秋の季語を一覧で紹介!使いやすい簡単な季語や美しい有名俳句も解説

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俳句の世界では、8月・9月・10月の3ヶ月を秋と区分します。まだまだ厳しい暑さが続く時期ですが、8月上旬の立秋を過ぎると、少しずつ秋の訪れを感じられるようになります。そんな秋には、賑やかだった夏が過ぎていくことへの寂しさを表す季語が多く揃っています。

また、秋ならではの食べ物や植物、行事に関する季語も豊富です。本記事では、俳句や手紙で使いやすい秋の季語をジャンルごとに詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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1 過ぎ行く夏の寂しさを表す秋の季語

秋は猛烈な暑さが徐々に収まり、涼しい風を感じ始める季節です。夜の訪れが早くなったり、青々と生い茂っていた木々が赤く色づき始めたりすると、何だか物寂しい気持ちを覚えるという方も多いのではないでしょうか。

秋の季語には、そんな過ぎ行く夏の寂しさを表す季語が多く揃っています。ここでは具体的な季語を紹介する前に、まずは秋の季語が使える時期と分類について解説します。

1.1 秋の季語が使える時期

俳句の世界では二十四節気に基づいて四季を区分しており、俳句における秋は「8月8日頃の立秋から11月7日頃の立冬の前日まで」です。つまり、秋の季語が使えるのは8月・9月・10月頃であり、この3ヶ月のことを「三秋(さんしゅう)」と呼びます。

さらに細かく言うと、8月8日頃~9月7日頃を「初秋」、9月8日頃~10月7日頃を「仲秋」、10月8日頃~11月6日頃を「晩秋」と表します。俳句では、それぞれの時期に合った季語を使用することが大切です。

1.2 季語の分類

秋特有の自然や行事、秋ならではの生活習慣や食べ物、秋に動きが活発になる動物や植物など、季語はいくつかのジャンルに分けることができます。ここでは、よく使用される7つの分類と内容を紹介します。

時候 季節や時期、暦上の区分を表した季語
天文 星、月、風、雷など空に関わる自然を表した季語
地理 田畑、山、海、川など大地に関わる自然を表した季語
生活 衣食住、仕事、健康など身の回りに関わるものを表した季語
行事 その季節に行われるイベントやお祭りを表した季語
俳人や有名人の忌日を〇〇忌として季語にすることもある
動物 その季節に活動が活発になる動物を表した季語
植物 その季節に生育が活発になる植物を表した季語

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2 秋全般で使える秋の季語

ここからは具体的な秋の季語を、上記のジャンルごとに分けて詳しく解説していきます。まずは、秋全般で使える季語を紹介します。

2.1 秋全般で使える季語一覧

秋全般で使える季語には以下のようなものがあります。

時候 秋麗、秋湿、秋澄む、秋気、秋の朝、秋の昼、秋の夜、秋の宵、秋旱、爽やか、秋暁、千秋楽、身に入む、夜長、律の調べ
天文 【星、月、空に関わる季語】
秋曇、秋高し、秋の雲、秋の空、秋の虹、秋の星、秋の夕焼、秋晴、鰯雲、霧、鯖雲、降り月、月、月代、流れ星、上り月、星月夜

【雨、風、雷に関わる季語】
秋風、秋の雨、秋の嵐、稲妻、色なき風

【その他の季語】
秋の色、秋の霞、秋の日、秋日和、秋の声、龍田姫、露、釣瓶落し
地理 【田畑、山に関わる季語】
秋の狩場、秋の田、秋の土、秋の野、秋の山、秋園、花野、花畠、山粧ふ

【海、川、湖に関わる季語】
秋の池、秋の海、秋の川、秋の潮、秋の沼、秋の浜、秋の水、秋の湖、秋の波、水澄む
生活 【衣に関わる季語】
秋の服、新絹

【食に関わる季語】
鱸膾(すずきなます)、尾花の粥、裂膾(さきなます)、とろろ汁、夜食、枝豆、猿酒

【住に関わる季語】
秋の大掃除、秋の灯、秋の宿、秋の蚊帳、秋団扇

【遊びや仕事に関わる季語】
秋耕、添水(そうず)、案山子、鳴子、鳥威し(とりおどし)、烏賊干す、鰯引く、綿取、鰻簗(うなぎやな)、田守、鹿火屋(かひや)、牛蒡引く、鹿垣(ししがき)、砧、若煙草、野菜の秋蒔、虫売、虫籠、秋の野遊び

【その他の季語】
秋意、秋思、秋興、秋渇き、夜学
行事 秋遍路、秋祭、運動会、美術展覧会
動物 【虫に関わる季語】
虫、赤蜻蛉、秋の蚊、秋の蝶、秋の蠅、秋の蜂、秋繭、竈馬(いとど)、浮塵子(うんか)、蟷螂(かまきり)、菊吸虫、螻蛄鳴く(けらなく)、蟋蟀(こおろぎ)、地虫鳴く、蜻蛉、七節、蓑虫、蚯蚓鳴く(みみずなく)、横這、われから

【鳥に関わる季語】
稲負鳥(いなおおせどり)、稲雀、色鳥、鶉(うずら)、鵲(かささぎ)、啄木鳥、小鷹、鶺鴒、鷹渡る、鴇(とき)、入内雀、椋鳥、渡り鳥、鵙(もず)

【魚に関わる季語】
秋鯵、秋鰹、秋鯖、鰯、落鮎、鰍(かじか)、ぎぎう、鮭、鴫、鱸(すずき)、宗太鰹、鯊(はぜ)、わらさ

【その他の季語】
馬肥ゆる、鹿わらさ、われから
植物 【花、野草、木に関わる季語】
秋草、秋桑、秋の七草、稲、牛膝(いのこずち)、狗尾草(えのころぐさ)、陸稲(おかぼ)、荻、雄ひじは、何首烏芋(かしゅういも)、萱、川苔、草の花、草の穂、草の実、弁慶草、数珠玉、芒、茅、仏掌薯、蔦、露草、木天蓼(またたび)、零余子(むかご)、藪虱(やぶじらみ)、夜蒔胡瓜、尾花、カンナ、菊、鶏頭、猿の腰掛、椎茸、毒茸、月夜茸、初茸

【果物、野菜に関わる季語】
青蜜柑、芋、オクラ、自然薯、秋果、生姜、唐辛子、梨、糸瓜、薯蕷(ながいも)

2.2 秋全般で使える代表的な季語と意味

上記の中で、代表的な季語の意味を紹介します。

秋旱(あきひでり) 秋になっても雨が降らず、水が涸れてしまう様子
身に入む(みにしむ) 秋の冷たく物寂しい気配を、身に深く感じること
水澄む 大気が澄んで水にも透明感を感じられること
山粧ふ(やまよそおう) 紅葉により、山が化粧をしたように色付いているという意味
秋祭 収穫に感謝して、秋ごろに各地で行われる祭


2.3 秋全般の季語を使った有名俳句

秋全般の季語が使われている有名な俳句を紹介します。

  • 爽やかに山近寄せよ遠眼鏡(日野草城)
  • 鰯雲人に告ぐべきことならず(加藤楸邨)
  • 赤蜻蛉飛ぶや平家のちりぢりに(正岡子規)

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3 初秋(8月頃)に使える秋の季語

8月8日頃~9月7日頃の「初秋」に使える秋の季語を紹介します。初秋の季語には、残暑に関する言葉に加えて、お盆などの行事もあります。

3.1 初秋に使える季語一覧

初秋に使える季語には以下のようなものがあります。

時候 秋され、秋めく、寒蝉鳴く、残暑、処暑、新涼、鷹鳥を祭る、八月、白露降る、初秋、文月、立秋、涼風至る
天文 秋の雷、秋の初風、有明月、天の川、送りまぜ、御山洗、初嵐、二つ星、盆東風、盆の月
地理 秋出水、盆波
生活 秋扇、秋日傘、扇置く、苧殻、鵲の橋、梶の葉、梶鞠、衣被、休暇明、草の市、牽牛、小鷹狩、ささげめし、織女、硯洗、相撲、鷹打、七夕、七夕踊、七夕竹売、中元、妻迎舟、燈籠、七箇の池、七姫、庭木刈る、庭の立琴、願の糸、後の薮入、八月大名、鳩吹く、花火、星合、星の貸物、盆竈、盆狂言、盆の掛乞、盆花、盆路、盆休み、盆用意、廻り灯籠、焼米
行事 愛宕火、生身魂、池坊立花、送り火、送り盆、踊、鹿島祭、風の盆、金水引、竿燈、北野祭、逆の峯入、経木流、解夏、刺鯖、地蔵盆、精霊火、精霊舟、水灯会、水巴忌、相撲の節、施餓鬼、大文字、薪寺の虫干、玉取祭、魂祭、竹生島祭、衝突入、燈籠流、茄子の馬、新綿の奏、墓参、蓮の飯、深川祭、奉灯会、星の薫物、盆綱引、真菰の馬、御射山祭、三島祭、迎火、綾子忌、応挙忌、鏡花忌、宗祇忌、藤村忌、普羅忌、了以忌、林火忌、了以忌
動物 秋の蝉、秋の蛍、荒鷹、蝗、稲虫、稲舂虫、芋虫、刺虫、馬追、鉦叩、邯鄲、きりぎりす、草雲雀、轡虫、このしろ、鈴虫、仙入、鷹の塒出、鷹の山別れ、茶立虫、飛蝗、針金虫、蜩、放屁虫、法師蝉、松虫、別れ烏
植物 青瓢、茜草、朝顔、朝霧草、麻の実、泡立草、稲の花、岩蓮華、隠元豆、弟切草、桔梗、狐の剃刀、桐の実、桐一葉、紅冬瓜、臭木の花、草の香、草牡丹、葛の花、夏解草、苔桃、南五味子、サルビア、沢桔梗、山椒の実、西瓜、蕎麦の花、蓼の花、煙草の花、たぶの実、田村草、たらの花、椿の実、冬瓜、刀豆、巴草、撫子、ぬめり草、芭蕉、薄荷の花、鳩麦、はまなすの実、馬鈴薯、楸、藤袴、芙蓉、鬼灯、鳳仙花、星草、ホップ、松虫草、茗荷の花、めはじき、桃、夕顔の実、夜顔


3.2 初秋使える代表的な季語と意味

上記の中で、代表的な季語の意味を紹介します。

処暑 立秋の15日後で、暑さが収まるという意味
新涼 秋に入って気温が涼しく感じること
送りまぜ 7月15日頃の盂蘭盆(うらぼんえ)を過ぎて吹く南風
秋出水(あきでみず) 盆過ぎの大雨や台風で河川の水が溢れること
七夕 旧暦7月7日夜の行事であり、織姫と彦星が年に1回出会える日とされる。

3.3 初秋の季語を使った有名俳句

初秋の季語が使われている有名な俳句を紹介します。

  • 牛部屋に蚊の声闇き残暑かな(松尾芭蕉)
  • 天の川のもとに天智天皇と虚子と(高浜虚子)
  • 送り火や今に我等もあの通り(小林一茶)

3.4 初秋の季語を使った時候の挨拶

手紙の書き出しで使用できる、初秋の季語を使った時候の挨拶を紹介します。

  • 残暑の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
  • 立秋とは名ばかりの暑さが続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
  • 処暑を迎え、〇〇様におかれましてはますますご活躍のことと存じます。

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4 仲秋(9月頃)に使える秋の季語

9月8日頃~10月7日頃の「仲秋」に使える秋の季語を紹介します。仲秋の季語には、お彼岸に関する言葉や、月が付く言葉が多く揃っています。

4.1 仲秋に使える季語一覧

仲秋に使える季語には以下のようなものがあります。

時候 秋彼岸、九月、玄鳥帰る、鴻雁来る、秋社、秋分、仲秋、二百十日、白露、八朔、葉月、冷やか、水始めて涸る、雷声を収む、龍淵に潜む
天文 青北風、碇星、十六夜、居待月、雨月、おしあな、雁渡し、菊日和、黍嵐、鮭颪、台風、高西風、立待月、野分、初月、更待月、臥待月、二日月、富士の初雪、待宵、真夜中の月、三日月、無月、名月、やまじ、夕月夜、弓張月、宵闇、良夜
地理 落し水、不知火、高潮、初潮
生活 茜掘る、秋袷、秋蚕、秋簾、秋の鵜飼、秋のセル、秋の虫送り、秋場所、粟刈る、稲扱、稲干す、馬市、鎌祝ひ、蚊帳に雁を描く、凶作、行水名残、草泊、草花秋蒔く、薬掘る、下り簗、胡麻刈る、鴫の羽盛、鹿狩、渋取、障子貼る、新渋、すがれおひ、俵網、月見、木賊刈る、とんぶり、名残狂言、濁り酒、根釣、後の出代、稲架、はららご、ひしこづけ、菱取る、氷頭膾、袋洗ひ、豊年、牡丹の根分、松茸飯、豆引く、籾、籾摺、夜蛤、夜庭
行事 赤い羽根、秋の駒牽、宇佐祭、大鳥祭、かな女、気比祭、毛見、芝神明祭、秋季皇霊祭、秋思祭、十字架祭、定考、静塔、聖母生誕祭、聖ミカエル祭、素十、素堂、大宰府祭、迢空、司召、鶴岡祭、豊国神社祭、南洲、二十六夜待、野口念仏、筥崎祭、八幡放生会、八朔の祝、穂懸、松尾神事相撲、吉野太夫、吉野祭、鬼貫忌、かな女忌、鬼城忌、許六忌、西鶴忌、子規忌、蛇笏忌、迢空忌、南洲忌、乃木忌、守武忌、遊行忌、露月忌
動物 秋の蛙、穴惑ひ、溢蚊、江鮭、海猫帰る、尾越の鴨、懸巣鳥、小鳥、太刀魚、燕帰る、初鴨、ひしこ、蛇穴に入る、鰡
植物 藍の花、藜の実、秋茄子、秋薔薇、通草、朝顔の実、蘆の花、粟、、思草、籬豆、南瓜、刈安、刈萱、菊芋、黍、梔子の実、苦参、粟奴、コスモス、胡麻、桜紅葉、石榴、甘藷、甘蔗、三七の花、紫苑、芋茎、蘇枋の実、千振、高黍、竹の春、玉蜀黍、木賊、鳥兜、苦瓜、野菊、野葡萄、蓮の実、初紅葉、浜菊、稗、風船葛、茯苓、藤豆、葡萄、芙蓉の実、緑豆、紅茸、木瓜の実、杜鵑草、舞茸、水引の花、溝蕎麦、めなもみ、桃吹く、柳散る、山薊、山葡萄、敗荷、蘭、龍胆、早稲、棉


4.2 仲秋使える代表的な季語と意味

上記の中で、代表的な季語の意味を紹介します。

八朔(はっさく) 旧暦8月1日のことで、稲の豊作を祈ったり祝ったりする日
雨月(うげつ) 雨のため、仲秋の名月が見られず残念なこと
名月 旧暦8月15日に見える大きな月
菊日和 菊の花が見頃を迎える頃のよく晴れた日
落し水 稲刈り前に田んぼの水を落とすこと


4.3 仲秋の季語を使った有名俳句

仲秋の季語が使われている有名な俳句を紹介します。

  • 名月をとつてくれろと泣く子かな(小林一茶)
  • 見る影やまだ片なりも宵月夜(松尾芭蕉)
  • コスモスくらし雲の中ゆく月の暈(杉田久女)

4.4 仲秋の季語を使った時候の挨拶

手紙の書き出しで使用できる、仲秋の季語を使った時候の挨拶を紹介します。

  • 秋分の候、貴社いっそうご清祥のことと慶賀の至りに存じます。
  • 白露のみぎり、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
  • 風にゆれるコスモスに、秋の深まりを感じる頃となりました。皆様いかがお過ごしですか。

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5 晩秋(10月頃)に使える秋の季語

10月8日頃~11月6日頃の「晩秋」に使える秋の季語を紹介します。晩秋の季語には、寒さを表す言葉や、秋に食べ頃を迎える果物などが多く揃っています。

5.1 晩秋に使える季語一覧

晩秋に使える季語には以下のようなものがあります。

時候 秋惜しむ、秋寒、秋土用、秋深し、朝寒、うそ寒、寒露、菊黄花あり、九月尽、暮の秋、鴻雁来賓す、十月、冷まじ、雀蛤となる、霜降、草木零落す、そぞろ寒、蟄虫咸俯(ちつちゅうみなふ)す、長月、肌寒、晩秋、冬隣、漸寒、行く秋、夜寒
天文 秋時雨、秋の霜、秋雪、露寒、露時雨、露霜、後の月
地理 刈田、枯野の色、野山の色、野山の錦、ひつぢ田
生活 秋収め、浅漬大根、蘆刈り、蘆火、網代打、甘干、稲刈、芋煮会、うるか、おくにち、からすみ、雁瘡、菊合、菊襲、菊供養、菊膾、菊人形、菊の酒、菊枕、菊花展、栗の子餅、栗飯、栗羊羹、古酒、小鳥狩、鮭打、椎柴、鹿の角切、地芝居、秋分の日、新麹、新酒、新蕎麦、新米、新藁、新豆腐、杉焼、茸狩、種採、後の雛、火恋し、冬支度、風炉の名残、文化の日、牧閉す、松手入、紅葉狩、紅葉衣、ゆびしお、柚餅子、柚味噌、よなべ
行事 秋の御灯、石上祭、伊勢御遷宮、岩倉祭、太秦の牛祭、恵比須祭、大神神社祭、大津祭、岡崎祭、菊の着綿、芸術祭、国民体育大会、金刀比羅祭、西院祭、逆髪祭、時代祭、城南祭、諸聖人祭、白川祭、聖体行列、体育の日、宝の市、重陽、天馬流鏑馬、東洋城忌、年尾忌、鳥羽僧正忌、鳴瀧祭、温め酒、野の宮の別、紅葉の賀、淀祭、蓼太忌、例幣、去来忌、桂郞忌、源義忌、紅葉忌、白雄忌、鳥羽僧正忌、白秋忌、広重忌、保己一忌、夢窓忌
動物 あとり、交喙鳥、猪、落鰻、落かいず、落鯛、落鮒、尾花蛸、頭高、鰹の烏帽子、雁、菊戴、熊栗架をかく、栗虫、木葉山女、坂鳥、秋刀魚、しめ、田雲雀、鶫、鶴来る、菜虫、残る虫、蜂の仔、鶲(ひたき)、ひひらぎ、鵯 鶸(ひわ)、猿子鳥、紅葉たなご、紅葉鮒、雪迎へ、連雀
植物 小豆、畦豆、一位の実、無花果、銀杏散る、銀杏黄葉、茨の実、岩茸、梅擬、梅紅葉、末枯、漆の実、オリーブの実、楓、柿、樫の実、榧の実、茸、金柑、銀杏、草紅葉、栗、栗茸、胡桃、柑子、木の実、サフランの花、椎の実、橙、竹の実、橘、萩の実、晩菊、菱の実、菱紅葉、ひつぢ、百菊、藤の実、仏手柑、葡萄紅葉、朴の実、柾の実、松茸、紫式部、木犀、紅葉、紅葉かつ散る、山梨、破芭蕉、柚子、落花生、辣韮の花、林檎、檸檬、早生蜜柑


5.2 晩秋使える代表的な季語と意味

上記の中で、代表的な季語の意味を紹介します。

冬隣(ふゆとなり) 寒い冬がもうすぐそこまで来ているという意味
秋土用 立冬までの18日間を指す言葉
漸寒(ややさむ) 晩秋らしい肌寒さのこと
露寒(つゆざむ) 朝露がそろそろ霜に変わるくらい寒くなってきたこと
後の月(のちのつき) 旧暦9月13日、満月の2日前に見えるすこし欠けた月


5.3 晩秋の季語を使った有名俳句

晩秋の季語が使われている有名な俳句を紹介します。

  • 秋深き隣は何をする人ぞ(松尾芭蕉)
  • 稍(やや)寒の鏡もなくに櫛る(夏目漱石)
  • 世の中の色に染めたるりんごかな(与謝蕪村)

5.4 晩秋の季語を使った時候の挨拶

手紙の書き出しで使用できる、晩秋の季語を使った時候の挨拶を紹介します。

  • 秋寒の候、皆様におかれましては、一段とご壮健のこととお慶び申し上げます。
  • 寒露のみぎり、〇〇様におかれましてはますますのご活躍 何よりと存じます。
  • 今年も庭の柿の実が色付き始めました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

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6 秋の季語に関するQ&A

俳句や手紙で秋の季語を使用するにあたって、よくある質問を紹介します。季語についての基本から、人気の美しい季語まで解説するので、ぜひ参考にご覧ください。

6.1 そもそも季語は誰が決めている?

現在は、数えきれないほど多くの言葉が季語として認められ、全てではないものの、各出版社が発行する「歳時記」という本に掲載されています。季語として認められた上で「歳時記」に掲載されるには、基本的に以下の条件が必要だと言われています。

  1. その言葉を使った名句があること
  2. その名句が社会的に広く認知されていること
  3. 多くの人がその言葉を季語として使用していること

これらの条件が全て満たされると、季語として「歳時記」に掲載される可能性が出てくるのです。このことから、一つの言葉が季語として認められるには、ある程度の時間と多くの人の認知が必要であると言えます。

6.2 春夏秋冬はどこで区切る?

俳句の世界では二十四節気の「立春」「立夏」「立秋」「立冬」を境に、四季を区分しています。そのため、2~4月頃は春、5~7月頃は夏、8~10月頃は秋、11~1月頃は冬とするのが基本です。

6.3 おしゃれな秋の季語といえば?

秋の季語は、明るくて賑やかな夏とは異なり、少し物悲しく落ち着いた雰囲気の言葉が多い傾向です。派手さはないものの、深みのある大人の俳句を詠みたい方にとっては良い季節であると言えます。そんな秋のおしゃれな季語には、以下のようなものがあります。

  • 秋麗
  • 錦秋
  • 山粧う
  • 冬隣
  • 不知火
  • 新涼
  • 紫苑
  • 白露降る
  • 涼風至る
  • 紅葉かつ散る

6.4 秋の季語と間違えやすい季語は?

例えば、「竹の秋」「麦の秋」「夜の秋」などは、秋と付いていても秋の季語ではありません。竹は春に黄色くなることから「竹の秋」は春の季語です。また、「麦の秋」は麦が黄金の穂を揺らす初夏の季語、「夜の秋」は徐々に夜の気温が低くなる晩夏の季語です。

一方、夏のイメージが強い「七夕」「西瓜」「朝顔」は、全て秋の季語です。このように、間違えやすい季語は多数存在するため、使用する際はいつの季語かをしっかり確認するようにしましょう。

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7 まとめ

俳句の世界では、8月、9月、10月の約3ヶ月を秋と定義するのが一般的です。まだ暑さが続く時期ではあるものの、立秋が過ぎ、お盆を超えたあたりから少しずつ秋の気配を感じるようになります。そんな秋の季語には、過ぎ行く夏の寂しさを感じさせるものから、美しい月を表した言葉、実りの秋ならではの果物や草花までバラエティ豊かです。

秋の季語は落ち着いた大人の俳句作りにぴったりです。また、おしゃれな言葉も多いので、時候の挨拶に使用すれば、ワンランク上の手紙に仕上がるでしょう。ぜひ本記事を参考に、美しい秋の季語を活用してみてください。

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