取引企業や上司宛てに年賀状を書く場合、どのような言葉を選べばいいのか迷ったことがある方は多いかもしれません。ビジネスシーンで年賀状を出す際は、失礼のないようマナーに気を付ける必要があります。本記事では好印象を与えるビジネス年賀状の書き方を、例文と共に解説します。注意すべきポイントも紹介するので、ビジネス年賀状を出す機会がある方はぜひチェックしてください。
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1 ビジネス年賀状は必ず出すべき?
ビジネス年賀状とは、取引企業や上司などビジネスシーンでお世話になっている方に送る年賀状です。これまで、関係性の強化やビジネスのスムーズな進行のために必要とされてきたビジネス年賀状ですが、近年はメールやSNSで迅速にやり取りができることから「紙の年賀状はいらないのでは?」と感じる方も多いでしょう。
確かに、ビジネス年賀状は必ずしも出さなければならないものではありません。しかし、元旦に届く心のこもった年賀状に嫌悪感を感じる人はいないはずです。むしろ、メールやSNSが普及した今の時代だからこそ、紙の年賀状がより価値のあるものになる可能性もあります。日本では、依然として従来のビジネスマナーを重視する方も多いため、相手にフォーマルな印象を与えられるビジネス年賀状は出しておいて決して損はないものと言えます。
2 ビジネスで年賀状を出すシーンとは?
そもそも、ビジネスにおいて年賀状を出すのはどのようなシーンでしょうか。ここでは、代表的な4つのパターンについて紹介します。
2.1 会社名で取引企業宛に出す
会社同士の繋がりが深い場合は、会社名を差出人として取引企業宛に出すことがあります。取引企業全体に向けた年賀状のため、新年の挨拶や「本年もよろしくお願いいたします」など、儀礼的な内容の年賀状が一般的です。
2.2 個人名で親交が深い取引先の担当者宛に出す
同じ取引企業宛でも、日頃から顔を合わせたり頻繁に取引を行ったりする担当者がいる場合は、個人名で年賀状を出すこともあります。
ただし、あくまでもビジネスシーンでの年賀状であるため、お互いの企業名や肩書をしっかり記載した上でのやり取りとなります。
2.3 社内の上司や先輩宛に出す
同じ職場で働く上司や先輩に出す方も多くいます。この場合は、同じ会社における個人同士のやり取りとなるため、会社名や肩書は記入しません。
2.4 企業や店舗からお客様宛に出す
お世話になっているお客様宛に、年賀状を出す企業や店舗も多く見られます。日頃のご愛顧に感謝するとともに、宣伝効果を狙って年賀状を作成する場合もあります。
【関連記事】「【年間の月別「時候の挨拶・季節の挨拶」一覧】例文や注意点も紹介」
3 【表面】ビジネス年賀状の基本構成
ビジネス年賀状の基本構成を紹介します。まずは、宛名を書くはがき表面の構成を見ていきましょう。
3.1 相手先の住所
ビジネス年賀状では縦書きが一般的です。住所は右側に一行空けて、郵便番号の枠から一文字分下げた辺りから書き始めます。宛名よりもやや小さめの文字で書くと、バランスのいい配置になります。
3.2 会社名・部署名・肩書・氏名
会社宛や担当部署宛に出す場合は、「御中」という敬称を使用して中央に大きく宛名を書きます。このとき、会社名は略さずに正式名称で書かなければなりません。
また、取引先の担当者宛に出す場合も正式な会社名を書いたうえで、部署名・肩書・氏名を記入します。名前は中央に大きく書き、敬称は個人宛のため「様」を使用します。
【敬称の例】
- 株式会社〇〇 御中
- 株式会社〇〇 第二営業部 企画課 御中
- 株式会社〇〇 第二営業部 部長 〇〇〇〇 様
3.3 差出人の住所と氏名
一番左側に差出人の住所や氏名を記入します。取引先宛であれば、会社名や部署名も必要です。もしも、裏面に差出人の住所や氏名を記入してあるのであれば、表面に書く必要はありません。
4 【裏面】ビジネス年賀状の基本構成
本文を書くはがき裏面の基本構成を解説します。ビジネス年賀状ならではのポイントもあるので、参考にご覧ください。
4.1 賀詞(がし)
「賀詞」とは、祝い事などに際して述べられる祝辞や祝いの意味を指す言葉です。年賀状における「賀詞」には、「寿」「賀正」といった簡単なものから、「謹賀新年」「新春のお慶びを申し上げます」など丁寧なものまで多くの種類があります。
一般的に、ビジネスシーンでは略語である一文字や二文字の賀詞は使用しません。ビジネスシーンでよく使用される賀詞には以下のようなものがあります。
・謹賀新年
・恭賀新年
・謹賀新春
・敬頌新禧
・慶賀光春
・明けましておめでとうございます
・新年おめでとうございます
・謹んで新春のお慶びを申し上げます
賀詞の使い方として、「謹賀新年」と書いた後に「明けましておめでとうございます」と書くのはNGです。年賀状で使用する賀詞には全てに「新年を祝う」という意味が込められているため、両方使用すると意味が重複してしまいます。
4.2 本文
まずは、旧年中お世話になったことへの感謝を述べましょう。この際、「去年」という言葉は使用できません。「去」という漢字には「別れる、離れる」という意味があり、新年を祝う年賀状にはふさわしくないため、「昨年」「旧年」という言葉を使用します。
感謝を述べた後は、「本年もよろしくお願いいたします」「皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます」といった意味の文章を続けると、すっきりまとまります。
4.3 日付
最後に、年賀状が届く一月一日午前中を意味する「令和〇年 元旦」を記載します。年賀状は一月一日の元旦に届くように出すのがマナーです。特に、ビジネス年賀状を遅れて出すのは失礼にあたるので、余裕を持って準備することが大切です。
4.4 手書きで一言を添える
近年、ビジネス年賀状は印刷したものが主流となっています。企業名で大量に出す年賀状であればそのままでも問題ありませんが、距離の近い取引先の担当者、同じ職場で働く上司や先輩に宛てた年賀状では、手書きで一言添えるとより温かみを感じられる年賀状になります。
仕事への抱負やプライベートな出来事など、短い一文を書き添えるのがおすすめです。
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5 【シーン別】ビジネス年賀状の例文
ここからはビジネス年賀状を送るシーン別に、それぞれの例文を紹介します。年賀状の文面に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
5.1 【取引企業向け】ビジネス年賀状の例文
主に、企業間で送り合う場合の、取引企業に宛てた年賀状の例文です。基本構文に沿って、旧年中のお礼と新年の挨拶というシンプルな内容が一般的です。
謹賀新年
旧年中は格別のご厚情にあずかり心より御礼申し上げます
御社の益々のご発展を祈念いたしますとともに
本年も一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます
令和〇年元旦
謹んで新春のお慶びを申し上げます
昨年中はひとかたならぬ御高配を賜り厚く御礼申し上げます
本年もサービス向上に向けて社員一同より一層尽力してまいる所存です
変わらぬお引き立ての程お願い申し上げます
令和〇年元旦
5.2 【取引先の担当者向け】ビジネス年賀状の例文
同じ取引先への年賀状でも、企業同士ではなく担当者同士という個人間でやり取りする場合の例文です。基本構文は変わりませんが、距離が近いのであれば、印刷文の後に手書きで一言添えると温かみが出ます。
謹んで新春のご祝詞を申し上げます
昨年中は格別のご高配を賜り心より御礼申し上げます
御社のますますのご発展を祈念しますとともに
本年も変わらぬご交誼のほど何卒よろしくお願い申し上げます
(前文が印刷の場合は手書きで一言を添えると◎)
令和〇年元旦
謹賀新春
旧年中は公私にわたってお世話になり心より感謝申し上げます
本年も倍旧のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます
(前文が印刷の場合は手書きで一言を添えると◎)
令和〇年元旦
5.3 【上司・先輩向け】ビジネス年賀状の例文
同じ会社で働く上司や先輩に宛てたビジネス年賀状の例文です。こちらも、手書きで一言添えると、気持ちが伝わる年賀状になります。
恭賀新年
ご家族ご一同様には良き新年を迎えられたこととお喜び申し上げます
旧年は温かくご指導くださり誠にありがとうございました
今年も変わらぬご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます
(前文が印刷の場合は手書きで一言を添えると◎)
令和〇年元旦
新年おめでとうございます
旧年中は大変お世話になりました
本年は〇〇を達成できるよう一層の努力をしてまいる所存です
まだまだ至らぬ点も多いと思いますが
引き続きご指導のほどよろしくお願いいたします
令和〇年元旦
5.4 【お客様向け】ビジネス年賀状の例文
企業や店舗からお客様宛に出すビジネス年賀状の例文です。ご愛顧に感謝しつつ、引き続きお世話になりますといった内容が一般的です。また、宣伝効果を狙って写真を活用したり、キャンペーン情報を載せたりするケースもあります。
謹賀新年
旧年中は格別のご愛顧をいただき誠にありがとうございました
本年も皆様にご満足いただけるサービスを提供できるよう社員一同努めてまいります
何卒よろしくお願い申し上げます
令和〇年元旦
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6 ビジネス年賀状のマナー
仕事の関係者に宛てて出すビジネス年賀状は、マナーに気を付けて失礼のない内容にしなくてはなりません。ここでは、ビジネス年賀状を出す際のマナーを6つ紹介します。
6.1 元旦に届くように出す
ビジネス年賀状は元旦に届くように出しましょう。通常、年賀状は1月1日から1月7日まで(関西では1月15日まで)の松の内に届けばいいとされていますが、やはり一月一日に届いた年賀状の方が良い印象を持たれやすくなります。
また、年賀状の日付で「令和〇年元旦」と記した場合、元旦に届かないのはマナー違反です。年賀状の受付は12月15日から始まり、25日頃までに出すと元旦に届くと言われているため、余裕を持って準備しましょう。
6.2 報告や連絡をメインにしない
年賀状の目的は新年の挨拶を伝えることであり、それ以外の用件を伝えることは避けるべきです。例えば、「この度、〇〇部署に異動になりました」「1月20日の会議は13時からです」といった報告や連絡は、年賀状とは別に改めて伝えるようにしましょう。
ただし、「今年は新プロジェクトを立ち上げる予定ですので、引き続きご指導のほどよろしくお願い申し上げます」といった程度の簡潔な報告であれば、挨拶の一部として書き添えても問題ありません。
6.3 落ち着いたデザインを選ぶ
ビジネス年賀状では、派手過ぎない落ち着いたデザインを選びましょう。シンプルなワンポイントの干支が印刷されていたり、筆文字に合う和柄のプリント柄が適しています。
6.4 色の薄いペンを使用しない
色の薄い文字は、葬儀や弔事において使われることが多いため避けなければなりません。これは悲しみの表現として、涙で墨が薄くなってしまったという意味があるとされます。ビジネス年賀状は色の濃い黒のペンや筆を使用し、はっきり読みやすい文字で書くようにしましょう。
6.5 写真は使用しない
基本的に、ビジネス年賀状では写真を使用しない方が無難です。友人や親族に宛てて出す年賀状のように、子どもの写真を使用したものなどは失礼にあたります。
ただし、家族ぐるみでのつき合いがあるなど相手との距離が近い場合は、家族で映る写真を使用してもいいでしょう。また、お客様宛に出す年賀状では、店舗や商品の写真を載せることで宣伝効果を狙えます。
6.6 句読点や忌み言葉を使用しない
年賀状を含むお祝い状や感謝状では、句読点を使用しません。なぜなら、句読点は文章の「区切り」や「終わり」に使用するものであり、おめでたい文章で使用するのは縁起が悪いとされているからです。
また、「倒れる」「失う」「絶える」「病む」などは、年賀状にふさわしくない「忌み言葉」と呼ばれています。本文中で誤って使用しないよう注意しましょう。
7 ビジネス年賀状でよくある質問
ビジネス年賀状に関してよくある質問を紹介します。もしものときに困らないよう、事前に対応策を確認しておきましょう。
7.1 出すのを忘れてしまった場合はどうする?
気付いたら12月25日を過ぎていて、1月1日に届けられないという場合は、1月1日から1月7日まで(関西では1月15日まで)の松の内までに届くよう急いで出しましょう。その場合、日付に「元旦」と記載してある場合は一旦破棄して、「一月」「正月」といった文言で書き直してから出します。
7.2 送っていない相手から届いた際の返信は?
こちらが送っていない相手から年賀状が届いた場合は、できるだけ速やかに返信することが大切です。その際は、いただいた年賀状へのお礼と、遅れてしまったことへのお詫びを記入します。
謹んで初春のお慶びを申し上げます
ご丁寧な年賀状を頂戴しておりましたが
年末年始留守にしていたためご挨拶が遅れましたことを深くお詫びいたします
旧年中は格別のご厚情にあずかり心より御礼申し上げます
本年も一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます
謹んで初春のお慶びを申し上げます
新年のご挨拶が遅れましたことお詫び申し上げます
お心のこもった年賀状をいただき誠にありがとうございました
ご健勝で新年を迎えられましたことお慶び申し上げます
本年も変わらぬご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます
なお、松の内を過ぎる場合は、年賀状ではなく寒中見舞いとして出すのがマナーです。
7.3 ご家族とも面識がある場合、宛名は連名で書く?
ビジネスのおける年賀状では、連名ではなく企業名宛、担当者宛、上司宛に出すのが基本です。ただし、上司や先輩のご家族と面識があり、家族ぐるみでのつき合いがある場合は、宛名をご夫婦の連名にして出す方がいいでしょう。
この場合、名前に誤りがあると大変失礼にあたるので、事前に確認しておくか、はっきりわからない場合は連名を避けて出すようにしましょう。
7.4 メールで送ってもいい?
近年は、ペーパーレス化やコスト削減を目的として、新年の挨拶を年賀状からメールに切り替えている企業も増えています。とはいえ、ビジネスシーンにおいてメールでの年賀状はまだ一般的ではなく、失礼と感じる方もいます。
そのため、例年紙の年賀状でやり取りを続けている場合は、そのまま続けた方がいいでしょう。相手の企業風土や関係性をみて、メールに切り替えるかどうかの判断をしてください。
メールに切り替える場合、その年はメールと紙の年賀状を両方送り、翌年からメールに切り替えることをお知らせした上で切り替えを行いましょう。
8 企業年賀状を廃止する際の文例
ビジネスマナーとして定着している年賀状ですが、最近は廃止する動きも出ています。年賀状は新年の挨拶を丁寧に伝えられる一方で、表面上のやり取りだけで形骸化している「虚礼」だという声もあります。
以下は企業間の年賀状を廃止する際の文例です。廃止する際は、必ずこのような文面で通知を行うようにしましょう。
拝啓 〇〇の候 貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご厚情にあずかり心より御礼申し上げます。
さて、このたび弊社では虚礼廃止や環境への影響などの観点から、毎年お送りしておりました年賀状を控えさせて頂くことと致しました。
誠に勝手ではございますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
今後も変わらぬお引き立てをお願いするとともに
皆様のご繁栄とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
敬具
9 その他手紙の書き方
手紙の書き方については、以下の記事でもご紹介しています。併せてご覧ください。
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10 まとめ
ビジネスシーンにおいて年賀状は大切なコミュニケーションツールです。近年は、メールに切り替えたり年賀状自体を廃止したりする企業も増えていますが、それでも紙の年賀状には温かみがあり、新年に送り合うのが一般的なマナーであると考える人は多くいます。
ビジネス年賀状は、文面はもちろん日付の書き方や敬称、投函する日にちなどにも十分注意しなければなりません。基本を守って、相手に好印象を与える年賀状を出しましょう。
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