取引先などの関係者に手紙などを送る際には、季節に合わせた時候の挨拶を添えるのが一般的です。時候の挨拶を添えることで、相手に丁寧さと心遣いを伝えることができます。そこで本記事では、新年を迎えた1月に使える時候の挨拶をご紹介します。時候の挨拶がどのようなものなのかを含め、上旬・下旬など使う時期に応じた具体的な使用例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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1.時候の挨拶とは?
時候の挨拶とは、手紙や挨拶状などを書く際に使用する、「拝啓」などの頭語に続く季節感を表現する挨拶のことです。この時候の挨拶には、目上の方に向けた手紙やフォーマルなシーンで使用する「漢語調」と、親しい友人に当てた手紙などカジュアルなシーンで使用する「和語調」の2種類に分けられます。
時候の挨拶は季節によって表現する内容が変わるため、その時々に合ったものを選択せねばなりません。月ごとに表現を変えるのはもちろん、同じ月の中でも上旬・中旬・下旬と時期に合わせた表現が必要な場合もあります。そんな時候の挨拶には、具体的にはどのような役割があるのでしょうか。
1.1.気遣いが伝わる
時候の挨拶を入れることで、普段の会話における「暑いですね」「急に寒くなりましたね」といった四季の移り変わりを感じさせるコミュニケーションと同じように、手紙でも季節の変化を共有することができます。
こういった言葉は、単に挨拶として使うだけでなく、相手の体調面などについても気遣いを見せる側面があります。コミュニケーションをより円滑なものにする役割を持ち、文面では本題にスムーズに導入させる役割も持ちます。
1.2.メールやLINEでは必要?
メールやLINE、ビジネスチャットなど、レスポンスの早さを重視したり、急ぎの用件を伝えたりするような場面では時候の挨拶は必要ありません。特に、LINEやビジネスチャットにおいては、文章を短くし、用件をまとめた文章が好まれます。
ここで時候の挨拶を入れてしまうと、長文になり少々煩わしさを感じてしまいます。メールにおいては送る内容によって変わるため、急ぎの用件であれば時候の挨拶は必要ありませんが、新年の挨拶やかしこまった文章を送る際には必要です。
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2.挨拶状の構成と送るタイミング
ビジネスなどフォーマルなシーンにおいては、挨拶状を書く上での構成をきちんと知っておく必要があります。また、併せて挨拶状を送るタイミングについても紹介します。
2.1.挨拶状の基本構成
まず挨拶状の基本構成は、大きく「前文」「主文」「末文」「後付」の4つに分けられます。さらに細分化すると、以下のようになります。
前文 | 頭語 | 「拝啓」「謹啓」「こんにちは」などの挨拶 |
時候の挨拶 | 季節に合わせた挨拶言葉 | |
主文 | 本文 | 内容の本題 |
末文 | 結びの挨拶 | 締めの文章、自愛を祈ったり乱筆乱文を詫びたりする |
結後 | 「敬具」「謹白」「さようなら」などの挨拶 | |
後付 | 日付 | 年月日、祝い事は「〇年〇月吉日」など |
差出人 | 手紙を書いた人物の氏名 | |
宛名 | 手紙を送る相手の氏名 |
このように、時候の挨拶は前文における頭語の後に入れます。時候の挨拶を入れることで、その後の本題をスムーズに述べることができます。
2.2.挨拶状を出すタイミング
続いて、挨拶状を出すタイミングについてです。転居・転勤・転職、イベントの案内状や招待状、祝い状、詫び状、弔事の手紙など、様々なシチュエーションがありますが、どういった挨拶状を出すかによって、送付するタイミングが異なります。
例えば、引越しの場合は転居してから1ヶ月以内、転勤する場合は転勤前に、転職の場合は退職後すぐに挨拶状を出すのがマナーです。開業や事務所移転などの場合は1ヶ月前など早めに出すのがベストです。
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3.時候の挨拶は漢語調と和語調を使い分けよう
前述の通り、時候の挨拶はフォーマルなシーンで使う「漢語調」と、カジュアルなシーンで使う「和語調」の2種類があります。
漢語調では「○○の候」「○○の折」「○○のみぎり」といった表現を使うのが一般的で、○○の部分には季節を表す漢字の熟語が入ることが多いです。一方、和語調ではよりやわらかい表現を用います。親しみやすい言葉で書くため、友人・知人や同僚など近しい間柄で使われます。
4.【漢語調】ビジネスで使える1月の時候の挨拶
目上の方やビジネスシーンなどで使用する漢語調の時候の挨拶を、1月の全般・上旬〜中旬・下旬に分けて以下にまとめました。
4.1.1月全般の時候の挨拶
以下の2つは、1月全般に使える主な時候の挨拶です。例文も併せて紹介します。
●寒冷(かんれい)の候
「冷え冷えとして寒い」という意味を持ち、時期としては12月中または1月16日〜1月末頃まで使用します。
●厳冬(げんとう)の候
「冬の厳しい寒さ」「1年で最も厳しい寒さに入った」という意味を持ちます。時期の目安としては、1月5日頃〜2月3日頃までが適切です。
<例文>
拝啓 寒冷の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて・・・・・・【本文】
今後とも、変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具
4.2.1月上旬~中旬の時候の挨拶
以下の3つは、1月上旬〜中旬に使える主な時候の挨拶です。例文も併せて紹介します。
●新春(しんしゅん)の候
「新しい年」「新しい春」の意味を持ち、1月全般に使用します。「新春」という言葉は旧暦の名残りですが、年賀の印象が強いため、7〜15日以降は他の時候の挨拶を使用した方が無難です。
●初春(しょしゅん)の候
「新しい春の始まり」「新しい年の始まり」という意味を持ち、新春の候と同様に、15日頃までに使用します。
●七草(ななくさ)の候
七草の節句である1月7日に手紙やハガキが届くようにする際に使用します。「七草粥を食べる時期になった」という意味を持ちます。
<例文>
拝啓 新春の候、皆様ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて・・・・・・【本文】
本年も変わらぬお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。
敬具
4.3.1月下旬の時候の挨拶
以下の2つは、1月下旬に使える主な時候の挨拶です。例文も併せて紹介します。
●大寒(だいかん)の候
「1年で1番寒い時期に入った」という意味を持ち、現在の太陽暦で1月20日頃〜立春までの時期に使用します。
●酷寒(こっかん)の候
「厳しい寒さ」「冬の終わり」という意味を持ち、1月中旬〜下旬にかけて使用します。実際の寒さに関係なく、立春を過ぎると使用できません。
<例文>
拝啓 大寒の候、初春を迎え益々ご壮健のこととご拝察いたします。
さて・・・・・・【本文】
本年も変わらぬご支援の程、よろしくお願い申し上げます。
敬具
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5.【漢語調】ビジネスで使える1月の結びの挨拶
本文の最後には、結びの言葉を添えます。こちらにも季節折々に合う挨拶を入れ、文章の締めとします。1月は新年の幕開け、これから新しい春を迎える月であるため、そういった内容の結びの言葉を選びましょう。
5.1.1月上旬の結びの挨拶
1月上旬に使われる結びの挨拶は、以下のような文言が考えられます。
●寒冷の折、風邪など召されませぬようご自愛ください。
●極寒の候ではございますが、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
●初春のみぎり、〇〇様のますますのご発展をお祈りいたします。
5.2.1月下旬の結びの挨拶
1月下旬に使われる結びの挨拶は、以下のような文言が考えられます。
●厳寒の折、ご自愛専一にご精励ください。
●寒風の候、皆様のご無事息災をお祈り申し上げます。
●厳冬のみぎり、くれぐれもお体にはご留意ください。
6.【和語調】プライベートで使える1月の時候の挨拶
続いて、よりカジュアルなシーンなどで使用する和語調の時候の挨拶を、1月の全般・上旬・下旬に分けて以下にまとめました。
6.1.1月上旬の時候の挨拶
和語調における1月上旬の時候の挨拶は、以下のようなものが使われます。
●年も改まり、決意も新たにご活躍のことと存じます
●新春とは名ばかりの厳しい寒さが続いております
●相変わらずの寒さで春の訪れが待たれる昨今です
●七草粥の時期となりました
<例文>
拝啓 新春とは名ばかりの厳しい寒さが続いておりますが、お変わりありませんか。
さて・・・・・・【本文】
春を待ちわびつつ、ご家族の皆様のご健勝とご多幸をお祈りしております。
敬具
6.2.1月中旬の時候の挨拶
和語調における1月中旬の時候の挨拶は、以下のようなものが使われます。
●松の内のにぎわいも過ぎ、正月気分も抜けるころとなりました
●寒の入りを迎え、冷気日増しに深まるこの頃
●冬の寒風が身に染みる時期となりました
<例文>
拝啓 寒の入りを迎え、冷気日増しに深まるこの頃、お元気でお過ごしでしょうか。
さて・・・・・・【本文】
本年が皆様にとって飛躍の年となりますよう、お祈り申し上げます。
敬具
6.3.1月下旬の時候の挨拶
和語調における1月下旬の時候の挨拶は、以下のように使われます。
●大寒を迎え、寒さが厳しさを増しております
●暦の上では大寒とはいえ、冬晴れの穏やかな日々が続いております
●冷気に身の引き締まる季節
●雪晴れの青空が鮮やかな折
<例文>
拝啓 暦の上では大寒とはいえ、冬晴れの穏やかな日々が続いております。
さて・・・・・・【本文】
暖かい春を待ちわびつつ、皆様のご多幸をお祈りいたしております。
敬具
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7.【和語調】プライベートで使える1月の結びの挨拶
和語調の時候の挨拶を使った場合は、結びの挨拶も和語調のものを使いましょう。ここでは、上旬・下旬に分けてプライベートなどカジュアルな手紙で使える和語調の結びの挨拶をいくつか紹介します。
7.1.1月上旬の結びの挨拶
1月上旬に使われる結びの挨拶は、以下のような文言が考えられます。
●今年も幸多き年でありますよう、お祈り申し上げます。
●寒い日が続きますが、お体にはお気を付けください。
●御一同様のご健康とご多幸を祈りつつ、まずは寒中のお見舞いまで。
7.2.1月下旬の結びの挨拶
1月下旬に使われる結びの挨拶は、以下のような文言が考えられます。
●寒さ厳しき折から、くれぐれもご自愛くださいませ。
●春を待ちわびつつ、ご家族の皆様のご健勝とご多幸をお祈りしております。
●寒さもこれからが本番です。体調を崩さないよう気をつけてお過ごしください。
●春には遠い季節ですが、どうぞお身体を大切に。
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8.1月の挨拶文でよく用いられるキーワード
時候の挨拶を使用する際には、よく用いられるキーワードについても知っておきましょう。ここでは、1月の時候の挨拶に使えるキーワードの一例を紹介します。
8.1.行事や暦関連のキーワード
1月の主な行事と暦関連のキーワードは以下の通りです。
1月の主な行事
●正月:1月3日までを「三が日」、7日までを「松の内」、地方によっては20日までを正月時期としています。
●初詣:年が明けて初めて神社や寺に参拝に行くことです。
●箱根駅伝:毎年正月の三が日期間に行われる、関東地方の大学駅伝競技会です。
●成人の日:第2月曜日に行われる成人を祝う日です。
●新年会:会社関連、または友人などが集い、新年を祝う宴のことです。
1月の暦関連のキーワード
●立春:二十四節気において、春の始まりとされている日です。節分の翌日を指します。
●雨水:立春から数えて15日頃、啓蟄までの期間を指します。
8.2.天候や風物関連のキーワード
1月の主な行事と暦関連のキーワードは以下の通りです。
●年賀状:正月時期に届ける、新年の挨拶を書き記したハガキです。
●寒の入り:1月5日頃から立春までの期間を指し、寒さが厳しくなる季節のことです。
●七草の節句:1月7日のことで、春の七草を使用したお粥を食べて、年末年始の暴飲暴食で疲れた胃腸を労わる日です。
●旧正月:旧暦の1月1日を意味しており、期間は1月21日~2月20日までです。
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9.まとめ
これまで紹介したように、1月は年明けに伴う行事やイベント、季節の変わり目などが目まぐるしいため、様々な時候の挨拶があります。時候の挨拶は手紙を書く上でのマナーであり、相手を気遣うものでもあります。
時候の挨拶は漢語調と和語調に分けられるため、誰宛に、いつ便りを出すかによってその時々に合う挨拶を入れましょう。
10.他の月の時候の挨拶
1月以外の時候の挨拶は、下記の記事でご紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。
各月の時候の挨拶 | ||
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