更新日:2022/12/07
この記事のまとめ
フレックスタイム制とは、労働者自身が働く時間を決められる制度のことです。プライベートの時間を確保しやすいことや通勤ラッシュを避けられるなどの魅力があります。ただし、24時間いつでも好きなように働けるわけではなく、制約もあるため注意が必要です。
この記事では、フレックスタイム制について詳しく解説します。またフレックスタイム制の魅力や、転職時の注意点も紹介しているためぜひ参考にしてみてください。
目次
働き方改革の推進によって、フレックスタイム制を導入する会社が増えています。実際に求人でフレックスタイム制を見かけることもあるでしょう。しかしどのような制度なのか、詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。ここでは、フレックスタイム制について詳しく解説します。
フレックスタイム制とは、労働者が働く時間を自由に決められる制度です。仕事とプライベートのバランスを取りやすくし、労働者が充実して働けるようにする目的があります。たとえば「明日は保育園の送り迎えに合わせて9時に出社して18時に退勤しよう」「来週の月曜は好きなバンドのライブがあるから17時に退勤しよう」といったように決められます。
自由に決められるといっても、24時間いつでも出退勤でき、好きな時間だけ働けるわけではありません。詳細は後述しますが、決められた総労働時間の範囲内で働かなければいけないことや、必ず出勤しなければいけない時間帯も決まっています。
フレックスタイム制には、「コアタイム」と「フレキシブルタイム」があります。コアタイムは必ず就業しなくてはいけない時間帯のことです。フレキシブルタイムは、自由に出退勤ができる時間帯のことで、コアタイムの前後に設けられます。フレキシブルタイムに遅刻や早退はありませんが、コアタイムの開始時間に遅れれば遅刻扱いになりますし、コアタイムが終わる前に退社すれば早退扱いになります。
フレックスタイム制は、労使協定によって定められた精算期間と総労働時間に従う必要があります。精算期間とは、労働者が働くべき時間を定める期間のことです。たとえば「毎月26日から翌月25日までを精算期間とする」といったように決められています。
総労働時間は、清算期間内で働くべき時間のことです。精算期間が1ヵ月で総労働時間が160時間であれば、160時間を超えると残業扱いになります。
自由度の高いフレックスタイム制は、適切に労働時間を管理しないと長時間の労働や賃金未払いなどのトラブルが発生する恐れがあります。そのため労使間で出退勤時間と労働時間をきちんと記録しなくてはいけません。労働時間の管理方法は企業によってさまざまですが、タイムレコーダーや勤怠管理ソフトなどで管理する方法が多いようです。また労働者側も自分で勤務時間を記録し、会社に提出する必要があります。
スーパーフレックス制は、出勤・退勤の時間が24時間自由に決められる制度です。フレックスタイム制と違ってコアタイムが存在しないため、より自由度の高い勤務形態といえます。またコアタイムがないことで、遅刻や早退をすることもありません。
フレックスタイム制を導入している業種で、特に多いとされるのは以下のとおりです。
続いて、フレックスタイム制を導入している職種で多いのは以下が挙げられます。
上記のようにフレックスタイム制を導入できるのは、時間にとらわれない職種や仕事を個人で進められる職種が多い傾向です。フレックスタイム制の導入が厳しいのは、接客業や医者、教師といった勤務時間の調整が難しい職種が挙げられます。
勤務時間を自由に調整できるフレックスタイム制は、労働者にとってさまざまな魅力があります。通勤ラッシュの時間帯を避けて出退勤できますし、仕事が早く終わった日は早めに帰宅することも可能です。ここでは、フレックスタイム制で働くメリットについて具体的に解説します。
出退勤の時間や働く時間を調整できるため、仕事とプライベートのバランスをとりやすくなるのが魅力です。子どもがいる人であれば、保育園の送り迎えに合わせて出退勤の時間を調整できます。また平日にしか空いていない市役所や銀行の手続きも可能です。
出退勤の時間を調整できることで、通勤ラッシュの時間帯を避けられるのも魅力です。都内で働いている人は、満員の電車やバスで窮屈な思いをすることも多いでしょう。人の少ない時間帯にバスや電車に乗れれば、体力を消耗することなく快適に通勤できます。また座席に座れれば、読書をしたり仮眠をしたりなど、有意義に過ごせるでしょう。
仕事量に応じて働く時間を調整できる点も魅力です。仕事が少ない日は早めに帰り、忙しい日は多めに働くなど、効率的に働けます。このようにメリハリをつけて働くことで生産性もアップしますし、残業も減らせるでしょう。
フレックスタイム制は労働者にとって多くの魅力がありますが、いくつかデメリットもあります。特に自己管理が苦手な人にとっては適していない制度といえるでしょう。ここでは、フレックスタイム制で働くデメリットを3つ紹介します。
出退勤の時間が自由になることで、社員全員が揃う時間が少なくなります。そのため同僚や上司とのコミュニケーションが取りにくいのが難点です。また社外の人と連絡を取る際にも、相手が出社前や退社後であれば日を改めて連絡をする必要があるでしょう。
逆も然りで、相手側が連絡を取りたいときに自分が出社前や退社後というケースもあります。場合によっては勤務時間外に連絡が来て、返さなければいけないこともあるでしょう。
社内会議が入ったときや、取引先との商談が必要な場合などは出勤時間を調整できないことがほとんどです。特に、取引先がフレックスタイムを採用していない場合、自由に出勤時間を決められないケースも多いでしょう。また、周囲に遠慮して早く出社しても早く帰れないという声もあります。
自分の裁量で働く時間を調整できることから、自己管理が苦手な人は働き方がルーズになってしまいがちです。退勤時間が決まっていないことで、ずるずると仕事を引き延ばしてしまい、結果的に長時間労働になってしまう人もいるでしょう。
フレックスタイム制の魅力を知ったうえで、「転職先はフレックスタイム制の職場がよい」と思う人も多いでしょう。しかし転職する際には、いくつか気をつけておきたいことがあります。ここではその注意点を3つ解説します。
フレックスタイム制は部署や個人単位での導入が可能な制度です。そのためフレックスタイム制のある職場へ転職しても、配属先がフレックスタイム制を導入しているとは限りません。求人選びや面接の段階できちんと確認するとよいでしょう。
フレックスタイム制には、必ず就業しなくてはいけない「コアタイム」が定められており、コアタイムの開始・終了時間は企業によってさまざまです。そのためフレックスタイム制だからといって、自分の理想的な時間に働けるわけではない点に注意しましょう。
またコアタイムは就業規則に明記する決まりとなっていますが、求人情報に掲載する義務はありません。自ら企業側に確認する必要があります。
面接でフレックスタイム制について質問する際には注意が必要です。ストレートに「自由に出退勤の時間を決められますか」と質問すると、採用担当者に「制度が目的で応募したのか」とマイナスな印象を与えてしまう恐れがあります。
質問する際には「求人にフレックスタイム制と記載されていますが、社員のみなさまは何時くらいに出社・退社されていますか」といったように、「働くイメージを掴むために質問する」というスタンスで尋ねるとよいでしょう。
フレックスタイム制について、まだよく知らない人も多いのではないでしょうか。転職先の条件にフレックスタイム制を加える場合、些細な疑問も解消しておくとよいでしょう。ここでは、よくある疑問を4つ紹介します。
精算期間内で総労働時間を超えた場合は残業とみなされます。たとえば、精算期間が1ヵ月で総労働時間が160時間であるのに対し、170時間働いた場合は10時間分が残業代として支払われます。また法定労働時間は1日8時間、週に40時間以内と決められていますが、フレックスタイム制の場合はその限りではありません。
1日6時間しか働かない日や、1日10時間働いた日があっても、原則として総労働時間内であれば時間外労働にはならないのです。
総労働時間に達しない場合は欠勤扱いとなって不足分の給料がカットされるか、不足分を次月の総労働時間に合算して持ち越しとなります。「月の前半で休み過ぎたから後半は多く働こう」といったように、仕事が早く終わる場面であっても総労働時間の達成を目指して働くケースもあるでしょう。
フレキシブルタイムに関しては遅刻も早退もありません。ただしコアタイムは必ず働かなければいけない時間帯であるため、コアタイムの開始時間に遅れれば遅刻、終了時間よりも早く帰れば早退扱いとなります。遅刻によって減給される恐れもあるため注意しましょう。
フレックスタイム制であっても有給休暇の取得が可能です。有給休暇は、標準となる1日の労働時間を労働したものとして扱われます。標準となる1日の労働時間は、総労働時間を所定労働日数で割った時間です。有給休暇を1日分取得した場合、標準労働時間が8時間であれば、その日は8時間分を働いたことになります。
フレックスタイム制は労働者が働く時間を自由に設定できる制度です。出退勤の時間を調整して満員の電車やバスを避けられるほか、早く仕事が終わったら帰れるなどの魅力があります。しかし、24時間いつでも好きなように働けるわけではなく、総労働時間やコアタイムなどの制限がある点に注意しましょう。
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