更新日:2022/04/07
あらゆるものづくりに関わる計算力学技術者に注目が集まっています。数式のプロフェッショナルとして、「解析技術」とも呼ばれる分野で活躍する計算力学技術者はどのような技術を持ち、その技術はどのような仕事に活かされているのでしょうか。
ここでは、計算力学技術者の仕事内容と資格についてご紹介します。
目次
ものづくりをする上で、製品の荷重や振動などに対する強度、熱の伝わりやすさなどを把握しておかなければ、実際の製品化へと進むことはできません。
これから設計する製品を実際に作るのではなく、まずコンピューター上で仮想的に構築・解析することにより、性能や品質の向上を目指し、製品開発の効率化を図る技術をデジタルエンジニアリングといいます。
このデジタルエンジニアリングの中核を担う基盤技術が計算力学です。
計算力学は、変形や振動、熱伝導、流体といった力学に、物がどのように反応するかという解析をコンピューター上で精密に行うというもの。たとえば、以前であれば安全な自動車を開発しようというときに、何台もの試作車で衝突実験が行われてきたところを、現実に起こる事故と同様の仮想実験をコンピューター上で行い、車の安全性を確認することで、コストの削減につながっています。
また、コンピューター上での解析となりますので、「宇宙空間であればどのようになるか」「1,000万℃の環境下ではどのような影響が出るか」など、実際には再現することが不可能な状況でのシミュレーションも可能となります。
計算力学は現在、あらゆる理工学分野で活用されており、最近では医学関係での応用も進んできているのです。
こうした計算力学を行う技術者が、計算力学技術者です。
信頼できる計算力学解析を行うには、計算力学のためのソフトウェアを単に用いるだけでは不十分です。モデル構築の際の小さな判断ミスや入力データの誤り、適切といえないアルゴリズムの選択などにより、まったく見当違いの結果が現れる危険性があるのです。
間違った解析結果に基づいて設計、製品化が行われた場合、重大な事故や大きな損失につながります。
安全性が高く、かつ効率的な製品開発のためには、高い技術力を持った計算力学技術者は、重要なポジションにあるといっていいでしょう。
計算力学技術者として働くには、必ずしも資格は必要ありません。しかし、専門性が高いので、その技術レベルを証明するために、一般社団法人日本機械学会が計算力学技術者(CAE技術者)の資格認定を行っています。
この資格は、「固体力学分野の有限要素法解析技術者」「振動分野の有限要素法解析技術者」「熱流体力学分野の解析技術者」の3分野に分かれています。
各資格の認定技術レベルは、初級から2級、1級、上級アナリストまでとなっています。
まずは、固体力学分野の有限要素法解析技術者の級ごとの認定技術レベルをご紹介します。
続いて、振動分野の有限要素法解析技術者の認定技術レベルをご紹介します。
最後に、熱流体力学分野の解析技術者の認定技術レベルをご紹介します。
計算力学技術者の各資格を取得するためには、下記のように認定技術レベルによって方法は変わります。
初級認定のための試験はありません。公認CAE技能講習会を受講の上、受講修了証が授与されれば、日本機械学会に認定審査申請を行います。審査が通れば初級として認定されます。
2級の受験資格の目安は、機械系大卒レベルの数学的、力学的知識を持っていて、1年以上の計算実務を行っている技術者とされています。
受験するためには、CAEソフトウェアの使用経験があることが必須で、受験前に使用経験の認定申請が必要となっています。
認定試験(筆記)に合格すれば、2級として認定されます。
1級の受験資格の目安は、機械系大学院卒レベルの数学的、力学的知識を持っていて、3年以上の計算実務を行っている技術者とされています。
受験するためには、受験する分野と同じ分野の2級資格を持っている必要があります。
認定試験(筆記)に合格すれば、1級として認定されます。
上級アナリストの受験資格は、計算実務やCAE解析プロジェクトの企画・マネジメントについて7年以上の経験を持っていて、受験する分野と同じ分野の1級資格を持っている必要があります。
書類審査による1次試験、面接審査による2次試験に合格すれば、上級アナリストとして認定されます。
あらゆるものづくりの現場で取り入れられる傾向のある計算力学。
自動車の車体や部品、電化製品、大型プラントと、扱う物により就職先も様々です。メーカー、総合研究所、プラント設計会社など幅広い分野で活躍ができます。
計算力学技術者として転職するには、経験と資格が求められます。さらに、該当する職種が多くの分野にわたるため、一人だけでは自分の希望する条件を探し出すのはなかなか難しいかもしれません。
マイナビエージェントでは、計算力学技術者のように専門性の高い職種においても、キャリアアドバイザーがプロの目線で的確なアドバイスを行います。
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