更新日:2025/06/30
この記事のまとめ
短時間正社員は、正社員としての安定性を保ちながら、労働時間を柔軟に調整できる働き方として注目されています。この制度は、フルタイムの労働時間を減らしながら正社員としての待遇を享受できるのが特徴です。特に、家庭や自分の時間を大切にしたい方々にとって、有力な選択肢となるかもしれません。
しかし、短時間正社員という制度がどのように機能し、自分にとって最適な選択であるかを理解するには、具体的な知識を持つことが重要です。
そこでこの記事では、短時間正社員の基本的な制度内容、ほかの雇用形態との違い、メリット・デメリット、転職の進め方までをわかりやすく解説します。情報をキャッチして、自分の状況や価値観に合った働き方を実現させましょう。
目次
短時間正社員とは、フルタイム勤務よりも短い時間で働きながらも、正社員としての安定した雇用を維持できる働き方です。ここでは、短時間正社員の基本的な定義から、一般的な勤務時間の設定、給与体系、さらには社会保険や雇用保険の適用条件まで、短時間正社員を選択する際に知っておきたい基本的な知識を解説します。
短時間正社員とは、フルタイムの正社員と比較して所定労働時間が短い正規型の労働者のことです。厚生労働省では、提示しているガイドラインにおいて、2つの条件を満たす働き方を短時間正社員として整理しています。
一般的な勤務時間は、企業によって柔軟に設定されています。通常、フルタイム正社員は1日8時間程度で週5日勤務が基本ですが、短時間正社員は1日6時間勤務や週4日勤務などの形態が多くみられます。
企業ごとに勤務時間の設定は異なりますが、原則として正社員としての雇用形態や待遇が維持される点が特徴です。仕事と生活の両立を図りたい方にとって、有効な選択肢となるでしょう。
短時間正社員の給与体系は、フルタイム正社員の賃金を基準に、短縮された労働時間に比例して調整されるのが一般的です。たとえば、月額24万円のフルタイム正社員が8時間から6時間勤務(75%)に短縮した場合、給与は18万円(24万円×75%)となります。
賞与や各種手当の支給は企業ごとの就業規則により異なります。通勤手当や住宅手当がそのまま支給される場合もあれば、勤務日数に応じて支給額が調整されるケースも見られます。
時給制ではなく月給制を採用している企業も多く、継続的な収入を得やすい点が、短時間正社員の大きなメリットのひとつです。
短時間正社員が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
雇用保険の加入要件は、週20時間以上の勤務と31日以上の雇用見込みがあることです。なお、2025年4月から新設された「育児時短就業給付金」は、2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して働く雇用保険の被保険者に対して、時短勤務中の賃金の10%が支給される制度です。
この給付金は、短時間正社員が育児のために労働時間を短縮した場合も、一定の条件を満たせば支給対象となります。
参照:「育児時短就業給付の内容と給付申請手続」|厚生労働省
参照:「社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について」|厚生労働省
参照:「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」|厚生労働省
仕事とプライベートの両立を実現する「短時間正社員」制度は、さまざまなライフスタイルを持つ人にとって魅力的な選択肢です。たとえば、育児や介護に時間を割きたい人、体力的・健康上の理由で長時間勤務が難しい人、趣味や副業に充てる時間を確保したい人などに向いています。
また、長期的に働きながらキャリアを維持したいと考えている人にとっても、正社員としての雇用を確保しつつ、自分のペースで働ける点が魅力です。柔軟性と安定性のバランスを重視する方に適した制度といえるでしょう。
短時間正社員という働き方は、ほかの雇用形態と混同されやすい側面があります。ここでは、フルタイム正社員、育児・介護に伴う時短勤務、そしてパート社員との違いを比較し、それぞれの特徴を整理します。
以下の表は、短時間正社員とフルタイム正社員の主な違いを比較したものです。
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短時間正社員は、労働時間が短い分、給与や昇進評価に影響が出ることもあります。企業によって制度内容は異なるため、働き方の希望に応じて事前に確認しておくと安心です。
以下の表は、短時間正社員と育児・介護のための時短勤務制度の主な違いを示したものです。
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短時間正社員制度と時短勤務には、制度の目的や適用条件に明確な違いがあります。短時間正社員は企業が任意で設ける制度で、育児・介護以外の理由でも活用でき、長期的な働き方として設計されています。
一方、時短勤務は育児・介護休業法に基づく法定の制度であり、育児や介護という特定の事由がある場合のみ適用され、事由終了後は通常勤務に戻ることが前提です。なお、2025年の法改正を受けて対象や内容が拡充されています。
参照:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」|e-GOV法令検索
以下の表は、短時間正社員とパート社員の違いを比較したものです。
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短時間正社員は、雇用の安定性や待遇面で正社員に近い制度が整えられている点が特徴です。一方で、パートは、柔軟な勤務形態や短時間勤務が可能であるなど、ライフスタイルに合わせた働き方が選びやすい利点があります。
正社員として働きながらも時間的余裕を持ちたい方にとって、短時間正社員制度は魅力的な選択肢です。しかし実際にこの働き方を選ぶ前に、メリットとデメリットを十分に理解しておくことが大切です。ここでは、短時間正社員として働く際のプラス面とマイナス面を詳しく解説します。
短時間正社員は、正社員としての雇用を維持しながら、生活に合わせた柔軟な働き方ができる制度です。育児や介護、健康上の理由などでフルタイム勤務が難しい場合も、仕事を継続しやすく、離職リスクを抑えることができます。
社会保険や福利厚生の対象になることが多く、非正規雇用に比べて安定した待遇が受けられる点も魅力です。キャリアの継続や成長も見込めるため、家庭と仕事の両立を目指す人にとっても現実的な選択肢といえるでしょう。
短時間正社員は柔軟な働き方が可能な一方で、いくつか意識しておきたい点もあります。たとえば、勤務時間が短いことで業務内容や責任の範囲が限定され、評価制度や昇進機会に影響することがあります。
また、短時間正社員は、フルタイム正社員と同様の待遇を受けることが原則とされていますが、賞与や退職金などがフルタイム正社員と異なる算定方法になる可能性にも留意しておいたほうがよいでしょう。
さらに、短時間正社員の求人はまだ限られている傾向があり、希望する条件に合致する企業を見つけにくいという課題もあります。
こうした点は企業ごとの制度設計に左右されるため、あらかじめ条件を確認しながら、自分に合った働き方を検討することが大切です。
短時間正社員になる方法は、主に2つの選択肢があります。ひとつ目は現在勤務している会社の制度を利用する方法、2つ目は転職活動を通じて短時間正社員として働ける企業へ移る方法です。
どちらの道を選ぶにしても、雇用の安定性を保ちながら自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現するための具体的なステップがあります。自分の状況に最適な方法を選んで、理想のワークライフバランスを手に入れましょう。
勤務先に短時間正社員制度が導入されている場合、人事や上司との相談を通じて制度の利用を相談・申請することが可能です。会社によっては、就業規則に申請手続きや条件が明記されているため、まずは制度の有無と要件を確認することが第一歩です。
転換後の勤務時間や担当業務、給与・評価制度なども相談・確認し、自分にとって無理のない働き方を目指しましょう。
現在の職場で制度がない場合や、環境を変えたいと感じたときには、短時間正社員制度を導入している企業への転職する選択肢もあります。
求人票だけでは勤務形態が明記されていないこともあるため、転職エージェントを活用して、制度の有無や勤務条件を事前に確認しておくと安心です。自分の希望に合った働き方ができる企業を見つけるためにも、情報収集と準備を丁寧に行いましょう。
短時間正社員として新たな一歩を踏み出したい、効率的に転職活動を進めたい、とお考えの場合は、転職エージェントの活用をおすすめします。マイナビエージェントは、自分らしい働き方を実現したい方の強力なパートナーです。マイナビエージェントには、希望条件に合った求人紹介に加え、働き方に関する丁寧なヒアリングや書類作成のサポートなど、充実した支援体制が整っています。
短時間正社員の制度を活かした働き方を探す際は、制度の有無や職場の柔軟性、将来のキャリアビジョンまで含めて相談できるプロのアドバイザーの存在が効果的です。自分に合った働き方を実現するためにも、ぜひマイナビエージェントをご活用ください。
短時間正社員は、柔軟な働き方と正社員としての安定性を両立できる制度です。育児や介護など、ライフステージに応じた働き方を模索する中で、多くの人にとって現実的な選択肢となるでしょう。制度の内容や企業ごとの運用方法を理解したうえで、フィットする働き方を選ぶことが大切です。
短時間正社員としての転職を検討する際は、ぜひマイナビエージェントをご活用ください。経験豊富なキャリアアドバイザーと一緒に、あなたにとっての最良の働き方を見つけましょう。
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