更新日:2022/07/07
転職活動の際には大企業と中小企業のどちらに就職したほうがよいのか、迷う方もいるのではないでしょうか。また、両者の違いがよく分からずに、イメージや雰囲気で言葉を使用している方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、大企業と中小企業の定義や違い、メリット・デメリットを紹介します。
それぞれに向いているタイプが分かれば、自分にあった転職先を選べるでしょう。
目次
企業の規模は「中小企業基本法」によって明確に定義されています。
中小企業基本法とは、昭和38年に制定された法律です。
第1条から第30条まで本則があり、中小企業の分類について社員数や資本金といった条件で細かく規定しています。中小企業基本法で規定した定義の範囲内である企業が中小企業、中小企業の定義を超える企業が大企業です。
中小企業基本法による主な違いは、社員の人数や資本金、出資額です。
一定の条件を満たしていると中小企業、超えている場合には大企業と呼びます。
また、業界ごとの規定が異なるため、業種によって基準となる人数や金額が一律ではありません。
ここでは、大企業と中小企業の違いについて詳しく解説します。
大企業と中小企業の違いのひとつは、社員の人数です。
中小企業基本法では、業種ごとに常時使用する従業員数を定義しています。
具体的には、小売業が50人以下、サービス業や卸売業が100人以下、製造業や建設業、運輸業やそのほかの業種が300人以下です。
社員数が中小企業を定義する人数を超えた場合、大企業に分類されます。
社員数以外にも資本金や出資額に関する定義があり、中小企業と呼ぶには一定の金額以下でなくてはなりません。資本金または出資額の総額が、小売業とサービス業は5,000万円以下、卸売業は1億円以下、製造業や建設業、運輸業やそのほかの業種は3億円以下と定められています。
資本金または出資額の総額が定められた範囲を超える企業が大企業です。
日本の企業は中小企業の割合が非常に高いという特徴があります。
「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」が平成28年に調査した結果によると、全企業のうちの99.7%が中小企業であることが分かりました。従業者数においては、中小企業で働く方が全体の68.8%です。
中小企業基本法では、全国展開している企業でも基準を満たしていれば中小企業に分類されます。
したがって、統計上は大企業を中小企業が上回るというのが、中小企業が多い理由です。
収入が高い傾向があり、福利厚生や休暇制度が充実していることが大企業の魅力です。また、スケールの大きな仕事に関われることや社会的信用を得られることもメリットといえるでしょう。
ここでは、大企業に就職するメリットを紹介します。
大企業と中小企業を比較すると、大企業は平均給与が高い傾向があります。
平成30年の厚生労働省の調査によると、大企業に勤める男性の平均月収が38万7,000円であるのに対し、中企業は32万1,500円、小企業は29万2,000円でした。女性も同様に、大企業の平均月収が27万700円であるのに対し、中企業は24万4,400円、小企業は22万3,700円です。
手当が充実していることや、ボーナスや昇給といった制度が整っていることから、大企業は収入が高くなる傾向があると考えられます。
福利厚生や休暇制度が充実していることもメリットといえます。
制度は企業ごとに大きく異なり、年金や保険制度以外にも家賃補助や社宅の完備、育児支援とさまざまです。労働時間や休暇制度がきちんと保たれている企業も多いでしょう。また、大企業は教育制度が整っているという特徴があります。
さまざまな研修を開催しているケースもあり、専門家になるためのスキルを学ぶことでスキルアップが目指せるでしょう。
社会的信用を得られることも大企業ならではのメリットです。
将来が安泰というイメージがある大企業の社員は社会的信用が高く、特にネームバリューのある企業であれば、個人的な信用も高くなる傾向があります。
たとえば、ローンの借り入れのときに有利に働くこともあるでしょう。また、ネームバリューが高い企業に勤めることは自分のステータスにつながるため、商談を進めやすいといったメリットがあります。
長期的なキャリアプランを立てやすいのも魅力です。
スケールの大きな仕事に関わったりさまざまな業務に携わったりすることで、自らのスキルを存分に磨けます。特に教育制度が整っている大企業であれば、将来のビジョンを描きやすいでしょう。
また、安定性があるのもメリットのひとつです。大企業の場合、経営が多少悪化しても簡単に倒産するケースは少ないでしょう。
大企業には多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。
たとえば、家族がいると転勤が負担に感じる方もいるでしょう。また、人付き合いが苦手な方は人間関係にストレスを感じるかもしれません。
ここでは、大企業で働くデメリットを紹介します。
大企業は全国展開している企業が多く、中小企業と比べて転勤に関する悩みが多い傾向があります。
住み慣れた土地を離れて、本社やほかの地方の支社に転勤しなければならない場合もあるでしょう。
また、急に転勤が決まると、家族がいる方は心身共に負担を強いられます。
すぐに転職や転校の手続きをする必要があり、新しい土地に慣れるのも時間がかかるためです。
ただし、企業によっては転勤を断れるケースもあります。
たくさんの人と関わる大企業は、人間関係の悩みが多くなりがちです。
大企業は働いている従業員の人数が多く、ひとつの部署に100人以上が所属しているケースもあります。社員が多いこと自体はメリットでもありますが、人間関係が複雑になるのはデメリットです。
特に派閥があったり上下関係が厳しかったりすると、人間関係に疲れてしまうこともあるでしょう。
大企業は社員の数が多い分、ライバルがたくさんいるというデメリットがあります。
中小企業と比較して一人ひとりが評価されにくいため、出世するのは難しいかもしれません。
よほどの自主性や積極性を発揮しないと、周りに埋もれてしまう恐れがあります。
仕事の成果が正当に評価されない状況が続くと、出世を諦めてしまう方もいるでしょう。
大企業は平均給与が高く、福利厚生が充実しているというメリットがあります。
したがって、充実した制度の恩恵を受けながら安定した収入を得たい方や長期間働ける職場を求める方には大企業が向いているでしょう。
人間関係の悩みや出世争いのストレスは、大企業で働くデメリットです。
周囲の人間関係を把握し、うまく立ち回れる方は大企業に向いています。
また、自主性や積極性があり、自分の意見を発信できる方は仕事を評価してもらえるチャンスが増えるでしょう。自らのステータスを上げたい方も、大企業で働くことでキャリアアップを目指せます。
社員数が少ない中小企業は、さまざまな仕事に携われるのがメリットです。
人間関係を築きやすく、よいチームワークで仕事ができます。
楽しい職場環境であれば、「会社に行きたくない」と憂鬱な気分になることも少ないでしょう。
ここでは、中小企業で働くことで得られるメリットを紹介します。
さまざまな仕事を担当できるのがメリットのひとつです。
分担作業が多い大企業と異なり、中小企業では幅広い仕事に携われます。
経理担当者を例に挙げると、日々の取引管理や月次業務、年次業務や資料作成など、ひとりで多くの業務をこなすのが特徴です。多くの仕事を担当することで、負担は増えます。
ただし、幅広い知識とスキルを身につけるチャンスです。
さらに社員数が少ない企業であれば、職種によっては経営に関わる意思決定に関与できるかもしれません。
大企業と違い、昇給や昇格がしやすいことも中小企業のメリットです。
社員数が少ない中小企業は同期があまりいない場合が多く、大企業より早く企業の主力として働ける可能性があります。また、人数が少ないことにより、一人ひとりが評価されやすいのも特徴です。
若いうちから出世を目指している方にとっては大きなメリットといえるでしょう。
中小企業で働くことで、地域に密着した仕事ができるというメリットがあります。
地域密着型の仕事は地元の住民の声を聞き、直接手を貸せるのが魅力です。
たとえば、町の工務店の場合、住宅に関する悩み相談やドアノブの修理といった小さな業務で顧客との信頼関係を構築できるでしょう。一方、大企業は地域密着型の仕事をするのが難しい傾向があり、上記のような業務は難しいかもしれません。
地元に密着したやりがいのある仕事は、中小企業ならではの魅力といえるでしょう。
人間関係を密に構築できることも中小企業のメリットです。
社員があまり多くない中小企業はアットホームな雰囲気の職場が多く、勤務年数や役職にかかわらず仲よくなれるケースがあります。また、社員が少ないと役割分担や情報共有がしやすく、チームワークをよくしたり業務効率を高めたりすることが可能です。
職場の人間関係がよいとストレスが減り、プライベートの充実にもつながるでしょう。
多くの魅力がある中小企業ですが、年収が低く将来が不安という点はデメリットです。また、労働時間が長くなる傾向があることから、大企業に比べて休暇が取りにくい環境といえるでしょう。
ここでは、中小企業で働く際に不満や不安を感じるデメリットを紹介します。
中小企業の多くに共通するデメリットとして挙げられるのが、年収が少ないことです。
平成30年に厚生労働省が賃金について調査した結果、中小企業の平均月収は大企業に比べて2万円から10万円程度低いことが分かりました。平成25年から平成30年の賃金を比較しても、すべての年で大企業の平均月収が上回っています。収入が低いことは生活していくうえで不安につながるでしょう。
小さな規模の会社で働いていると、会社の将来性や安定性に不安を感じる場合があります。
たとえば、下請け企業は親会社の仕事が減ると、仕事がなくなることが考えられるでしょう。
業績が悪化すれば、倒産する恐れもあります。
また、家族や親族といった小さな規模で経営している会社は昔ながらの古いやり方で仕事を進めているケースもあり、価値観の違いから将来に不安を感じることもあるでしょう。
社員の人数が少ない分、労働時間が長くなる傾向があるのもデメリットです。
忙しい時期やほかの社員の休暇が重なったときは、残業を任されたりひとりで多くの業務を背負ったりする場合があります。反対に、自分が休むときには同僚やチームのメンバーに業務を代わってもらう必要があり、休暇の取りにくさに不満を感じるかもしれません。
中小企業では地域に密着した仕事ができる傾向があります。
したがって、地元で働きたい方や人と密接に関わる仕事をしたい方におすすめです。
幅広い仕事に携わることで自らのスキルを磨き、早く成長したい、出世したいという意気込みがある方も中小企業が向いているでしょう。ほかの地方への転勤がない企業も多く、同じ場所で長く働き続けたい方にとっても魅力が多い選択肢です。
転職を検討しているとき、どの就職先が自分にあっているのか、悩む方も多いでしょう。
たとえば、「ネームバリューのある大きな企業に憧れるものの、人間関係のストレスを感じたくない」「小さな企業で活躍したいけれど、収入面を不安に感じる」といった悩みです。
ここでは、自分にあった就職先を選ぶ方法を紹介します。
自分にあった就職先を選ぶには、譲れない条件を決めるとよいでしょう。
たとえば、給与が高い職場や休暇が取りやすい環境で働きたい方は、大企業を選ぶことで満足のいく転職ができます。一方、「早く出世したい」「地域に密着した仕事がしたい」といった条件が最優先であれば、中小企業がおすすめです。
自分が譲れない条件を決めることで、どちらを選べばよいのか分かるでしょう。
転職する際に給与を重視する方は多いでしょう。しかし、給与以外の条件にも目を向けることが大切です。
具体的には、社宅や休暇制度、育児支援といった福利厚生が充実していると、安心感のある生活を送れるでしょう。また、教育に関するサポートがしっかりとしている企業では、入社後すぐにスキルアップを目指せます。
給与面だけでなく、福利厚生や教育制度もチェックするのがポイントです。
就職や転職を検討するときには、自分にあった職場環境で働きたいと考える方も多いでしょう。
しかし、たくさんの企業の中から希望に沿った企業を見つけ出すことは容易ではありません。特に、社風は求人票から読み取れないため、想像と違っていたと転職後に後悔するケースがあります。
希望に沿った企業を見つけるには、転職エージェントを活用するのがおすすめです。
転職エージェントでは、非公開の求人から転職先を探せます。また、事前に社風を把握することで、自分にあった環境の企業に就職できるでしょう。
大企業・中小企業といった企業規模は、中小企業基本法で定義された条件で分類されます。
具体的な条件は資本金や出資額、社員の人数です。
働き方や給与にも差があり、それぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらを選べばよいか迷う方もいるでしょう。
就職や転職を成功させたいと考えているのであれば、転職エージェントの利用をおすすめします。
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