ビジネスシーンにおいて、お詫びや予防線を張る際に使用される言葉として「ご容赦ください」があります。このような敬語には正しい使い方があり、活用シーンや言葉の組み合わせ方を知っておかないと、失礼になってしまうことがあります。
この記事では、「ご容赦ください」の意味や使い方、注意点について例文を交えて解説します。さらに、類語や言い換えの表現についてもいくつかまとめたので、ぜひ参考にしてください。
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1 「ご容赦ください」の意味とは
「ご容赦ください」は迷惑をかける前にあらかじめ予防線を張りたいときや、謝罪とともに理解を求めたいときに使用されます。読み方は「ごようしゃください」です。
「容赦」には「人の過ちや弱点を理解し許す」「大目に見る」という意味があります。このことから、「ご容赦ください」は「期待には沿えないかもしれませんが、お許しください」「失敗するかもしませんが、大目に見てください」という意味で使われます。
2 「ご容赦ください」が使える場面
「ご容赦ください」はどのような場面で使用できるのでしょうか。ここでは、「ご容赦ください」を使用する目的に加えて、実際の使用場面を解説します。
2.1 不測の事態に備えて予防線を張るとき
急な予定変更やトラブルの発生といった不測の事態に備えて、予防線を張っておきたいときに使用できます。
この先に起きるかもしれない不都合な事実を伝える際は、相手からの反発や不満の声が大きくなることを覚悟しなければなりません。しかし、「ご容赦ください」を使用してあらかじめお詫びの意思を伝えておけば、不測の事態が起こったとしても、相手の怒りを軽減できる可能性があります。
2.2 現状に理解や承諾を求めるとき
未来のことだけでなく、現在起きている事態に対して理解や承諾を求めたいときにも「ご容赦ください」は使用可能です。
例えば、天候不順によるスケジュール変更など、やむを得ない理由によって相手に迷惑をかけてしまうこともあります。そんなとき「ご容赦ください」を使用すれば、お詫びを伝えた上で事情に対し理解を求めることができます。
「ご容赦ください」は相手に配慮しつつも、現状をしっかり理解してもらいたいときに便利な言葉です。
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3 「ご容赦ください」の正しい使い方
ここからは、「ご容赦ください」の具体的な使い方と例文を紹介します。ビジネスシーンではよく使用する文なので、しっかり確認しておきましょう。
3.1 「売り切れの際はあらかじめご容赦ください」
販売店でよく使用される例文です。売り切れてしまうことを想定して、あらかじめ謝罪をしています。このように起こり得る悪い事態に対して、事前に許しを請う使い方には以下のようなものもあります。
- 行き違いの場合は、何卒ご容赦くださいませ。
- 当日は入場を制限する場合があります。あらかじめご容赦くださいますようお願いいたします。
3.2 「〇〇は終了いたしました。何卒ご容赦ください」
起こっている事象に対して謝罪し、理解を求める使い方です。その他には以下のような例文があります。
- 現在使用できません。ご不便をおかけいたしますが何卒ご容赦ください。
- 都合により欠席いたします。申し訳ありませんが何卒ご容赦ください。
3.3 「お振込み後の返金はご容赦くださいませ」
理解を求めるとともに、断りの意味合いが強い使い方です。謝罪の気持ちはそれほど大きくありませんが、ルールや規約に沿った行動を求める際は、「ご容赦ください」を使用するとより丁寧な印象を与えられます。
- 商品発送後のキャンセルはご容赦いただけますと幸いです。
- 営業時間外のご連絡はご容赦いただきますようお願いいたします。
4 「ご容赦ください」の間違った使い方
「ご容赦ください」を以下のように使うのはNGです。
- 当方の手違いに関しまして、どうぞご容赦ください。
- 来週有給休暇を取得しますがご容赦ください。
- 予定通り伺いますので、ご容赦ください。
「ご容赦ください」に深い謝罪の意味はないため、ミスや手違いで相手に迷惑を掛けている場合は使用できません。その際は「申し訳ございません」「深くお詫びいたします」など、ストレートな謝罪の言葉を使いましょう。
また、相手に許しを請う必要がない場合も、「ご容赦ください」を使うのは不適当です。
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5 「ご容赦ください」を使う時の注意点
「ご容赦ください」をビジネスシーンで使用する場合は、注意すべき点があります。使い方によっては失礼にあたることもあるので、ビジネスマナーの一つとして覚えておきましょう。
5.1 目上の人への使用は極力避ける
「ください」は「くれ」の丁寧語であるため、「ご容赦ください」は敬語表現です。しかし、命令形であることに代わりないため、目上の人に使うのは避けた方がいいでしょう。
どうしても使用しなければならない場合は、「どうぞご容赦くださいませ」「何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます」など、命令口調と捉えられないような表現を利用します。
5.2 謝罪メールでは使用しない
先述の通り、「ご容赦ください」では深い謝罪の気持ちを伝えられません。そのため、こちらのミスや手違いで謝罪メールを送る場合に「ご容赦ください」を使用すると、謝罪の気持ちが薄く軽々しい印象を持たれてしまいます。
謝罪メールは許しを請うのではなく、お詫びの気持ちを伝えることが目的なので、「ご容赦ください」は使用しないようにしましょう。
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6 「ご容赦ください」の言い換えや類語
「ご容赦ください」と同様の意味を持つ類語はいくつかあります。それぞれの意味と使用例をチェックして、シーンによって使い分けるのがおすすめです。
6.1 「ご了承ください」
「ご了承ください」は「ご容赦ください」と似た意味を持ちます。しかし、「了承」は「事情を理解して納得する」という意味であり、謝罪や許しを請う気持ちはあまり含まれていません。
そのため、「ご了承ください」は決められたルールを把握してほしいときや、変更できない事象に納得してほしいときのクッション言葉に適しています。
- 月末をもって締め切りといたします。どうぞご了承ください。
- お返事にはお時間をいただく場合がございますが、あらかじめご了承ください。
6.2 「お許しください」
「お許しください」には謝罪と許しを請う意味があり、「ご容赦ください」とほぼ同じ目的で使用されます。両者の違いを挙げるとするならば、「ご容赦ください」の方がやや丁寧でフォーマルな印象を持たれる点です。
- メールでのご報告となりますことをお許しくださいませ。
- お忙しい時間に訪問いたします無礼をお許しください。
6.3 「申し訳ございません」
深い謝罪を伝える際に使用する類語です。「ご容赦ください」は許しを請う意味合いが強いため、謝罪を目的にする場合は「申し訳ございません」を使うのが適切です。
- 弊社の手違いにより多大なるご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。
- お忙しい中ご足労いただき、申し訳ございません。
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6.4 「ご理解ください」
「ご容赦ください」よりもカジュアルな表現で、相手に理解を求める際に使用します。ただし、謝罪の意味は込められていないため、使用する際は注意してください。
- そちらについてはご協力いたしかねます。どうぞご理解ください。
- 昨今の社会情勢に鑑み辞退することといたしました。何卒ご理解くださいませ。
7 「ご容赦ください」と同様に間違いやすい言葉
「ご容赦ください」の他に、メールや手紙で間違いやすい言葉について以下の記事でご紹介していますので、併せてご覧ください。
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8 まとめ
相手に許しを請う際に使う「ご容赦ください」は、ビジネスシーンのさまざまな場面で使用できます。「期待に沿えないかもしれませんが、すみません」とあらかじめ断りをいれておくことで、より丁寧な印象を与えられます。
ただし、謝罪の意味合いは大きくないので、謝らなければならないときに使用するのはやめましょう。また、目上の人へ使う場合も注意が必要です。「ご容赦ください」をうまく活用して、スムーズなやり取りを目指しましょう。
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