さらなるキャリアアップを目指して転職を考えているプロジェクトマネージャーの方もいるでしょう。転職を有利に進めるにはどうすればよいか、習得しておきたい知識やスキルと併せて理解しておくことが大切です。

そこでこの記事では、現役プロジェクトマネージャーのキャリアパスや転職先の一例を紹介します。思い描いているキャリアプランに近い例があれば、ぜひ参考にしてください。

プロジェクトマネージャーの仕事内容

IT業界で働くプロジェクトマネージャーは、システム開発プロジェクトの立ち上げから完了後のレビュー・改善までに携わります。

【主な業務内容】

• 依頼元との調整・交渉
• 開発計画の策定
• 開発環境の準備
• 人員調達・編成
• 開発中の進捗管理
• 仕様変更に伴う調整・交渉
• プロジェクト完了後のレビュー

依頼元と交渉するのに必要なヒューマンスキル、プログラミングをはじめとする開発スキル、プロジェクトを円滑に進めるためのマネジメントスキルが求められます。転職をより有利に進めるために、在職中はこれらのスキルアップに励みましょう。

プロジェクトマネージャーからのキャリアパス例

ここでは、プロジェクトマネージャーからキャリアアップを目指すのにおすすめの職・ポジションを7つ紹介します。コンサルタント、スペシャリスト、経営層など、自身が思い描くキャリアに近いものがあれば参考にしてください。

CIO

CIO（Chief Information Officer）は、ICTを活用した経営戦略を立案する職です。執行役員の一人として職務を遂行するには、ITへの深い造詣だけではなく、経営知識や投資判断も求められます。

プロジェクトマネージャーからCIOへの道は、所属チームのマネジメント層を経由するのが一般的です。CIOを目指しているのであれば、マネジメントスキルやヒューマンスキルを養いつつ、経営者としての視点も持てるよう意識しましょう。

CTO

CTO（Chief Technology Officer）は、企業内の技術責任者として活躍する役職です。経営メンバーの一員として方針策定やIT投資の判断に携わりながら、現場のスペシャリストとして各種施策の実行にも関わります。

IT業界でCTOとして活躍するには、経営知識と現場のマネジメント能力の両面が求められます。高度なスキルが必要ですが、その分やりがいも大きいでしょう。

CDO

CDO（Chief Digital Officer）は、企業のDXを推し進める役職です。「最高デジタル責任者」あるいは「最高データ責任者」と呼ばれ、ITの知見を活かしてビジネスのデジタル化を進めます。

CDOになるにはDXに関わる知識・スキルはもとより、組織を調整するコミュニケーションスキルも必要です。ビジネスにマッチしたICT技術を導入・運用するには柔軟性も必要でしょう。

PMO

PMO（Project Management Office）は、チームの枠組みを超えてプロジェクトを推進するために設置する組織のことです。平たくいえば、「プロジェクトマネジメントを専門的に行うためのチーム」です。

PMOから個々のプロジェクトを推進するための人員を派遣し、派遣されたスタッフがマネジメント業務を遂行します。場合によっては、PMOを外部の組織から招集することもあります。マネジメントのスペシャリストを目指しているなら、PMOを検討してはいかがでしょうか。

ITスペシャリスト

ITスペシャリストは特定の職種を指す言葉ではありません。経済産業省が策定したITスキル標準（ITSS）の6分野のうち、いずれかのスキルがレベル3以上に達している人材を指す言葉です。

【ITスペシャリストの6分野】

• プラットフォーム
• ネットワーク
• データベース
• アプリケーション共通基盤
• システム管理
• セキュリティ

レベル3に認定されるには、必要な作業のすべてを自力で遂行できる力が求められます。ITエンジニアを極めたい方におすすめのキャリアプランといえるでしょう。

ITコンサルタント

ITコンサルタントはクライアントの課題をヒアリングし、ICT技術を活用して解決する方法を提案する職です。クライアントの現状と要望を把握したうえで、新システムの開発や既存システムの改修、クラウド化といった解決策を提案します。

ヒアリングの結果に応じて開発チームに設計を依頼するため、コミュニケーションスキルが業務の出来を左右するといっても過言ではありません。

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経営層

プロジェクトマネージャーを通して培ったマネジメントスキルを活かせば、経営層にキャリアアップする道も開けます。プロジェクトマネージャーは各プロジェクトを管理・推進するのが仕事ですが、経営層になると自社の事業すべてをマネジメントしなければなりません。

経営層を目指しているなら、常に各プロジェクトと経営戦略を結びつけて考える癖をつけましょう。プロジェクトを通して得た情報を分析して経営課題を知り、解決策を考えるのは経営者として欠かせないスキルです。

理想のキャリアパスを実現するために習得したいスキル

どのようなキャリアを思い描いているにしろ、実現するためには相応の知識やスキルを身につけなければなりません。ここからは、プロジェクトマネージャーとして働いている現在から意識的に習得したいスキルを4つ紹介します。いずれもIT業界で活躍するには欠かせないスキルです。

開発スキル

「システム設計」「プログラミング」「テスト」「運用」「保守」といった開発スキルは、ITエンジニアの根幹といえる能力であり、継続的に学び続ける必要があります。システム開発の現場で総合的に習得しておくとよいでしょう。

なお、IT業界は日進月歩であり、トレンドの開発言語や手法が大きく変わることはよくあります。常に学習を怠らず、最新の技術を習得することが大切です。

マネジメントスキル

PMOや経営層へのキャリアアップを検討しているなら、マネジメントスキルを磨くよう努力しましょう。PMOはマネジメントの専門職として各プロジェクトに派遣され、中心的な役割を果たします。経営層は、ビジネス全体をマネジメントしなければなりません。

いずれにしろ、非常に高度なマネジメントスキルが求められます。常にチームやプロジェクトを俯瞰できるよう意識し、人材・モノ・時間などをどう管理すれば利益が最大化するかを考えましょう。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは、「他人と良好な関係を築くのに必要な総合的スキル」を指します。コミュニケーションスキルや交渉力・ヒアリング力などを包含しており、どのようなビジネスに携わるとしても不可欠です。

コンサルティング職、PMO、経営層を目指す方だけではなく、ITスペシャリストのように現場で働き続ける方にとっても欠かせません。

ビジネスを進めるうえでメンバーの選定や配置、クライアントとの交渉に携わるケースもあるでしょう。これらの業務を円滑に進めるためには、高いレベルのヒューマンスキルが必要です。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングは「論理的思考力」とも呼ばれ、結論に至るまでの過程を論理的に整理し、矛盾がないように説明するスキルです。具体的に磨く能力は次の通りです。

• 物事を整理する力
• 原因と結果を矛盾がない論理で結び付ける力
• 導き出した結果から次のアクションを考える力

IT業界ではロジカルシンキングが重要視される傾向があります。常日頃から論理的に考え、解決できるよう意識しましょう。

プロジェクトマネージャー経験者の市場価値は高い

IT業界で働くプロジェクトマネージャーは市場価値が高く、多くの企業が欲しています。高度なIT知識とマネジメントスキルを有しているプロジェクトマネージャーは、さまざまなプロジェクトを円滑に進めるうえで欠かせない存在だからです。

市場価値が高いとはいえ、自身を魅力的にアピールする努力は必要です。転職を有利に進めるために、またキャリアパスを実現するために、自身の強みや弱みを把握しておきましょう。

転職時にあると有利になる経験とは？

IT業界では即戦力となる人材が求められており、採用担当者は実務経験を重視する傾向が強いです。さまざまな経験を積んでいる方は採用担当者の目に止まるでしょう。ここでは、特に興味を引きやすい「大規模プロジェクトの従事経験」と「システム開発経験」の2つを解説します。

大規模プロジェクトの従事経験

大規模プロジェクトには多くの人員が関与し、膨大な時間と多額の費用がかかります。規模が大きい分イレギュラーが発生しやすく、臨機応変に対応するスキルが欠かせません。非常に難易度が高いため、転職時にアピールすればプロジェクトマネージャーとしての実力を示せます。

システム開発経験

システム開発の経験があれば、「クライアントの要求は実現できるのか」「納期や予算に問題はないのか」といった判断が可能です。一人のエンジニアとしての力はもとより、開発スタッフをまとめる力、クライアントと交渉できる力も評価されるでしょう。

プロジェクトマネージャーにおすすめの転職先

プロジェクトマネージャーからの転職先はさまざまですが、経験を活かしやすい、マネジメント系とコンサルタント系がおすすめです。ここでは厳選して、「別業態のプロジェクトマネージャー」「コンサルティングファーム」「PMO専門企業」の3つを紹介します。

別業態のプロジェクトマネージャー

どのようなビジネスにもプロジェクトはあり、優秀なマネージャーの市場価値は高いです。したがって、別業態のプロジェクトマネージャーに転職する方も少なくなりません。同職種への転職のため、近道ともいえます。

一例として、システムを開発している企業には「内販（自社開発）」と「外販」が存在します。内販は開発したシステムを親会社や関連会社に販売するのに対し、外販は取引先を開拓しての受注生産が中心です。外販は内販に比べて幅広いシステムを開発していることが多く、その分高度なスキルが必要です。グループ外の会社と取引するため、折衝力が求められるケースもあります。

コンサルティングファーム

プロジェクトマネージャーからコンサルティングファームに転職する道もあります。コンサルティングファームはクライアント企業と契約し、プロジェクトを支援して成功に導くのがミッションです。人事戦略の策定や待遇の改善、制度改革などに取り組むこともあるでしょう。

コンサルティングファームで働くには、高度なヒューマンスキルやマネジメントスキルが欠かせません。プロジェクトマネージャーとして習得したこれらのスキルを活用し、IT分野以外のマネジメントも手掛けたいと考えている方におすすめです。

PMO専門企業

PMOはプロジェクトマネジメントをする部門・組織を指しますが、PMOを専門とする企業もあります。プロジェクトマネージャー経験者は、プロジェクトマネジメントのスペシャリストとして歓迎されるでしょう。マネージャーとしてさらなる成長を目指す方、これまでの経験を活かして多くのプロジェクトにチャレンジしたい方におすすめです。

まとめ

プロジェクトマネージャーは、各プロジェクトを進めるうえで中心的な役割を果たします。高度なITスキルやマネジメントスキルが必要であり、培ってきた能力は転職市場で高く評価されるでしょう。

キャリアパスの一例は、コンサルタント系、スペシャリスト系、経営層です。別業態のプロジェクトマネージャーやコンサルティングファーム、PMO専門企業など、多種多様な転職先で歓迎されるでしょう。

マイナビITエージェントでもプロジェクトマネージャー経験者におすすめの転職先を紹介しています。IT業界に詳しいキャリアアドバイザーが全面的にサポートいたしますので、転職を検討中の方はぜひご相談ください。

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