更新日:2024/07/04
この記事のまとめ
子供は授かりものですから、なかなか個人の都合で妊娠や出産・育児のタイミングを計ることはできません。
中には、転職した直後に妊娠が発覚したということもあるでしょう。おめでたいことに違いはありませんが、「産休や育休は取れるの?」「給付金はもらえる?」と、不安になる人もいるでしょう。
そこで、転職直後に妊娠がわかったときにチェックしておきたい、公的なサポート制度についてご説明します。
目次
企業で働く女性の妊娠・出産に関わるサポート制度として、代表的なものに「産休」と「育休」が挙げられます。
それぞれどのような制度なのか、改めて見てみましょう。
産休は「産前産後休業」の略で、出産前の産前休業と、出産後の産後休業の2つを合わせた休業制度のことです。労働基準法における母性保護規定として定められています。
「産前休業」は、出産予定日の6週間前、多胎妊娠の場合は14週間前に、いずれも女性が請求して休業することができます。
産前休業は、請求された場合、働かせてはいけないと定めたものですから、本人に請求の意思がない場合は、ぎりぎりまで働き続けることも可能です。
一方、「産後休業」は、出産の翌日から8週間休業するよう定められています。これは妊娠4ヵ月以降の出産で、死産や流産を含みます。
産後休業は8週間ありますが、労働者が希望し、医師が認めた場合に限り、6週間経過後からは復職することが可能です。逆に、産後6週間は、たとえ本人が希望したとしても仕事をすることはできません。
育休は、「育児休業」の略で、産休と併せて取得する人の多い休業制度です。
1歳未満の子供を養育している労働者であれば誰でも取ることができるため、女性に限らず、男性も取得が可能で、養育する子供が養子であっても取得できます。
なお、育休は産休とは異なり、あくまでも労働者の希望によって行われるもので、「必ず休業しなければいけない」という性質のものではありません。
取得期間は、原則として子供が0歳から1歳になるまでの間です。
しかし、1歳になった時点でも継続して子供を養育していて、なおかつ保育所に入所できていない等の事情がある場合は1歳6ヵ月まで、1歳6ヵ月の時点で同様の事情が認められた場合は2歳までと、それぞれ期間を延長することができます。
転職直後に産休や育休を取ることはできるのでしょうか?
まず、産休に取得条件はありません。そのため、転職直後であっても取得することは可能です。逆に、産後休暇を取得させないことは違法になります。
一方の育休も、基本的な要件は「1歳未満の子供を養育する労働者」であることから、原則としては転職直後でも取得が可能ということになります。
ただし、育休についてはいくつか注意すべきポイントがあります。
それは、「継続雇用されて1年未満の労働者や、育児休業を取得するのに合理的な理由がない労働者は育児休業を取得できない」といった労使協定が結ばれている場合です。この場合、転職直後で継続雇用の期間が1年に満たない従業員は、育児休業を取得することができません。
なお、契約社員など有期雇用の社員については、「同一事業主に1年以上雇用されている」「子供が1歳6ヵ月を迎える日までの契約満了が決定していない」という2つの条件を満たすことで育休を取得できます。
「出産育児一時金」は、出産の場合(妊娠85日以降の死産・流産を含む)、原則子供1人につき42万円が支払われる制度です。多胎出産の場合は、子供の人数分が支給されます。
これは、出産にかかる費用の家計への負担を軽減することを目的とした制度で、会社の健康保険(政府管掌健康保険)に加入していれば健康保険組合から、個人で国民健康保険に加入していれば各自治体から支払われます。
手続きは、出産する産院などの医療機関で行うことができるので、高額の出産費用を会計時に準備する必要はありません。
もちろん、転職直後であっても問題なく支給されます。ただし、出産で利用する産院が「直接支払制度」を導入しているかどうかを確認してください。
年間の分娩件数が少ない診療所や助産所などでは、直接支払制度ではなく、他の医療機関等が被保険者に代わって出産育児一時金を受け取る「受取代理制度」を利用することができます。
直接支払制度と受取代理制度で制度の内容はほとんど変わりませんが、受取代理制度では「出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)」に記入して、健康保険組合もしくは各自治体に提出し、申請しなければなりません。
なお、バタバタしがちな産後に手間のかかる書類申請をしたくない場合は、「産後申請方式」を選ぶこともできます。
事前に健康保険組合もしくは各自治体から「出産育児一時金支給申請書」をもらい、入院までに必要事項を記入しておき、産院で「出生証明欄」に記入してもらいます。産後に申請書を健康保険組合に提出すれば、2週間以降に指定の口座に出産育児一時金が振り込まれます。
「育児休業給付金」は、育児休業中に「休業開始時の賃金日額×支給日数×67%(育児休業の開始から6ヵ月経過後は50%)」相当額を受け取れるという制度です。
しかし、育児休業給付金の受給要件には、「育児休業を開始する前の2年間に12ヵ月以上の雇用保険被保険者期間がある」ことが挙げられます。
そのため、いったん会社を辞めて転職活動をしていた場合など、育児休業開始前2年間の雇用保険加入期間が12ヵ月に満たない労働者については、給付対象外となってしまう恐れがあります。
また、育児休業中に仕事をすると、給付金が減額される場合があります。
各支払い期間中(育児休業開始日から1ヵ月ごと)の賃金の額と「休業開始時の賃金日額×支給日数×67%(育児休業の開始から6ヵ月経過後は50%)」相当額との合計額が、「賃金日額×支給日数」の80%を超えるときには、超過した額が減額されて支給されます。
なお、各支払い期間(育児休業開始日から1ヵ月ごと)中に10日以上出勤したり、育児休業前の給与額の80%を超える給与支給を受けたりした場合などについては、給付の対象外となります。
一方、育児休業中に発生する社会保険料については、支払いが全額免除されます。この免除によって、将来の年金の受取額が減額されたり、健康保険が使えなくなったりといった心配はありません。
また、産休・育休中の年間所得額が103万円以下で、配偶者の所得額が1,000万円以下の場合は、一時的に配偶者の税法上の控除対象配偶者になることも可能です(出産一時金や育児休業給付金は所得額に含まれません)。
出産に関する休業や出産育児一時金は、転職直後でも受けることができます。また、育児休業や育児休業給付金についても、条件を満たせば利用が可能です。
とはいえ、仕事を長く休むことになってしまいますから、仕事の引継ぎなどの問題も出てきます。妊娠がわかったら、「転職したばかりだから」としり込みせず、すぐに上司に相談するようにしましょう。
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