「ご教示」はビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、正しい使い方をご存じですか?「ご教授」とも混同されやすく、この2つの意味の違いがよくわからない、という方も多いかもしれません。本記事では、「ご教示」の意味や「ご教授」との違い、すぐに使える例文などをご紹介します。
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1.「ご教示」の意味とは
ビジネスシーンでは、上司など目上の人に教えを乞う時に「ご教示ください」「ご教示願います」といった言葉が使われます。この「ご教示」とは一体どのような意味なのでしょうか。
ご教示の読み方は「ごきょうじ」で、「教え示す」という意味になります。「知識や方法、手順、手段などを教え示す」というニュアンスがあります。
情報ややり方などを教えてもらいたい時に、「ご教示いただけますと幸いです」といったように丁寧に依頼することができます。
2.「ご教示」と「ご教授」の違い
「ご教示」と似た言葉に「ご教授」があります。どちらも目上の人や上司、取引先などに対して使う言葉で漢字も似ているので、一見「同じような意味なのでは?」と思ってしまいますが、実は使い方が違う言葉です。
2.1.「ご教授」の意味
「ご教授」の読み方は「ごきょうじゅ」で、「教え授ける」という意味になります。特に、「学問や技芸といった専門的な知識・スキルを教える」というニュアンスがあります。
「授ける」という漢字が入っているように、物事の本質的・体系的な内容を身に付けさせる意味で使われます。
2.2.「ご教授」は継続的な教育を指す
専門的な知識やスキルは、短い期間で理解を深めることはなかなかできません。継続的に学び続けることによって習得できるものです。そのため、「ご教授」は、ある程度の期間に渡って、継続的に教えを受けるときに用いられます。
一方で「ご教示」は、どちらかというと簡単なもの、例えば書類の書き方や手続きの方法、手順といったものが対象になります。継続的に教えを受け続けるというより、その場で解決するための方法などを教えてもらう場面で使います。
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3.「ご教示」「ご教授」に適した相手と場面
ここでは、「ご教示」「ご教授」をそれぞれどういった相手に対して使えるのか、またどういった場面で使えるのかについて解説します。
3.1.「ご教示」に適した相手と場面
「ご教示」は目上の人全般に幅広く使うことができます。
そのため、ビジネスシーンでは「ご教示」を使用する機会が多いでしょう。仕事ではちょっとした作業のやり方など、方法や手順についてたずねることが多く、その場合は「ご教示」の方がふさわしいからです。
3.2.「ご教授」に適した相手と場面
「ご教授」は使う相手によっては大げさな表現に聞こえてしまう可能性があります。そのため、使う相手としては、基本的に以下のように認識しておくと良いでしょう。
- 専門的なスキル・ノウハウを有している人あるいは会社
- ある程度の期間、継続して仕事などを教えてくれる上司や先輩社員など
「ご教授」が適している場面としては、たとえば新しい部署に異動した際の先輩への挨拶などで「(仕事について)これからどうぞご教授いただけましたら幸いです」といった使い方が適切です。
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4.すぐに使える!「ご教示」「ご教授」の例文
「ご教授」と「ご教示」は、言葉の響きや「教え」という意味では似たもののように感じますが、教えてもらう内容が「比較的簡単・一時的」なのか「より専門的・継続的」なのかが使い分けのポイントです。
4.1.「ご教示」の例文
「ご教示」を使った例文をご紹介します。
- フォーマットの入力方法についてご教示いただきたく存じます。
- 改善すべき点についてご教示のほどよろしくお願い致します。
- 来週のスケジュールについてご教示いただけますと幸いです。
- 差支えない範囲でご教示いただければ幸いです。
- ご教示賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
「ご教示」を使う相手は目上の方です。そのため、「いただきたく存じます」「いただければ幸いです」など、語尾には丁寧な言葉を使用しましょう。
4.2.「ご教授」の例文
「ご教授」を使った例文をご紹介します。
- 〇〇(分野)を専門としている貴社にご教授いただきたく存じます。
- 長年に渡って先生にご教授いただき、このような結果を出すことができました。
- 先生のご指導のおかげで受賞することができました。今後ともご教授賜りますようお願い申し上げます。
前述したように「ご教授」には「学問や技芸といった専門的な知識・スキルを教える」というニュアンスがあり、自分よりも知識が豊富であったり、立場が上であったりする人にお願いすることが多くなります。このことから、「ご教示」と同様に丁寧な表現を心がける必要があります。
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5.「ご教示」「ご教授」を使う際の注意点
「ご教示」「ご教授」を使う際はどういった点に注意すれば良いのでしょうか。誤った使い方をしないよう、注意すべきポイントをチェックしておきましょう。
5.1.目上の方には「いただく」「賜り」をつける
距離の近い上司や、気心の知れた上司に対してであれば、「ご教示ください」「ご教授ください」という使い方をしても問題ないかもしれません。しかし、場合によっては、強制しているようなきついイメージを与えてしまう可能性があります。
そのため、基本的には「いただく」「賜る」をつけて使用するのが良いでしょう。「いただく」「賜る」は「もらう」の謙譲語であり、これらの言葉を使うことでより丁寧な表現になります。
また、以下のように「恐れ入りますが」「差し支えなければ」などの前置きを使うのもおすすめです。
- お忙しいところ恐れ入りますが、来週ミーティングを開催したく、ご都合のよろしい日時をご教示いただけますでしょうか。
- 差し支えなければ、今回の企画案についてのご意見やご希望をご教示いただけますでしょうか。
- 大変お手数おかけして申し訳ございませんが、新しいプロジェクトの概要についてご教示いただけますでしょうか。
5.2.話し言葉では違う言葉に言い換える
「ご教示」「ご教授」は書き言葉になるため、口頭で使うのは避けるようにしましょう。対面で伝える場合は「教えていただけますでしょうか」「お聞かせいただけますと幸いです」などと言い換えれば違和感がありません。
しかし、相手に敬意を表す際やあらたまった場で話し言葉として使うのも間違いとは言い切れず、人によってはまじめな雰囲気が伝わって好印象を抱かれる場合もあります。そのため、相手や状況を鑑みて臨機応変に対応しましょう。
5.3.「享受」と混同しない
「教授」と同じ読み方の言葉に「享受」があります。「享受」とは、何らかの利益や恩恵を受けて、それを自分のものにすることを指す言葉です。
例えば、「自然の恩恵を享受する」「音楽の楽しさを享受する」「有益な情報を享受する」といった使い方をします。
「教授」とは全く異なる意味の言葉なので、混同しないように注意しましょう。特に、PCやスマホの文字変換ではミスが起こりやすくなるため、入力後はしっかり確認することが大切です。
5.4.よりカジュアルな言い回しが適したシーンも
相手や状況によっては、「ご教示」や「ご教授」だと堅苦しいと感じる場合もあります。例えば、年齢の近い先輩などに質問する場合には、「ご教示」よりも柔らかい表現を使いたいと感じることも多いでしょう。
よりカジュアルな表現としては、「お教えいただく」「教えていただく」といった言葉が挙げられます。「ご教示」「ご教授」の言い換えとして、以下のような文章で使えます。
- お手数をおかけしますが、申請書類の提出先をお教えいただけますか。
- お忙しいところ恐れ入りますが、来週の会議の時間と場所を教えていただけますでしょうか。
- 相手との関係性などによっては、こうした堅苦しすぎない言い回しが適している場合もあるので、柔軟に使い分けができるようにしましょう。
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6.「ご教示」「ご教授」の類語
「ご教示」「ご教授」と同じように使える類語として「ご指導」や「ご指南」がありますが、ビジネスで使う場面はそれほど多くありません。
- ご指導(ごしどう) ある目的やある方向に向かって教え導くこと
- ご指南(ごしなん) 武術や芸事を教え示すこと、指導すること
上のように、「ご指南」は本来の意味だと教えてもらう対象が限られます。「ご指導」の方が、教えの内容をあまり問わず、広く使えるのでビジネスシーンに向いている言葉でしょう。
なお、「ご指導」は「ご鞭撻」という言葉と合わせて使われることが多いです。「ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。」といった言い方を聞いたことがあるのではないでしょうか。「ご鞭撻」は「努力するよう励ます」という意味で、「ご指導ご鞭撻...」は定型表現として使われています。
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7.自分が「ご教示」「ご教授」を依頼されたら
仕事をしていれば、自分が取引先などから「ご教示」「ご教授」をお願いされることもあります。相手からこういった丁寧な言葉を用いた連絡があった場合、その返答も丁寧さを心がけることが大切です。
「お手数をおかけしますが」「ご期待に沿えるかわかりませんが」といった相手を気遣う、あるいは謙遜するクッション言葉を用い、「お役に立てれば幸いです」「ご参考になれば幸いです」などの言葉も添えると好印象です。相手への配慮と誠意を示す対応を意識しましょう。
8.「ご教示」を英語で言う場合
英語でのメールや会話でも「ご教示」のように相手から知識や方法を尋ねる表現があります。一般的には「教える」を意味する"teach"や"tell"を使用した「Please teach?」「Tell me?」などがありますが、ビジネスシーンで使用する場合は、さらにスマートな「Please advise?」に言い換えるのがおすすめです。
また、「Please let me know〜」もビジネスシーンでよく使われる依頼の表現です。なお、同僚や後輩、親しい間柄の人に尋ねる際は「could you?」と聞くところを「will you?」に置き換えると堅苦しさがなくなります。
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9.まとめ
「ご教授」と「ご教示」は、似ているけれども意味の違う言葉です。難しいと感じる言葉でも、きちんと意味を理解するとどういった時に使うべきなのか判断できるようになるはずです。それぞれの言葉を使うべきシーンを知り、適切に活用しましょう。
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