更新日:2022/05/27
この記事のまとめ
インターネットが普及した近年では、実店舗に足を運ぶのではなくWeb画面を通じて株式取引を行う「ネット証券」を取り扱う事業者が増えてきています。では、ネット証券に転職するためにどのような資格が必要になるのでしょうか。
本記事では、ネット証券に転職するために必要なことや主な業務内容、転職活動の際に取得しておくと有利な資格などについて解説します。
目次
ネット証券とは、インターネットを介して株式取引のプラットフォームを提供する証券会社のことです。「インターネット証券会社」を略してネット証券と呼んでおり、オンライン証券と呼ばれることもあります。
取引をしたい投資家は、パソコンやモバイル端末などのインターネット回線に接続できる環境を用意し、Web画面上から注文します。初めてネット証券が登場したのは1995年のアメリカですが、日本では1996年からオンラインによる取引が始まっています。
現在では多くの証券会社がネット証券を所有しており、インターネット上だけで取引が完結できるようになってきています。
ネット証券と証券会社の主な違いは、「店舗があるかどうか」「従業員がいるかどうか」です。ネット証券はWeb上で取引が行われることから、店舗でディーラーに対して株式の発注を行うことは基本的にありません。ネット証券を運営するためのバックオフィス業務(サーバー管理や不正監視など)はありますが、投資家は株式の注文を自分の判断で行うのが一般的です。
一方、証券会社は実店舗を持ち、そこで働く従業員が投資家の要望に応じて株式の注文を受け付けます。時には投資家からの相談も受けながら、特定の銘柄の株式を推奨するなどのサービスも提供します。
日本証券業協会が実施した「インターネット取引に関する調査結果(2021 年9月末)について」によれば、調査対象となった266社のうち、インターネットによる取引を行っているのは2021年9月末時点で88社でした。
2019年3月末は77社、2020年3月末には85社であることを考えると、1年に数社程度は新たにインターネットによる株式の取り扱いを始めているのが実情のようです。
インターネット取引口座数も年々増加しており、2012年3月末には1,757万件だった口座数は2021年9月末時点で3,640万件と、約10年で2倍以上に伸びています。
現在のところ減少している年はなく、今後もインターネット取引口座数は増加していくものと考えられます。
ネット証券会社の業務内容は、インフラ管理やアプリケーション開発、カスタマーサポート、データ分析業務、ディーラーなどがあります。インターネットを通じて取引プラットフォームを提供するため、システム周りのメンテナンスが重要になります。
取引のためのアプリケーションを自社で開発・提供している証券会社も多く、システムエンジニアやプログラマが在籍しているケースも一般的です。店舗を持たないため顧客と顔を合わせてやり取りする場面はほとんどありませんが、疑問やトラブルに対応するためのカスタマーサポートも必要不可欠なポジションとなります。
ネット証券会社の年収は年齢や経験、スキルや職種によっても変わってくるため、一概に金額を言い切ることはできません。しかし、求人情報などを参考にすると、国内大手のいくつかのネット証券会社においては、平均750〜820万円程度の年収が設定されています。
企業規模や年齢などの諸条件によってはこの金額より下回ることも考えられますが、他業種に比べると高水準の年収が期待できるといえるでしょう。
ネット証券会社に転職するにあたっては、必ず取得しなければならない資格があるわけではありません。無資格であってもネット証券会社の従業員として働くことは可能です。
しかし、ネット証券会社への転職を考えているのであれば、いくつかの資格を取得しておくと転職活動に有利になる可能性があります。
資産運用や不動産など、金融にかかわるさまざまなアドバイスを行う知識を持った「ファイナンシャル・プランニング技能士」や、年金・投資に関する専門知識を有する「DCプランナー」などは、金融にかかわる専門知識を持っていることを証明できるため、転職に有利に働きやすい資格です。
また、金融商品を販売するためには「外務員」の資格が必要になるため、外務員資格試験を受験して合格しておくと入社後の業務がスムーズになります。
ほかにも、企業や組織に対して資産形成に関するアドバイスを行う「投資診断士」や、証券を発行する株式会社の企業評価を行う「証券アナリスト」なども転職に役立つ資格です。
そのほか、証券会社で活かせる資格について詳しくは下記ページをご覧ください。
未経験であってもネット証券会社に転職できる可能性は十分にあります。求人情報を参照しながら、未経験可の求人を探してみましょう。
前述の通り、ネット証券会社で働くために必ず取得しなければならない資格はありませんが、合格していると有利になる可能性がある資格はいくつかあります。未経験の場合は自身の知識やスキルを証明する手段の一つとして、資格取得にチャレンジすることも検討すると良いでしょう。
おすすめの資格はどのような職種への転職を希望しているかによっても変わってくるため、志望先の職種がどのような特徴があるのか、よく研究することが大切です。
たとえば、システムエンジニアを志望するなら応用情報技術者試験など、システムに関連する資格取得も候補になります。
ネット証券会社への転職を検討しているなら、一人で転職活動を行うのではなく転職エージェントを活用することをおすすめします。経験豊富なプロのキャリアアドバイザーが転職志望者一人ひとりの特徴に合った求人を紹介するとともに、志望動機書の作成や面接対策などを行うため、効率的な転職活動が叶います。
面接日などのスケジュール調整も代行するため、現在の職場で働きながら空いた時間を有効に活用して転職活動ができます。
ネット証券会社の業務内容は、インフラ管理やアプリケーション開発、カスタマーサポート、データ分析業務、ディーラーなど多岐にわたります。また、年収も他業種と比較すると高水準で設定されている企業もあり、努力次第では今よりも年収アップが見込めます。
転職に必須の資格はありませんが、ファイナンシャル・プランニング技能士やDCプランナーなど、取得しておくと転職活動が有利になる資格はいくつかあります。希望する職種なども考慮しながら、自分に合った資格取得にチャレンジすることが大切です。
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