更新日:2024/06/06
医薬品の研究開発・生産を行い、医療を支える役割を担う製薬会社は世界各国に存在します。
日本にも、外国に本社を構える外資系製薬会社が数多く参入しており、ニュースや新聞などでも目にする機会が増えているのではないでしょうか。
今回は、外資系製薬会社に転職を希望する人に向けて、企業形態や特徴といった基本情報、外資系製薬会社で求められる職種などを紹介します。
外資系証券会社に対する転職活動のポイントも含めて解説していくので、参考にしてみてください。
目次
外資系製薬会社の一般的な定義のひとつは、外国法人であることです。
経済産業省の『外資系企業動向調査』では、外国投資家が企業の1/3を超す株式を所有しつつ、企業資本の10%以上を外国の筆頭出資者が出資する製薬会社も外資系とされています。
製薬会社は全世界に向けてビジネスを行う傾向があります。
世界でもトップクラスの市場規模がある日本の資本や開発力などを求め、日本にも外資系製薬会社が次々と進出してきています。
外資系製薬会社における日本法人の役割は、臨床開発や医薬品製造、マーケティング、情報提供など多岐にわたります。
外資系製薬会社の特徴には、国内の製薬会社と異なる点もあります。
相違点に着目しながら外資系製薬会社の特徴を掘り下げてみましょう。
独自性を把握しておくと、働き方をイメージしやすくなります。
転職活動の際の分析にも役立つかもしれません。
外資系製薬会社は、多くがグローバルに事業展開しているため、日本の製薬会社よりも規模が大きい傾向にあります。
製薬会社の売上高世界ランキングでも、上位には外国の製薬会社が並び、日本の製薬会社の順位を大きく上回っています。
売り上げ好調な外資系製薬会社は、国内製薬会社よりも医薬品の研究や開発に多額の費用をかけられるという強みがあるといえるでしょう。
海外では新薬の開発が盛んで、開発や製造、販売のための人材が集まっています。
その結果、事業スケールが拡大し、世界規模の企業となっているのが外資系製薬会社の特徴です。
外資系企業は日本企業とは異なり、成果主義である傾向がみられます。
外資系製薬会社も同様で、日本企業のような年功序列の給与体系ではなく、企業が多額の利益を得られるような成果を上げた人物にインセンティブを支払う場合がほとんどです。
成果を上げて実績を積めば年収が増えていく傾向にあるため、国内製薬会社よりも高い収入を得られる可能性があります。
また、外資系製薬会社には医療系特有の専門知識や営業力が問われる業務を行う職種も存在するため、その専門性の高さから元々の年収が高めに設定されていることもあるようです。
外資系製薬会社では、新薬の開発が活発です。
多額の資本を持っているため、既存の医薬品製造以外の研究にも費用をかけることができます。
医薬品の研究や開発が順調であれば、相次いで新薬を作り出すことも可能でしょう。
新薬が完成したら、多方面へ販売したり増産したりする流れが起こり、よりたくさんの利益をあげられます。
新薬で得た利益をもとに、また新たな医薬品を作り販売するといった、新薬を開発しやすい流れが作られています。
国内製薬会社と比較して、外資系製薬会社は意思決定が迅速であるという特徴があります。
国内製薬会社は、大勢の人物から合意を得たうえで事業を進める傾向にあり、ひとつの事業を行うごとに会議が催されるため、意思決定が遅くなりがちです。
多くの外資系製薬会社では、部署の上層部が指揮権を持っており、事業方針や事業継続の可否などの決断を上層部が下し、部下に指示を出すという形がとられています。
上層部が決定した内容をすぐに部下に伝えられるため、意思決定から実施までがスピーディーに行えます。
外資系製薬会社では成果を重要視する傾向があるため、会社が設定する目標を達成できなかったり求められる実績をあげられなかったりすると、自身が所属する組織が廃止となる可能性もあります。
また、外国にある本社の経営が傾くと、派遣先である日本の外資系製薬会社にも規模縮小や経費削減などの影響がおよぶでしょう。
企業利益に対してしっかりと貢献していたとしても、経営合理化といった理由で組織解体が行われることも考えられます。
外資系製薬会社は、外資系企業のなかでは福利厚生が充実しているといわれています。
外資系企業は、終身雇用を目的とした日本企業とは異なり、福利厚生が手厚くないことが一般的です。
しかし、外資系製薬会社は多くの企業で、在宅勤務制やフレックスタイム制を取り入れているほか、住宅補助や退職金などを導入している企業もあります。
ほかの外資系企業に比べ、ワークライフバランスを保ちやすい傾向にあり、外資系製薬会社に一度就職すると別の業界には転職しないという人も多くみられます。
外資系製薬会社への転職に興味を持ったら、どのような職種があるか知っておきましょう。
外資系であっても職種については国内製薬会社と大きな違いはみられません。
ここでは、製薬会社の主な3つの職種に絞って解説します。
外資系製薬会社における研究職は、医薬品研究に携わる代表的な技術系職種です。
新薬の研究はもちろん、既存の医薬品をより効果が得られるように改良したり、後発医薬品(ジェネリック医薬品)を作り出したりと、業務内容は幅広いでしょう。
医学・薬学・理化学などの知識を豊富に持つ人材や、大学や大学院で理系科目を専攻していた人が多く活躍しています。
外資系製薬会社内で研究が行われた医薬品が、人体にどのような影響を与えるか、安全性に問題はないかなど、臨床試験を行うなどして調査を進めていくのが開発職です。
研究で得られた実験結果をもとに、人体への効果が期待できると分かった薬を、医療施設や被験者が協力する治験によって確立させていきます。
治験で得られたデータを回収し、厚生労働省への医薬品申請・承認への資料も作る重要な職種といえるでしょう。
MRやMSLは外資系製薬会社における営業職のことです。
MRは、医療関係者に対する医薬品情報の提供・収集を主な業務としています。
一方MSLは、医療関係者との面談によって、自社製品の適正使用推進や価値の最適化を医科学的な面からアプローチする職種です。
情報提供とセールスを併せて行うことが製薬会社ならではの営業業務といえます。
医師や薬剤師と直接関わりながら多くの情報を集め、状況に応じて迅速な対応が必要となる場合もあるでしょう。
外資系製薬会社で活躍しているのは、自身のスキルをしっかりと生かせる人物だと考えられます。
では、具体的にどういった力が必要なのでしょうか。
ここでは5つのポイントに絞って、外資系製薬会社で求められるスキルをみていきましょう。
外資系製薬会社への転職を希望している人は参考にしてみてください。
外資系製薬会社では人と接する機会が多いため、コミュニケーション能力が欠かせません。
MRやMSLといった営業職以外の職種でも、コミュニケーションが重要となることを心得ておくとよいでしょう。
上層部が部下に向けて直接指示を出すような社内環境であることを考えると、上司との良好な関係を作っておく必要もあります。
さまざまな人物とよい関係を築ける人材は、外資系製薬会社で重宝されるでしょう。
外資系製薬会社で働くうえで、一定レベルの語学力は必要です。
外資系製薬会社のように外国に本社がある企業は、本社とのやりとりは英語が中心となります。
社内メールはもちろん、本社従業員との電話でやりとりを行うこともあるため、高い語学スキルを持つ人材は採用されやすいでしょう。
目安としてはTOEIC750点程度、研究職や開発職として勤務したい場合は800点以上のスコアを出せるような英語力を身につけるとよいといわれています。
外資系製薬会社は医療系分野であるため、従業員には相応の専門知識が必要とされます。
特に研究職・開発職は、理系の大学や大学院で修士および博士の学位を取得していることが条件となる場合もあります。
外資系製薬会社の営業に従事する人物は、文系出身という場合もありますが、入社後に専門資格を取得しなければならないことも多く、多くの専門知識を身につける必要があります。
外資系製薬会社は、病院や薬局などから医薬品の情報を得ることが多くあります。
場合によっては、自社製品の副作用に関する報告を受けることもあるでしょう。
薬機法では企業が副作用の情報を知ったときには、厚生労働大臣に報告する義務があると定められています。
副作用報告をはじめとする予測不能なトラブルが起こっても、冷静に状況を判断し、行迅速な対応ができるスキルが必要といえます。
外資系製薬会社のなかには多国籍の従業員で構成されている企業が多くあります。
コミュニケーション能力や語学力とも関係しますが、仕事を進めるうえで、日本人とは異なる文化や宗教に対する理解は必要不可欠です。
自身とは異なる環境に身を置く人物に対し、積極的に理解を深める努力ができる人材は、外資系製薬会社で大きく活躍できる可能性があります。
外資系製薬会社の特徴を詳しくみていくと、簡単に挑戦できないような気持ちになるかもしれません。
しかしポイントを押さえて転職活動を行うことで、自身の希望に沿った外資系製薬会社をみつけられることもあります。
転職活動を成功に導く方法や、転職活動を進めるにあたり注意したい点をまとめました。
外資系製薬会社は成果重視であり、できるだけ早く会社が求める実績を上げられる人材を求めています。
外資系製薬会社が、従業員を採用するにあたり重視することは、会社が掲げる目標に応じた即戦力となりうるか、という点でしょう。
転職成功率を上げるためには、外資系製薬会社がどのようなスキルを持つ人材を求めているのか、リサーチしておくことが重要です。
希望する外資系製薬会社に自身のスキルや経験がマッチするか、しっかりと情報収集を行っておきましょう。
外資系製薬会社に提出する書類は、自身の経験を整理し、要点をまとめたうえで記載するように心がけましょう。
職務経歴書に概要を記載する場合も、専門領域や得意とする分野に関する記述をすることが大切です。
また、外資系製薬会社では英語による履歴書や職務経歴書の提出を求められることが多くあります。
母国語が英語ではなく記載内容に自信が持てない場合は、第三者にチェックしてもらうことがおすすめです。
外資系製薬会社の面接試験まで到達したら、自身のことをはっきりと言葉にして伝える練習をしましょう。
得意とすることや、企業に対してどのように貢献できるかだけでなく、苦手な分野があることもしっかりと伝えることで転職の成功へとつながります。
企業への志望理由と併せて、入社にあたり苦手分野をカバーする具体的な策などを添えて伝えるとよい印象を与えるでしょう。
また、医療的な専門知識に加え、製薬業界の動向を知っておくと、面接の際に慌てることが少なくなります。
日本の製薬会社では、長期間在籍することで昇進や年収アップの可能性があります。
同じ企業で働き続けるために、経験の幅が狭まるという欠点もあります。
成果主義の外資系製薬会社が求めるのは、企業に有用な利益をしっかりと上げられる人材。
成果を上げるためにはさまざまな経験が必要となるため、外資系製薬会社の方針は個人の成長にもつながるといえるでしょう。
実践的なスキルを伸ばしやすく、キャリアアップの足掛かりを作りやすい外資系製薬会社は、転職を考える人たちの間で注目を集めています。
外資系製薬会社は、海外に本拠地を置きグローバルに展開している企業が多いことが特徴です。
医療専門知識が必要なうえ、迅速な対応能力や多様なコミュニケーション能力なども求められる場合もあるでしょう。
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