「コロナで業績悪化」は転職理由になる!?-面接や応募書類での伝え方

「コロナで業績悪化」は転職理由になる!?-面接や応募書類での伝え方

新型コロナウイルスの感染拡大は、多くの人の予想を超えた多大な影響を世界に及ぼしているのはご存知の通りかと思います。

日本もその例外ではなく、感染の原因となる人と人との接触を少なくする目的で、飲食店への時短要請が出るなど、幅広い業界、業種で売り上げが減少しています。

今回は、新型コロナウイルスによって、勤務する企業や店舗の業績が悪化し、転職を考えている方々に、コロナ禍による業績悪化を理由にした転職は可能なのか、その場合応募先の企業に転職理由をどのように伝えればよいかについて述べていきたいと思います。

1.コロナ禍の中、会社の業績悪化に不安を抱く人が増加

新型コロナウイルスは、人々の健康や生命を脅かすのみならず、人々の行動を制限し、消費活動を減退させることによって、経済活動を停滞させ、数多くの業界、業種の売上を減少させています。

そのことによって、自分が働く会社の業績が悪化し、将来に不安を抱くようになった方々も数多くいらっしゃると思います。

政府は新型コロナウイルスが全国的に拡大している状況を踏まえ、8月27日から9月12日までの期間、北海道、宮城県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、岡山県、広島県の8道県を緊急事態宣言の対象地域に追加しました。

すでに同宣言が発令されていた茨城県、栃木県、群馬県、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県、沖縄県と合わせ、宣言の対象は21都道府県に拡大することになりました。

また、まん延防止等重点措置についても、高知県、佐賀県、長崎県、宮崎県の4県が、8月27日から9月12日までの期間、適用地域に追加。すでに同措置が適用されていた福島県、山梨県、石川県、富山県、香川県、愛媛県、熊本県、鹿児島県と合わせ、同措置の適用対象は12県に拡大することになりました。

ただ、緊急事態宣言といっても、テレワークも思ったほど拡大せず、大都市圏でも長時間の電車通勤をしている人が多数いるほか、モデルナ製ワクチンへの異物混入や自宅療養者の急増など、日本社会全体が混乱状態に陥っています。衆議院総選挙も近づき政治状況も不安定になって迅速かつ有効な対策を期待することも難しくなっている中、経済が今後さらに悪化する可能性も予想され、自分の属する企業の業績悪化も長期にわたる可能性があると不安を抱いている人も多いのではないでしょうか。

1.1.コロナで業績が悪化し、倒産する企業が高止まり

東京商工リサーチが2021年9月1日に発表した『9月も高いペースで推移 コロナ破たん 2,018件【9月1日16:00 現在】』によると、9月1日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が18件判明、全国で累計1,912件(倒産1,812件、弁護士一任・準備中100件)に達しています。

東京商工リサーチによると、「月別では、2021年に入って2月(122件)、3月(139件)、4月(154件)と、3カ月連続で最多件数を更新した。5月は124件と4カ月ぶりに前月を下回ったが、6月は155件で過去最多を記録、7月も140件に達し過去3番目。8月も124件と高いペースで推移し、7カ月連続して月間100件を上回った」といい、月を追うごとに業績が悪化する企業が増え、そうした中、破綻にまで至る企業が増えている状況がうかがえます。

また、「倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計106件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で2,018件となった」(同社)とし、経営悪化に陥る中小企業も日増しに多くなっている状況も指摘しています。

東京商工リサーチでは、「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の対象地域を中心として、「飲食店などのサービス業や小売業、これらを取り巻く取引先にも影響が及び、夏場の書き入れ時に厳しい事業環境が続いている。コロナ関連の金融支援策は継続するが、業績不振が長期化し、過剰債務の問題も浮上している。息切れや事業継続をあきらめて破たんに至る小規模事業者を中心に、コロナ関連破たんは今後も高水準で推移するとみられる」(東京商工リサーチ)と、今後も新型コロナウイルス感染拡大による倒産が増える可能性を示唆しています。

1.2.業績悪化で潜在的な転職希望者が増加している可能性

そんな中、モノやサービスが売れなくなったことから、各企業で余剰人員が発生し、潜在的な失業者が増えていると推測されます。

仕事は単に生活費を稼ぐためのものではなく、個人個人のアイデンティティのよりどころとなるものですから、給料が保障されていたとしても、休業で自分が担当する業務が減るのは辛いことです。

そこで転職を考える人が増えるのは、自然な事かもしれません。

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2.コロナ禍の中、転職活動はすべき?

では、コロナ禍でダメージを受けた企業に在職している場合、転職すべきなのでしょうか。

ここで考えるべきなのは、「今は業績は悪いけれども、中長期的に見て回復する余地があるのか」という点です。

これは、業界、業種によって大きく異なりますので、以下で概況を見ていきます。

2.1.業種によってダメージの程度が違う

東京商工リサーチが3月31日に発表した「2021年1-3月 上場企業「早期・希望退職」実施状況」によると、「2021年1-3月に早期・希望退職者を募集した上場企業は41社(前年同期23社)で、前年同期の約2倍のペースで推移している。人数はすでに9505人を数え、前年同期(4447人)の2倍以上で、リーマン・ショック直後の2009年(1万60人)に次ぐ、12年ぶりの高水準で推移している」としています。

同社によると、「2019年秋以降、消費増税、新型コロナ感染拡大による消費低迷を背景に、アパレル・繊維製品をはじめ、外出自粛や緊急事態宣言により業務を縮小せざるを得なかった観光でも実施が目立ち、新型コロナの深刻な影響は上場企業でも人員削減などの形で顕在化している」といい、 「今後、2月期・3月期決算企業の決算発表や雇用調整助成金の特例措置終了が控えている。コロナ禍からの業績回復に時間を要するBtoC関連を中心に、上場企業の早期・希望退職募集がさらに加速する可能性がある」との見通しを示しています。

業種別にみると、「消費増税や外出自粛・在宅勤務の広がりで販売低迷が続くアパレル・繊維製品、拠点や既存事業の集約が進む電気機器が7社で並んだ」(東京商工リサーチ)といい、コロナ禍が影響しての早期・希望退職も増えている現状がうかがえます。

2.2.企業業績の改善傾向も変化の可能性

また、日本銀行は2021年7月1日、四半期ごとに実施している企業短期経済観測調査(日銀短観)の6月調査の結果を発表しました。これによると、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス14と、前回3月の調査を9ポイント上回り、4期連続で改善。業種別にみると、「非鉄金属」、「電気機械」、「化学」、「生産用機械」、「木材・木製品」などが改善しました。

一方、大企業・非製造業はプラス1と、前回調査から2ポイントの小幅な改善にとどまりました。業種別にみると、「対個人サービス」、「卸売」、「宿泊・飲食サービス」、「運輸・郵便」などが改善しましたが、「小売」は17ポイント悪化のプラス2となりました。

(出典:日本銀行「2021年6月企業短期経済観測調査」(日銀短観))

業種によって大きな差があり、業種によっては、転職時期について先延ばしにしても、状況が好転する見込みが必ずしもあるわけではないということが分かります。

2.3.雇用情勢の改善傾向も変化か

また、企業業績の悪化に伴い、雇用統計上でも新型コロナウイルス感染拡大の影響は顕在化しています。

総務省が2021年6月29日に発表した2021年5月の労働力調査(速報)の結果によると、5月の完全失業率(季節調整値)は前月比で0.2ポイント上昇し3.0%となりました。

(出典:総務省「労働力調査(基本集計) 2021年(令和3年)5月分結果」)

完全失業者数(原数値)は前年同月比13万人増の211万人で16か月連続の増加となりました。

さらに厚生労働省が同日発表した、2021年5月の一般職業紹介状況によると、5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ水準の1.09倍となりました。

(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和3年5月分)」)

失業率の上昇と失業者数の増加、また有効求人倍率の横ばいと、どの指標も雇用情勢の厳しさを示しており、今後も予断を許さない状況にあるといえるでしょう。

2.4.コロナ渦の中の転職トレンド

こうした状況を踏まえ、コロナ渦の中の転職トレンドを見ていきます。

前述した6月の日銀短観によると、大企業の業況判断指数(DI)について、業種別では、前回調査より改善が見られたものの「宿泊・飲食サービス」がマイナス74、遊園地や劇場など「対個人サービス」がマイナス31と、今後の新型コロナウイルスの感染の状況次第では、これらの業種への転職は、依然厳しい状況が続く可能性もあります。

また、好調だった「情報サービス」も3月の調査から5ポイント悪化のプラス26となり、少し陰りがみられます。「自動車」も7ポイント悪化のプラス3となりましたが、これは半導体不足の影響とみられます。

一方、「通信」は3月の調査から2ポイント改善のプラス31、「非鉄金属」も同18ポイント改善のプラス33、「電気機械」も同10ポイント改善のプラス28、「化学」も同18ポイント改善のプラス23、「木材・木製品」も同24ポイント改善のプラス18となっています。

(出典:日本銀行「2021年6月企業短期経済観測調査」(日銀短観))

電気機械や化学などの改善は、IT関連の需要が増加したことが影響しているものとみられます。木材・木製品に関しては、世界的に供給が不足していることで業況感に改善が見られました。

さらにどの業界にも共通しているトレンドとして、未経験者の採用が抑制されていることも挙げられます。コロナ禍の中、どの企業も人材育成を行う余裕はなくなっているとみられ、即戦力となる経験者採用の比重が高まっています。

従って、電気機械や化学に関わるスキルや経験を持つ人は転職活動を行っても問題はなく、待遇や業務内容が今の会社より良ければ、むしろ積極的に転職活動をすべきかもしれません。

一方、経験したことがない業界への転職を希望する場合は、休業期間などを利用して資格を取得するなど、自ら積極的にスキルを上げていく意欲がある方は転職活動をし、そうした意欲がなかなか持てないという方は、未経験職種への転職は避けたほうがいいといえます。

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3.「コロナで業績悪化」は転職理由になるか

このように、新型コロナウイルスの感染拡大は、企業や社会に大きな影響を与え、その影響が転職市場にまで及んでいることが分かります。

では、「コロナで会社の業績が悪化」もしくは、「コロナで将来の業績悪化が不安」は、転職する理由として妥当なものなのでしょうか。

3.1.採用担当者が転職理由を聞く目的

ここで考えてほしいのは、企業側からの視点です。

企業が新しい人を採用しようとするのは、自社の売上拡大と利益向上が目的です。

そのために、採用担当者は応募書類や面接で、以下の3点を重要視します。

(1)「スキル・経験・人脈」

(2)「志望動機」

(3)「転職理由」

このうち、採用担当者が最も重視するのは、(1)の「スキル・経験・人脈」といえるでしょう。これは、入社志望者が入社後に自社の利益に具体的にどう貢献できるかに最も直接的に関わってくる要素だからです。

その次に重要なのは、(2)の「志望動機」です。入社希望者が自社にどう貢献するつもりなのか、自分のスキルや経験・人脈をどう生かすつもりなのかを確認し、本当にそれが実現できるかを吟味する必要があるからです。

この二つの次に来るのが、(3)の「転職理由」となります。なぜ転職するに至ったのかを聞き、それが「スキル・経験・人脈」や「志望動機」にどうかかわっているかを確認するのです。

3.2.「業績悪化」を言いすぎるべきではない理由

このように、企業側にとって、「転職理由」は、「スキル・経験・人脈」や「志望動機」に比べて、重要度がそこまで高くないことが分かります。

従って、「コロナで会社の業績が悪化」もしくは、「コロナで将来の業績悪化が不安」というのは、入社志望者の応募の妥当性を確認することはできても、企業側にとってそのほかの要素が十分なものでないと、採用までには至らないのです。

3.3.苦境の中で最後までどう頑張ったかが重要

では、コロナ禍で会社の業績が悪化しても、それは転職理由に妥当性を与えるにすぎないものなのでしょうか。

いえ、実は、このコロナ禍の中、転職に大きなプラスを与える要素があります。

それは、「この苦しい状況の中、それを乗り越えるためにどう頑張ったか」という事です。

人間は苦しい時こそ、その人が本来持っている性質が現れます。コロナ禍の中、早々に会社を見限るよりも、この苦境に立ち向かうために、会社にどのような貢献をしたか、が重要になるのです。

それは、会社に残る場合でも、転職をする場合でも同じです。

会社に残って会社の業績が回復した場合は、この苦境を乗り切った功労者の一人として扱われ、待遇も良くなる可能性があります。

また、転職をする場合でも、早々に見切りをつけた人よりも、最後までなんとかしようとした心意気と実績が、転職希望先の採用担当者に評価される可能性が高いです。

4.「コロナで業績悪化」を転職理由にする場合の伝え方

従って、「コロナで業績悪化」を転職理由にする場合は、あまり強調しすぎないほうがいいといえるでしょう。

4.1.ポジティブな要素をメインに、プラス思考で

業績悪化を転職理由にする場合でも、「スキル・経験・人脈」をどう磨き発展させてきたか、「志望動機」で、経験やスキルをどう転職志望先の会社で行かせるか、なぜその会社を選んだかなど、応募書類や面接でポジティブな要素をメインに伝えるべきでしょう。

あくまで、「転職して応募先の会社で貢献したいこと、できること」を中心に、プラス思考で転職に臨むことがおすすめです。

4.2.「業績悪化」の内容は具体的に

また、「業績悪化」の内容は具体的に述べたほうが、転職理由としての妥当性を採用担当者に分かりやすく伝えることができます。

例えば、「給料の支給が遅延しがちになった」、「自分の得意とする担当業務が事業縮小でなくなり、配置転換された」、「サービス残業を強要されるようになった」などのように述べることが必要です。

4.3.苦境の中で頑張った成果を強調

前述したとおり、「コロナで業績悪化」を転職理由にする場合でも、苦境の中で自分が会社のために貢献しようとした、貢献できたことを強調するようにしましょう。

そうすれば、企業側から、「うちの業績も悪くなったら、すぐ辞めるのではないか」などと余計な懸念を持たれることなく、逆に、「苦しい時でも一緒に頑張れる仲間になってくれるのではないか」と期待を寄せられる可能性が高くなります。

5.「業績悪化」で退職する場合の2つのパターン

「業績悪化」で退職する場合でも、2つのパターンがあります。これは「雇用保険の基本手当」、いわゆる「失業保険」をすぐに受けられるかどうかなどにも関わってきますので、注意が必要です。

(参考:マイナビエージェント「雇用保険(失業保険)の仕組みはどうなっている?」)

5.1.「自己都合」で退職

会社の業績が悪化し、将来の見通しがたたず、今後会社の業績の回復が見込めない場合などに、「自己都合」で退職するケースです。

急な倒産による失業などを避けられるというメリットもありますが、失業保険の給付を受けるまでに、準備期間が生じる点が大きなデメリットといえます。

生活費などがまかなえるだけの蓄えがあれば問題ないかもしれませんが、そうでない場合は、生活がいきなり成り立たなくなってしまう可能性があります。

5.2.「会社都合」で退職

会社が倒産するなどして退職した場合は、「会社都合」での退職ということになります。「自己都合」での退職とは異なり、失業保険の給付をすぐに受けることができるのがメリットです。

ただ、倒産した会社から給与や退職金などが払われないままになるリスクもあり、最後の最後まで頑張る、ことのリスクはあります。

6.まとめ

在職している会社が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で業績が悪化したとしても、まだ自分にはやれることがあり、そこで頑張ることが後々にプラスになる事も多いように思えます。

しかしながら、今回の景気悪化は中長期化する可能性もあり、ギリギリまで頑張っても事態は好転しない可能性もあります。

もしご自分なりに頑張ったけれども、長い目でいても業績悪化は避けられない、そんな場合は転職エージェントの利用をおすすめします。

就活サイトでも利用した人が多いマイナビの運営する「マイナビエージェント」なら、業績悪化で転職を考えるようになった事情も踏まえ、的確なアドバイスをするアドバイザーが応募書類の書き方から面接対策まで、あなたの転職活動をサポートします。

やまない雨はありません。ぜひこの苦境を逆にチャンスとして、乗り越えましょう。

筆者プロフィール:石田哲也
福岡県出身。メーカーの経理部員、新聞記者、雑誌編集者などを経て、現在はWEBサイトの編集者・記者。
趣味は歴史小説を読むことで、特に戦国時代の場合、石田三成が豊臣家の忠臣と描かれているものを好む。
ただし、徳川家康も偉人と尊敬している。