする方法が効率的です。
セキュリティエンジニアになるために必須の資格はありません。ただし、面接や転職後の実務で役立つ資格は存在します。セキュリティエンジニアとしての実務に役立つ資格を取得すれば、知識やスキルを証明できるため、採用につながるでしょう。
資格取得と併せて、インターネットやネットワークの情報を集めてリテラシーを向上させれば、現場における即戦力に近づけます。
セキュリティエンジニアへの転職を目指す前に、ネットワークエンジニアやインフラエンジニア、システムエンジニアとして経験を積むのもひとつの方法です。セキュリティを扱うには幅広い知識とスキルが求められるため、すべてを短時間で身につけるのは容易ではありません。未経験者が最初からセキュリティエンジニアを目指すより、関連職種からキャリアアップという形で転職したほうがスムーズなケースもあります。
未経験からセキュリティエンジニアへの転職を成功させる鍵は、転職先選びです。なぜ未経験採用を行っているのか、どのような人材を求めているのかという企業側の本音は、転職後の働き方に直結します。この本音の部分を求人票から読み解くのは至難の業です。
転職エージェントは企業の内情にも通じているため、自分の経験やスキルを活かせる転職先を紹介してくれます。IT業界に特化した転職エージェントであれば、求人数も多いためチャンスもつかみやすいでしょう。専門知識のある担当者が実践的なサポートをしてくれる点も大きなメリットです。
ここでは、セキュリティエンジニアの実務に役立つ知識やスキルを3つ紹介します。セキュリティエンジニアに必要な知識やスキルを知ることで、自身のアピールポイントや不足しているスキルが分かり、より効果的な転職準備ができるでしょう。
セキュリティ対策ではシステムの脆弱(ぜいじゃく)性を見つけるだけでなく、具体的な対策を提示する必要があり、対象となるネットワーク機器やサーバーに関する知識が欠かせません。
これらの機材を扱う際に使用するOSは随時セキュリティパッチがアップデートされるため、OSを扱う知識と更新に対応するスキルも要求されます。ネットワーク機器の仕組みやオペレーションを理解するには、技術領域の経験も重要です。
サイバーセキュリティに関連する知識やスキルとして、情報セキュリティマネジメントやネットワークインフラセキュリティの知見が要求されます。扱うシステムによっては、OS・アプリケーションセキュリティやファイアウォール・侵入検知システムの扱い方も習得する必要があるでしょう。PHP、C言語、Pythonといったプログラミング言語の知識もあれば、現場で重宝されます。
企業のシステムを適切に守るには、ヒアリング能力やプレゼンテーション能力を含むコミュニケーション能力が必要です。セキュリティに関する業務はひとりで完結するものではありません。対策の提案や内容説明、システムに関するヒアリングでクライアントとやりとりをする機会が数多くあります。先方の要望を把握し、的確に業務を遂行するには、円滑なコミュニケーションが不可欠です。
未経験からセキュリティエンジニアを目指す場合は、関連資格の取得をおすすめします。学んだ知識のレベルを客観的に評価でき、面接時のアピールポイントにもなるため、転職のチャンスも広がるでしょう。キャリアアップする際の武器になるのもメリットです。ここでは未経験者におすすめの資格を5つ紹介します。
情報処理技術者試験は経済産業省が認定する国家試験で、IT関連のリテラシーやスキルなど、情報処理に関する知識や技能が一定水準に達していることを証明できます。試験にはいくつかの区分が設けられています。まずは「基本情報技術者試験」と「応用情報技術者試験」の取得を目指すとよいでしょう。
より高レベルな高度情報処理技術者試験もあるため、専門的なIT人材として活躍したい人にはこちらもおすすめです。
情報処理技術者試験の区分のひとつで、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験よりも細分化された、専門性の高い試験です。高度区分試験のため取得難易度は高く、情報システムを用いた戦略や業務全体の判断ができる能力が求められます。
システム開発の上流工程の主導を担う上級エンジニアへのキャリアアップにも役立つ資格です。ITコンサルタントやマネジメントでも活用できるでしょう。
専門分野としてネットワークを扱う人のための資格で、情報処理技術者試験の中でも高度情報処理技術者試験に位置づけられます。試験の難易度は高く、ネットワークに関する幅広い知識が求められるため、しっかりと対策しなければ実務経験者でも合格は難しいでしょう。独学が難しいと感じた場合、スクールやオンラインの通信講座を利用するのもおすすめです。
情報処理技術者試験の一区分で、情報セキュリティに関する内容や目的の適切な理解を問われる試験です。試験内容は、日を追うごとに巧妙化するサイバー攻撃の手口に対抗するための情報セキュリティマネジメントシステムに特化しています。基本レベル区分の試験よりも範囲が狭い代わりに、内容は高レベルです。個人情報の取り扱いや情報管理に必要な知識を有していることを証明できます。
シスコシステムズが運営するベンダー資格です。認定試験はエントリー、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパートの4つの区分があり、取得した資格に応じてネットワークエンジニアに必要なスキルレベルを証明できます。
シスコシステムズはネットワーク機器の最大手企業で、ネットワークを扱ううえでシスコシステムズの製品は避けてとおれません。Cisco技術者認定を取得することで、ネットワークの基礎的な仕組みや操作方法を習得していると見なされます。
未経験からセキュリティエンジニアを目指すことは可能です。ただし、ITエンジニアの経験がなければ、すぐに転職するのは難しいでしょう。ITエンジニア経験がない場合は、知識やスキルを身につけるだけでなく、関連する職種で経験を積むことも検討しましょう。
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