取引先などの関係者に手紙などを送る際には、季節に合わせた時候の挨拶を添えるのが一般的です。そこで今回は、日本の多くの地域で新緑の季節となる5月に使える時候の挨拶をご紹介します。時候の挨拶がどのようなものなのか、今回の内容を覚えておくことで他の季節にも対応できるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
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1.時候の挨拶とは?
仕事の取引先や目上の方に向けて送る手紙やメールでは、頭語である「拝啓」に続く言葉として「時候の挨拶」を入れます(※)。5月は春真っ只中であるものの、梅雨入り前なのでもうじき初夏を迎える時期です。
(※なお、仕事の取引先や目上の方ではなく親しい人などに向けて頭語として「拝啓」ではなく「前略」を使う場合は時候の挨拶や安否の挨拶を省略します)
例えば「立夏の候」「若葉がより深い青葉になる季節になりました。」など、本題に入る前にこのような挨拶を添えます。では、こういった時候の挨拶はなぜ必要なのでしょうか。また、LINEやチャットで取引先や目上の方にメッセージを送る際にも時候の挨拶は使用すべきなのでしょうか。
1.1.気遣いが伝わる
時候の挨拶は、単に「暑いですね」「寒いですね」などと季節に関する感想を表現するだけのために書くわけではありません。「季節の変わり目ですが体調を崩さないように」など、相手のことを気遣っていることを表現するという意味もあります。時候の挨拶を述べることでこちらの気遣いが相手に伝わりやすくなり、良好な関係性を築きやすくなります。
1.2.メールやLINEでは必要?
メールやLINEのやりとりでは、時候の挨拶は必要ありません。チャットを含めて、このようなコミュニケーションツールではまとまった短い文章が好まれるため、時候の挨拶が煩わしさを感じさせる可能性があります。誰にどのような内容のメッセージを送るかによって必要性が変わります。
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2.挨拶状の構成と送るタイミング
手紙や挨拶状を書く上で気になるのは、文章の構成です。かしこまった内容の挨拶状を送るには、どういう風に書けばいいのか分からない人も多いかもしれません。そこで、ここでは基本構成とそれを送るタイミングについて解説します。
2.1.挨拶状の基本構成
基本構成としては、まず頭語となる「拝啓」の後に時候の挨拶を入れ、その後に本文を書きます。文章の終わりでは時候の挨拶と対になる結びの言葉を入れ、「敬具」などの結語で締めます。最後に、日付や差出人、宛名を書いて完成です。
前文 | 頭語 | 「拝啓」「謹啓」「こんにちは」などの挨拶 |
---|---|---|
時候の挨拶 | 季節に合わせた挨拶言葉 | |
主文 | 本文 | 内容の本題 |
末文 | 結びの言葉 | 締めの文章、自愛を祈ったり乱筆乱文を詫びたりする |
結語 | 「敬具」「謹白」「さようなら」などの挨拶 | |
後付 | 日付 | 年月日、祝い事は「〇年〇月吉日」など |
差出人 | 手紙を書いた人物の氏名 | |
宛名 | 手紙を送る相手の氏名 |
2.2.挨拶状を出すタイミング
挨拶状を出すタイミングは、内容によって大きく変わります。例えば、事務所を移転する場合は日付を明記して、2週間〜1ヶ月前までには知らせを出すようにするのがベストです。また、転職や退職に伴う場合は退職後すぐに挨拶状を出しましょう。
このように、送る相手に迷惑がかからないことに配慮して挨拶状を出すタイミングを検討しましょう。
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3.時候の挨拶は漢語調と和語調を使い分けよう
時候の挨拶には、ビジネス相手や目上の方に使用する「漢語調」と、親しい友人やカジュアルな場面で使用する「和語調」の2種類があります。
漢語調は、「新緑の候」「立夏の候」などを「拝啓」に続けて書きます。和語調は、「新緑が映える過ごしやすい季節となりました」などを同じく「拝啓」に続けて書きます。漢語調はかしこまった厳格な印象を与え、和語調の方はやわらかい印象になります。
4.【漢語調】ビジネスで使える5月の時候の挨拶
ここでは、ビジネスシーンなどで使用する漢語調の時候の挨拶を、5月の全般・上旬・下旬に分けて以下にまとめました。取引先への挨拶状や目上の方へのお礼状、履歴書を送る際の添え状など、かしこまったシーンで使用可能です。
4.1.5月全般の時候の挨拶
以下の3つは、5月全般に使える漢語調の主な時候の挨拶です。例文も併せて紹介します。
●新緑(しんりょく)の候
春が終わりを迎え、夏がやってきたことを表します。5月上旬〜6月上旬までの1ヶ月ほど使用できます。
●若葉(わかば)の候
春の陽光で新しい草木が芽吹き出したことを表します。
●緑風(りょくふう)の候
初夏の時期に青々とした草木を通る爽やかな風を表します。「爽やかな風が気持ちいい」というような意味です。
<例文>
拝啓 新緑の候、すがすがしい好季節の折から、ますますご隆昌のこととお喜び申し上げます。
さて・・・・・・【本文】
木々の芽吹くこの時季は体調を崩しやすいそうです。どうぞご自愛くださいませ。
敬具
4.2.5月上旬~中旬の時候の挨拶
以下の3つは、5月上旬~中旬に使える漢語調の主な時候の挨拶です。例文も併せて紹介します。
●立夏(りっか)の候
暦の上では初夏であるため、その挨拶に使われます。「夏が始まった」というような意味です。
●新茶(しんちゃ)の候
新茶は八十八夜に摘む茶葉を指すため、夏の始まりを意味する挨拶です。
●麗春(れいしゅん)の候
ひなげしという春の花が咲く時期になったという意味を持ちます。ひなげしは漢字で「麗春」と書き、「ひめけし」と読みます。
<例文>
拝啓 立夏の候、心地よい五月晴れの折から、お元気にお過ごしのことと存じます。
さて・・・・・・【本文】
風薫る五月、どうぞお健やかにお過ごしください。
敬具
4.3.5月下旬の時候の挨拶
以下の2つは、5月下旬に使える漢語調の主な時候の挨拶です。例文も併せて紹介します。
●小満(しょうまん)の候
生き物や草木、農作物などが立派に成長していく様を表現する挨拶です。二十四節気の1つで、5月21日〜6月5日頃まで使用します。
●向暑(こうしょ)の候
初夏を感じる蒸し暑さや、これから段々と気温が上がっていくことを表現しています。
<例文>
拝啓 小満の候、走り梅雨に濡れる木々も緑を増すこの頃、つつがなくお過ごしのことと存じます。
さて・・・・・・【本文】
梅雨入り前の変わりやすいこの時季、くれぐれも体調にお気を付けてお過ごしください。
敬具
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5.【漢語調】ビジネスで使える5月の結びの挨拶
メールや手紙の最後には、結びの言葉を添えます。こちらにも季節折々に合う挨拶を入れ、文章の締めとします。ここでは、漢語調の時候の挨拶とセットで使える結びの挨拶を紹介します。
5.1.5月上旬の結びの挨拶
5月上旬に使われる漢語調の結びの挨拶は、以下のような文言が考えられます。
●若葉の候、皆様の健康とご多幸をお祈り申し上げます。
●緑風の時節柄、どうぞご自愛くださいませ。
●風薫る五月、健康には十分にご留意なされ、さらにご活躍されますことを祈念申し上げます。
5.2.5月下旬の結びの挨拶
5月下旬に使われる漢語調の結びの挨拶は、以下のような文言が考えられます。
●小満の候、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
●向暑の折、どうぞ健康には十分ご留意ください。
●新緑のみぎり、益々のご活躍をお祈り申し上げます。
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6.【和語調】プライベートで使える5月の時候の挨拶
親しい友人宛ての手紙やカジュアルなおたよりなど、プライベートなシーンで使用する和語調の時候の挨拶を、5月の上旬・中旬・下旬に分けて以下にまとめました。
6.1.5月上旬の時候の挨拶
和語調における5月上旬の時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
●春の陽気に名残を感じつつ、暦の上では立夏を迎えました
●爽やかな五月晴れに、夏の気配を感じる頃になりました
●新緑が映える過ごしやすい季節となりました
●春の陽気に名残を感じつつ、暦の上では立夏を迎えました
<例文>
拝啓 春の陽気に名残を感じつつ、暦の上では立夏を迎え、皆様ご健勝のことと存じます。
さて・・・・・・【本文】
木々の芽吹くこの時季は体調を崩しやすいそうです。どうぞご自愛くださいませ。
敬具
6.2.5月中旬の時候の挨拶
和語調における5月中旬の時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
●若葉がより深い青葉になる季節になりました。
●5月も半ばとなり、木々の葉が鮮やかな緑色になる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
●連休も終わり、少しずつ暑さを感じる日が増えてきましたね。
<例文>
拝啓 若葉がより深い青葉になる季節になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて・・・・・・【本文】
爽やかな初夏のみぎり、皆様のますますのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
敬具
6.3.5月下旬の時候の挨拶
和語調における5月下旬の時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
●5月も後半となり初夏の訪れを感じる時期となりました
●葵祭も過ぎて、本格的な夏が近いことを感じます
●梅雨の走りに濡れた緑も鮮やかな今日この頃
●紫陽花のつぼみが膨らみ、もうすぐ花を咲かせそうな時季ですね
<例文>
拝啓 5月も後半となり初夏の訪れを感じる時期となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて・・・・・・【本文】
過ごしやすい時季とはいえ、刻々と変わりゆく季節、くれぐれも健康に気を付けてお過ごしください。
敬具
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7.【和語調】プライベートで使える5月の結びの挨拶
時候の挨拶同様、和語調の結びの挨拶では初夏を感じられる爽やかな言葉を選びましょう。ここでは5月にぴったりの結びの挨拶を紹介します。
7.1.5月上旬の結びの挨拶
5月上旬に使われる和語調の結びの挨拶には、以下のような文言があります。
●新緑が爽やかな風に揺られる美しいこの季節、皆様の健康とご多幸をお祈り申し上げます。
●木々の芽吹くこの時季は体調を崩しやすいそうです。どうぞご自愛くださいませ。
●梅雨の走りに濡れた緑が一層深みを増しております。皆様、どうぞお健やかにお過ごしください。
7.2.5月下旬の結びの挨拶
5月下旬に使われる和語調の結びの挨拶には、以下のような文言があります。
●過ごしやすい時季とはいえ、刻々と変わりゆく季節、くれぐれも健康に気を付けてお過ごしください。
●爽やかな初夏のみぎり、皆様のますますのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
●梅雨入り前の変わりやすいこの時季、くれぐれも体調に気を付けてお過ごしください。
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8.5月の挨拶文でよく用いられるキーワード
時候の挨拶を使用する際には、よく用いられるキーワードについても知っておきましょう。ここでは、5月の時候の挨拶に使えるキーワードの一例を紹介します。
8.1.行事や暦関連のキーワード
5月の主な行事と暦関連のキーワードは以下の通りです。
5月の主な行事
●こどもの日(端午の節句):5月5日は男児の成長を願い、祝う日です。
●母の日:5月第2日曜日である、母親に対して日頃の感謝の意を表す日です。
●ゴールデンウィーク:4月末〜5月上旬に祝日や土日が重なる、大型連休です。
5月の暦関連のキーワード
●立夏:5月5日〜20日頃であり、二十四節気の中で夏の始まりを意味します。
●小満:5月21日〜6月5日頃であり、二十四節気の中であらゆる生き物が生命力に溢れている時期を意味します。
8.2.天候や風物関連のキーワード
5月の天候や風物に関連したキーワードは以下の通りです。
●鯉のぼり:江戸時代から始まる、端午の節句の時期に男児の健やかな成長を祈るために、鯉の形を模したものを飾ることです。
●田植え:5〜6月は田植えの時期に適した季節であり、この時期から田植えがスタートします。
●柏餅:端午の節句の時期に食する季節の和菓子です。
●潮干狩り:3月中旬〜6月頃までとされています。
●新茶:4月中旬〜5月頃に収穫される、手摘みで取る最高品質の茶葉です。
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9.まとめ
時候の挨拶は漢語調と和語調の2種類があり、内容や送る相手によって使い分けをします。5月は新緑の爽やかな雰囲気を楽しんだり、梅雨入り前の気温の変化が見られたりする季節であるため、様々な時候の挨拶があります。
相手を気遣う文章は今後の関係性を良くするためにも重要な要素になるので、この記事で紹介した例文を参考に、気持ちが伝わる挨拶状を送りましょう。
10.他の月の時候の挨拶
5月以外の時候の挨拶は、下記の記事でご紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。
各月の時候の挨拶 | ||
---|---|---|
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