更新日:2023/05/22
この記事のまとめ
働き方の多様化に伴い、ワークライフバランスなどの観点から「業務委託」に注目が集まっています。「専門知識を磨ける」「場所を問わずに仕事ができる」などの理由から、業務委託に興味を持っている方も多いでしょう。
この記事では、業務委託契約や雇用契約について解説します。自身に合う働き方のスタイルを見つけたい方や、理想の転職を実現させたい方の参考となる内容です。
目次
業務委託には、大きく分けて「準委任契約」と「請負契約」の2つの契約方法があります。これから業務委託で働きたいと考えているのであれば、契約方法の違いについて押さえておきましょう。ここでは、業務委託の意味と契約の種類を紹介します。
業務委託は、依頼主と働く側の間で雇用契約を結ばない働き方です。依頼主との雇用関係がないため、働く側は「労働者」という位置づけにはなりません。「対等な関係」として依頼内容を完遂して報酬を受け取るのが特徴です。
受注するタスクの指示はある一方、時間的な拘束や働き方に対しての指示を受けることはありません。業務委託で仕事をする際には「業務委託契約」を取り交わして、依頼内容や報酬、納期などの取り決めを行うのが重要です。
委任契約・準委任契約は、業務委託の中でも「業務」に対して報酬をもらう働き方です。「業務の遂行」で報酬が発生するため、必ずしも「完遂」や「成果物」が求められるものではありません。
委任契約や準委任契約は、一部の職種に対して適応されます。それぞれの違いは「委任契約は法律行為を伴う業務」「準委任契約は法律行為にあたらない業務の契約」などです。具体的な職業例は次の表のとおりです。
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請負契約とは、委任契約や準委任契約とは異なり「成果物」の納品と引き換えに報酬が支払われる契約です。一般的に「業務委託」で仕事をするのであれば、「請負契約」を取り交わすケースが多いでしょう。
請負契約は、依頼主の求める「成果物」に対して報酬が発生します。「働く場所」や「時間」に関する拘束や指示はなく、自分の裁量でタスクをこなす働き方です。具体的な職業として、以下が挙げられます。
業務委託、正社員、派遣社員、フリーランスの働き方には、いくつか明確な相違点があります。大きな違いは、働く側と依頼主との関係です。働く側と依頼主の間に雇用関係が発生しない「業務委託」に対し、正社員や派遣社員は「雇用契約」を取り交わして働きます。ここでは法律上の取り決めを含め、それぞれの働き方に関する相違点を解説します。
就業先企業と直接「雇用契約」を取り交わすのが正社員です。社員は「労働者」、企業は「雇用主」という位置づけで、労働者は雇用主のもとで業務を遂行します。そのため「雇用契約」において、勤務時間や休日、福利厚生などについて細かく取り決めを行うのが一般的です。
「業務委託」では、報酬の対象が「成果物」です。一方で正社員の場合は時間的な拘束も含めた「会社が指示する業務」を対象として給与が発生します。
派遣社員の場合、勤務先の企業ではなく、派遣元である「派遣会社」と一時的な雇用契約を交わします。「派遣会社の(期間限定の)労働者」という位置づけになるのが一般的です。
人材派遣においては「労働者は派遣会社と一時的な雇用契約」を交わすのが特徴です。「派遣会社は派遣先企業と派遣契約」を交わすのが労働者派遣法によって定められています。
派遣社員は(勤務先の会社で働く期間のみ)派遣会社と雇用関係にあります。「派遣会社の労働者」として、勤務先の企業に派遣される形式です。報酬も派遣会社から支払われます。
また勤務先企業の現場では、業務を遂行するうえでの簡単な指示が出ます。一方で派遣契約上の「業務内容」については、勤務先企業が派遣社員に直接指示・命令できません。
業務内容自体が変更となる場合は、都度派遣会社が間に入り、内容を双方と確認して契約内容を変更する必要があります。
フリーランスは、スキルを活用して企業や個人と契約を結び、仕事を受注する働き方です。一方で、業務委託は特定の業務を依頼され、報酬を受け取る契約形態を指します。フリーランスは独自の営業で仕事を受注し、業務委託は受注先によって業務を任される点で異なるといえるでしょう。
またフリーランスは自己責任で業務をこなす一方、報酬の上限に決まりがありません。業務委託とは業務の範囲や期間、報酬などが契約で決められる点で異なります。
業務委託には、正社員や派遣社員などと比較してさまざまな相違点があります。中でも大きな違いが年収の安定性や税金の納付方法です。また年金や健康保険料の支払いにも違いがあります。業務委託に興味がある方は覚えておくと役立つでしょう。ここでは、業務委託で押さえておきたい3つの特徴を解説します。
企業と雇用関係にある正社員は、基本的に年収が安定する傾向にあります。毎月決まった給与が支払われる正社員と比べて、業務委託の場合は「収入の変動が大きい」といえます。自分の裁量で仕事を進める必要があり、こなした案件の数や、成果物のクオリティーが収入に直結するためです。
一方で収入の変動が大きいのは、努力次第で上限なく年収アップできることを意味します。収入の上限がないという特徴があるともいえるでしょう。
業務委託と正社員では、年金や健康保険料の払い方も大きく異なります。正社員で働く際には「厚生年金」に加入しますが、業務委託は「国民年金」への加入が必要です。また健康保険料に関して、業務委託では全額自己負担が一般的です。
しかし正社員の場合は、健康保険料の半分は企業が負担するという特徴があります。健康保険にスポットを当てて考えた場合、正社員は「健康保険料の負担が少ない」という特徴があるでしょう。
正社員の場合、各種税金は毎月の給与から天引きされるのが一般的です。自分で確定申告や納付手続きをする必要はありません。一方で業務委託の場合は、収入が事業所得として処理されます。収入から税金が天引きされる仕組みはないため、年間の収入に対して自分で確定申告して税金を収める必要があります。
業務委託で仕事をしたいと考えているものの、はたして自分には適性があるのかどうか不安に感じている方もいるのではないでしょうか。そこでここでは、業務委託・正社員・派遣社員のメリットとデメリット、向いている人の特徴を解説します。それぞれの働き方のメリット・デメリットは、以下の表のとおりです。メリットとデメリットを比較したうえで、自分に向いているかどうかを確認しましょう。
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業務委託は個人のスキルを活かして活躍する働き方です。具体的なメリットとしては次のものが挙げられます。
自分が持っているスキルを活かしつつ、自由な働き方を求める方に適性があるといえるでしょう。自己管理スキルが高い方にも適性があるといえます。
ただし、自由度が高く努力次第で収入を増やせる反面、以下のデメリットが存在する点も事前に理解しておきましょう。
正社員は収入面と福利厚生において安定性の高い雇用形態という認識が一般的です。実際に次のようなメリットが挙げられます。
安定した環境で働きたいと考えている方に向いている雇用形態といえます。
一方、以下のように仕事の自由度やトラブル時の柔軟性といった面ではデメリットがある点を押さえておきましょう。
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業で業務に携わる雇用形態です。派遣社員として働くメリットとして、以下のものが挙げられます。
自分のライフスタイルに合わせて働きたい、さまざまな業務を通じてスキルアップしたいといった方に向いている雇用形態といえるでしょう。
ただし一方で、以下のデメリットがある点を押さえておく必要があります。
企業が業務委託をする理由として、主に自社のリソース最適化やコスト削減、業務効率化などが挙げられます。経理や人事などのバックオフィス業務を外部に委託し、社員が企業の根幹を担う業務に集中できる環境作りに取り組んでいる企業もあります。
ただし外部に業務を委託することで機密情報の漏えいや社員のスキルアップにつながらないといったリスクもあるため、業務委託を検討する際にはリスク管理が重要です。
個人で契約を交わす業務委託には、偽装請負や書面で契約を交わすなど、注意したい点がいくつかあります。とくに契約を交わす際には、契約内容をよく確認することが重要です。ここでは業務委託契約を交わす際に、注意したいポイントを解説します。
業務委託の契約を交わす際は「偽装請負」に注意しましょう。偽装請負とは、正社員や派遣社員などと同様の働き方にもかかわらず、業務委託として請負契約を交わすことです。
自社に都合がよいと考え、偽装請負をしている依頼主も少なからず存在する点は覚えておく必要があるでしょう。そのため、契約を交わす際には契約内容を精査し、不明点がある場合には事前確認を徹底するのが重要です。
請負契約で業務委託の場合は、成果物に対しての報酬が発生し、依頼主と受注者は対等な関係性と判断されます。偽装請負かどうかは、タスクを遂行するうえで「時間拘束」や「業務内容」などの細かい指示があるかを基準に考えましょう。仕事の進め方について細かい指示が出されている場合には、偽装請負の可能性が考えられます。
契約書にはいくつか種類が存在します。具体的には次の3種類を押さえておくのがおすすめです。それぞれの特徴を明確に把握しましょう。
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継続的な受注が見込める場合は毎月定額型、成果に応じて受注する場合は成果報酬型など状況に応じて使い分けましょう。
書面で契約を交わすことも大切なポイントです。これから何かしらの契約を交わす機会がある方は、書面で契約を交わすように依頼主に伝えましょう。具体的には次の項目をチェックするのがおすすめです。
口頭で契約を交わした場合、後からトラブルになりかねません。「報酬の金額が違う」「業務内容が違う」など、契約後に依頼主との認識が違うと感じる可能性もあるでしょう。そのような場合に書面の契約書があると、トラブルをスムーズに解決できます。
これから転職を考えている方は、自分にはどのような働き方が向いているのかを理解しておくと、転職活動がスムーズに進みます。働き方の多様化に伴い、在宅勤務やリモートワークなどを積極的に導入している企業も少なくありません。
業務委託か正社員かといった雇用形態だけで考えるのではなく、転職によるキャリアビジョンを基準に働き方を選択しましょう。ワークスタイルの特徴や企業情報などを詳しく把握するのが大切です。
働き方の多様化に伴い、さまざまなワークスタイルで活躍している方がたくさんいます。そのため働き方の相違点に関する理解が、転職成功の鍵を握るといえるでしょう。
正社員や派遣社員、業務委託では、企業との契約の形態や業務内容、報酬などが異なります。まずは自分の理想とするワークスタイルを検討し、契約に関する知識を深めてみてはいかがでしょうか。「自分に合ったワークスタイルが分からない」と悩んでいる方は、マイナビエージェントにご登録ください。
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