【例文付き】「各位」の正しい使い方とは?利用シーンや注意点を解説

ビジネススキル・マナー

「各位」はビジネスメールでもよく目にする言葉です。しかし、どんな時に使うのか、目上の人に使ってもいいのか、「各位」の後に「様」や「殿」はつけた方がいいのか等、実際使うとなると悩んでしまう人も多いのではないでしょうか?本記事では、意外と知られていない「各位」の意味と正しい使い方について解説します。

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1.「各位」の意味とは

「各位(かくい)」とは「皆様(みなさま)」「皆様方(みなさまがた)」といった意味ですが、大勢の人を対象にしながらも、その一人一人を敬っている表現になります。

そもそも「各」という漢字には「おのおの、めいめい、ひとつひとつの」という意味があり、「位」には「人に対する敬語」といった意味があります。

本来であれば、「○○様 □□様 △△様・・・」と書くべきところなのですが、全ての方の名前を記載するのが困難な場合には「各位」を使用します

「各位」は「皆様」よりも、さらに丁寧な表現であるため、ビジネスシーンにおいても多く使われる言葉です。多くの人に宛ててメールを送信する時や案内状、お知らせを文書で送る時などにも使えます。

ただし、あくまでも大勢に対して使う言葉であって、個人に対しては使用しませんので注意してください。

2.「各位」の利用シーンと使い方

ここからは、「各位」の使い方について説明します。実際にどういった場面で使用するのか、NGな使い方を含めて見ていきましょう。

2.1. 社内・社外・目上の人にも使用できる

「各位」は、目上の人や社内の人に使っても失礼にはあたりません。「各位」はその言葉自体が敬称となっているので相手の立場を気にすることなく使用することができます。会議時間変更のお知らせや社内行事について等、多くの人にお知らせしたい時は「各位」を使うと便利です。

しかし、実際にメールを作成している時、各位のみでは素っ気ない感じがする場合もあります。例えば、部長や課長を含めた部署のメンバー全員にメールを送る際、「各位」でまとめると「上司が不快に思うかもしれない...」と心配になるかもしれません。そんなときは、下記のように記載するのがおすすめです

【例文】

  • ○○部長
  • ○○課長
  • 各位

「各位」を使用することは間違いではないのですが、目上の人に使うのが気になるという場合は、このような相手を配慮した書き方をしてみましょう。

2.2.2人までは個人名、3人からは「各位」が一般的

「各位」には「皆様」という意味があり、相手が大勢のときに使用する言葉です。では、相手が大勢とは言えない2人や3人の場合でも「各位」を使用できるのでしょうか。

結論として、2人の場合は「各位」は使用せず、それぞれの名前で ●●様 〇〇様 と表記するのが無難です。

もしも、相手が3人の場合は「各位」を使用しても問題ありません。一般的に、「各位」は3人以上へのメールや手紙で使用すると覚えておきましょう。

2.3.「○○各位様」「○○様各位」「○○各位殿」はNG

「各位」=「皆様」といった意味なので、「各位」にもすでに「様」などと同様の敬称の意味合いが含まれています

「○○各位様」「○○様各位」「○○各位殿」といった使い方は、一見丁寧な表現に感じるかもしれませんが、敬称を重ねて使ってしまっているので二重敬語となります。このような使い方はしないようにしましょう。

NGOK
関係者各位様 関係者各位
担当者様各位 担当者各位
取引先各位殿 取引先各位


2.4.「お客様各位」は社会的に許された表現

ここで気になってくるのが、私たちの生活の中でもよく目にする「お客様各位」という表現です。

本来であれば二重敬語を避けるため「お客各位」となるのですが、この言い方では違和感を覚えることから「お客様各位」が一般的になっています。


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3.「様」「殿」「御中」との違い

宛名に使用する敬称はいくつかありますが、それぞれの正しい意味と使い方を理解しましょう。

3.1.「様」と「殿」は個人に対する敬称

「各位」は複数の個人に対して敬意を表す場合に使う表現であるのに対し、「様」は個人への敬称になります。

使用する頻度の高い言葉ですが、先述の通り、二重敬語にしてしまいやすいので注意しましょう。

また、「殿」も個人への敬称ですが、一般的に目上の人から目下の人に対して使用されるもので、社外や取引先には使用しません

ただし、公的機関など、公用文では「様」の代わりに「殿」を使用する慣例があります。なお、「殿」はビジネスシーンで使用されることが少なくなっているようです。

3.2.「御中」は団体に対する敬称

「御中」は企業や部署、法人や行政官庁などの「団体」に対して敬意を表す場合に使う表現です。「各位」などと併用せずに「御中」のみで使用します。

「御中」という言葉は「各位」と同様に社会人になってから目にする機会が増えるので、意味がよく分からないまま使用している人もいるかもしれません。

「御中」は、「中の人へ」という意味の「中」に丁寧語の「御」を加えた言葉なので、団体名につけることで「団体の中の皆様へ」という意味になります。

そのため、個人の敬称に「御中」を使用してしまうとおかしな意味になってしまうので、注意しましょう。

3.3.相手によっては「先生」を使うことも

医師や弁護士、教師など師業・士業に就く人に対しては「様」や「殿」ではなく「先生」とするのが一般的です。作家や議員に対しても使われます。職業柄、普段から「先生」と呼ばれる人には文書やメールでも「先生」と書くのが自然でしょう。

なお、「先生」の後に「様」や「殿」を付けると二重敬称になってしまい、誤りです。「先生」を使う時は単体で使うようにしましょう。

3.4.返信用封筒・はがきの宛先には注意

郵便物の場合、返信用の封筒やはがきが同封されていることもあります。こうした返信用の宛先にあらかじめ書かれているのが「行」「宛」「係」が付いた宛名です。

こういった返信用封筒やはがきを使って相手に返信する場合、もともとの「行」「宛」「係」は二重線で消して横に下記のように敬称を書き加えます

  • 「行」「宛」→「様」あるいは「御中」
  • 「係」→「御中」

4.「各位」を使用したビジネス文書・メールの例文

ここでは、実際にビジネス文書やビジネスメールでどのように「各位」を使用するのか、例文を挙げて解説します。

4.1.社内に向けての「各位」例文

まずは社内向けの文書やメールでの「各位」の例文を紹介します。

【例文1】
従業員各位 歓迎会のご案内

【例文2】
○○会参加者各位 会場変更のお知らせ

【例文3】
関係者各位 ○○プロジェクトの進捗について

社内向けでは、他にも「社員各位」と全体に呼びかけたり、「〇〇部各位」「管理職各位」と特定の部署や役職に呼びかけたりする使い方があります。

4.2.社外に向けての「各位」例文

次に、顧客や取引先に向けた社外文書やメールでの「各位」の例文を紹介します。

【例文1】
株主各位
拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

【例文2】
お客様各位のご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

【例文3】
つきましては、各位のご参加・ご支援を伏して懇願申し上げます。

社外に向けた文書やメールでは、「〇〇部 ご担当者各位」「お得意様各位」など、社内向けよりも丁寧な表現を心掛けましょう

5.「各位」を使う際の注意点

実際のビジネスシーンで「各位」を使う際の注意点を解説します。誤った使い方をしないように、あらためて間違えやすいポイントをチェックしておきましょう。

5.1.組織・団体・個人宛には使用しない

「各位」を組織や団体宛てに用いるのは不適切です。また、個人に対して使用することも失礼にあたります。

そのため、組織や団体の場合は「株式会社〇〇 御中」「〇〇会 御中」といった形で「御中」を使用し、個人の場合は「〇〇様」「〇〇株式会社 〇〇ご担当者様」といった形で「様」を使用するなど、適切な敬称を使い分けることが大切です。

5.2.二重敬語に注意する

「〇〇各位様」「〇〇各位殿」など、「各位」の後ろにさらに敬称をつけるのは、二重敬語という誤った使い方です。特に、会社の上司や取引先など目上の方への文書やメールでは、丁寧さを強調しようとついやりがちなことですが、二重敬語はビジネスにおいてNGな行為のため、十分注意するようにしましょう。

「お客様各位」は社会的に定着しているため問題ありませんが、もしも気になるようであれば「お得意先各位」「ご利用者各位」「ご契約者各位」と言い換えることもできます。

6.英語で「各位」はどう書く?

英語で「各位」を表現する場合、一般的には「To whom it may concern」が使用されます。これは、特定の宛先を持たない場合や、読む人物が不特定の場合に使われます。

【例文】

To whom it may concern, I am writing to inquire about the status of my application.
(各位、私の申し込み状況について問い合わせさせていただきます。)

そのほか、Dear Customer(お客様へ)、Dear Employees(従業員へ)、Dear All(グループの全員へ)といった表記もよく使用されます。

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7.「各位」と同様に間違いやすい言葉

「各位」の他に、メールや手紙で間違いやすい言葉について以下の記事でご紹介していますので、併せてご覧ください。

いかがでしたか?「各位」は大勢に向けてお知らせしたいことがある場合に便利な宛名です。しかし、「相手を不快にさせない」といったマナー面を考えると、場合によっては使い方を変えた方が良いこともあります。「各位」を使用する際には相手に配慮することを忘れないようにしましょう。

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