お中元をもらったら、感謝の気持ちを伝えるお礼状を出すのがマナーです。しかし、出す時期や書き方を間違えると、かえって相手に失礼な印象を与えかねません。そこで、本記事では基本の構成からすぐに使える具体的な例文まで、お中元のお礼状について詳しく解説します。代筆を依頼する際の注意点や、お中元をお断りする場合の例文も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【関連記事】「手紙の書き方を例文で解説!マナー違反をしないための注意点も」
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1 お中元のお礼状とは
お中元を受け取った際に、贈り主へ感謝の意を伝えるために出すのがお中元のお礼状です。まずは、お中元のお礼状の基本を解説します。
1.1 お中元をもらったら必ず出す
お中元をもらったら、必ずお礼状を出すのがマナーです。お礼状を出すことで、贈ってくださった方へ「確かに受け取りました」という報告もできます。
お礼状には感謝の気持ちを綴るとともに、「美味しくいただきました」「大切に使っています」など、品物の感想を添えるとさらに喜ばれます。
1.2 品物は贈らなくてもOK
一般的に、お中元は目下の方から目上の方に贈るものとされています。そのため、お中元を受け取ったからといって、品物をお返しする必要はありません。
ただし、「受け取りました」という報告も兼ねて、感謝の気持ちを伝えるお礼状は必ず出すようにしましょう。
1.3 お中元を贈ってある相手でもお礼状は必要
自分がお中元を贈ってある相手からお中元が届いた場合でも、お礼状は必要です。お礼状はあくまでも、品物を受け取ったことに対する報告と感謝を伝えるためのものなので、受け取った時点で出すようにしましょう。
【関連記事】「【内定のお礼状】正しい書き方やポイント・注意点を例文付きで解説」
2 お中元のお礼状に関する基本マナー
ここからは、お中元のお礼状に関する基本的なマナーを紹介します。相手に好印象を与えられるように、基本マナーを押さえておきましょう。
2.1 お中元を受け取った日から3日以内に出す
お中元のお礼状は、できるだけ早く出すのがマナーです。受け取った当日、もしくは翌日に出すのが理想ですが、難しいようであれば3日以内を目安に出しましょう。
万が一、それ以上経ってしまった場合は、まず電話やメールでお礼が遅れたことへの謝罪を伝え、あらためてお礼状を出すようにします。
2.2 関係性によって封書とハガキを使い分ける
お礼状でもっとも丁寧なのは「縦書きの封書」です。取引先や上司など、目上の方に送る場合は縦書きの封書が無難です。友人や同僚、部下に送る場合は、横書きやハガキでも問題ありません。封書とハガキは、相手との関係性によって使い分けましょう。
2.3 頭語と結語を使用した基本構成で書く
お中元のお礼状は、「拝啓」から始まり「敬具」で締める構成で書くのが基本です。詳しい構成は後述しますが、頭語と結語を使用して書くことで、手紙の導入や締めがスムーズになる上、より丁寧な印象を与えられます。
2.4 手書きならより気持ちが伝わる
お礼状を複数人に出さなければならない場合は、印刷したお礼状を使用しても問題はありません。とはいえ、やはり手書きの方が気持ちが伝わり好印象を持たれやすいので、印刷のお礼状を使用する場合も、手書きで一言添えるのがいいでしょう。
【関連記事】「ビジネスメールの書き出しマナー!パターン別に例文をご紹介」
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3 お中元のお礼状の基本構成
ここからは、お中元のお礼状の基本構成を解説します。基本構成に従って書くことで、マナーを守ったお礼状が書きやすくなります。
3.1 頭語
まずは、「こんにちは」という挨拶にあたる「頭語」を記入します。お礼状を送る相手によって、適した頭語を選びましょう。お中元のお礼状でよく使用される頭語は以下の通りです。
お礼状を送る相手 | 頭語 |
---|---|
取引先や顧客などビジネス関係の方 | 拝啓、拝呈、啓上 |
上司や恩師など目上の方 | 拝啓、謹啓、謹呈、恭啓 |
気心の知れた親しい方 | 前略、冠省 |
3.2 時候の挨拶(書き出し)
時候の挨拶とは、頭語の後につなげて書く季節や気候に関する言葉です。本文の前置きとして入れることで手紙に季節感を出し、より丁寧な印象を与えられます。
お中元が贈られる6月から8月に使える時候の挨拶には、以下のようなものがあります。なお、時候の挨拶として使う場合は、「〇〇の候」「〇〇の折」「〇〇のみぎり」といった形で記載します。
また、親戚や友人など親しい方へのお礼状では、堅苦しくない和語調の挨拶を使用するのがいいでしょう。
6月 | 7月 | 8月 | |
---|---|---|---|
全般 | ・向暑(こうしょ) ・新緑(しんりょく) |
・猛暑(もうしょ) ・盛夏(せいか) |
・残暑(ざんしょ) ・初秋(しょしゅう) |
上旬 | ・初夏(しょか) ・芒種(ぼうしゅ) |
・小暑(しょうしょ) ・酷暑(こくしょ) |
・甚暑(じんしょ) ・晩夏(ばんか) |
下旬 | ・夏至(げし) ・長雨(ながあめ) |
・大暑(たいしょ) ・炎暑(えんしょ) |
・立秋(りっしゅう ・処暑(しょしょ) |
親しい方向け | ・梅雨明けが待ち遠しい今日この頃 ・連日夏のような日差しが降り注いでいますが |
・毎日うだるような暑さが続いていますが ・蝉の鳴き声に夏の到来を感じさせられる今日このごろ |
・8月に入り厳しい暑さが続いておりますが ・暦の上では立秋を迎えましたが |
時候の挨拶のあとは、相手の繁栄を祝ったり健康を気遣ったりする一文をつなげます。具体的には、以下のような文面が使用できます。
ビジネス・目上の方向け | ・貴社におかれましては、ますますご繁益のこととお慶び申し上げます ・皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます ・貴殿におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます |
---|---|
親しい方向け | ・お元気でご活躍とのこと、なによりと存じます ・お変わりなくお過ごしでしょうか ・毎日どのようにお過ごしでしょうか |
3.3 お中元へのお礼
お中元に対するお礼の言葉を書きます。「ありがとうございます」という感謝の気持ちはもちろん、味に関する感想や家族の反応、どうやって使用しているかといった細かい感想もあわせて記載すると、贈った相手も嬉しい気持ちになります。
3.4 時候の挨拶(結び)
本文を書き終わったら、もう一度時候の挨拶を入れて結びます。お中元の季節は暑さが厳しい時期でもあるので、暑さに対する体調の変化を気遣う一文を入れるのがおすすめです。
3.5 結語
「さようなら」にあたる「結語」を記入します。「結語」は頭語とセットで使用するものなので、頭語にあわせて正しい「結語」を選びましょう。
3.6 日付と差出人名
最後にお礼状を書いた日付と差出人名(自分の名前)を記入します。取引先へのお礼状では、自分の会社名や所属部署なども忘れずに記入しましょう。
【関連記事】「【年間の月別「時候の挨拶・季節の挨拶」一覧】例文や注意点も紹介」
4 【相手別】お中元のお礼状で使える例文
ここからはお礼状を送る相手別に、具体的な例文を紹介していきます。
4.1 企業宛で送るお中元のお礼状例文
取引先の企業からお中元をもらった場合は、あまり私的な内容を含まない文面を心掛けて、速やかにお礼状を送付しましょう。
拝啓 大暑の候、貴社におかれましてはますますご隆盛のこととお喜び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます
さて、このたびはお心遣いのお品をご恵贈いただき、厚く御礼申し上げます
暑さ厳しき折から、貴社のますますのご発展を心より祈念しております
まずは略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇(差出人名)
4.2 ビジネス関係の個人宛で送るお中元のお礼状例文
取引先の担当者や、職場の上司へ宛てたお礼状の例文です。感謝の気持ちに加えて、品物への一言を添えるといいでしょう。
拝啓 処暑の候、皆様にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます
さて、このたびは大変結構なお中元の品をいただきまして、誠にありがとうございました
格別の味に感激しつつ、家族皆で美味しくいただきました
心よりお礼申し上げます
時節柄、どうかご自愛専一に、ますますのご活躍をお祈り申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇(差出人名)
4.3 親戚や友人宛で送るお中元のお礼状例文
親戚や友人など、親しい方に宛てたお中元のお礼状の例文です。あまり堅苦しい言い回しを使用せず、嬉しいという気持ちを素直に記載しましょう。
拝啓
毎日うだるような暑さが続いていますが、お元気でお過ごしでしょうか
このたびは心のこもったお中元の品をお贈りいただき、誠にありがとうございました
子どもたちも大喜びで、届いたその日に皆で美味しくいただきました
心より感謝申し上げます
しばらくは厳しい残暑が続きそうですので、どうぞご自愛のうえお過ごしください
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇(差出人名)
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5 【季節別】お中元のお礼状で使える例文
ここでは、季節に応じたお中元のお礼状の例文を紹介します。それぞれの月に合った時候の挨拶を使用して、季節を感じさせる一文を入れ込むことで、よりオリジナリティを感じるお礼状になります。
5.1 6月に送るお中元のお礼状例文
6月は「梅雨」「長雨」「夏至」「紫陽花」などの言葉が使用できます。
拝啓 夏至のみぎり、お変わりなくお過ごしでしょうか
このたびは、〇〇をお贈りいただきまして誠にありがとうございます
さっそく家族皆で美味しくいただきました
長雨が続いておりますが、美味しい〇〇のおかげで気分がほんのり明るくなりました
お心遣いに感謝申し上げます
梅雨晴れの青空を待ちつつ、皆様のご多幸をお祈りいたしております
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇(差出人名)
5.2 7月に送るお中元のお礼状例文
7月は「猛暑」「酷暑」「蝉しぐれ」「七夕」などの言葉が使用できます。
拝啓 猛暑の候、皆様いかがお過ごしでしょうか
さて、このたびは〇〇をお贈りいただきまして誠にありがとうございます
さっそく食後に冷やしていただいたところ、その上品な味わいと涼やかな甘さが、まさにこの酷暑にぴったりでした
細やかなお心遣いに感謝申し上げます
寝苦しい日々が続きますが、体調を崩されないようご留意ください
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇(差出人名)
5.3 8月に送るお中元のお礼状例文
8月は「熱帯夜」「残暑」「初秋」「入道雲」などの言葉が使用できます
拝啓 残暑のみぎり、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか
さて、このたびは〇〇をお贈りいただきまして誠にありがとうございます
さっそく家族皆で美味しくいただきました
貴重な〇〇の味わいが、初秋のひとときを特別なものにしてくれました
お心遣いに深く感謝申し上げます
処暑が過ぎ ゆく夏を惜しむ頃ではありますが、夏の疲れを残さぬよう、どうぞご自愛ください
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇(差出人名)
6 お礼状が書けない場合は代筆を依頼する
仕事が忙しかったり体調を崩してしまったりして、すぐにお礼状が書けないこともあります。そういった場合は他の人に代筆を依頼して出すようにしましょう。
代筆はマナー違反ではありませんが、気を付けるべき点もあります。失礼にあたらないように、代筆を依頼する際の注意点と例文を見ておきましょう。
6.1 代筆してもらう際の注意点
まず、このお礼状が代筆されたものであるということを、しっかり明記しなければなりません。本文で代筆について触れる必要はありませんが、最後の差出人名では妻なら「内」、部下なら「代(代筆者の名前)」を記入します。
また、代筆の場合印刷したお礼状は失礼にあたるため、必ず手書きで書くようにしましょう。
6.2 妻に代筆してもらう際の例文
妻に代筆してもらう場合、妻の名前は書かず、夫の名前の隣に「内」とだけ記入します。なお、ここでは夫の名前の下に記入していますが、お礼状は通常縦書きで記入するため、実際の位置は夫の名前の左隣となります。
拝啓 処暑の候、貴社におかれましてはますますご隆盛のことと心よりお喜び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます
さて、本日お中元の御品を拝受いたしました
いつもながらのお心遣いに感謝申し上げます
暑さ厳しき折から、貴社のますますのご発展を心より祈念しております
まずは略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇 〇〇(夫の名前)
内
6.3 部下に代筆してもらう際の例文
部下に代筆してもらう場合は、上司の名前の隣に「代」と書いて、部下本人の名前も記入します。
拝啓 処暑の候、貴社におかれましてはますますご隆盛のことと心よりお喜び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます
さて、本日お中元の御品を拝受いたしました
いつもながらのお心遣いに感謝申し上げます
暑さ厳しき折から、貴社のますますのご発展を心より祈念しております
まずは略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇 〇〇(上司の名前)
代 △△ △△(部下の名前)
7 来年からのお中元をお断りする際のお礼状例文
「お中元のやり取りを今年限りで終わりにしたい」という場合は、その旨をお礼状で伝えましょう。ただし、相手を嫌な気持ちにさせることのないよう、文面には気を付けなければなりません。
まず、今年のお中元に対しての感謝の気持ちを伝えたうえで、「今後はお気遣いなされませんように」という文章を入れましょう。最後に、「今後も変わらぬお付き合いをお願いします」という一文も忘れずに添えます。
拝啓 処暑の候、皆様にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます
さて、このたびは結構なお中元の品をいただきまして、誠にありがとうございました
お心遣いに大変恐縮しております
ご厚意をいただきながら大変心苦しく存じますが、どうか今後はお気遣いなさいませんようお願い申し上げます
どうぞ今後とも末永くお付き合いのほど、お願い申し上げます
末筆となりましたが、貴社の益々のご繁栄と皆様のご健康をお祈りしております
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇(差出人名)
8 その他手紙の書き方
手紙の書き方については、以下の記事でもご紹介しています。併せてご覧ください。
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9 まとめ
お中元を受け取ったら、できるだけ速やかにお礼状を送るのがマナーです。お礼状は失礼のないような文章を意識する必要がありますが、まずは嬉しい気持ちを素直に伝えることが大切です。
特に、個人宛のお礼状であれば、食べた感想や家族の反応を記載することで、お中元の送り主も嬉しい気持ちになります。ぜひ、受け取った相手が笑顔になるような、心のこもったお中元のお礼状を出しましょう。
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