更新日:2022/07/25
履歴書は、転職の際には応募書類として選考の資料となり、入社後は人事情報書類として会社に保管される、とても重要な書類です。それだけに、どう書けばいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
特に、「学歴」欄の記載は簡単と思われがちですが、どこまでさかのぼって書けばいいのか、留学や休学をした場合はどう書いたらいいのか、一度、社会に出てから大学を卒業した場合はどうかなど、迷ってしまう部分も少なくありません。また、「職歴」欄も、どの経歴を書くべきなのか、アルバイトなどの雇用形態も含めるかどうかなど、迷うポイントが多くあります。
ここでは、そんな履歴書の学歴欄と職歴欄の書き方から、「学歴は転職にどれくらい関係あるのか」「職歴をどんな風にアピールすればいいのか」といった疑問まで、詳しくご紹介します。
目次
ここでは、転職活動をするときの学歴欄の基本的な書き方と、迷いやすいといわれる代表的なケースについてご紹介します。
通常の履歴書は「学歴・職歴」で1つの欄になっているので、「これから学歴について書きますよ」と宣言する意味で、まず1行目中央に「学歴」と記入します。
実際の学歴は2行目以降に書いていくわけですが、転職活動時の履歴書の場合、義務教育は省き、高等学校や高等専門学校から書き始めるのが普通です。
また、校名については省略せず正式名称で記入し、高等学校でも専攻があれば記入します。
専門学校の場合は専攻した内容を、大学の場合は学部・学科・コース名などを記入し、応募職種に活かせる専攻・研究テーマがあるのなら、少し詳細に記入するといいでしょう。
入学・卒業などの年号は西暦でも和暦でも構いませんが、履歴書全体で表記をどちらかに統一します。和暦にする場合は、「平成」「令和」などの元号も「H」や「R」と省略せずに書きましょう。
以下に、履歴書の記載で迷いやすいとされる9つのケースについて、正しい書き方をご紹介します。
大学院の場合は、修士課程と博士課程をしっかり分けて、入学年次と修了年次を記載します。
「卒業」ではなく、「修了」となるところに注意しましょう。
<例>
20××年4月 ○○大学大学院××学研究科△△学専攻 修士課程入学
20××年3月 ○○大学大学院××学研究科△△学専攻 修士課程修了
20××年4月 ○○大学大学院××学研究科△△学専攻 博士課程入学
20××年3月 ○○大学大学院××学研究科△△学専攻 博士課程修了
「博士前期課程」「博士後期課程」に分かれている場合は、そのように分けて記載します。
また、博士課程に入学し全単位を取得したものの、博士号を取得しなかった場合は単純に「退学」と記載します。「単位取得後退学」という言い方もありますが、企業向けの履歴書では「退学」とするのが一般的です。
<例>
20××年3月 ○○大学大学院××学研究科△△学専攻 修士課程退学
通信制大学を卒業した場合は、もちろん「大卒」になるので、通学制の大学と同じように記載すれば問題ありません。しかし、通信制であることを明示しないと学歴詐称と思われてしまう場合もあるので、学校名や学科名からわかりにくい場合は(通信制課程)などと書き添えておくといいでしょう。
<例>
20××年4月 ○○大学経済部経済学科入学(通信制課程)
1年以上の長期留学の場合は、留学先の国名、学校名、留学期間を記載します。
夏季休暇を利用した語学研修や授業の一環としての海外研修など、1年に満たない短期の留学は学歴として認められないので記載せず、アピールしたい場合は自由記入欄や自己PR欄に記載しましょう。
ただし、短期でも研究のために海外の大学院に在学していたような場合は、学歴欄に記載します。
まず、留年や浪人については特に記載する必要はありません。高校卒業から大学入学までが多少空いていても、大学卒業に時間がかかっても、そのために転職が不利になることはありません。
長期休学の場合は、休学の期間と理由、現在の状況をまとめて記載します。
<例>
20××年4月 ○○大学法学部国際政治学科入学
3年次に、病気療養のため1年間休学(現在は完治)
中退の場合は、「○○大学 中途退学」と正直に記載します。ただし、そのままではマイナスイメージを持たれやすいで、「親の介護のため」「経済的な理由により」「××の資格取得のため」など、一言理由を書き添えるのがおすすめです。
国内の語学学校は、基本的に予備校などと同じ扱いとなるので、学歴欄には記載しません。
ただし、「留学中の最初の1年は語学学校で学んだ」など、海外留学中に語学学校に通った場合は、留学先の国名、学校名、留学期間を記載します。
ワーキングホリデーは、短期留学同様学歴にはならないので、学歴欄には記載せず、自己PR欄や自由記述欄に書くのがおすすめです。海外で経験した仕事が応募企業にアピールできる場合は、職務経歴欄に記載するか、職務経歴の最後にまとめて記載しても構いません。
学歴の間に職歴が入る場合は、学歴は学歴、職歴は職歴としてまとめて記載します。
学歴上に空白ができても、すぐ下の職歴を見れば、その間何をしていたかは一目瞭然なので、この書き方で問題ありません。
その場合、「なぜ学び直すことを決意し、何を学んだのか。それがどんな強みになるのか」といった、採用担当者が知りたいと思うポイントについて、志望動機欄や自己PR欄などで明確にしておくといいでしょう。
たとえ社会人経験があっても、大学に入り直して卒業したのなら「新卒」として扱われ、新卒採用への応募が可能です。「新卒」年齢の上限については明確な規定はありませんが、企業の多くは「新卒は20代後半まで」としているようです。
「第二新卒」に明確な定義はありませんが、転職市場では「学校を卒業してから就職したが、1~3年で転職を志す25歳前後の人々」を指します。したがって、大学院中退後に就職する場合、就業経験はないわけなので「既卒未就職者」の扱いとなります。
企業が新卒の学生を採用しようとする場合、他に判断材料が少ないこともあって、大学名や学歴で応募者をふるいにかけることがあります。
しかし、中途採用の場合は、実務能力やこれまでの仕事で培ってきたスキル、企業にとって即戦力になる人材かどうかという点が重視される分、新卒ほど学歴に注目しない企業がほとんどです。
一方で、学歴はまったく関係ないのかといえば、そういうわけでもありません。
学歴の流れから「目標に向けてコツコツとがんばる力」があるかを見たり、出身高校や大学から論理的思考能力や抽象化能力など「地頭力」があるかを判断したりするなど、学歴だけでは判断しないけれど、採用基準のひとつとして考慮する企業は多くあります。
たとえ学歴に自信があっても頼りすぎないこと、反対に学歴に自信がなくても、スキルや経験、モチベーションの高さなどでカバーするよう努めていくことは、転職活動のポイントのひとつといえるでしょう。
履歴書の職歴欄は、ビジネススキルやこれまでにどんな仕事をしていたのかをアピールできる大切な項目です。転職に有利になるように職歴を書くためには、わかりやすく簡潔に書く必要があります。
そこで、転職する際の履歴書の書き方やポイントの他、書き方の例などについてご紹介します。
職歴欄には、企業名や勤続年数だけでなく雇用形態なども書く必要があります。また、職種や仕事内容が近い場合には、アルバイトなどの職歴も採用に有利になることがあります。
適性やどんな仕事を任せられるかを判断する材料になるため、全ての職歴を書くことが基本です。
それでは、職歴に必要な項目について詳しく見ていきましょう。
勤続期間や時期がわかるように、入社や退社の年月を記入します。
このとき、学歴と同様に、西暦か和暦かを履歴書全体で統一する必要があります。
また、すでに退職している場合は退職日、退職を予定している場合も最終行に書いておきます。
企業名は、(株)のようにカッコなどで略さずに、正式名称で記入します。また、事業内容や従業員数、資本金などの情報も書いた上で、本社や支社などの勤務地もわかるようにしておきましょう。
企業名に続いて、部署名も略さずに正式名称で記入します。また、課名も忘れずに記入しましょう。
その企業や部署でどんな仕事を担当していたのかを記入します。職歴が複数ある場合には、わかりやすく簡潔に書き、少ない場合には空欄を作らないように詳しく書きましょう。
役職に就いていた場合は、部署や課名の後に記入します。
転職後も、同じポジションを任せられる人材かどうかを検討してもらうきっかけになります。
最終の勤務内容だけでなく、部署異動や昇格の内容も記入します。
異なる部署での経験や短期間でキャリアアップした場合などは、大きなアピールポイントとなります。
職歴には正社員だけでなく、派遣社員やアルバイトなどの情報も記入します。
アルバイトで入社し、正社員に雇用形態が変わった場合なども忘れずに書いておきましょう。
履歴書を正確に書くことは、ビジネスマナーを心得ているアピールにもつながります。
履歴書の職歴を書くときに押さえておきたいポイントは次のとおりです。
職歴は、基本的に時系列で記入します。
古い情報から順に書くことで、どんな風にキャリアアップをしてきたのかがわかりやすくなります。
会社名や部署名などだけでなく、日付などで「スラッシュ(/)」を使ったり、繰り返し記号の「〃」を使ったりして省略するのは避けましょう。手を抜いている印象を与えてしまいます。
西暦や和暦などを統一するのと同じように、業務内容や従業員数などの企業の情報も、統一して書くようにしましょう。複数の社歴がある場合、企業によって書かれている情報が違うと読みにくい印象を与えてしまいます。
職歴欄に限らず、履歴書は空欄が多いとやる気のない印象を与えてしまいます。
内容をしっかりと考える必要がありますが、働きたい気持ちを反映させられるように、空欄はできるだけ埋めるようにしましょう。
現在までの職歴を書き終わったら、最終行に「現在に至る」と記入します。
また、その次の行にはこれ以上情報がないことを証明するために、右寄せで「以上」と書きましょう。
職歴が書ききれない場合には、会社名と入社・退社の時期のみを書き、詳細は職務経歴書に記入しましょう。そのときは、職歴欄にもその旨を書いておく必要があります。
就業中に社名が変更になった場合は、入社・退社のタイミングでの名称を書き、現在の社名は補足で記入します。
これまでご説明した職歴の書き方のポイントを踏まえて、職歴の書き方の例を見ていきましょう。
実際に職歴を書く際には、情報を整理するためにも下書きや見本を作っておくとスムーズです。
<例>
平成25年10月 有限会社◯◯入社(アルバイトとして)
バイトリーダーとして接客、在庫管理を担当
平成27年1月 就職に伴い退職
平成27年4月 株式会社△△入社
大阪支社 営業部 ▲▲課に配属
□□担当として■■を行う
平成29年3月 一身上の都合により退職
平成29年4月 株式会社××入社
東京支社 営業部 ◎◎課に配属
■■担当として□□を行う
平成30年4月 東京支社 営業部 ◎◎課 係長に昇格
平成31年4月 キャリアアップのため退職
現在に至る
以上
出身大学の詐称や、高校中退を高校卒業などとしてしまった場合、学歴詐称となりペナルティが科せられる可能性があります。
では、記憶違いで卒業年次を書き間違えてしまったり、漢字を書き損じたりといった、悪意のないミスはどうなのでしょうか。残念ながら、それでもやはり「うっかりミス」では済まされません。
また、職歴の記入ミスも同様に、詐称となる可能性やマイナスのイメージにつながってしまうことが考えられます。
「重要書類である履歴書にミスをするような人は、仕事が雑なタイプなのでは」「他の部分でもミスが多いのでは」など、採用担当者の心証に悪影響を与えてしまいます。ペナルティはないにしろ、その企業から内定通知が来る可能性は下がってしまうでしょう。
以上のような、思いがけないところで不利にならないように、履歴書はきちんと年次を調べて書き、書き上げた後は必ず見直しをするようにしてください。
履歴書の学歴欄や職歴欄を埋めることは簡単ですが、簡潔で読みやすいものに仕上げるには、書き方のルールの確認と、下準備が欠かせません。卒業年次や入社年月などの記憶が曖昧な場合はきちんと調べ、ミスのないように作ることを心掛けてください。
マイナビエージェントでは、応募書類の添削サービスを行っています。これまで、多くの履歴書を見てきたキャリアアドバイザーが、選考を通過するための履歴書となるように、しっかりサポートします。
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