【例文付き】「拝啓」の意味や使い方は？手紙で使う際のポイントを解説 - CANVAS｜若手社会人の『悩み』と『疑問』に答えるポータルサイト

「拝啓」は手紙を書く際に使用される「頭語」、つまり冒頭のあいさつです。かしこまった手紙でよく目にする言葉で、「謹んで申し上げます」という意味があります。

しかし、具体的にどういった手紙で使用するのか、拝啓のあとにはどのように文章を続ければ良いのかなど、使い方がよくわからないという方もいるかもしれません。そこで、本記事では例文を挙げながら、拝啓の意味や使い方を詳しく解説していきます。

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1. 「拝啓」とは

まずは、そもそも「拝啓」にはどのような意味があるのかや、使い方の基本を解説します。

1.1. 「拝啓」は「謹んで申し上げます」の意

「拝啓（はいけい）」は「謹んで申し上げます」という意味であり、手紙の相手に敬意を示す冒頭のあいさつとして記載する言葉です。

「拝」は「おじぎをして相手に敬意を表する」という意味、「啓」には申し上げるという意味があります。

1.2. 「敬具」とセットで使うのが一般的

手紙の冒頭で使用する「拝啓」は、「頭語」の一種です。頭語は必ず対になる「結語」とセットで使用します。拝啓と対になる結語はいくつかありますが、中でも「敬具（けいぐ）」がもっとも一般的です。

「敬具」には「謹んで申し上げました」という意味があり、手紙文面の最後に記載します。

1.3. フォーマルな手紙・文書で広く使われる

相手に敬意を伝える「拝啓」は、挨拶状や案内状、目上の方への手紙など、フォーマルな手紙や文書で広く使われます。ビジネスシーンとプライベートシーンのどちらでも使用でき、相手に敬意を表すことができます。

なお、メールの場合は手紙や文書よりも簡略化される傾向があるので、「拝啓」や「敬具」は基本的には使いません。

2. 手紙の基本構成と「拝啓」の記載箇所

かしこまった手紙では、基本的に以下のような要素で構成されます。

①頭語：「拝啓」など
②時候の挨拶：季節や気候に合った内容を交え、相手の健康や繁栄を祝う
③本文：「さて」「このたびは」といった起こし言葉のあとに、本題を続ける
④結びの挨拶：相手の繁栄を祈ったり、変わらぬお付き合いを願ったりする一文
⑤結語：「敬具」など
⑥後付：日付・差出人名・宛名など（横書きの案内文では冒頭で記載することもある）

このように、基本的に「拝啓」は文章を書き始める前、一行目に記載します。ただし、横書きのビジネス文書などの場合は以下のような構成も用いられます。

①日付
②宛名
③差出人の所属や名前
④文書のタイトル
⑤頭語：「拝啓」など
⑥本文
⑦結語：「敬具」など

3. 「拝啓」を使った手紙の例文

ここからは、「拝啓」を使った手紙の例文を紹介します。あいさつ文やお礼文を書く際の参考にしてください。

3.1. ビジネスシーンでのあいさつ文

取引企業へ移転のあいさつや年末など節目のあいさつをする際の例文を紹介します。

3.1.1. 取引先への移転のあいさつ

拝啓　春暖の候、貴社におかれましては益々ご盛栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、このたび弊社は事業拡大に伴い下記住所へ移転する運びとなりました。
つきましては、これを機会に社員一同なお一層の努力をいたす所存でございますので、今後ともますますのお引き立てを賜りますよう、よろしくお願いいたします。

まずは略儀ながら、書中をもちましてご挨拶申し上げます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具

令和〇年〇月〇日

〇〇〇〇（差出人住所）
株式会社〇〇
代表取締役〇〇（差出人の名前）

3.1.2. 年末など節目のあいさつ

拝啓　師走の候、貴社におかれましては益々ご盛栄のこととお喜び申し上げます。
本年も格別のご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。

年末のごあいさつに参上すべきところですが、本日〇〇から心ばかりの品をお送りいたしましたので、ご笑納いただけましたら幸甚に存じます。

寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛くださいませ。
来年も変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げ、年末のご挨拶とさせていただきます。

敬具

令和〇年〇月〇日

〇〇〇〇（差出人住所）
株式会社〇〇
〇〇部〇〇（差出人の名前）

3.2. 取引先へのお礼文

取引先から頂き物をした際のお礼文を紹介します。

拝啓　盛夏の候、貴社におかれましては、益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、このたびはお心のこもったお品を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。社員一同にて美味しくいただきました。
心からお礼を申し上げますとともに、今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

暑さ厳しき折、皆様のご多幸と貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具

令和〇年〇月〇日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　株式会社〇〇
〇〇〇〇（差出人の名前）　　　

株式会社〇〇
〇〇部　部長　〇〇様（相手の名前）

3.3. 案内文やお知らせ

記書きで日時や場所を知らせる形式の案内文や、お知らせの文書でも「拝啓」を使用することで、より丁寧な印象になります。

3.3.1. イベントの案内

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　令和〇年〇月〇日

取引先各位（相手の名前）

株式会社〇〇
〇〇〇〇（差出人の名前）

〇〇のご案内

拝啓　時下益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、弊社ではこのたび〇〇を目的として、〇〇を開催する運びとなりました。つきましては、ご多忙中のことと存じますが、ぜひともご参加いただけますと幸いです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具

記

日時　〇〇
場所　〇〇
住所　〇〇

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上

3.3.2. 担当者変更のお知らせ

拝啓　時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、私〇〇はこのたび〇月〇日付で〇〇部〇〇課へ異動することとなりました。在任中は一方ならぬご支援を賜り、誠にありがとうございました。

なお、後任として〇〇が貴社を担当させていただきますので、引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます。

敬具

令和〇年〇月〇日

〇〇〇〇（差出人住所）
株式会社〇〇
〇〇部〇〇（差出人の名前）

3.4. 個人宛の近況報告文

友人や恩師へ近況を報告する際の手紙でも「拝啓」を使用すると、より丁寧な印象を与えられます。

拝啓　節分が過ぎ、ようやく寒さもゆるみ始めました。その後いかがお過ごしですか？

このたび、私は〇〇株式会社〇〇部への配属となりました。

（仕事への意欲や近況報告を書く）

どうぞ、今後とも温かく見守っていただけますと幸いです。
季節の変わり目ゆえ、お風邪など召されませぬようご自愛ください。

敬具

令和〇年〇月〇日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〇〇〇〇（差出人の名前）

〇〇〇〇様（相手の名前）

4. 「拝啓」を使わない方が良い手紙もある？

「拝啓」は多くの手紙で使用できる便利な「頭語」ですが、使用すべきではない手紙もあります。ここでは「拝啓」を使わない方がいい手紙を3つ紹介します。

4.1. 親しい人へのカジュアルな手紙

冒頭で紹介したように、「拝啓」は相手に敬意を示す言葉です。丁寧な印象を与える一方で、親しい人への手紙で使用すると、相手に距離を感じさせてしまう場合があります。

そのため、カジュアルな内容の手紙や、相手が「拝啓」などの頭語を使用していない手紙への返信で、「拝啓」を使用するのは避けましょう。

4.2. お見舞いやお詫びの手紙

体調を崩されている方への手紙では、読む際の負担を減らすため、「拝啓」を含む前文は記入しないのがマナーです。また、相手に謝罪をしなければならないお詫びの手紙でも、前文は省いて謝罪の言葉を真っ先に記載します。

4.3. メールやチャット

「拝啓」や時候の挨拶を含む前文は手紙で使用する言葉であり、簡潔なやり取りが求められるビジネスメールやオンラインチャットでは使用しないのが一般的です。

メールでは「いつもお世話になっております」「お忙しいところ失礼いたします」など、簡単な挨拶から始めると良いでしょう。

5. 頭語・結語はシーンによって使い分けよう

「拝啓・敬具」はよく使用される頭語と結語ですが、そのほかにもさまざまな種類があります。手紙の内容によってそれぞれの「頭語・結語」を使い分けましょう。

手紙の内容	頭語	結語
一般的な手紙	拝啓、拝呈、拝白、啓上	敬具、敬白、拝具、かしこ
改まった手紙	謹啓、謹呈、恭啓	謹言、敬白、かしこ
急を要する手紙	急啓、急呈	敬具、草々、かしこ
前文を省略した手紙	前略、冠省	草々、不一、かしこ

なお、「かしこ」は女性しか使用できない結語です。

【関連記事】「【例文付き】「敬具」の使い方とは？意味や正しい書き位置を解説」

6. そのほかの手紙の書き方

手紙の書き方については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。

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7. まとめ

「拝啓」は相手に敬意を示すことができる挨拶であり、かしこまった内容の手紙や文書ではこうした「頭語」、そして対になる「結語」が欠かせません。特に「拝啓」と「敬具」は幅広く使える便利な表現です。

ただし、使用しない方が良い種類の手紙もあるため、意味と使い方をしっかり把握しておくことが重要です。「拝啓」を正しく使用し、気持ちが伝わる心のこもった文章を書きましょう。

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