「未経験可」という求人情報を見て、IT系クリエイターを目指したいと考える人もいるのではないでしょうか。しかし、IT系クリエイターには専門知識やスキルが必要とされるため、未経験者が誰でもなれるわけではありません。

そこでこの記事では、未経験からでも目指せるIT系クリエイターの職種と転職するためのポイントを紹介します。必要な準備を済ませたうえで自分に合った転職先を見つければ、人気のIT系クリエイターへの転職をスムーズに進められるでしょう。

クリエイターとは「モノ」を創造する仕事

クリエイターとは、自分のスキルや能力を活かして「モノ」を創造する人のことです。似たような職業であるアーティストは、自己表現の手段として自分のスキルや能力を使います。一方、クリエイターは、顧客からの依頼に応じて「モノ」を制作するのが特徴です。

クリエイターは、建築やインテリア、服飾、エンターテインメントといったさまざまな分野に存在します。中でも、未経験からの転職先として注目されているのがIT系クリエイターです。IT業界は学歴や資格が重要視されない傾向があり、未経験でも興味ややる気さえあれば、キャリアチェンジする可能性は広がっています。

クリエイター求人に「未経験可」が多いわけ

IT系クリエイターには「未経験可」の求人も少なくありません。これは業務に関するスキルや知識が不要という意味ではなく、実務に関して「未経験」という意味です。とはいえ、実務経験がない人は即戦力になりません。それでも未経験のクリエイターを受け入れるのには理由があります。ここでは、3つの大きな理由を紹介します。

理由1.IT人材の不足

あらゆる産業がデジタル化されている現代、IT需要は年々高まりを見せており、IT系クリエイターは将来性のある職業です。ただし、少子高齢化が進む日本においては、IT人材の不足が懸念されています。経済産業省によると、2030年までに40万人～80万人のIT人材不足が生じると試算されており、平均年齢も上昇の一途をたどることが予想されています。

IT系クリエイターの転職に関しては、以前は実力のある経験者だけを採用するのが一般的でした。今は、慢性的な人材不足解消のため、未経験者を積極的に採用する企業が増えているのが現状です。

参考資料 （IT人材育成の状況等について） - 経済産業省

理由2.人間力を評価する企業もある

IT系クリエイターの未経験求人には、社会人としてのスキルや人間力を採用条件として挙げる企業も少なくありません。たとえば、「人と話すのが好き」「勉強が好き」「チームワークを大切にできる」といった条件です。

IT系クリエイターの仕事には、ほかのクリエイターと協力して業務を進めたり、顧客とコミュニケーションを取りながらニーズを見極めたりする側面があります。コミュニケーション能力の高さは大きなアピールポイントになるでしょう。さらに、前職でマネジメントスキルを身につけていれば、IT系クリエイターの中でもディレクター系の職種に転職できる可能性があります。

理由3.働きながらスキルを磨ける

未経験者を受け入れている企業の多くは、教育にも力を入れています。研修期間を設けている企業もあり、スキルのレベルに応じた業務を担当させながら自社の戦力になるよう育てるという方法です。

ただし、基本スキルは転職前に学んでおくとよいでしょう。実務経験がなくても基本スキルを身につけてから選考に臨めば、勉強する意欲と続けていく意志を示せます。

未経験からチャレンジできるIT系クリエイター職

IT系クリエイターにはさまざまな職種があり、すべてが未経験でも転職可能というわけではありません。ここでは、未経験者でも比較的チャレンジしやすいIT系クリエイター職を3つ紹介します。IT系クリエイターと一口にいっても業務内容はかなり異なるため、業務内容に関して理解を深めることで転職先の方向性が見えてくるでしょう。

Webデザイナー

Webサイトのコンセプトに合わせてWebページをデザインする職業がWebデザイナーです。ページのデザインや画像の作成、サイト制作の進行管理をすべて1人で担当する場合もあれば、分業するケースもあります。デザインの作成には「Illustrator」や「Photoshop」のようなグラフィックソフト、その後のコーディングではHTML、CSS、JavaScriptといったプログラミング言語を使用するのが一般的です。

Webサイトの目的やコンセプトを押さえたデザインにするには、クライアントの要望をしっかりとヒアリングしなければなりません。Webデザイナーへの転職を目指すのであれば、デザイン能力に加えてコミュニケーション能力を磨く必要があります。

Webディレクター

Webディレクターとは、WebサイトやWebコンテンツを制作するためのプロジェクトを管理する仕事です。依頼者との打ち合わせや調整、制作チームの編成、人員・コストの管理と、制作プロジェクト全体に関わります。

責任ある職種であるため、一般的には経験者が担う役割です。未経験の場合、アシスタントからスタートし、経験を積みながら一人前のWebディレクターを目指すとよいでしょう。実務はほかのクリエイターが担当しますが、プロジェクトに使用するツールの基礎知識は必要です。

ゲームクリエイター

ゲームクリエイターとは、コンピューターゲームのソフトやアプリの制作に携わる仕事です。ゲーム制作には、「企画」「プログラミング」「3DCG」「シナリオ」「音楽」「デザイン」とさまざまな分野があり、それぞれに専門知識を持ったクリエイターが数多く関わります。未経験からチャレンジできる仕事として挙げられるのは「ゲームプランナー」「デバッカー」「プログラマー」です。

クリエイターに向いている人とは

IT系クリエイターには未経験からチャレンジできる職種もありますが、転職を成功させるには、自分が向いているかどうかを確認することが大切です。ここでは、多くのIT系クリエイターに共通する特徴を4つ取り上げます。同じようなタイプであれば、向いていると判断してチャレンジしてもよいでしょう。

さまざまなものに興味・関心のある人

クリエイターは、自分のセンスや感性を活かしてモノを作ります。センスを磨いてアップデートするには、自分の仕事とは関係のない分野にも興味を持つことが大切です。日頃からさまざまなアートや作品、制作物に触れることで、新しいものを生み出す創造性を高められるでしょう。

さらに、時代のニーズに合っていることも求められます。クリエイターはアーティストと異なり、多くの人に受け入れられるものを作らなければ、仕事として成立しません。常にアンテナを張って、新しいものや流行のものを敏感に吸収する姿勢が必要です。

コミュニケーション能力がある人

クライアントがやりたいことをIT技術で具現化するのが、IT系クリエイターの仕事です。したがって、クライアントが何を目指しているのか、相手の要望を正確にくみ取らなければなりません。

IT知識がないクライアントに対しては、分かりやすく説明しながら、さまざまな選択肢を提案します。どこまでできるのか、可能な範囲もしっかりと伝える必要があるでしょう。コミュニケーション能力が高い人は、クライアントの希望を制作物に反映できるため、評価や自身の満足度が上がります。

責任感や体力がある人

クリエイターの業務には、根気が必要な細かい作業もあります。クライアントから任された仕事に責任を持ち、誠実に取り組む姿勢が必要です。

また、予期せぬトラブルが発生したときは残業や休日出勤が必要なケースもあり、業務が長時間に及ぶことも少なくありません。IT系クリエイターの仕事は、体力や精神力が求められる仕事であることを理解しましょう。

ビジネススキルのある人

IT系クリエイターの業務では、スケジュール管理や関係者との調整作業のようなマネジメント能力が求められるシーンも多くあります。たとえば、Webディレクターは社内外のクリエイターやエンジニアを取りまとめ、作業がスムーズに進行するようしっかりと管理することも仕事のひとつです。

リーダーシップやマネジメント力といったビジネススキルを身につけている人は、クリエイターに向いているといえるでしょう。

未経験からクリエイターを目指す方法

未経験からIT系クリエイターを目指すのであれば、ポイントを絞った作戦が必要です。IT系クリエイターにはニーズや将来性があり、未経験者を受け入れる企業も増えています。ただし、転職の際にライバルとなるのは未経験者ばかりではありません。ここでは、未経験からクリエイターへの転職をスムーズに進めるための4つの作戦を紹介します。

目指すクリエイター職を絞る

IT系クリエイターと一口にいっても、職種によって必要なスキルや知識は異なります。目指す職種や向き不向き、好き嫌いを慎重に考えることが最初のステップです。

たとえば、モノ作りに興味・関心のない人はクリエイターに向いていません。目指す職種にミスマッチがあると、転職できたとしても長続きしないでしょう。IT業界にはクリエイター以外にもさまざまな職種があります。向いていないと感じた人は、ほかの職種に目を向けるとよいかもしれません。職種が決まったら、技術系でキャリアを積むのか、管理職を目指すのかといった方向性を絞ります。　

基礎知識を身につける

IT系クリエイターの求人における「未経験可」は「実務経験がなくても可」という意味です。基本的な知識やスキルは、転職前に身につけなければなりません。「Webデザイナー」「Webディレクター」「ゲームクリエイター」を目指す際に役立つ知識やスキルは以下のとおりです。

やる気や実力をアピールする

実務経験がなくても基礎的な技術力を可視化できれば、実力をアピールできます。たとえば、自分が制作した作品を紙媒体やWebサイトにまとめた「ポートフォリオ」はクリエイター向けの方法です。作品の写真やスクリーンショットを載せ、それぞれの開発ツールや使用言語を記載することで、一目で実力が分かるように工夫しましょう。

管理職の場合、実績を提示できないため、より説得力のある志望動機や自己PRが必要です。Web検定 やWebディレクター試験、Webアナリスト検定といった汎用的なスキルをアピールできる資格を取得してもよいでしょう。

転職エージェントの力を借りる

IT系クリエイターへの転職では、未経験者だけでなく実務経験のある人もライバルになります。転職をより有利に進めるには、企業が必要としている人材を理解し、自分にマッチしている企業を見つける必要があるでしょう。

転職サイトにある求人情報に手当たり次第チャレンジするより、転職エージェントを利用して探すほうが近道です。転職エージェントは求人企業の特徴や必要な人材を理解しているため、アピールできるポイントを見つけてサポートしてくれます。

まとめ

クライアントの意向を見極め、コンセプトや目的に沿った「モノ」を作るのがクリエイターです。未経験から目指せるIT系クリエイター職には、WebデザイナーやWebディレクター、ゲームクリエイターがあります。企業が求める人間性や前職で磨いた経験があれば、より有利に転職を進められるでしょう。

未経験からIT系クリエイターに転職したい人は、ぜひマイナビITエージェントをご利用ください。IT業界に精通したキャリアアドバイザーが一人ひとりの経験やスキルに最適な求人を提案し、転職をサポートします。

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