更新日:2022/05/13
この記事のまとめ
MRとは医療従事者に対して自社が製造した医薬品情報を提供するのが主な仕事で、医薬品業界固有の職種です。広い意味では営業に分類されますが、一般的な営業職とは仕事内容がかなり異なります。
この記事では、医療業界のスペシャリストともいえるMRの特徴や仕事内容、やりがいについて詳しく解説します。医療業界以外の人にも分かりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
MRは「医療の世界の営業マン」と紹介されることがあります。実際に新薬の売り込みをすることもありますが、通常は直接的な営業行為をしないのがMRの特徴といえるでしょう。ここでは、医薬品を扱うほかの職種との比較も交えながらMRの特徴を紹介します。
MRは「Medical Representative」の略で、日本語では「医薬情報担当者」といいます。主な業務は、効果や副作用のリスクといった医薬品に関する情報を、医療現場のスタッフに提供することです。営業担当者といっても、薬を販売するのではなく医薬品情報を扱います。
製薬会社に所属する場合とCSOと呼ばれる医薬品販売業務受託機関に所属して製薬会社に派遣される場合の2通りがあり、後者を「コントラクトMR」といいます。
MRと混同しやすい職種にMS(Marketing Specialist)があります。MSは医薬品卸売会社の営業担当者で、製薬会社から仕入れた医薬品や医療材料、医療機器といった商品を、医療機関や調剤薬局に供給するのが主な役割です。
MRと同じように商品の有効性や安全性の情報提供もしますが、MSはさまざまな企業の商品を取り扱うため、幅広い知識が必要です。また、医療従事者が比較検討するための情報であり、客観的な立場から公平に伝えることが求められます。
薬剤師の主な業務は、患者や消費者のために処方箋を基に薬を調剤したり服薬指導をしたりすることで、MRとは業務内容がまったく異なります。薬学の専門的な知識が必要な国家資格で、働く場所も調剤薬局や病院、ドラッグストア、医薬品メーカーと、MRと比べて多様です。
また、店舗や拠点ごとの責任者として法律によって設置を義務づけられている管理薬剤師は、各施設にある医薬品の管理業務も担当します。
MRとは医薬品に関する情報を取り扱う仕事ですが、情報を提供するだけでなく収集する仕事もあります。医療機関からのフィードバックが自社の製品開発に役立つことも少なくありません。ここでは、医薬品情報に着目して、MRの具体的な仕事内容について解説します。
医薬品には「一般医薬品」と「医療医薬品」があり、MRが取り扱うのは医師の処方が必要な医療医薬品です。MRは医薬品の基礎情報(効能・用法・用量など)や相互作用、使用上の注意点が記載された添付文書に関する情報を、医師や薬剤師といった医療従事者に対して提供しなければなりません。
病院で医薬品の講習会や研修会を開き、医療従事者の医薬品に関する理解を深めることもMRの重要な仕事のひとつです。
医療従事者に情報を提供するだけでなく、医薬品の有効性(効き目や効果的な使い方)や安全性、副作用に関する情報を収集するのもMRの重要な業務です。医療従事者からの正確なフィードバックが不可欠で、きめ細かなコミュニケーション能力が求められます。
収集した情報は、医薬品の開発に活用されます。また、予期しない副作用といった問題が発生した際には、厚生労働省に報告する義務があります。
高齢化が進む日本において、医療や医薬品の社会的な重要性はますます高まっています。MRは医薬品の円滑な供給や提供の一端を担う大事な存在です。ここでは、MRが仕事を通じて得られるやりがいやメリットを紹介します。
MRの通常業務は医薬品に関する情報の提供や収集だけで、価格交渉や代金回収といった販売行為をしない点が一般的な営業職との大きな違いです。
医療従事者から得られた情報は医薬品の改良や開発に使われ、医薬品の発展に携われます。将来にわたって人の健康に関われるため、大きなやりがいを感じられる仕事といえるでしょう。
MRは情報を正確に伝達するために、取り扱う医薬品に関する知識を身につける必要があります。また、医療従事者からきめ細かいフィードバックを得るには、医薬品や病気、症例といった医療に関する幅広い知識も必要です。
業務を通じて、医療に関する専門的な知識を身につけられるのはメリットといえるでしょう。高い専門性を身につければ、給与のような待遇面でもプラスになることが期待できます。
マイナビ営業エージェントのデータによると、MRの平均年収は580万円程度で、医療関係の職種の中でも高いほうです。
義務ではありませんが、MR認定証の必要性が高まっているほか、薬剤師や看護師といった国家資格を持っている人が就業することも少なくありません。専門性の高い仕事であることが評価され、給与水準の高さにつながっているのでしょう。
MRの仕事には一般的な営業職とは異なる特徴があります。医療業界のスペシャリストともいえるMRに向いているのは、どのようなタイプの人でしょうか。ここでは、MRに向いている人の2つの特質を取り上げ、詳しく説明します。
MRの主な仕事は、医薬品の有用性や安全性を医療従事者に説明することです。情報を正確に伝える必要があるため、話す内容を論理的に組み立てて、分かりやすく説明できる人が向いています。
また、直接的な販売行為はしないため、営業経験以上にコミュニケーションを取りながら相手の反応に合わせて臨機応変に対応できる能力が求められるでしょう。
MRは直接的な医療行為はしないものの、医療従事者が医薬品の有用性や安全性を理解するのに必要な情報を伝える役割を担っています。また、医療従事者からのフィードバックで得られた情報は、医薬品の改良や開発に役立ちます。
医療分野の発展に携わる仕事であり、仕事を通じて社会貢献をしたい人はやりがいを感じられるでしょう。
MRに限ったことではありませんが、転職を考える際に多くの人が気になるのは、仕事に就くハードルの高さや採用される可能性ではないでしょうか。ここでは、MRに転職する際に必要な資格の有無や求人状況について説明します。
MRになるために必要な資格はありません。ただし、関連する資格として公益財団法人MR認定センター(厚生労働省認可)が実施する「MR認定試験」があります。MRに必要な専門知識を客観的に評価する試験で、合格者にはMR認定証が交付されます(5年ごとに更新手続きが必要)。
MR導入教育実施機関で基礎教育を受講すれば、未経験者でも受験が可能です。ただし、MR認定証を取得するには、製薬会社またはCSOで実務教育とMR経験(6ヵ月)を修了する必要があります。
入社後にMR認定証の取得を義務づけている製薬会社は少なくありません。また、MR認定証がないと入館できない病院もあるため、MRとして働くなら実質必須といえる試験です。
MRの人数は減少傾向にあります。薬価引き下げや後発薬の普及、業界再編といった流れの中で、MRもリストラ対象であるためです。とはいえ、MRが不要になったわけではありません。求人数も横ばいから微増で推移しており、特に、特定の疾患に関する深い知識を持つ実績のあるMRは高いニーズを誇ります。
また、医療業界でもオンラインツールを利用する動きが進んでおり、この分野の実績や経験があれば未経験者でも採用されるチャンスは十分にあるでしょう。
MRになるために必須の資格はありません。したがって、いままで培ってきた経験やスキルをどれだけ生かせるかが重要なポイントです。ここでは、転職後にMRとしてスムーズに活躍するために役立つ経験やスキルを紹介します。
MRの仕事は一般的な営業職とは異なる側面がありますが、営業経験は生かせます。病院経営者層や医師、看護師といったさまざまな人と情報をやり取りする必要があるため、ビジネスマナーや情報伝達能力、相手や状況に応じて臨機応変に対応できるコミュニケーション能力を身につけていると有利です。
また、医療従事者だけでなく、社内や同業者との情報交換も必要となるため、人脈構築力も重要です。
製薬や医薬品に関する知識・知見があれば、MRの仕事を素早く理解でき、社内外でコミュニケーションを取るうえでも有利になるでしょう。
ただし、薬剤師資格取得者はMR全体の約1割といわれており、おおよそ半数が文系出身者です。未経験であることを必要以上に気にすることはありません。未経験者は、MR認定試験の参考書や過去問題集を使って勉強しておけば、入社後にMR認定証を取得する際にも役立つでしょう。
MRは医療業界固有の職種で、医薬品情報の提供や収集を通じて、製薬会社と医療従事者をつなぐ役割を果たしています。人々の健康に関わる社会的貢献度や給与水準に魅力を感じて、MRへの転職を考える人は少なくありません。
しかし、「製薬会社とCSOで仕事の内容に違いはあるのだろうか」「転職後のキャリアプランがよく分からない」といった疑問を持っている人もいるでしょう。
マイナビ営業エージェントは営業職の専任チームを編成しています。業界に精通したキャリアアドバイザーが一人ひとりの疑問や不安とじっくり向き合い、解決したうえで最適な転職プランを提案します。MRへの転職をお考えの方は、ぜひご相談ください。
営業職
第二新卒には営業がおすすめ?向いている理由や成功に導くコツを紹介
営業職
メーカー営業の将来性を徹底解説!市場価値を高める方法やキャリアパスも紹介
営業職
IT営業を辞めたいと感じたら?仕事がきつい理由とおすすめの転職先を紹介