更新日:2023/02/10
この記事のまとめ
ITエンジニアのキャリアを活かして転職できる職種のひとつに、「プリセールスエンジニア」が存在します。キャリアアップを目的としてプリセールスエンジニアへの転職を検討している方もいるのではないでしょうか。
しかし、プリセールスエンジニアとして働くうえで必要なスキルや具体的な仕事内容が分からない方も少なくないでしょう。そこでこの記事では、プリセールスエンジニアの仕事内容と転職時に求められるスキル・経験を紹介します。職種についての理解を深めることで、キャリアパスに適した職か判断しやすくなるでしょう。
目次
プリセールスエンジニアの主な仕事を一言で表現すると、「技術的な側面から営業をサポートすること」です。しかし営業のサポートといっても、その中にはさまざまな業務が含まれます。
ここでは、プリセールスエンジニアが担当する主な仕事内容を4つ紹介します。イメージ違いによるミスマッチを防ぐためにも、転職を決断する前にチェックしておきましょう。
ICTシステムやソフトウェアなどを顧客に提案する際の商品説明は通常営業が担当しますが、技術面の詳細を分かりやすくクライアントに提案できないケースがあります。そのようなときに、クライアントに対して技術的な側面を説明するのがプリセールスエンジニアです。エンジニア職ですが、開発・運用・保守などに携わる職種に比べると営業に近い仕事内容といえるでしょう。
SIer企業をはじめとして、受託開発を手掛けている企業に在籍している場合は、クライアントから要件定義に必要な情報をヒアリングする業務に携わることもあります。ソフトウェアやシステムを設計するときは、開発可否や工数、コストなどを算定するために開発に関する深い知識が必要です。この段階をプリセールスエンジニアが担当することで、必要な情報をスムーズにヒアリングできるでしょう。
クライアントへ商品の提案をするときに使用する資料として、何らかのサンプルを制作するケースもあります。サンプルを用いてクライアント企業の担当者に説明することで、提案している商品の特徴をより分かりやすく伝えられるでしょう。
制作したサンプルを使ってプレゼンテーションするのもプリセールスエンジニアの仕事です。クライアントのニーズを把握して最適なシステムを提案する際には、プリセールスエンジニアの活躍が欠かせません。
契約が決まって開発プロジェクトがスタートしたら、クライアントからヒアリングした情報を細かく開発エンジニアに伝達します。自分が直接開発業務に携わるケースは少ないものの、クライアントと自社エンジニアの橋渡し役として活躍できるでしょう。
プロジェクトが始動した後は、サポート業務がメインです。ただし、企業によってはこの業務を「ポストセールスエンジニア」が担当するケースもあります。そのような企業に在籍している場合、プリセールスエンジニアの仕事は契約前のサポートがメインです。
プリセールスエンジニアに転職してキャリアアップしたいと考えているのであれば、転職前に自分に適した職かどうかを確認することが大切です。ここでは、適職かどうかの見極めに役立つ点として、プリセールスエンジニアのやりがいと厳しさを解説します。やりがいを感じられるか、厳しさを覚悟できるかをよく考えたうえで転職するか判断するとよいでしょう。
プリセールスエンジニアとして働くうえで、やりがいにつながる主な要素は上記のとおりです。他者とのコミュニケーションが好きな方や、サポート業務に魅力を感じる方におすすめといえるでしょう。エンジニア職の経験を活かして、営業に近い分野で働きたいと考えている方にも向いています。
スキル面ではエンジニア・営業双方のものを求められるため、より幅広い知識を習得する必要があります。また、自分で開発に携わるケースは少ないので、技術志向の方には向いていないといえるでしょう。
プリセールスエンジニアに対して数値目標が設定される企業もあり、そのような企業で働くと営業職と似たような厳しさを感じがちです。転職前には、エンジニア職だけではなく営業職としての適性もあるかを考えることをおすすめします。
キャリアアップ目的で転職を考えている方は、年収水準がどの程度なのか気になるのではないでしょうか。マイナビエージェントが2020年に実施した調査によると、プリセールスエンジニアの平均年収は599万円です。
同調査によると、IT業界全体の平均年収は427万円でした。プリセールスエンジニアはエンジニアと営業という2種類のスキルが求められるため、平均より高めの水準になっていると考えられます。自分がプリセールスエンジニアとしての適性があると判断できるのであれば、転職を検討してもよいでしょう。
実際にプリセールスエンジニアへの転職を考えている方に向けて、転職するときに求められる知識やスキルを詳しく紹介します。ここでは、プリセールスエンジニアとして活躍するうえで欠かせない6つのスキルについてチェックしていきましょう。自分の市場価値を高めるには、スキルアップに励む意識が重要です。
さまざまなITシステムを動かすには、サーバーやデバイスなどのハードウェアが欠かせません。システムの要件に応じて用意しなければならないハードウェアの種類や要求スペックは異なるため、クライアントの要望を満たすシステムを設計するうえでハードウェアに関する知識やスキルが不可欠です。
プリセールスエンジニアとして活躍したいのであれば、ハードウェアに関するさまざまな知識を習得しつつ、サーバーサイドプログラミングのスキルを高めるとよいでしょう。
OSやミドルウェア、ソフトウェアもITシステムを設計するためには欠かせません。サーバーOSやクライアントOS、各種アプリケーションをはじめとしたソフトウェア関連の知識・スキルの習得にも励みましょう。具体的には、開発に使用するプログラミング言語や各種ライブラリについて学ぶことをおすすめします。トレンドの開発手法も目まぐるしく変化するため、最新情報をチェックすることも大切です。
クラウドサービスを活用したシステムやソフトウェアも数多くリリースされています。プリセールスエンジニアとして働いていると、クラウドを利用するプロジェクトに遭遇することもあるでしょう。さまざまな分野でクラウドが用いられているため、以下の3サービスについて学ぶことをおすすめします。
この3つはクラウドサービスの中でもシェア率が高く、多くのプロジェクトで活用されています。触れる機会が多いため、積極的に学習しましょう。
クライアント企業の担当者に専門的な内容を分かりやすく説明するには、高度なプレゼンテーションスキルが欠かせません。技術に関する情報を相手のITリテラシーに合わせて説明する意識が大切です。実機を使用してデモンストレーションしたり、分かりやすい資料を用意したりするなど、「どうしたら相手に正しく理解してもらえるか」を意識するとよいでしょう。
相手が求めているものを把握するスキル、ロジカルシンキング、相手の反応を見極めるスキルなど、説得力がある話し方をするのに必要なスキルを磨くのがおすすめです。
プリセールスエンジニアは多くの人とコミュニケーションを取る職であるため、高度なヒューマンスキルが求められます。ヒューマンスキルは良好な人間関係を築くのに必要なスキルの総称で、具体的なスキルの一例は以下のとおりです。
相手の話を注意深く聞き、必要な情報を伝え、交渉をスムーズにするのに必要なスキルともいえるでしょう。クライアント企業の担当者と接するときだけではなく、自社エンジニアに必要事項を伝えるときにも必要です。
技術的な情報を習得したり、オフショア開発に携わったりするには語学力が欠かせません。技術文書は外国語で書かれているものも多く、正しく理解するにはある程度の語学力が求められるでしょう。オフショア開発では、オフショア先の言語を理解していないとスムーズにビジネスを進められません。
外資系企業に転職したいと思っている方も、外国語を学ぶとよいでしょう。英語やスペイン語、中国語など幅広く使われている言語を学ぶことで活躍の幅を広げられます。
プリセールスエンジニアとして活躍したいのであれば、スキルアップに励む必要があることが分かったのではないでしょうか。そこでここからは、スキルアップするための具体的な方法を紹介します。転職によるキャリアアップを目指す方は、スキルレベルを向上させて自分自身の市場価値を高めることが大切です。
プリセールスエンジニアは営業に近い職であるとはいえ、エンジニア職のひとつであることを考えるとエンジニアリングスキルは欠かせません。日々の学習を通じて、以下のスキルを高めるとように努力するとよいでしょう。
学習の目標を定めるのが難しいと感じるのであれば、高めたいスキルと関連する資格の取得を目指すのもひとつの方法です。転職において資格の有無が高く評価される可能性は低いものの、学習目標のひとつに定めるのはモチベーションを高めるうえで有用です。
上流工程に携わった経験が豊富であれば、転職市場において価値が高くなります。プリセールスエンジニアは契約獲得や企画、要件定義などの上流工程に携わる職です。そのため、システムエンジニアやプロジェクトリーダーなど、上流工程に携わった経験があれば転職で有利になるでしょう。
転職前に上流工程に携わるチャンスが開かれているのであれば、キャリアアップを実現するためにも積極的に挑戦することをおすすめします。
職種や業種を問わず活用できるスキルをポータブルスキルと呼びます。ポータブルスキルには以下のものが含まれ、プリセールスエンジニアとして働くうえでも欠かせないため、スキルアップに励みましょう。
ポータブルスキルにはほかにもさまざまなスキルがあるため、ひとつずつ磨くことをおすすめします。プリセールスエンジニアとして転職するときだけではなく、さらに上位のエンジニアを目指すときにも強力な武器のひとつになるでしょう。
ITエンジニア全般に共通するポイントですが、転職市場においてはこれまでの経験が高く評価されます。プリセールスエンジニアへの転職を成功させたい方は、現職で転職に役立つ経験を積みましょう。
プリセールスエンジニアは開発職(エンジニア職)と営業職の経験を活かせる職種です。ここでは、それぞれどのような経験が役立つかを紹介します。自分が現在置かれている環境でどのスキルを高められるかを考え、スキルアップに励むことをおすすめします。
プリセールスエンジニアへの転職で評価されやすい開発職の経験の一例には、以下のものがあります。いずれかのITエンジニアとして働いているのであれば、比較的転職しやすいといえるでしょう。
別種類のITエンジニアからプリセールスエンジニアに転職するケースが多く、この道であればエンジニアとして培ったスキル・経験を活かしやすいのがメリットです。
IT関連の営業職からプリセールスエンジニアに転職するケースも存在します。エンジニア職からの転職に比べると一般的ではありませんが、このような事例もあることを覚えておくとよいでしょう。
営業職からプリセールスエンジニアに転職したいのであれば、IT営業として働きながらエンジニアリングスキルを習得する必要があります。さまざまなスキルを求められるため、継続的に学習することが大切です。ただし、営業職からエンジニア職への転職ではこれまでのキャリアがリセットされます。エンジニアからの転職に比べて難易度が高い点に注意しましょう。
営業職と協力してクライアントの担当者にシステムや製品の技術的な側面を説明するのがプリセールスエンジニアの役割です。契約前・契約後のサポート業務に携わり、相手の反応を直接見られるなどやりがいが大きい職種でもあります。プリセールスエンジニアに転職するには、開発職・営業職双方に求められるスキルを習得しなければなりません。転職を成功させるためにも、計画的なスキルアップがおすすめです。
そのうえで、信頼できる転職エージェントの力を活用すればより転職を成功させやすくなるでしょう。マイナビITエージェントはIT業界に特化した転職サービスを提供しています。プリセールスエンジニアへの転職を検討している方は、ぜひマイナビITエージェントにご相談ください。
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