更新日:2025/05/19
この記事のまとめ
転職を成功させるには、自らのキャリアプランを明確にしたうえでそれを実現できる業種・職種・企業を選ぶことが大切です。また、面接で聞かれるケースが多く、きちんと答えられるようにしておくことは対策として欠かせません。
しかし、キャリアプランをどのように立て、答えればよいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、キャリアプランの重要性と具体的な立て方、転職での答え方を紹介します。キャリアプランを明確にしておくことで、転職後のミスマッチのリスクを低減できます。
目次
自分が望んでいる将来像を実現するためにどのような行動が必要かを考え、具体的な計画に落とし込んだものがキャリアプランです。計画を作成する際には、目標を達成するのに必要な経験やスキルを習得する方法や、キャリアアップを実現する具体的な方法を定めます。
たとえば、「10年以内にWebコンサルタントとして活躍したい」という将来像を掲げた場合、実現するにはWebに関する広範な知識・スキルに加えてマーケティングスキルや企画スキルなどが必要です。そのため、まずはWebマーケターとして経験を積み、一定の経験を積んでからディレクターやマネージャーにキャリアアップするルートが考えられるでしょう。
さらに、ディレクター・マネージャーとして経験を積んでスキルを習得したら、Webコンサルタントへの転職の道が開けます。このように、将来像とそれを達成するための具体的な計画を具現化したものがキャリアプランです。
キャリアプランは選考段階で聞かれる定番の質問です。企業側はなぜ応募者のキャリアプランを知ろうとするのでしょうか。
ここでは、選考担当者がキャリアプランを質問する3つの理由を紹介します。企業側の意図を正しく理解したうえで回答を準備すれば、選考で自分のことをより魅力的な人材としてアピールできるでしょう。
企業はそれぞれ、経営方針と人材育成プランを持っています。地域に根差した企業活動を展開したいと考えている企業に、将来はグローバルな活躍がしたいと思っている従業員が入社した場合、ミスマッチによる早期離職のリスクが高まるでしょう。
同様に、「3年後にはリーダーになってこの仕事を極めていきたい」と考えている応募者と、「まずは社内の仕事をひととおり経験してもらって、オールマイティな活躍ができる人材を育成したい」と考えている企業のニーズは合致しません。
このようなミスマッチは、企業と応募者の双方にとって大きな問題です。もちろん、自分自身のキャリアプランを企業のために無理に変える必要はありません。転職後の後悔につながるためです。ミスマッチを防ぐには、きちんとキャリアプランを描いてそれを実現できそうな企業を選ぶことが大切です。
転職の面接でキャリアプランを聞かれたときは、「リーダーとして人から頼られる存在になりたい」などのぼんやりとした希望ではなく、「◯年後に××という職種につき、△△という成果を上げたい」といったように、具体的な目標設定を答える必要があります。
仕事を通して成長していくには、目標設定が大切です。短期目標・中期目標・長期目標を自ら立てられるかどうか、また、立てた目標が現実的なものなのかどうかをチェックされます。
「1年後に営業部のリーダーになって、3年後には内勤を経験したい、5年後には企画に行きたい」といったキャリアプランでは、まったく一貫性がありません。
「将来的には支店長として地域住民に愛される企業づくりをしていきたい。そのために3年後には営業成績上位を目指し、5年後には営業部のリーダーとして管理能力を高め、個人ではなく部全体の成績を上げる手腕を磨いていきたい」というように、最終的な目標を設定したうえで、そのために何をしていくつもりなのかを伝えましょう。
世の中には、目標だけは立派に立てるものの、まったく実行力がない方もいます。このような方は、企業にとって魅力的とはいえません。
転職では、キャリアプランとそれまでの経歴の一貫性や、目標に向けた実行力についてもチェックされます。過去の仕事内容とキャリアプランの関係性が薄い場合は、どのような意図でその仕事をしていたのか説明を加えると納得してもらいやすくなります。
キャリアプランを実現するために行っている勉強や活動、取得した資格などがある場合は、セットで伝えましょう。
キャリアプランを立てようとしても、どのように考えればよいか分からず難しいと感じることもあるのではないでしょうか。ここでは、具体的な立て方と考え方を紹介します。順序に沿って筋道立てて考えれば、比較的スムーズに作成できるようになるでしょう。
まずはこれまでのキャリアを振り返り、どのような経験をしたか、習得したスキルは何かを可視化しましょう。併せて、自分がやりたいと思ったことや楽しいと感じたこと、やりがいがあると思ったことも可視化します。可能な限り具体的に経験やスキル、やりたいことを可視化すると、望むキャリアが見えてきます。
この段階で「技術職としてスペシャリストを目指したい」「マネージャーとして管理職を目指したい」など、おおよその方向性を決められるとよいでしょう。
目指したいキャリアの方向性が決まったら、将来何をしたいのかさらに詳しく考えましょう。5年後・10年後の中長期的な視点で考えるのがおすすめです。「10年以内にITコンサルタントとしてコンサルティングファームで働きたい」のように、具体的なキャリアを決められるとよいでしょう。
もし具体的に思い描けないのであれば、自分の強みや弱み、興味・関心があることなどを可視化し、そこから深掘りするのがおすすめです。将来のキャリアを考えるときは、時間を確保して徹底的に自己分析することが大切です。
前段階で決めた将来の目標を実現するために達成したい短期的な目標を定めましょう。10年後の理想を実現するには、1年後・3年後・5年後にどのようになっている必要があるのかを考えます。
たとえば、「10年後にITコンサルタントになる」と考えているのであれば、「1年以内にITエンジニアとして転職して経験を積む」「3年後には要件定義や設計などの上流工程を担当できるようになる」「5年後にはマネージャーにキャリアアップする」などのように、マイルストーンになる目標を定めましょう。併せて、目標を達成するにはどのようなスキルが必要で、自分に足りていない能力は何かも考えます。
目標と必要なスキル、現在のスキルレベルが明らかになったら、目標を達成するために何ができるかを考えましょう。
たとえば、ITコンサルタントを目指したいものの開発経験が少ないのであれば、開発経験を積める企業に転職してさまざまなプロジェクトに積極的に参加するとよいでしょう。開発経験は十分であるもののマネジメント経験が不足しているのであれば、プロジェクトマネージャーにキャリアアップして経験を積みます。
状況によってどのような取り組みが必要かは異なるため、自分の市場価値を高めるには何ができるかを考えて今後の方向性を決めましょう。
面接をはじめとした選考において、キャリアプランはよく聞かれる代表的な質問です。自分のキャリアプランを立てていても、それをきちんと伝えられないとアピール材料にはなりません。
ここでは、面接でキャリアプランを質問されたときに分かりやすく答えるためのコツを紹介します。自分をより魅力的な人材としてアピールするためにも、ここで基本的な答え方をチェックしておきましょう。
キャリアプランを答えるときは、最初に具体的な目標を提示します。「入社後半年で店長になれる」という求人募集を打っている企業であれば、「まずは半年後の店長就任を目指し、5年後までには全国ランキング上位の売り上げの店舗に育てたい。将来的には、本部で経営企画にも携わっていきたい」といった目標設定が可能です。
企業の求める人材や経営方針・評価制度に合致した目標を提示できれば、「自社の希望とマッチしている」という評価を受けられます。
続いて、キャリアプランのためにしている勉強や保有している資格、取得を目指している資格などについて説明します。また、将来を意識した前職・現職での取り組みなども、キャリアプランのためにしていることに該当します。
店長になりたい場合は、経営に関する勉強や地域ごとの顧客ニーズに関する研究、管理業務の経験などがそれにあたります。
「20代のうちに店長になりたい」だけであれば、どこの企業でも実現できます。自分のキャリアプランが、応募先企業のどこに合致しているのかを説明しましょう。
「設立5年で全国規模に急成長した御社で、スピード感がある時代を読んだ経営に関わっていきたい」など、自分のキャリアプランと企業の経営方針のどこが合致したのかを伝えます。
選考で自分のキャリアプランを伝えるときには、いくつか注意しておきたいポイントがあります。伝え方を意識しないと言いたいことが正確に伝わらない可能性があるため、注意が必要です。面接に臨むときは、以下で紹介する注意点を常に意識し、できるだけ分かりやすく表現することが大切です。
面接では志望動機や転職理由なども聞かれます。キャリアプランは、社会人として働いていくうえでの自分の指針になるものであり、「企業を志望した理由」や「転職を志した理由」などとも合致していることが必要です。
キャリアプランとして持っている目標をかなえるために転職を志し、その企業であれば実現できると考えたために応募したと、客観的に見て納得できるレベルの一貫性が必要です。
キャリアプランを聞かれたときは、将来のビジョンを具体的に答える必要があります。「管理職になりたい」といった役職の希望だけでは、転職面接の答えとしては不適切です。
そもそも、管理職になって具体的にどのようなことがしたいのか考えてみましょう。部下をどう育成したいのか、チームをどのようにまとめていきたいのか、企業にどう貢献していきたいのかなどを深掘りして考えてみてください。
キャリアプランは自分自身の目標ですが、どの企業に対しても同じことを伝えればよいわけではありません。「地域に貢献したい」という目標が同じでも、志望する企業によって具体的な目標設定や、それまでの道筋は変わってきます。
企業のWebサイトや社長・従業員のインタビューなどをチェックして、どのような人材が求められているのか、企業の経営方針は何かを考えます。そのうえで、「その企業に転職した場合のキャリアプラン」を話しましょう。
具体的なキャリアプランは目指す職種によって大きく異なります。ここでは、選考でどのように伝えられるのか、職種別に例文をチェックしていきましょう。文章化するのが難しいと感じて困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【例文】
入社後はOA機器のルートセールスのプロフェッショナルとして活躍し、御社の製品のシェア向上に貢献したいと考えております。現職ではユーザーが求めるものに応じて最適な製品を提案できるよう、資料作りを工夫し、分かりやすいと好評でした。その結果、長期的にユーザーとの友好な関係を維持できています。
リプレースの際にも自社製品を選んでくれるユーザーが多く、2年連続売上10%アップを実現いたしました。この経験を活かして引き続き営業職として活躍し、3年後には営業チームのマネージャーを目指したいと考えております。
上記はルートセールスとしてスキルアップし、その後マネージャーを目指したいというキャリアプランを伝える場合の例文です。入社後に経験やスキルを活かしてどのように活躍できるのか、いつまでにマネージャーを目指すのかが明確で説得力がある文章といえます。
また、ルートセールスのスタッフに求められる「中長期的にユーザーとの信頼関係を築くスキル」にも言及しているため、より説得力が高まります。
【例文】
5年後をめどに、開発から運用までの広範な業務に携われるフルスタックエンジニアを目指したいと考えております。現職ではWeb系のフロントエンドエンジニアとして業務に携わりつつ、1年前からバックエンド関連の業務にも携わるようになりました。
フロントエンド・バックエンド双方の開発言語をある程度扱えるようになったため、引き続きスキルアップに励みたいと考えております。併せて、関連する分野から新たなスキルを順番に学び、徐々に担当できる領域を広げていく予定です。
上記はエンジニアのスペシャリストを目指すルートのひとつである、フルスタックエンジニアを目指す場合の例文です。フルスタックエンジニアは広範なエンジニアリングスキルが求められるため、そのスキルをどのように習得するのか、これまでどのように学習してきたのかにも軽く触れるとよいでしょう。
【例文】
Webマーケターのプロフェッショナルとしてスキルアップし、将来的にWebコンサルタントを目指したいと考えております。前職ではオウンドメディアの改善施策の実行や効果測定に注力し、結果として15サイトの売上アップに貢献いたしました。
引き続きWebマーケティングに携わってスキルアップし、御社の売上前年比+150%という目標を達成できるように貢献したいと考えております。その後、改善施策の立案などの上流工程の経験を積み、Webコンサルタントへのキャリアアップを目指します。
上記は将来的にWebコンサルタントを目指すため、これまでのマーケターとしての経験を活かしつつさらにスキルアップして貢献したいと言及しています。
一貫性がありつつ、自分の自信がある分野をきちんとアピールできていて効果的といえます。入社後にどのような形で貢献できるのかにも言及していて、働いている姿がイメージしやすいのも特徴です。
キャリアプランに対する考え方や、企業が転職者に求めるものは年代によっても異なります。ここでは、20代前半・20代後半・30代以降の3つに分けて、具体的なキャリアプランの伝え方と意識したいポイントをチェックしていきましょう。
転職を成功させるには、各年代の転職者に対して企業が何を求めているのかを知り、自分の経験やスキル、キャリアプランを魅力的にアピールすることが大切です。
【例文】
将来的にソフトウェア開発プロジェクトを率いるマネージャーとして活躍することを目指したいと考えております。前職は営業職で異なる分野であったものの、ユーザーのニーズを把握する大切さを学びました。
入社後はその力を活かし、ユーザーが求めているソフトウェアの開発につなげたいと考えております。さらに、エンジニアとしてスキルアップしてさまざまな開発スキルを習得し、幅広いプロジェクトに参加できるようにしたいと思っております。機会があれば積極的に上流工程にチャレンジします。
20代前半での転職では経験が少ないことも多く、アピール材料が少ないことも考えられます。また、将来の方向性があまり明確になっていないこともあるでしょう。そのため、まずは時間をかけて自己分析し、方向性を定めることが大切です。
ポテンシャルが評価され、未経験職への転職を比較的実現しやすいのが20代前半のメリットです。そのため、望んでいるキャリアプランを実現するために未経験職への転職が必要な場合は、早めにチャレンジすることをおすすめします。
【例文】
5年後をめどに商品開発チームのリーダーとして活躍できるよう、開発経験を積みつつマネジメントスキルを高めたいと考えております。
現職で培った機械設計のスキルを御社の製品開発に活かし、最新技術を組み合わせてユーザーから求められる製品を実現できるよう尽力いたします。併せてチームリーダーやマネージャーとして働く機会が開かれたら、積極的にマネジメント経験を積みたいと思っております。
20代後半になるとある程度の実務経験があるため、転職でも20代前半に比べてスキルが重視されます。そのため、上記のようにこれまでに培ったスキルをどのように発展させ、どのように実現するかにフォーカスするとよいでしょう。キャリアプランは将来の方向性を示すものであるため、スキルの具体的な内容は自己PRで言及すれば概要のみで問題ありません。
【例文】
これまでのマネジメント経験を活かして引き続きプロジェクトマネージャーとして働き、開発チームのエキスパートとして業務に携わりたいと考えております。入社後は新たなプロジェクトの始動から完了まで一貫して担当する経験を積みつつ、後継者の育成にも取り組みます。
さらに、新しい技術を積極的に学んで導入できるようにし、よりよい製品を作り上げたいと考えております。
30代になると、20代のときより高度なスキルが求められます。スペシャリストとして通用する高度なスキルを有している場合を除き、マネジメントスキルが高く評価される傾向です。そのため、リーダーやマネージャーとして活躍した経験を活かし、さらなるステップアップを目指すとよいでしょう。
転職においてキャリアプランは重要であるとはいえ、ひとりで考えていても自分の望む道がなかなか見えてこない場合があります。そのようなときは、できるだけ早い段階で転職エージェントに相談するのがおすすめです。
転職エージェントに相談すればプロのキャリアアドバイザーのサポートを受けながら、自分に合ったキャリアプランを立てられます。経験・スキルの可視化やキャリアプランを実現できる求人探し、選考対策など総合的なサポートを受けられる点もメリットです。
ひとりで転職活動に取り組むよりも効率的であり、悩みも解消しやすいため、キャリアプランの立て方に悩んでいるのなら一度転職エージェントに相談してみるとよいでしょう。
転職においてキャリアプランを明確にすることは、ミスマッチを防いで自分に合った企業を探すために欠かせません。企業側にとっても、応募者のキャリアプランは自社に合っている人材かを判断するうえで大切な要素です。
そのため、転職を検討している方は一度時間を取って自己分析し、将来の方向性と実現するためにできることを具体的に考えましょう。もし、なかなかキャリアプランを立てられなくて悩んでいるのであれば、マイナビエージェントにご相談ください。
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