更新日:2026/10/07

この記事のまとめ
初めて退職願を書くときは、退職届との違い、日付や宛名、封筒、提出時期などに迷うものです。書き方とともに、書類が持つ法的な意味も確認しましょう。
この記事では、それぞれの書類の違いから例文、封筒の書き方と折り方、提出の流れ、退職後の保険・年金手続きまで解説します。
目次

同じように見える書類でも役割は異なります。意味と法律上の退職ルールを整理しましょう。
一般的な意味は次のとおりです。法的な効果は名称だけでなく、本文や提出経緯などから判断されます。
|
退職願・退職届の用紙や書式を定めた法律はありません。無期労働契約では、退職の申入れが会社に到達してから原則2週間で契約が終了します(民法627条1項)。一方的な辞職に会社の承認は不要ですが、就業規則の期限を確認し、可能な範囲で余裕をもって伝えましょう。
有期労働契約では、契約途中の退職に会社との合意や「やむを得ない事由」が必要な場合があります(民法628条)。ただし契約期間自体が1年を超える契約は、特定の事業完了までの契約、高度な専門的知識などを有する一定の労働者、満60歳以上の労働者などを除き、開始から1年経過後に申し出れば退職できます(労働基準法附則137条)。通算勤続1年ではないため、契約期間と開始日を確認しましょう。

退職時には引き継ぎや事務手続きが発生します。書類を作る前に、会社のルールと希望する退職日を確認しましょう。
就業規則には、退職を申し出る期限、提出先、所定様式、退職金、有給休暇、貸与品の返却などが定められている場合があります。まず「退職」「休職・退職」「服務」などの項目を確認しましょう。期限が「1ヵ月前」などと定められていれば、引き継ぎを円滑にするため、可能な範囲でしたがうのが実務的です。ただし、無期労働契約の一方的な辞職は法律上原則2週間で効力が生じ、会社の承認がなければ退職できないわけではありません。健康問題やハラスメントなど切迫した事情があるときは、一人で抱え込まず相談窓口を利用しましょう。
転職先の入社日、引き継ぎに必要な日数、残っている有給休暇から退職日を逆算します。「最終出勤日」と雇用契約が終わる「退職日」は別の日になることがあります。残っている年次有給休暇は退職日までの所定労働日に請求できます。会社は、年休取得により事業の正常な運営を妨げる場合に限り取得時季を変更できますが、退職日後へ変更することはできません。残日数を確認し、早めに調整しましょう。
会社指定の様式があれば、それを優先します。指定がない場合は、次の準備物と一般的な記載項目を参考に作成してください。
白色でシンプルなA4またはB5の便箋・用紙を用意します。手書きなら黒色のボールペンか万年筆を使い、消せるペンや鉛筆は避けましょう。提出用の封筒と手元に残す控えも用意します。パソコンで作る場合はWordなどの文書作成ソフトとプリンターを使用します。


文面は縦書き・横書きで同じです。日付は縦書きで漢数字、横書きで算用数字とするのが一般的ですが、会社の表記に合わせましょう。
退職願に法律上決まった必須様式はありませんが、一般には次の8項目を記載します。


退職願との主な違いは、タイトルを「退職届」とし、合意済みの退職日または確定した退職日を記載し、文末を「退職いたします」とする点です。
退職届も一般には次の8項目で構成します。会社所定の様式がある場合は、その記載欄にしたがってください。
退職届は確定した意思表示として扱われる可能性があります。日付や文面を確認し、提出前に控えを保存してください。
退職願・退職届は手書きでなければ無効になるものではなく、会社指定がなければパソコン作成でも構いません。氏名だけ自筆にする方法もありますが、これも法的な必須要件ではありません。手書きで書き損じたら、新しい用紙に書き直しましょう。
解雇であれば、労働者が退職届を出す必要はありません。退職勧奨や事業所閉鎖など会社側の事情がある場合は、事実と異なる「一身上の都合」と書かず、「貴社からの退職勧奨に応じ」など事実に合う表現を記載します。離職理由はハローワークが双方の主張と資料に基づき判定します。離職票の理由が実態と異なればハローワークへ申し出て、書類の写しややり取りも保存しましょう。
封筒や折り方は法定要件ではありません。一般的なマナーを押さえ、会社指定があれば優先しましょう。
手渡しでは、白色・無地で中身が透けにくく、郵便番号枠のない封筒が一般的です。A4用紙の三つ折りには長形3号(長3)、B5用紙には長形4号(長4)が向いています。茶封筒でも書類の効力は変わりませんが、迷う場合は白封筒を選びましょう。

手渡し用の内封筒は、表面中央に「退職願」または「退職届」、裏面左下に所属部署名と氏名を記載します。封をせずにふたを折る方法が一般的ですが、のり付けした場合は綴じ目に「〆」と書くこともあります。会社の取扱いに合わせましょう。
郵送では、内封筒を添え状とともに一回り大きい外封筒へ入れます。外封筒の表に会社の住所・宛名、裏に自分の住所・氏名を書き、必要に応じて「親展」と記載します。追跡できる方法を選び、控えを保管しましょう。

用紙は文字面を内側にした三つ折りが基本です。文書の上部を上にして縦長に置き、下側3分の1を上へ折り、上側3分の1を下へ重ねます。折り目は定規などを使ってまっすぐ整えましょう。
文書の書き出し側が、封筒から取り出したときすぐ見える向きで入れます。縦書き・横書きで向きが異なるため、一度取り出して確認し、提出まではクリアファイルで保管しましょう。

会社の手続きに沿って、退職日、引き継ぎ、有給休暇、必要書類を順に確認します。受取を拒まれた場合の備えも押さえておきましょう。
これは一般的な一例です。退職願を使わず退職届だけを出す会社や、所定様式のみを使う会社もあります。書類の提出状況と合意した退職日は、メールなど記録に残る形でも確認しましょう。
転職先の入社日、有給休暇、引き継ぎ期間、就業規則の期限を確認し、希望退職日から逆算します。繁忙期には配慮しつつ、会社の都合だけで必要以上に先延ばしする必要はありません。
直属の上司に面談を申し込み、退職の意思と希望日を明確に伝えます。理由は「今後は○○分野に挑戦したい」など簡潔で構いません。
体調不良やハラスメントなどで直属の上司に直接伝えることが難しい場合は、人事部門、社内の相談窓口、労働組合などへ相談しましょう。社内で相談しにくい場合には、労働局や労働基準監督署などに設けられた総合労働相談コーナー、弁護士などの外部窓口も利用できます。
通常は就業規則に従い、直属の上司へ封筒のまま手渡します。これは実務上のマナーで、手渡しでなければ意思表示が無効になるわけではありません。面談では「退職についてお話ししたく参りました」などと切り出します。
上司が不在・受取拒否の場合や直接会うのが難しい場合は、人事部門や代表者への提出、記録の残る郵送を検討します。メールも送信記録と添付ファイルを保管しましょう。
まず、合意退職を申し込む「退職願」か、確定的な辞職を通知する「退職届・退職通知書」かについて整理します。無期労働契約の辞職に会社の承認は不要です。無期労働契約で辞職の意思が固まっている場合は、原則として、会社への到達から2週間以上先の日を退職日として明記し、人事部門や代表者へ書面で通知します。郵送する場合は、配達に要する日数も見込みましょう。
内容証明郵便は、文書の内容と差出日、差出人・受取人を証明しますが、受取までは証明しません。配達した事実を記録するには配達証明を併用し、控えと受領証を保管します。合意を求める退職願より、退職届・退職通知書が適する場合もあります。
解決しないときは、労働局の総合労働相談コーナー、労働組合、弁護士へ相談しましょう。未払い賃金や年休など労働基準法違反の疑いは、労働基準監督署にも相談できます。

退職日が決まったら、引き継ぎと公的手続きを並行して進めます。必要な書類は早めに会社へ確認しましょう。
担当業務を洗い出し、優先度と期限を整理します。資料には、目的、手順、関係者の連絡先、進行中の案件、過去のトラブル、ファイルの保管場所をまとめます。個人情報やパスワードは会社のルールに従い、安全に引き継ぎましょう。
可能なら後任者と作業し、質問時間を設けます。後任者が未定、または引き継ぎが未完了ということだけで当然に退職できなくなるわけではありません。パソコン、社員証、鍵などの返却方法も確認しましょう。
退職日の翌日に転職先へ入社して健康保険・厚生年金に加入する場合は、原則として新しい会社が手続きを行います。空白期間がある場合、健康保険は「国民健康保険」「退職前の健康保険の任意継続」「家族の健康保険の被扶養者」のいずれかを検討します。協会けんぽの任意継続は、原則として退職前に継続2ヵ月以上加入し、資格喪失日から20日以内の申出が必要です。国民健康保険は住所地の市区町村で原則14日以内に手続きします。20歳以上60歳未満で、退職後すぐに厚生年金へ加入しない場合は、国民年金の切替え手続きを確認しましょう。厚生年金に加入する配偶者の扶養に入り、第3号被保険者の要件を満たす場合は、配偶者の勤務先を通じて手続きします。それ以外は、原則として第1号被保険者への切替えが必要です。資格喪失証明書など必要書類を会社へ早めに確認しましょう。
参照:日本年金機構ホームページ
会社指定の様式がある場合は、それに従います。指定がなければ、手書きでもパソコン作成でも差し支えありません。手書きでは消えない黒色のペンを使い、パソコンではA4またはB5の白い用紙に印刷します。本人作成を明確にしたいときは、氏名を自筆にする方法もあります。
縦書き・横書きのどちらでも提出できます。縦書きも多く用いられますが、会社指定の様式や社内文書の形式があればそちらを優先しましょう。日付の数字、宛名、署名の配置は、選んだ形式の中で統一することが大切です。
取り下げの可否は、書類名ではなく意思表示の内容と会社の承諾状況で決まります。合意退職の申込みであれば、会社の権限ある者が承諾する前は、原則として撤回できます。一方、確定的な辞職通知は会社に到達した後、本人だけでは撤回できません。撤回したい場合は直ちに書面で会社へ申し出て、同意を得ましょう。

退職願は合意退職の申込み、退職届は退職が決まった後の届出や確定的な辞職通知として使われるのが一般的です。ただし、法的な扱いは文面や提出経緯で判断されます。会社の様式と就業規則を確認し、希望退職日から準備を逆算しましょう。
円満な退職と納得できる転職の両立には、早めの準備が大切です。マイナビ転職エージェントでは、求人紹介から書類添削、面接対策、条件交渉まで転職活動をサポートします。
大手人材派遣会社、自動車部品メーカーなどで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。各種講演会(東京商工会議所練馬支部、中央支部、各都道府県社会保険労務士会)講師及び各種WEB記事執筆、日経新聞、読売新聞、女性セブン等に取材記事掲載、NHKあさイチ2020年12月21日、2021年3月10日にTVスタジオ出演。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
https://oka-sr.jp/
転職全般
転職したいけど何がしたいかわからない人へ|自分に合う仕事の見つけ方
転職全般
「仕事が合わない」と感じるのはなぜ?理由・対処法・転職活動のコツを解説
転職全般
転職して後悔する理由は?後悔しない再転職を実現するポイントも解説!