大切な方に手紙を送る際は、季節に合わせた時候の挨拶を添えることで、相手にていねいさと心遣いを伝えることができます。
本記事では、日本の多くの地域で真夏の暑さが続く8月に使える時候の挨拶をご紹介します。時候の挨拶がどのようなものなのかを含め、上旬・下旬など使う時期に応じた具体的な使用例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【関連記事】「手紙の書き方を例文で解説!マナー違反をしないための注意点も」
【関連記事】「【例文付き】月ごとの時候の挨拶・結びの挨拶一覧!注意点やコツも解説」
【関連記事】「転職のタイミングは何月がベスト?年齢・状況別の見極めポイントも解説」
「もしかしたら仕事頑張りすぎ!? 」... そんな方へ
\無料・登録不要/
『仕事どうする!? 診断』を受ける >
1. 時候の挨拶とは?
時候の挨拶とは手紙の文頭に添えられる挨拶です。「拝啓」などの頭語に続いて、季節感を表す言葉を交えて挨拶をします。四季のある日本だからこその習慣と言えますが、具体的にどのような役割があるのでしょうか。
1.1. 相手に気遣いを伝えられる
時候の挨拶を添えることで、手紙を送る相手への気遣いが伝わり、好印象を与えられます。また、「拝啓」などの頭語に続いて書くことで、本文への導入がスムーズになるという効果もあります(※)。
8月は暑さによる体調を気遣ったり、間もなく秋へと季節が移り変わる様子を表したりする時候の挨拶が多くなっています。
プライベートな手紙はもちろん、取引先や上司へ手紙を送る際は、ビジネスマナーとして時候の挨拶を忘れずに書き添えましょう。
(※なお、仕事の取引先や目上の方ではなく親しい人などに向けて頭語として「拝啓」ではなく「前略」を使う場合は、時候の挨拶や安否の挨拶を省略します)
1.2. メールやLINEでは必要?
メールやLINEを送る場合、時候の挨拶は基本的に必要ありません。手紙と違い、メールやLINEのようなチャットツールでは、要件のみの簡潔なやりとりが求められるからです。
素早く内容だけ把握したい場面において、かしこまった時候の挨拶は、逆に煩わしさを与えてしまうことがあります。そのため、状況に応じた判断をすることが大切です。
特に、社内でのやりとりや何往復もメッセージを送り合っている場合は、あらためて時候の挨拶を入れ込む必要はありません。
【関連記事】「夏の面接に適切な服装って?面接官に好印象を残すためのポイント」
【関連記事】「8月の季語を一覧で紹介!美しい花の季語や俳句、時候の挨拶も解説」
【関連記事】「手紙の書き方を例文で解説!マナー違反をしないための注意点も」
「一人で転職活動をするのは不安...」という方は、無料で相談できる転職エージェント『マイナビエージェント』にご相談ください。
【マイナビエージェントのご利用方法はこちら】
2. 挨拶状の構成と送るタイミング
挨拶状には基本構成があり、どのような順序で書くべきかが決まっています。また、送るタイミングも重要です。ここからは、一般的な挨拶状の基本構成とタイミングを解説します。
2.1. 挨拶状の基本構成
挨拶状は基本的に、「前文」「主文」「末文」「後付」という4つの項目で構成されています。「前文」の頭語から始まり、時候の挨拶を続けて挨拶状の本題である「主文」を記載します。
主文を書き終えたら「末文」の結びの言葉と結語で締めくくり、最後に「後付」として日付や氏名を記します。それぞれの概要は以下の通りです。
前文 | 「拝啓」「謹啓」などの頭語、時候の挨拶、それに続く相手の健康や繁栄を祝う言葉を書きます。 |
---|---|
主文 | 「さて」「このたびは」などのおこし言葉から、挨拶状で伝えたい主題を書きます。 |
末文 | 相手の健康や繁栄を祈る結びの言葉と、「敬具」「謹白」などの結語を書きます。 |
後付 | 日付、差出人名、宛名を書きます。(メールの場合、宛名は文書の最初に入れます) |
頭語には「拝啓」「拝呈」「謹啓」、結語には「敬具」「敬白」「謹言」などがあり、それぞれ対になっているため誤った組み合わせで記載しないよう注意しましょう。なお、「かしこ」は女性だけが使えるカジュアルな結語なので、ビジネスシーンでは避けるのが無難です。
またビジネスシーンの場合、差出人名と宛名は企業名・役職・個人名の順序番で記載します。
友人へのプライベートな挨拶状などカジュアルな挨拶文では時候の挨拶を省略することも可能で、その場合は文頭に「前略」や「前文お許しください」などと入れます。
2.2. 挨拶状を出すタイミング
挨拶状を出すタイミングも重要です。例えば、開業や事務所移転の挨拶状は、1か月前にお知らせできるように出すのが基本です。転居や転職・異動のお知らせや、返信不要のイベント招待などは1週間前までに届くようにしましょう。
ビジネスシーンにおいて、お祝い・お礼・お詫びに関する挨拶状を送る場合は当日のうちに送るのが基本です。
また、8月の挨拶として代表的な暑中見舞いは梅雨明け~立秋(8月7日頃)まで、残暑見舞いは8月8日(立秋過ぎ)~8月末までに出すものとされています。
【関連記事】「【例文付き】ビジネスにおけるお礼メールの書き方やマナーを解説」
【関連記事】「【例文】初めての相手に送るメールはどう書く?挨拶の書き方などを解説」
【関連記事】「【例文】謝罪メール・お詫びメールの書き方を締めの言葉まで解説!お客様から社内も対応」
【離職中の方限定】今すぐ転職したい!最短で転職するための「無料個別相談会」
3. 時候の挨拶は漢語調と和語調を使い分けよう
時候の挨拶には、主にビジネスシーンや目上の方宛ての手紙で使用する「漢語調」と、プライベートな場面などカジュアルな手紙で使用する「和語調」があります。
漢語調は主に漢字2文字の季節を簡潔に表す言葉の後に、「〇〇の候」「〇〇の折」といった言葉をつけます。改まった印象を与えるとともに、格調高く儀礼的な文章になるため、ビジネスシーンでよく使用されます。
一方、和語調ではよりわかりやすくフランクに表現した言葉が用いられ、親しみのある印象を与えられるため、友達や同僚など近しい人との手紙に最適です。
時候の挨拶を使用して手紙を書く際は、シーンや相手によって漢語調と和語調を使い分けましょう。
【関連記事】「転職での年収アップの相場は?交渉のポイントや年収アップしやすい人の特徴を解説」
【テーマ別】平均年収ランキング
4. 【漢語調】ビジネスで使える8月の時候の挨拶
ここからは、8月に使用できる漢語調の時候の挨拶をご紹介します。あらたまった印象を与えるため、ビジネスシーンで使うのに適しています。
4.1. 8月全般の時候の挨拶
以下の3つは、8月全般に使える主な時候の挨拶です。例文も併せて紹介します。
●初秋(しょしゅう)の候
秋の気配を感じ始める時期という意味合いの「初秋の候」は、8月7日頃の「立秋」過ぎから、9月の上旬まで使用できます。
●残暑(ざんしょ)の候
立秋過ぎの8月7日頃から8月23日頃までの使用に適した挨拶です。立秋を境に季節は秋に変わることから、「残暑」と表現します。
●残夏(ざんげ)の候
こちらも立秋過ぎの8月7日頃から8月23日頃まで使える挨拶です。「残夏」には残暑と同じく、まだ夏の暑さが残っている様子を表す意味合いがあります。
<例文>
拝啓 初秋の候、貴殿におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて・・・・・・【本文】
残暑厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。
敬具
4.2. 8月上旬~中旬の時候の挨拶
以下の3つは、8月上旬~中旬の書き出しに使用できる主な時候の挨拶です。
●盛夏(せいか)の候
「盛夏」は本格的な暑さが到来する夏の盛りを意味し、長い梅雨が明け力強い太陽が照り付ける時期を指します。梅雨明け〜8月上旬頃まで、およそ1ヵ月間使えます。
●猛暑(もうしょ)の候
気温が35度以上の日を猛暑日と表現することから、「猛暑」は暑さが厳しい季節と連想できます。立秋前日の8月6日頃までの間に使われるのが一般的です。
●晩夏(ばんか)の候
「晩夏」は夏の終わりを意味します。暦のうえでは8月7日頃の立秋を境に秋となるため、こちらも立秋前日の8月6日頃までに使用する時候の挨拶です。
<例文>
拝啓 盛夏の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて・・・・・・【本文】
まずは、取り急ぎ書中にてお知らせいたします。
酷暑が続きますが、くれぐれも体調を崩されませぬよう、ご自愛ください。
敬具
4.3. 8月下旬の時候の挨拶
以下の3つは、8月下旬の書き出しに使用できる主な時候の挨拶です。
●立秋(りっしゅう)の候
8月7日頃の「立秋」から、8月23日頃の「処暑」の前日までの期間に使用します。実際は1年で最も暑い時期ですが、暦の上では秋の始まりを意味します。
●早涼(そうりょう)の候
「早涼の候」は夏の暑さがピークを過ぎて、涼しい風が吹き始める時期を表しています。そのため、立秋過ぎから8月下旬まで使用できます。
●処暑(しょしょ)の候
「処暑」には「暑さが去る」という意味があります。暦では8月23日頃であるため、8月下旬~9月上旬まで使える挨拶です。
<例文>
拝啓 立秋の候、貴殿におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて・・・・・・【本文】
秋風を感じる折、ますますのご多幸とご発展をお祈り申し上げます。
敬具
【関連記事】「面接の基本マナーとは?事前準備からの流れ&ポイントとNG行動を解説」
【関連記事】「面接結果が遅いと不採用?来ない場合の対処法について解説します」
5.【漢語調】ビジネスで使える8月の結びの挨拶
ここでは、8月に使用できる漢語調の結びの挨拶をご紹介します。ビジネスシーンの手紙など、あらたまった文章をを締めくくる際に使用します。
5.1. 8月上旬の結びの挨拶
8月上旬に使用できる漢語調の結びの挨拶には以下のようなものがあります。
● 残暑の折、ご自愛専一にご精励ください。
● 残暑凌ぎ難き候、何卒お身体おいといください。
● 晩夏のみぎり、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
5.2. 8月下旬の結びの挨拶
8月下旬に使用できる漢語調の結びの挨拶には以下のようなものがあります。
● 新涼の候、お風邪など召されませぬようご自愛ください。
●処暑のみぎり、皆様方のご無事息災を心よりお祈り申し上げます。
●立秋の候、体調を崩されませぬようご自愛ください。
6.【和語調】プライベートで使える8月の時候の挨拶
漢語調と比べてやわらかく親しみのある印象を与えるのが和語調です。相手との関係性によっては和語調を使用したほうが良い場合もあるため、適宜使い分けましょう。
6.1. 8月全般の時候の挨拶
和語調における8月全般の時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
● まぶしい太陽が照りつける季節ですが
● 連日の酷暑により、寝苦しい夜が続いておりますが
● 残暑厳しい時期ですが
<例文>
拝啓 まぶしい太陽が照りつける季節ですが、いかがお過ごしでしょうか。
さて・・・・・・【本文】
立秋を迎えたとはいえ、厳しい暑さが続きそうです。どうぞ体調を崩されませんようにご自愛ください。
敬具
6.2. 8月上旬~中旬の時候の挨拶
和語調における8月上旬~中旬の時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
● 暦の上では立秋を迎えましたが
● 立秋とは名ばかりの暑さが続いておりますが
● 8月に入り厳しい暑さが続いておりますが
<例文>
拝啓 暦の上では立秋を迎えましたが、いかがお過ごしでしょうか。
さて・・・・・・【本文】
もうしばらくは暑さが続きますが、お体には十分注意してお過ごしください
敬具
6.3. 8月下旬の時候の挨拶
和語調における8月下旬の時候の挨拶は、以下のように使われます。
● 秋の気配を感じる季節となりましたが
● 朝夕は涼しい風を感じる季節となりましたが
● 残暑もようやく陰りを見せる時期となりましたが
● 処暑を迎えたとはいえ、未だ暑さ残る毎日ですが
<例文>
拝啓 秋の気配を感じる季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
さて・・・・・・【本文】
暑さが和らいだとはいえ、夏の疲れが出やすい時期ですので、どうぞご自愛のうえお過ごし下さい
敬具
【関連記事】「ビジネスメールの書き出しはどう書く?マナーや例文をパターン別に紹介」
【関連記事】「ボーナスがない会社は何割?賞与なしの会社で働くメリットや注意点」
【関連記事】「業績悪化・不振は転職理由になる?|伝える際の例文とコロナ禍に言及する際の注意点」
【年収400万円以上の求人はこちら】
7. 【和語調】プライベートで使える8月の結びの挨拶
手紙を締めくくる際に添えるのが、結びの挨拶です。特に、暑さが厳しい8月は、相手の体調や健康を気遣う言葉を選ぶのがいいでしょう。ここではその一例を紹介します。
7.1. 8月上旬の結びの挨拶
8月上旬に使える和語調の結びの挨拶では、以下のような文言が考えられます。
● 立秋とはいえ厳しい暑さが続きますので、健康には十分ご留意ください。
● しばらくは厳しい残暑が続きそうですので、体調を崩されませぬようご自愛ください。
● まだまだ残暑厳しき折、くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
● 盛夏の疲れを感じやすい時期かと存じます。健康には一段とご留意ください。
● 立秋を迎えたとはいえ、秋の訪れを感じるのはもうしばらく先になりそうです。どうぞ、健康には十分ご留意ください。
7.2. 8月下旬の結びの挨拶
8月下旬に使える和語調の結びの挨拶は、以下のような文言が考えられます。
● 厳しい残暑も残りわずかとなりましたが、健康には十分ご留意ください。
● 朝夕の風に秋の気配を感じる昨今、どうぞお体を大切にお過ごしください。
● 処暑が過ぎゆく夏を惜しむ頃ではありますが、夏の疲れを残さぬよう、どうぞご自愛ください
● 8月も残りわずかとなりました。○○様が実り多き秋を迎えられますよう、お祈り申し上げます。
● 夏の暑さは峠を越したようですが、どうぞご無理なさらずお体を大切にお過ごしください。
【関連記事】「【ビジネスメール】結び・締めの言葉とは?メールの文末のマナーと例文集」
8. 8月の時候の挨拶でよく用いられるキーワード
時候の挨拶を作成するためには、季節のキーワードを把握しておくことが大切です。8月の時候の挨拶に使えるキーワードの一例を紹介します。
8.1. 行事や暦に関するキーワード
8月の行事や暦に関するキーワードの一例は、以下のとおりです。
8月の主な行事
● 山の日:毎年8月11日、山と親しむことを目的として制定された祝日です。
● お盆:一般的には8月13日~16日の4日間で、ご先祖様の魂が里帰りする期間とされています。初日にご先祖様をお迎えし、最終日に送り出します。● 夏休み
● 花火大会
● 夏祭り
8月の節気
● 立秋:8月7日頃であり、夏が終わって秋を迎える時期です。
● 処暑:8月23日頃であり、暑さが和らいで秋の収穫の準備が始まる時期です。
8.2. 天候や風物詩に関するキーワード
8月の天候や風物詩に関するキーワードの一例は、以下のとおりです。
● 入道雲:巨大で垂れこめたような形状をした、日本の夏季によく見られる特徴的な雲です。
● 花火大会:全国で開催される花火を打ち上げるイベントです。
● 熱帯夜:夜間の最低気温が25度を下回らない、寝苦しい夜を指します。
● ひまわり:太陽に向かって咲くことから「太陽の花」と呼ばれる夏の花です。
● 蝉しぐれ:夏の終わりから秋にかけて、木々にとまって鳴き始める蝉の声のことです。
● ひぐらし:「ジージー」という鳴き声が特徴である蝉の一種です。
● 虫の声:秋が近づくと、秋の虫の気配も感じられるようになります。
【関連記事】「初盆・新盆の法要に参列する際のマナーとは?香典や服装などの注意点」
9. まとめ
今回ご紹介したように、8月の時候の挨拶は上旬・中旬・下旬と、それぞれの時期に合った言葉を選ぶ必要があります。また、ビジネスシーンかプライベートかで、漢語調と和語調を使い分けることも重要です。
ただし、時候の挨拶には絶対的な正解があるわけではありません。挨拶状を出す上で最も大切なのは、受け取る相手の気持ちを考え、状況に合った言葉を選ぶことです。ぜひ、気持ちの伝わる時候の挨拶を書き添えて、心のこもった挨拶状を送りましょう。
【10~12月限定】
年内の転職を目指す!「秋の無料個別相談会」
10. 他の月の時候の挨拶
8月以外の時候の挨拶は、下記の記事でご紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。
各月の時候の挨拶 | ||
---|---|---|
1月 > | 2月 > | 3月 > |
4月 > | 5月 > | 6月 > |
7月 > | 8月 > | 9月 > |
10月 > | 11月 > | 12月 > |
履歴書・職務経歴書などの書類作成は
キャリアアドバイザーがサポートします
マイナビエージェントについて詳しく知る >
\転職するか迷っていてもOK/
マイナビエージェントに無料登録して
転職サポートを受ける