更新日:2024/02/05
この記事のまとめ
玉掛けは、クレーンのある現場にはなくてはならない仕事ですが、国家が認定する「玉掛け技能講習」を修了しなければ、多くの玉掛け作業を行うことはできません。
ここでは、玉掛け作業の内容や、国家資格の取得方法についてご紹介します。
目次
玉掛け作業とは、工事現場や運搬などでクレーンを使う際に、フックに荷を掛けたり外したりする作業のことを指します。
誤った玉掛け作業をすると重い荷が落下して作業員がケガをする危険がありますので、クレーンを使う現場において、とても重要な作業です。
前述のとおり、玉掛け作業が不十分だと、重い荷物が落下し、人命にかかわる事故が発生する可能性があります。専門知識を持ち、資格を取得した玉掛け作業者が、クレーンオペレーターとコミュニケーションをとりながら玉掛け作業を行うことで、現場の安全を確保するのです。
なお、クレーンオペレーターとして働くにも、玉掛け技能講習を修了する必要があります。
クレーンオペレーターはクレーンを操縦する人です。一方で、玉掛けはクレーンのフックにスリングを掛け、操縦者に合図を送ります。
つまり、クレーンオペレーターと玉掛作業者はペアになって仕事をします。運転する側と、荷の付け外しや合図だしをする側の違いを理解しておきましょう。
玉掛け作業者が活躍する場所は、クレーンで重い荷物を上げ下ろしする工事現場や倉庫が中心です。
危険を伴う仕事のため、行き届いた研修があることが多いようです。
玉掛けは具体的に以下の順序で作業を行います。
吊り荷にロープやスリングをかける
クレーンを呼ぶ
フックに吊り下げてバランスを確認する
クレーンを持ち上げる合図をする
まずは吊り荷にロープやチェーンを掛けます。このとき、途中で荷物が落下したり、ロープが切れたりしないように重心・荷重を計算して、掛け方を決めます。
吊り荷にロープを掛けたら、クレーン操縦士を呼びます。そして、クレーンのフックが吊り荷の重心の真上にくるように誘導します。
フックから外れないように、荷物を固定します。また、ロープにねじれがないか確認しましょう。
安全が確認できたら、操縦士に合図してクレーンを30cmほど持ち上げてもらいます。吊り荷が不安定でないことを確認し、問題がなければ巻き上げます。
玉掛け作業を行うには、「玉掛け技能講習」または「玉掛け特別教育」という講習に参加する必要があります。
吊り上げ荷重1t未満のクレーンに玉掛けをする場合は玉掛け特別教育で問題ありませんが、吊り上げ荷重1t以上のクレーンに玉掛けをする場合は玉掛け技能講習の受講が必要となります。
吊り上げ荷重が1t未満の場合は、資格の取得は必須ではありません。しかし、「玉掛け特別教育」の受講が推奨されています。現場によっては特別教育を受けていないと、玉掛け作業者としての採用が難しい場合もあるので、ぜひ受講しておきましょう。
満18歳以上
学科講習が5時間、実技講習が4時間の計9時間となっており、通常は2日間かけて行われます。指定された講習を受ければ「玉掛け特別教育修了」と名のれるようになります。
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※参照:一般社団法人 東京技能講習協会
15,300円(テキスト代・税込)
吊り上げ荷重1t以上の場合は、「玉掛け技能講習」になります。
満18歳以上であること、また、コースが2種類あり、Aコース対象者は必要な資格はないものの、Bコース対象者は下記のいずれかの資格を有している必要があります。
学科講習と実技講習の2種類があり、コースによって受験科目が変わってきます。
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※参照:一般社団法人 東京技能講習協会
また、講習後に、受講内容を確認する修了試験があります。
Aコース:23,500円(テキスト代・税込)
Bコース:21,500円(テキスト代・税込)
玉掛け技能講習と玉掛け技能講習いずれも、合格率が90%以上といわれており、資格の取得難度は低いといえます。
玉掛け作業者の国家資格である玉掛け特別教育と玉掛け技能講習を、履歴書の資格一覧に書くときは「玉掛け特別教育修了」「玉掛け技能講習修了」と書きます。この資格がないとクレーン現場で玉掛け作業ができませんので、履歴書には必ず記載しましょう。
玉掛け作業者はクレーンを使う現場なら確実に求められるため、取得しておくと仕事が探しやすくなります。また、求人も安定しているので、資格を取る価値はあります。
また、玉掛けと同時にクレーンの運転士の資格もあると良いでしょう。工場や作業現場では、一人で玉掛け作業を行うこともあります。このときは、クレーン・玉掛け両方の資格がないと従事できません。
したがって、クレーンの運転もできるようになれば、さらに仕事の幅が広がります。
玉掛け作業に向いている人は、丁寧に安全確認をすることで、クレーン現場での事故を未然に防げる人です。また、クレーン作業の現場ではチームワークが大切になるので、現場の状況を見ながら細かい気配りをして作業に臨める人が向いているでしょう。
玉掛け作業者は、どのような就職先、年収で働くことができるのでしょうか?キャリアアップについても確認しましょう。
玉掛け作業者の就職先は、建築関係や製造業など、ジャンルはさまざまです。クレーン作業のある現場であれば玉掛け作業に求められるスキルは共通していますので、環境や待遇などを比較して転職先を選ぶと良いでしょう。
玉掛け作業者の平均年収は、賞与込みで約433万円となっています(厚生労働省「令和元年度賃金構造基本統計調査」より算出)。
また、国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査結果について」によると、日本の労働者全体の平均年収は433万円となっており、平均同等といえるでしょう。男女間の年収差が小さいのも、玉掛け作業者の特徴です。
玉掛け作業は専門職のため、勤続年数が長くなるほど年収が高くなる傾向があります。クレーン作業の現場でもなくてはならない存在として頼られ、やりがいをもって長く続けることができる仕事といえます。
玉掛けは、クレーンを扱う現場であれば欠くことができない仕事です。活躍の幅も広いので、興味がある方は資格取得を目指してみてはいかがでしょうか?
また、玉掛けは日本全体と同等程度の年収がもらえる仕事です。もし、それ以下の報酬で働いている方であれば、転職を検討してみても良いでしょう。
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