季節感を表現する季語は、俳句だけでなく手紙を書く際の時候の挨拶でも使用されます。美しい日本の季節を表す言葉であり、春夏秋冬それぞれの季節に多くの季語が存在します。中には、季節のずれによって間違えやすい季語もあることから、どの言葉を使ったらいいのか迷うこともあるでしょう。
そこで、本記事では春夏秋冬の主な季語をわかりやすく一覧でまとめました。それらの季語を使用した有名俳句や時候の挨拶も紹介するので、ぜひ参考にご覧ください。
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1 そもそも季語とは?
季語とは、主に俳句や連歌で用いられる、春夏秋冬それぞれの季節を表すための言葉です。季節ごとの特徴や、季節に関わる人間の感情をよく表した言葉であり、俳句だけでなく手紙を書く際にも利用されています。ここではまず、季語の歴史や季節の区切り方といった基本を解説します。
1.1 季語の歴史
奈良時代に編さんされた「万葉集」では、すでに春夏秋冬の区分が付けられているなど、詩歌の世界において季節は古くから意識されていました。実際に季語という概念が生まれたのは、今から約千年ほど前の平安時代後期という説があります。
平安時代から鎌倉時代にかけては、和歌や短歌、蓮歌が盛んに詠まれるようになった時代であり、季節や地域を限定するために季語が必要になったということです。その後、江戸時代には庶民の間にも詩を詠むことが広まり、季語の数は増えていきます。
明治時代以降は日本特有の言葉だけでなく、海外から伝わった西洋の言葉も季語に加わり、現在では1万語以上の季語があると言われています。
1.2 新暦?旧暦?春夏秋冬の区切り方
俳句の世界においては、二十四節気(にじゅうしせっき)に基づいて春夏秋冬を区切っています。二十四節気とは旧暦が使用されていた時代に、暦と実際の季節の間で生じるずれに対応するため、用いられていた区分方法です。
二十四節気は暦とは関係なく、気候などの視点から地球上の一年を24個に分けています。春夏秋冬の区分に関しては、「立春(2月4日頃)」「立夏(5月6日頃)」「立秋(8月8日頃)」「立冬(11月7日頃)」を境に分けられています。
このことから、2~4月頃は春の季語、5~7月頃は夏の季語、8~10月頃は秋の季語、11~1月頃は冬の季語を使用するのが基本です。
1.3 季語は誰がいつ決めている?
現在、1万語以上あると言われる季語ですが、一体誰がいつ決めているのでしょうか。そもそも季語は、各出版社が発行する「歳時記」という本に掲載されています。この歳時記に季語として掲載されるには、基本的に以下の条件が必要だと言われています。
- その言葉を使った名句があること
- その名句が社会的に広く認知されていること
- 多くの人がその言葉を季語として使用していること
これらの条件が全て満たされると、季語として「歳時記」に掲載される可能性が出てくるのです。このことから、一つの言葉が季語として認められるには、ある程度の時間と多くの人の認知が必要なことがわかります。そのため、季語は「誰か特定の人が決めているわけではなく、その時代に生きる多くの人々が決めているもの」と言えるでしょう。
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2 俳句における季語の使い方
俳句で季語を使う場合の基本的なルールを紹介します。一般的にはNGとされるルールも、使い方によってはOKになるケースもあるので、細かい点をチェックしておきましょう。
2.1 一つの俳句に一つの季語が基本
一般的には、一つの俳句に一つの季語を入れ込むのが基本とされています。季語は五・七・五どの部分に置いても問題ないため、俳句の意味や流れ、リズムを考えて配置しましょう。
五・七・五の中にうまく収まらないというときは、「や」「かな」「けり」といった切れ字を使用する方法があります。例えば、3音の「もみじ」という季語に「かな」をつけて「もみじかな」という5字にすることで、収まりよく下五に入れ込むことができます。
2.2 「無季」や「季重なり」がOKな場合も
一つの俳句には一つの季語を入れるのが基本と説明しましたが、必ずしもそれが正解というわけではありません。有名俳句の中には、季語のない「無季(むき)」や「自由律」と呼ばれる俳句も存在します。
また、松尾芭蕉の「鶴の毛の黒き衣や花の雲」という俳句は、冬の「鶴」と春の「花の雲」という二つの季語が使用されていますが、明らかに「花の雲」が強いことがわかるため、問題ないとされます。
さらに、同じく松尾芭蕉の「一家に遊女もねたり萩と月」でも、「萩」と「月」という二つの季語があるものの、お互いの意味を高め合っているように感じられます。このように、主役がはっきりしていたり、お互いを活かし合っていたりする場合は、季重なりでもOKとされることが多くなります。
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3 季語の分類
季語は言葉の意味や特徴から、いくつかのジャンルに分けることができます。ここでは、よく使用される7つの分類と内容を紹介します。
時候 | 季節や時期、暦上の区分を表した季語 |
---|---|
天文 | 星、月、風、雷など空に関わる自然を表した季語 |
地理 | 田畑、山、海、川など大地に関わる自然を表した季語 |
生活 | 衣食住、仕事、健康など身の回りに関わるものを表した季語 |
行事 | その季節に行われるイベントやお祭りを表した季語 俳人や有名人の忌日を〇〇忌として季語にすることもある |
動物 | その季節に活動が活発になる動物を表した季語 |
植物 | その季節に生育が活発になる植物を表した季語 |
4 代表的な季語一覧と有名俳句
ここからは、春夏秋冬に加えて暮と新年、それぞれの季節の主な季語を一覧で紹介します。また、季語の意味や、その季語を使用した有名俳句もいくつかピックアップしました。
4.1 春の季語
春に使える主な季語には以下のようなものがあります。
使える時期 | 季語 |
---|---|
春全般 | 暖か、遅日(ちじつ)、朧月(おぼろづき)、淡雪、斑雪、春暁(しゅんぎょう)、東風(こち)、山笑ふ、霾(つちふる)、鶯、雲雀、赤貝、蛙、沈丁花、木の芽、椿、若布(わかめ) |
初春(2月4日頃~3月5日頃) | 春まけて、春浅し、雨水、寒明(かんあけ)、冴返る(さえかえる)、初午、堅雪、雪虫、猫の恋、梅、紅梅、クロッカス |
仲春(3月6日頃~4月4日頃) | 啓蟄(けいちつ)、春一番、春出水(はるでみず)、雪解雫(ゆきげしずく)、水温む、残雪、氷解、お水取り、雛あられ、進級、入学試験、卒業、春休、燕、土筆、蒲公英(たんぽぽ) |
晩春(4月5日頃~5月5日頃) | 穀雨、三月尽、八十八夜、逃水、油風、花時、花冷え、夏近し、花の雨、桜まじ、蜃気楼、初虹、新社員、花見、遠足、雀の子、若鮎、桜鯛、桜、芝桜、八重桜、霞草、アネモネ、チューリップ、フリージア、スイートピー、ヒヤシンス |
上記の中で、代表的な季語の意味を紹介します。
季語 | 意味 |
---|---|
遅日(ちじつ) | 徐々に日が長くなり、日暮れが遅く感じられること |
山笑ふ | 木々の芽吹きや鳥のさえずりで、賑やかになっていく春の山を擬人化した言葉 |
春まけて | 春になって、春が近づいてという意味 |
冴返る(さえかえる) | 一旦暖かくなりまた寒くなること、寒の戻り |
雪解雫(ゆきげしずく) | 暖かさでとけた雪が雫となり、春の光を浴びて輝く様子 |
春出水(はるでみず) | 雪どけ水や長雨により、川が増水したり溢れ出たりすること |
逃水 | 道路に水たまりのようなものが見える現象。気温が上がり始める頃、光の屈折によって起こる |
油風 | 4月頃に吹く穏やかな南風のこと |
春の季語が使われている有名な俳句を紹介します。
俳句 | 作者 | 季語 |
---|---|---|
春の海 ひねもすのたり のたりかな | 与謝蕪村 | 春の海 |
薄氷の 草を離るゝ 汀かな | 高浜虚子 | 薄氷 |
いたづらに 古りゆく身かな 針供養 | 高橋 淡路女 | 針供養 |
ほろ苦き 恋の味なり 蕗の薹 | 杉田久女 | 蕗の薹 |
顔に似ぬ 発句も出でよ 初桜 | 松尾芭蕉 | 初桜 |
問ひたきは 花盗人の こゝろかな | 井上士朗 | 花盗人 |
雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る | 小林一茶 | 雀の子 |
こまごまと 白き歯竝や 桜鯛 | 川端茅舎 | 桜鯛 |
観音の 大悲の桜 咲きにけり | 正岡子規 | 桜 |
チューリップ 花には侏儒が 棲むと思ふ | 松本たかし | チューリップ |
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4.2 夏の季語
夏に使える主な季語には以下のようなものがあります。
使える時期 | 季語 |
---|---|
夏全般 | 明易(あけやす)、驟雨(しゅうう)、やませ、滴り(したたり)、安居(あんご)、星涼し、雷、虹、サングラス、日傘、アイスクリーム、氷水、麦茶、梅干、風鈴、扇風機、冷蔵庫、シャワー、水遊び、汗、昼寝、日焼け、祭、鮎、鰹、ベゴニア、ペチュニア |
初夏(5月6日頃~6月5日頃) | 小満、麦の秋、走り梅雨、卯波(うなみ)、メーデー、薄暑、夏めく、母の日、子供の日、初鰹、あやめ、苺、カーネーション、鈴蘭、筍、バナナ、薔薇、若葉 |
仲夏(6月6日頃~7月6日頃) | 梅雨、入梅、芒種、白夜、五月雨、五月晴、夏ぐれ、田植、ながしはえ、薬降る、花の日、父の日、蛍、アマリリス、紫陽花、ガーベラ、菖蒲、どくだみ、ラベンダー、若竹 |
晩夏(7月7日頃~8月7日頃) | 盛夏、大暑、小暑、極暑、炎暑、炎(も)ゆ、油照(あぶらでり)、片蔭(かたかげ)、土用あい、赤富士、朝凪、夕凪、帰省、避暑、冷房、プール、キャンプ、夏枯、海水浴、海開き、蝉、百日草、月下美人、撫子、胡蝶蘭、向日葵 |
上記の中で、代表的な季語の意味を紹介します。
季語 | 意味 |
---|---|
明易(あけやす) | 夏の夜は明けるのが早いという意味 |
驟雨(しゅうう) | 突然降り出してしばらくすると止む、にわか雨や通り雨のこと |
走り梅雨 | 梅雨に入る前のぐずついた天気のこと |
卯波(うなみ) | 卯の花が咲く頃、海上に現われる波 |
ながしはえ | 梅雨時期に吹く湿気を含んだ暖かい南風 |
薬降る | 薬日とされる陰暦5月5日の正午に降る雨 |
油照(あぶらでり) | 風がなく、汗が吹き出すような蒸し暑い日のこと |
土用あい | 秋の気配を感じさせる、土用のころに吹く北風 |
夏の季語が使われている有名な俳句を紹介します。
俳句 | 作者 | 季語 |
---|---|---|
明易や 花鳥諷詠 南無阿弥陀 | 高浜虚子 | 明易 |
雀らも 海かけて飛べ 吹流し | 石田波郷 | 吹流し |
目には青葉 山ほととぎす 初鰹 | 山口素堂 | 初鰹 |
片隅に あやめ咲きたる 門田かな | 正岡子規 | あやめ |
樹も草も しづかにて梅雨 はじまりぬ | 日野草城 | 梅雨 |
六月の 日に晒したる 手足かな | 長谷川春草 | 六月 |
夏草や 兵共が ゆめの跡 | 松尾芭蕉 | 夏草 |
梅雨あけの 鎌倉くらき 旋風かな | 石橋秀野 | 梅雨あけ |
涼風や 寄る辺もとむる 蔓のさま | 臼田亜浪 | 涼風 |
空蝉の ふんばつて居て 壊はれけり | 前田普羅 | 空蝉 |
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4.3 秋の季語
秋に使える主な季語には以下のようなものがあります。
使える時期 | 季語 |
---|---|
秋全般 | 秋麗、秋澄む、爽やか、秋暁、身に入む、夜長、律の調べ、秋旱(あきひでり)、身に入む(みにしむ)、山粧ふ(やまよそおう)、鰯雲、月、流れ星、稲妻、運動会、虫、赤蜻蛉、啄木鳥、渡り鳥、鰯、鮭、稲、萩、菊、芋、梨 |
初秋(8月8日頃~9月7日頃) | 秋めく、残暑、処暑、新涼、送りまぜ、秋出水(あきでみず)、七夕、天の川、中元、花火、盆休み、送り火、きりぎりす、鈴虫、松虫、桔梗、サルビア、撫子、藤袴、桃 |
仲秋(9月8日頃~10月7日頃) | 三日月、無月、名月、雨月(うげつ)、八朔(はっさく)、菊日和、落し水、冷やか、不知火、凶作、月見、小鳥、粟、南瓜、コスモス |
晩秋(10月8日頃~11月6日頃) | 冬隣(ふゆとなり)、秋土用、漸寒(ややさむ)、露寒(つゆざむ)、後の月(のちのつき)、秋惜しむ、秋深し、行く秋、秋雪、秋収め、稲刈、菊人形、新酒、新米、冬支度、猪、秋刀魚、小豆、柿、銀杏、胡桃、松茸、紅葉、落花生、林檎、檸檬 |
上記の中で、代表的な季語の意味を紹介します。
季語 | 意味 |
---|---|
身に入む(みにしむ) | 秋の冷たく物寂しい気配を、身に深く感じること |
山粧ふ(やまよそおう) | 紅葉により、山が化粧をしたように色付いているという意味 |
新涼 | 秋に入って気温が涼しく感じること |
送りまぜ | 7月15日頃の盂蘭盆(うらぼんえ)を過ぎて吹く南風 |
名月 | 旧暦8月15日に見える大きな月 |
菊日和 | 菊の花が見頃を迎える頃のよく晴れた日 |
冬隣(ふゆとなり) | 寒い冬がもうすぐそこまで来ているという意味 |
漸寒(ややさむ) | 晩秋らしい肌寒さのこと |
秋の季語が使われている有名な俳句を紹介します。
俳句 | 作者 | 季語 |
---|---|---|
新涼や 豆腐驚く 唐辛子 | 前田普羅 | 新涼 |
荒海や 佐渡に横たふ 天の川 | 松尾芭蕉 | 天の川 |
山の端に 残る暑さや 大文字 | 望月宋屋 | 大文字 |
送り火や 顔覗きあふ 川むかひ | 炭太祇 | 送り火 |
名月を とつてくれろと 泣く子かな | 小林一茶 | 名月 |
湯壷から 首丈出せば 野菊かな | 夏目漱石 | 野菊 |
葡萄食ふ 一語一語の 如くにて | 中村草田男 | 葡萄 |
秋深き 隣は何を する人ぞ | 与謝蕪村 | 秋深し |
柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺 | 正岡子規 | 柿 |
稲懸けて 里しづかなり 後の月 | 大島蓼太 | 後の月 |
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4.4 冬の季語
冬に使える主な季語には以下のようなものがあります。
使える時期 | 季語 |
---|---|
冬全般 | 冱つ(いつ)、凍る、寒し、冬、冬ざれ、北風、霜、冬景色、山眠る、熱燗、息白し、おでん、重ね着、火事、風邪、コート、炬燵、スキー、スケート、セーター、手袋、毛布、兎、牡蠣、金目鯛、鯨、熊、河豚、鮪、水鳥、鷲、枯木、大根、人参、白菜、冬桜 |
初冬(11月7日頃~12月6日頃) | 小春、小雪、冬浅し、冬めく、神渡し、凩(こがらし)、時雨、初氷、浅漬、風除、七五三、十日夜、初鱈、帰り花、紅葉散る |
仲冬(12月7日頃~1月4日頃) | 大雪、冬至、冬日和、顔見世、冬休、雪下し、柚子湯、神楽、クリスマス、初鰤、クリスマスローズ、ポインセチア |
晩冬(1月5日頃~2月3日頃) | 寒の入、寒波、厳寒、三寒四温、しばれる、節分、春近し、春待つ、冬尽く、冬深し、雨氷、風花、寒晴、樹氷、吹雪、霧氷、雪、氷、氷柱、悴む(かじかむ)、 寒灸、寒肥、雪遊、白鳥、むつ、水仙、早梅、冬椿 |
上記の中で、代表的な季語の意味を紹介します。
季語 | 意味 |
---|---|
冱つ(いつ) | 寒さで凍ること |
冬ざれ | 草木が枯れ果てて、景色が荒んだように見えるさま |
神渡し | 陰暦十月の頃に吹く西風のことで、神々を送るために吹く風という意味がある |
凩(こがらし) | 冬の初めに吹く強い北風 |
冬日和 | 厳寒の中の、良く晴れた穏やかで過ごしやすい日 |
神楽 | 神座に神を迎え、長寿を祈願する神事 |
寒の入 | 1月6日頃の、一年のうちで最も寒さが厳しい時期に入る日のこと |
冬尽く | 厳しく長い冬がようやく終わりを迎えるという意味 |
冬の季語が使われている有名な俳句を紹介します。
俳句 | 作者 | 季語 |
---|---|---|
冬ざれや 小鳥のあさる 韮畠 | 与謝蕪村 | 冬ざれ |
北風や あをぞらながら 暮れはてて | 芝不器男 | 北風 |
日あたりの 海ほかほかと 山眠る | 尾崎紅葉 | 山眠る |
玉の如き 小春日和を 授かりし | 松本たかし | 小春 |
夕やけや 唐紅の 初氷 | 小林一茶 | 初氷 |
門前の 小家も遊ぶ 冬至かな | 野沢凡兆 | 冬至 |
一人来てストーブ焚くやクリスマス | 前田普羅 | クリスマス |
よく光る 高嶺の星や 寒の入り | 村上鬼城 | 寒の入り |
いくたびも 雪の深さを 尋ねけり | 正岡子規 | 雪 |
赤き実と 見てよる鳥や 冬椿 | 炭太祇 | 冬椿 |
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4.5 暮と新年の季語
暮と新年に使える主な季語には以下のようなものがあります。
使える時期 | 季語 |
---|---|
暮 | 大晦日、師走、年惜しむ、年の暮、行く年、名残の空、賀状書く、門松立つ、終相場、正月事始、煤払、歳暮、年越、年取、年忘、年賀状、年末賞与、掃納、晦日蕎麦、餅、年越詣 |
新年 | 元日、旧年、去年、今年、三が日、正月、新年、初春、春永、松の内、宵の年、御降、初茜、初日、初富士、数の子、門松、かまくら、仕事始、注連飾、新年会、年賀、年賀状、伊勢海老、福寿草、仏の座、若菜 |
上記の中で、代表的な季語の意味を紹介します。
季語 | 意味 |
---|---|
名残の空 | 行く年を感じながらしみじみと眺める大晦日の空 |
正月事始 | 12月13日を指す言葉であり、一年を締めくくりながら新年の準備を整え始める日 |
春永(はるなが) | 新年を褒め称えたり、「いつか暇なときに」という意味で使用したりする言葉 |
初茜 | 元日の朝の、まだ明けきらない茜色の空 |
暮と新年の季語が使われている有名な俳句を紹介します。
俳句 | 作者 | 季語 |
---|---|---|
大晦日 定めなき世の さだめ哉 | 井原西鶴 | 大晦日 |
餅の粉の 家内に白き ゆふべかな | 炭太祇 | 餅 |
正月や 皹の手洗ふ ねもごろに | 杉田久女 | 正月 |
元日や おもへばさびし 秋の暮 | 松尾芭蕉 | 元日 |
暖炉たく 部屋暖かに 福寿草 | 正岡子規 | 福寿草 |
5 間違えやすい季語一覧
季語の中には、「春だと思っていたら、実際は秋の季語だった」など、季節を間違えやすい言葉が多くあります。ここでは、漢字の読み方や季節のずれなどにより、使用する季節を間違えやすい季語を紹介します。
本当は春の季語 | 薄氷、寒食、堅雪、淡雪、雪崩、雪の果、竹の秋 |
---|---|
本当は夏の季語 | 涼し、涼風、春茅、麦の秋、夜の秋、氷室、お花畠 |
本当は秋の季語 | 竹の春、七夕、天の川、盆休み、西瓜、朝顔、花畠 |
本当は冬の季語 | 小春、初春、春永、春着、春の初風、風花、七五三、落葉、木の葉 |
6 季語を使った時候の挨拶
季語は俳句だけでなく、手紙を書く際の時候の挨拶でも活用できます。季語を使った時候の挨拶を入れることで、簡単に季節感を添えることができるので、ぜひチェックしておきましょう。
6.1 春に使える時候の挨拶
春に使える時候の挨拶には以下のようなものがあります。
- 寒明の候、貴社におかれましては、ますますご繁益のこととお慶び申し上げます。
- 穀雨のみぎり、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
- 立春を迎え、梅の芽がふくらみ始めました。その後いかがお過ごしでしょうか。
- 春まだ浅く、余寒厳しき日が続いております。皆さまお元気でいらっしゃいますか。
- 桃の節句を過ぎ、土筆やたんぽぽが顔をのぞかせる季節となりました。
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6.2 夏に使える時候の挨拶
夏に使える時候の挨拶には以下のようなものがあります。
- 立夏の候、皆様におかれましてはますますご活躍のことと存じます。
- 芒種のみぎり、〇〇様におかれましては、ますますご隆昌のこととお喜び申し上げます。
- 若葉の緑が眩しい季節となりました。その後いかがお過ごしでしょうか。
- 梅雨明けを待ち遠しく感じるこの頃、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
- 連日うだるような暑さが続いておりますが、夏バテなどされていませんでしょうか。
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6.3 秋に使える時候の挨拶
秋に使える時候の挨拶には以下のようなものがあります。
- 残暑の候、〇〇様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
- 処暑のみぎり、ますますご隆昌のこととお喜び申し上げます。
- お盆を前に蒸し暑い日が続いていますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
- 街路樹の紅葉に深まる秋を感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしですか。
- 日足はすっかり短くなり、秋風の冷たさを感じる季節となりました。
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6.4 冬に使える時候の挨拶
冬に使える時候の挨拶には以下のようなものがあります。
- 向寒の候、皆様におかれましては、ますますご清祥のことと心よりお喜び申し上げます。
- 立冬のみぎり、〇〇様におかれましてはいよいよご清栄の段慶祝の至りに存じます。
- 朝夕はめっきり寒くなり、初霜の便りが届く頃となりました。その後いかがお過ごしですか。
- クリスマスのイルミネーションが、美しく街を彩っております。
- 暦の上では大寒とはいえ、冬晴れの穏やかな日々が続いております。
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7 季語は英語でどう表現する?
俳句は海外でも「HAIKU」として親しまれています。ただし言語の違いから、日本のように五・七・五で詠むことは難しいため、およそ3行程度に収まれば良いとされています。季語については、一応入れるのが通例ではあるものの、日本のように四季がはっきりしていない国も多く、無季でも問題ありません。
ルールに縛られず、自由に感情や情景を表現できるのが英語HAIKUの良いところです。なお、季語という言葉を英語にする場合、「word of a season」「seasonal word」「seasonal term」などと訳すことができます。
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8 まとめ
季語は日本の美しい季節を表現できる言葉です。春夏秋冬それぞれの季節ごとに、さまざまな季語があります。中には季節を間違えやすい季語もあるため、俳句や時候の挨拶で使用する際は注意が必要です。
また、表記が難しく耳慣れない言葉があるかもしれませんが、意味を調べながら一つずつ覚えていくのもいいでしょう。ぜひ、本記事を参考にして、俳句や時候の挨拶で季語を活用してみてください。
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