取引先などの関係者に手紙などを送る際には、季節に合わせた時候の挨拶を添えるのが一般的です。そこで今回は、寒さ厳しい2月に使える時候の挨拶をご紹介します。時候の挨拶がどのようなものなのか、今回の内容を覚えておくことで他の季節にも対応できるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
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1.時候の挨拶とは?
そもそも時候とは、季節や気候のことを指します。日本特有の四季の特徴を用いて、相手の体調を伺ったり健康を祈ったりするのが時候の挨拶です。取引先への手紙や正式な挨拶状では、頭語(拝啓や謹啓など)の後に続けるのがマナーとされています。
2月は寒さが厳しい時期ですが、暦の上では立春を迎えるため、春の訪れを感じさせる語句が多く使用されます。上旬と下旬では適した挨拶も異なるので、手紙を出す時期によって使い分ける必要があります。
1.1.気遣いが伝わる
手紙に時候の挨拶を添えることで、相手に気遣いを伝えられます。言わば前置きとも言える一文ですが、この挨拶があるかないかで手紙の品や格式が変わってきます。
2月は「寒さで体調を崩されませんように」「暖かい春はもうすぐですね」といった内容の挨拶を添えて、相手を思いやったり四季の移ろいを感じさせたりするといいでしょう。
1.2.メールやLINEでは必要?
手紙と違い、要件だけを端的に伝えることが目的のメールやLINEにおいて、時候の挨拶は必要ありません。短時間に何回ものやり取りが行われるツールのため、丁寧過ぎる時候の挨拶は逆にわずらわしさを与えてしまいます。
メールやLINEでメッセージを送る際は、時候の挨拶ではなく以下のように簡単な一文を添えましょう。
●いつもお世話になっております
●お忙しいところ失礼いたします
●平素よりお世話になっております
●先日はありがとうございました
●早速のご連絡ありがとうございます
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2.挨拶状の構成と送るタイミング
挨拶状にはさまざまな種類がありますが、基本的な構成は決まっています。特に、ビジネスシーンにおける手紙では、必要な項目が抜けないように基本構成を意識して書きましょう。また、挨拶状を出すタイミングも重要です。
2.1.挨拶状の基本構成
挨拶状は大きく分けて4つの項目で構成します。頭語(拝啓や謹啓)と時候の挨拶(書き出し)を記載する「前文」、手紙の本題である「主文」、時候の挨拶(結び)と結語(敬具など)を記載する「末文」、差出人や日付を記載する「後付」です。
①「前文」
・頭語:「拝啓」「謹啓」など、手紙の始めに書く「こんにちは」にあたる言葉。
・時候の挨拶(書き出し):頭語のあとにつなげる、季節の話題や気候に関連した挨拶。
②「主文」
手紙の本題。時候の挨拶のあと、「さて、~」といった形で書き出すと自然な文面になる。
③「末文」
・時候の挨拶(結び):本文のあと、もう一度季節の話題や気候に関連した挨拶を添える。
・結語:「敬具」など、頭語と対で使用する「さようなら」にあたる言葉。
④「後付」
・日付:手紙を書いた日付を記載する
・差出人:ビジネスシーンでは、会社名も記載する
・宛名:「様」を忘れずに記載する
2.2.挨拶状を出すタイミング
新年度が近くなる2月は、人事異動が増え始める季節です。お世話になった方へ転勤や異動の挨拶状を出す場合、できれば異動前に出すのがいいでしょう。急な辞令の場合は、遅くても異動後1ヶ月以内を目途に出してください。
そのほかの挨拶状を出すタイミングは以下のとおりです。
●頂き物をした際のお礼状:品物を受け取り次第すぐに(遅くても3日以内)
●社長や役員交代の挨拶:交代から1週間以内
●店舗移転や引っ越しの挨拶:転居から1ヶ月以内
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3.時候の挨拶は漢語調と和語調を使い分けよう
時候の挨拶には改まった手紙で使用する「漢語調」と、カジュアルな手紙で使用する「和語調」があります。ビジネスシーンは「漢語調」、プライベートは「和語調」など、送る相手によって使い分けましょう。
●漢語調:「〇〇の候」「〇〇の折」「〇〇のみぎり」といった言葉のあと、簡単な挨拶文を記載するのが一般的。
●和語調:特に決まった形式はなく、季節に応じた身近な話題や最近の気温などに触れて相手を気遣うのが一般的。
4.2月の漢語調の書き出し
ここからは、ビジネスシーンで使用できる漢語調の書き出し例を紹介します。2月全般に使用できるものから、上旬と下旬に使用すべきものまで、実際の使用例を交えて解説します。
4.1.2月全般に使える時候の挨拶
まずは、2月全般に使える時候の挨拶を2つ紹介します。
●向春(こうしゅん)の候
文字通り、春に向かっている季節を指します。2月は暦の上で立春を迎えることから、向春は2月上旬から下旬まで使える挨拶です。
●梅花(ばいか)の候
梅は早いところで1月下旬頃から開花します。春の訪れを告げる花として知られており、立春を迎える2月にはぴったりの時候の挨拶です。
<例文>
拝啓 向春の候、貴社におかれましては、ますますご繁益のこととお慶び申し上げます。
さて・・・・・・【本文】
残寒の時節柄、なにとぞご自愛専一にてお願い申し上げます。
敬具
4.2.2月上旬の書き出し
以下の3つは、2月上旬の書き出しにおける主な時候の挨拶です。
●立春(りっしゅん)の候
立春は2月4日頃です。ようやく長い冬が終わりを告げ、暦の上では春が始まる日です。2月上旬から中旬にかけて使用できます。
●寒明(かんあけ)の候
最も寒かった時期が明けて、春がやってくるという意味があります。立春を迎える上旬から中旬頃に適しています。
●余寒(よかん)の候
季節は春になりましたが、まだ寒さが残っているという意味です。立春を迎えても実際はまだ寒い日が多い、2月上旬から中旬に使うといいでしょう。
<例文>
拝啓 立春の候、〇〇様におかれましては、ますますのご清祥のこととお喜び申し上げます。
さて・・・・・・【本文】
三寒四温の時節、お風邪など召されませぬようご自愛ください。
敬具
4.3.2月下旬の書き出し
以下の3つは、2月下旬の書き出しにおける主な時候の挨拶です。
●春寒(しゅんかん)の候
文字通り、春とはいえまだ寒いという意味があります。そのため、2月4日頃の立春過ぎから3月にかけて使用できます。
●雨水(うすい)の候
降る雪が雨へと変わり、積もっていた雪も水となって融け出す季節という意味です。こちらも立春を過ぎた頃から使えます。
●浅春(せんしゅん)の候
浅春はまだ寒さが残る春の初め頃を指します。春になってまだ間もない時期という意味があるので、立春過ぎから2月下旬が適しています。
<例文>
拝啓 春寒の候、〇〇様にはご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて・・・・・・【本文】
余寒なお厳しき折、くれぐれもご自愛のほどお祈りいたします。
敬具
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5.2月の和語調の書き出し
ここからは親しい間柄の方への手紙で使える、カジュアルな和語調の書き出し例をいくつか紹介します。
5.1.2月上旬の書き出し
和語調における2月上旬の時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
●節分が過ぎ、ようやく寒さもゆるみ始めました
●梅のつぼみがふくらみ始め、春の息吹を感じる今日この頃
●春まだ浅く、余寒厳しき日が続いております
●立春を迎えましたが、庭では子どもたちが名残の雪と戯れています
<例文>
拝啓 節分が過ぎ、ようやく寒さもゆるみ始めました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて・・・・・・【本文】
立春とはいえ、まだまだ冷え込む日もございます。何卒体調管理にご留意ください。
敬具
5.2.2月中旬の書き出し
和語調における2月中旬の時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
●寒さの中にも、春の足音を感じる季節となりました
●梅のさわやかな香りに春の訪れを感じます
●二月も半ばを過ぎ、水ぬるむ季節となりました
●厳しい冬が終わりを告げ、解氷の兆しが見られる今日この頃
<例文>
拝啓 節分が過ぎ、朝夕の寒さもゆるみ始めました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて・・・・・・【本文】
皆様が、良き春をお迎えになりますようお祈り申し上げます。
敬具
5.3.2月下旬の書き出し
和語調における2月下旬の時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
●少しずつ日脚が伸び、吹く風にも春の匂いが感じられます
●水ぬるむ季節となり、草花もほのかに色めいてまいりました
●各地から梅見の便りが聞かれる頃となりました
●木の芽起こしの雨に、春の訪れを実感する今日この頃
<例文>
拝啓 少しずつ日脚が伸び、吹く風にも春の匂いが感じられます。お変わりなくお過ごしでしょうか。
さて・・・・・・【本文】
季節の変わり目でございますので、風邪など召されませぬようご自愛ください。
敬具
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6.2月の結びの挨拶
本文を書き終えたら、もう一度季節や気候に触れた挨拶を添えます。ビジネスシーンでは相手の活躍を祈り、プライベートでは体調や健康を気遣うのが一般的です。
6.1.2月上旬の結び
2月上旬に使われる結びの挨拶は、以下のような文言が考えられます。
●寒明けの折、貴社のますますのご発展を心より祈念しております。
●立春とは名ばかりの寒さが続きます。なにとぞご自愛専一にてお願い申し上げます。
●寒の戻りで冷え込む日もございますので、どうぞお身体をおいといくださいませ。
●長い冬もようやく出口が見えてまいりました。〇〇様のご活躍を心よりお祈りしております。
6.2.2月下旬の結び
2月下旬に使われる結びの挨拶は、以下のような文言が考えられます。
●早春の候、一層のご隆盛を衷心よりお祈り申し上げます。
●三寒四温の折、なにとぞご自愛くださいますようお願い申し上げます。
●季節の変わり目です。お身体にはくれぐれもご留意ください。
●幸多き春の門出となりますよう心よりお祈り申し上げます。
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7.2月の挨拶文でよく用いられるキーワード
冬から春に季節が移り変わる2月は、暦や天候に関する特徴的なワードがいくつか存在します。ここでは挨拶文で用いられることの多い、2月のキーワードを紹介します。
7.1.行事や暦関連のキーワード
2月の主な行事と暦関連のキーワードは以下の通りです。
2月の主な行事
●節分(2月3日頃):立春の前日を指し、季節の分かれ目という意味があります。病気や災害を鬼に見立てて、豆により追い払う儀式です。
●針供養(2月8日):折れたり曲がったりした針を、寺社に納めて供養することで、裁縫の上達を願う行事です。
●うるう年(2月29日):実際の季節と暦の日付のずれを修正するため、原則4年に1度2月が1日多くなる年です。
2月の暦関連のキーワード
●立春(2月4日頃):暦の上では春が始まる日です。梅のつぼみがほころび、吹く風も暖かく春の気配を感じる頃です。
●雨水(2月19日頃):降る雪は雨に変わり、山に積もった雪は次第に融けて里に流れてくる時期です。
7.2.天候や風物関連のキーワード
2月の天候や風物に関連したキーワードは以下の通りです。
●恵方巻:七福神にちなみ、7種類の具材を巻いた太巻き寿司です。1年の節目である節分に、恵方を向いて無言で食べるといいとされます。
●福豆:節分でまく豆です。一般的には、「魔の目を射る」という意味から炒った大豆が使われます。
●春一番:春の初めに吹く暖かい南風です。低気圧が急速に発達することから、竜巻のような突風を伴うこともあります。
●福寿草:2月頃に開花する黄色く小さい花です。「幸福」と「長寿」を表す名前から、縁起のいい花とされています。
●うぐいす:九州や沖縄地方では2月頃から鳴き声が聞こえます。「春告鳥(はるつげどり)」とも呼ばれます。
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8.まとめ
2月は年度末が近くなるため、転勤や役員交代などの挨拶状を出す機会が多くなる時期です。上旬はまだ冬の寒さを感じますが、下旬にさしかかると春の気配が漂ってきます。そのため、それぞれの気候に合った時候の挨拶を選んでください。
また、ビジネスシーンでは漢語調、プライベートでは和語調といった、言葉の使い分けも必要です。相手の状況も考慮しつつ、気持ちのこもった時候の挨拶を添えましょう。
9.他の月の時候の挨拶
2月以外の時候の挨拶は、下記の記事でご紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。
各月の時候の挨拶 | ||
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