更新日:2024/06/21
この記事のまとめ
ITエンジニアの不足や開発費の高騰など、さまざまな理由でオフショア開発に注目が集まっています。しかし、オフショア開発が具体的にどのような開発スタイルを指すのか、ブリッジエンジニアがどのような役割を果たすのか正しく理解できていない方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ブリッジエンジニアが携わる仕事について詳しく解説します。転職するときに求められるスキルや将来性についても解説するため、転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
ブリッジエンジニアはオフショア開発に携わる職種のひとつです。オフショア開発とは、開発業務の一部または全部を国外の企業に委託してプロジェクトを進めるスタイルを指します。オフショア開発を実施する目的は、以下のようにさまざまです。
これらの目的を達成するためにオフショア開発を実施しますが、すべての工程が国内で完結するタイプの開発に比べて業務が煩雑化します。ブリッジエンジニアの仕事は、オフショア開発において自社と現地法人間で必要なやりとりをするうえで欠かせません。
一口にブリッジエンジニアといっても、実際に携わる仕事は多種多様です。ここでは、発注から検収までの流れにおいてブリッジエンジニアがどのような役割を果たすのかを解説します。ブリッジエンジニアへの転職を検討している方は、ミスマッチを防ぐためにもひととおり確認しておきましょう。
オフショア開発を実施することが決定したら、開発プロジェクトのどの部分をオフショア先の企業に任せるかを決めます。状況によって一部のみを委託するケースもあれば、開発の全工程を委託するケースもあるでしょう。
委託する業務の内容が決まったら、オフショア先の企業を探します。発注を予定している企業が何を得意とするのかを考え、自社のニーズに合致するところを選ぶことが大切です。
委託先の企業が決まって契約を締結したら、プロジェクトチームを編成します。その後は開発に必要な説明や資料の準備をして仕事がスムーズに進むようサポートします。この段階では、以下の仕事に携わることになるでしょう。
仕事を円滑に進めるためにミーティングを実施したり、必要に応じて内容を調整したりします。仕事を進めるにあたって現地スタッフとの認識の違いを防ぐのもブリッジエンジニアの重要な役割です。
システム開発には、以下の書類が必要です。
ブリッジエンジニアは、上記をはじめとして発注側が用意する書類の翻訳や補足資料の作成などを担います。
開発プロジェクトがスタートしたら、進捗管理をしなければなりません。オフショア先の業務が予定どおり進んでいるかを確認し、遅れている場合や課題に直面している場合はフォローします。大きなバグをはじめとした致命的な問題が発生したときは、工程を調整したり対応方法を考えたりする必要があるでしょう。
必要に応じてミーティングを実施するのもブリッジエンジニアの仕事です。開発が予定どおり進むようにマネジメントします。
発注したシステムが完成したら、仕様書に記載した内容を満たしているか、問題なく動作するかを検査します。問題なければ引き渡しを受けてプロジェクトは完了です。欠陥がある場合や仕様書の要件を満たしていない場合は、必要に応じて修正指示を出さなければならないでしょう。
修正などで差し戻しが発生する場合は、社内の担当者やオフショア先のエンジニアとの間で追加のやりとりが発生する可能性があります。
ブリッジエンジニアへの転職を成功させるためには、実務で求められるスキルを習得しておかなければなりません。ここでは、特に重要な4つのスキルについて解説します。これらのスキルを習得すれば自身の市場価値を高められ、転職活動を有利に進めやすくなるでしょう。
ブリッジエンジニアはIT業界で開発業務に携わるため、総合的な開発スキルが求められます。転職を有利に進めたいのであれば、以下のスキル・知識を習得するとよいでしょう。
どのようなスキル・知識が求められるかは、開発するシステムによって異なります。ブリッジエンジニアとして働いていると多種多様なシステムに携わる可能性が高いため、総合的なスキルアップを目指すことが大切です。
オフショア開発では国外の企業と連携して開発プロジェクトを進めるため、円滑なコミュニケーションに必要な語学スキルが求められます。自社で使用している言語にプラスして、オフショア先の企業が使用している言語を習得しましょう。
語学スキルは一朝一夕で身につくものではなく、継続的な学習が必要です。ほかの言語を学習するときは、開発プロジェクトを進めるために必要となるコミュニケーションに支障が出ない程度のレベルを目指しましょう。
実際の開発に携わるだけではなく、必要な調整を図ったりミーティングを開催したりするのもブリッジエンジニアの仕事です。他者とスムーズなコミュニケーションを図るためには、以下のスキルをはじめとしたヒューマンスキルが欠かせません。
これらのスキルは汎用性が高いため、ポータブルスキルとも呼ばれます。どのようなキャリアを目指すにしても欠かせないため、普段から意識して身につけるとよいでしょう。
ブリッジエンジニアは要件定義やプロジェクトチームの編成、進捗管理をはじめとした上流工程に携わる職であるため、マネジメントスキルも必要です。マネジメントスキルとはいわば「管理スキル」のことで、経営リソース(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に運用するためには欠かせません。
システム開発ではプロジェクトを予定どおりに進めるために有しているリソースを効率的に運用しなければならず、高度なマネジメントスキルが求められます。
ブリッジエンジニアの仕事にはいったいどのようなやりがいやメリットがあるのかを詳しく知りたいと思っている方もいるでしょう。ブリッジエンジニアのやりがいとして、主に以下のポイントが挙げられます。
国内外の企業と連携した大規模なプロジェクトに関われる可能性が高く、さまざまな経験を積めるでしょう。エンジニアとしてのスキルだけではなく、グローバルビジネスを展開するうえで必要なスキルも学べます。自分自身を成長させてさらなるキャリアアップを目指しやすい点も大きなやりがいといえるでしょう。
ブリッジエンジニアの仕事には多くのやりがいがある一方で、厳しい面も存在するのも事実です。特に以下のデメリットは転職前に押さえておくとよいでしょう。
プログラミングスキルをはじめとした開発スキルは国を問わず共通のため、大きな障害になるケースは少ないでしょう。一方、海外のエンジニアとコミュニケーションを取るには時差や文化の違いを考慮する必要があります。また、プロジェクトをスムーズに進行するには多くのスタッフの進捗を管理しなければなりません。仕事にはトラブルがつきものであるため、あらゆる状況に対応できる力を磨く必要もあるでしょう。
キャリアアップを視野に入れた場合にブリッジエンジニアの将来性が気になる方もいるでしょう。将来性に関しては不透明な部分もあるものの、今後ブリッジエンジニアの需要はさらに高まると考えられています。ここからは、ブリッジエンジニアの将来性が高いといえる理由を3つ見ていきましょう。
ITエンジニアの不足や開発コストの削減、高度なスキルを有する人材の確保など、さまざまな理由でオフショア開発が拡大すると予想されています。IT業界でオフショア開発が拡大すれば、高度なマネジメントスキルを有するブリッジエンジニアの重要性が増す可能性は高いといえるでしょう。
ブリッジエンジニアとしてキャリアアップを考えているのであれば、早めに転職して経験を積むことをおすすめします。
自分の市場価値をより高めるには、開発スキルや語学スキルを磨くとよいでしょう。高度な開発スキルを有するIT人材は貴重で、さまざまな分野で重宝されます。
ブリッジエンジニアとして働くには、語学スキルも欠かせません。ビジネスを円滑に進めるために十分な語学スキルを有していれば、さまざまな企業で活躍できます。合わせてコミュニケーションスキルやマネジメントスキルを習得し、有利な条件で転職できるようにするのがおすすめです。
ブリッジエンジニアの年収水準は、IT業界で活躍するエンジニアの中でも比較的高い傾向にあります。高度な開発スキルにプラスして高いコミュニケーションスキルや語学スキルが求められるため、それが反映されていると考えられるでしょう。
2022年11月時点でマイナビエージェントに掲載されている求人情報の中には、600万円以上の年収を提示している企業もあります。求人情報を細かくチェックすれば年収アップを目的とした転職を成功させられる可能性があるため、気になる方は一度チェックするとよいでしょう。
より有利な条件でブリッジエンジニアに転職するには、いくつかのコツを押さえておくことが大切です。ここからは、ブリッジエンジニアを目指す方が押さえておきたい転職のコツを3つ紹介します。自分のスキルや経験を活かせる転職先を探して後悔しない転職を実現するためにも、事前にひととおりチェックしておきましょう。
ITエンジニアとしての価値を高めるには、高度な開発スキルの習得が欠かせません。プログラミングスキルをはじめ、新たなプログラミング言語を習得したり新技術を取り入れたりするなどシステム開発に必要なスキルを総合的に学ぶことをおすすめします。
スキルアップには時間がかかるため、日頃から学習に取り組むとよいでしょう。
ブリッジエンジニアとして活躍するには、外国語を学ぶことが大切です。オフショア開発で使用する言語の一例には以下のものがあります。
語学スキルはグローバルビジネスを展開するうえで欠かせないため、継続的に学ぶのがおすすめです。言語を学ぶときは、日常会話やビジネス会話がスムーズにできる程度を目指しましょう。言語の習得には長い時間がかかるため、早めにスタートすることが大切です。
一口にブリッジエンジニアといっても、転職先の企業や携わるプロジェクトによって仕事内容は異なります。転職後のミスマッチを防ぐためにも、扱えるプログラミング言語やこれまでに携わった経験がある分野、習得している言語などを総合的に考慮し、自分の経験やスキルを活かせる転職先を探しましょう。求人情報を隅々までチェックし、企業がどのような人材を求めているのかを知ることが大切です。
IT業界はエンジニア不足が深刻化しており、国外の優秀なエンジニアを活用するためにオフショア開発が盛んです。オフショア開発を円滑に進めるには、橋渡しをするブリッジエンジニアが欠かせません。
ブリッジエンジニアを目指す方は、プログラミングや語学をはじめとした必要なスキルを学んだうえで転職活動に励みましょう。マイナビITエージェントでは、ブリッジエンジニアの求人などIT業界に特化した転職情報をご提供しています。スキルや経験を活かせる転職先を知りたい方はぜひお気軽にご相談ください。
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