【正しいビジネス敬語の使い方】間違いやすい言い回しや実例を紹介

ビジネススキル・マナー

敬語はちょっと苦手......と感じている方も多いのでは?使い慣れないうちは「この使い方はあっているのかな?」と不安になってしまいますよね。ここでは敬語の基本や使い方について詳しく解説します。実例つきなのですぐに活用できますよ。この機会に敬語をマスターしましょう!

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【関連記事】「【ビジネス用語一覧】職場でよく使うビジネス用語集100選、意味と例文を紹介」

1.敬語とは

敬語は、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」と大きく3つの種類に分けることができます。さらに細分化すると5種類にすることができるのですが、ここでは3種類にしぼって説明します。

※敬語の基本的な考え方や具体的な使い方を示す文化庁文化審議会の「敬語の指針」にて、2007年に敬語は「謙譲語」をⅠとⅡの2種類に分け、さらに「お茶」のように名詞に「お」や「ご」をつけて丁寧に伝える敬語を「美化語」とすると発表されました。

1.1.敬語の種類

「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」、この3種類の違いは何なのでしょうか? 丁寧語は「~です」「~ます」を語尾につけるのが特徴ですが、尊敬語と謙譲語は少し難しく感じるかもしれません。この2つは「誰の動作か」がポイントです。

目上の人の動作には尊敬語を使い、目上の人に対して、自身の動作について話す場合は謙譲語を使います。





使い方
尊敬語 主語が相手の場合に使います。
相手の動作・状態など、相手や相手に関わるものごとを直接立てることによってその人への敬意を表します。
【例】「お客様がいらっしゃいます」「(顧客・上司などが)おっしゃる通りです」
謙譲語 主語が自分や自分の身内の場合は謙譲語を使います。自分(や身内)をへりくだって伝えることで、相対的に相手を立てます。
【例】「弊社の担当が参ります」「私が伺います」
丁寧語 相手や内容を問わず、丁寧な言葉遣いで相手に敬意を表します。語尾が「~です」「~ます」「~ございます」とするのが特徴です。
【例】「こちらが会議室です」「3階にございます」

1.2.敬語の一覧表

敬語は慣れないうちは使い方が難しく感じてしまうものです。下記にビジネスシーンでよく使われる敬語を一覧にしました。例を参考に活用してみましょう。

【「行く」の例】

・尊敬語

(目上の人が)16時にいらっしゃいます

・謙譲語

(自分が)16時に参ります

・丁寧語

(自分が)16時に行きます





尊敬語謙譲語丁寧語
する なさる、される いたす、させていただく します
言う おっしゃる、言われる 申す、申し上げる 言います
行く いらっしゃる、おいでになる うかがう、参る 行きます
来る いらっしゃる、おいでになる、見える、お越しになる 参る、伺う 来ます
知る お知りになる、ご存じだ 存じる、存じ上げる、承知する 知っています
いる いらっしゃる、おいでになる おる います
見る ご覧になる 拝見する 見ます
聞く お聞きになる 拝聴する、うかがう 聞きます
わかる おわかりになる、ご理解いただく かしこまる、承知する わかりました
読む お読みになる 拝読する 読みます
伝える お伝えになる 申し伝える 伝えます
会う お会いになる、会われる お目にかかる 会います
考える お考えになる、ご高察なさる 拝察する、検討いたします 考えます
与える くださる、お与えになる 差し上げる あげます
受け取る お受け取りになる 賜る、頂戴する、拝受する 受け取ります
座る お掛けになる お座りする、座らせていただく 座ります
食べる 召し上がる、おあがりになる いただく、頂戴する 食べます
思う お思いになる、おぼし召す 存じる、拝察する 思います
待つ お待ちになる、お待ちくださる お待ちする 待ちます
帰る お帰りになる、帰られる おいとまする 帰ります

また尊敬語には、相手の動作だけでなく所属や所有についても敬意を示す表現があります。代表的な例を以下に紹介します。



会社 貴社(きしゃ)御社(おんしゃ) 弊社
お店 貴店(きてん) 弊店(へいてん)
銀行 貴行(きこう) 弊行(へいこう)
学校 貴校(きこう) 弊校(へいこう)
新聞 貴紙(きし) 弊紙(へいし)・小紙(しょうし)
雑誌 貴誌(きし) 弊誌(へいし)・小誌(しょうし)

1.3.二重敬語に気をつけよう

二重敬語とは、一つの単語(動作など)に対して、「謙譲語+謙譲語」「尊敬語+尊敬語」といったように同じ種類の敬語を重複して使用することをいいます。例を見てみましょう。

【例】

・お帰りになられる

→「帰られる」と「お~になる」の二重敬語。正しくは「お帰りになる」「帰られる」

・ご覧になられる

→「ご覧になる」と「~られる」の二重敬語。正しくは「ご覧になる」

・○○部長様

→役職は地位を表す言葉なのでそれだけで敬語になります。そのため、会長、社長、部長、課長、係長といった役職に「様」をつけると二重敬語になってしまいます。「○○部長」だけで問題ありません。

二重敬語にならないようにするには「お」をつけたら「れる(られる)」は使わないというのがポイントです。しかし、二重敬語ではあるけれども社会的に容認されているものもありますので覚えておくとよいでしょう。

【容認されている二重敬語の例】

・お召し上がりになる

・お見えになる

・お伺いする

1.4.社内と社外での使い分けに注意する

敬語は社内と社外で使い分ける必要があります。

社内・社外を問わず、上司や先輩、取引先相手など、目上の人には「尊敬語」を使い、社内の内容について社外の人に話す場合は「謙譲語」を使います。

【例】

・「先日いただいた資料について、上司のAが拝見したのですが」

→取引先相手に上司のことを話す場合、「ご覧になった」ではなく「拝見した」としましょう。役職関係なく社内の人間は身内であるため、自社の話をする際は尊敬語ではなく、謙譲語を使用します。

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2.ビジネスシーンでの敬語の使い方

敬語の基本の次は実際の使い方を学んでいきましょう。ビジネスシーンにおいてよく使われる敬語を例文つきでご紹介していきます。

2.1.よく使う敬語の実例12選

【挨拶編】

・いつも大変お世話になっております。○○商事のBと申します。

→「お世話様です」はくだけた表現になります。目上の人や取引先には言わないようにしましょう。

・ご無沙汰しております。○○商事のBと申します。

→「しばらくぶりです」「お久しぶりです」と言いがちですが、くだけた表現なのでNGです。

・ご自愛くださいませ。

→「体に気をつけてくださいね」という意味です。「お体をご自愛くださいませ」と言ってしまうと「お体をお体を大事にしてくださいね」となってしまうので注意しましょう。

【来客編】

・○○食品のA様がお見えになりました。

→「お越しになられました」は一見丁寧な表現に感じますが、二重敬語になるのでNGです。

・あいにくB(※自社の社員)は本日休暇を取っております。

→「本日Bはお休みをいただいております」という言い方では自分の会社を持ち上げてしまう表現になってしまいます。

・お掛けになってお待ちください。

→「お座りになって・・・」だと犬に対する「おすわり」を連想してしまうので、こちらの言い方をしましょう。

【会議・打ち合わせ編】

・お手元の資料をご覧ください。

→「拝見してください」では謙譲語になってしまうので注意しましょう。

・データを拝見致しました/しました。

→「拝見させていただきました」では過剰な表現になってしまいます。

・○○の件についてお聞きになっていますか。

→「○○の件についてうかがっていますか」の方が丁寧に感じてしまうかもしれませんが、「うかがう」は「聞く」の謙譲語になるので間違いです。

・その案件は私には力不足です。

→「役不足です」と言ってしまうと、「その案件は私には簡単過ぎます!」という意味になってしまいます。十分な能力が備わっていませんと言いたい場合は力不足を使います。

・ご不明な点はございませんでしょうか。

→「お分かりいただけましたでしょうか」では見下されていると感じてしまう場合があります。「ご不明な点はございませんでしょうか」や「ご質問ありませんでしょうか」を使いましょう。

・明日までに資料をお送り致します。

→「お送りさせていただきます」では「お送りする」、「させていただく」と過剰な表現になってしまいます。

2.2.間違いやすい敬語

敬語を正しく使っているつもりでも、実は間違った言い方をしていることがあります。間違いやすい敬語をまとめてみました。あなたも日常生活でもよく耳にしているかもしれませんよ。





間違った敬語正しい敬語
どちらさまでしょうか お名前を伺ってもよろしいですか
了解しました かしこまりました/承知しました
なるほど/なるほどですね おっしゃる通りだと思います
○○様でございますね ○○様でいらっしゃいますね
10,000円からお預かり致します 10,000円頂戴します

3.知っておきたい!ビジネス敬語の豆知識

尊敬語・謙譲語・丁寧語の基本や使い方についてご紹介してきましたが、ここではビジネス敬語の豆知識についてご紹介します。

3.1.「ご苦労様」と「お疲れ様」の使い方

「ご苦労様」と「お疲れ様」は同じ意味のように感じる方も多いと思いますが、実は大きく異なる言葉です。

ビジネスマナーにおいて「ご苦労様」は、目上の人や上司が部下をねぎらう言葉です。反対に「お疲れ様」は上下関係問わず使える言葉です。部下が上司に対しても、上司が部下に対しても、同僚同士でも使える言葉ですので、「お疲れ様です」を使うようにしましょう。

しかし、相手が社外の人や取引先の人であった場合、「お疲れ様です」と使っていいのか迷う場面もあります。そういった時は「お疲れ様」にとらわれず、別の言い方をしましょう。例えば「本日はお忙しいところありがとうございました。」「引き続き、ご指導お願い致します。」といった相手に感謝を表す言葉に置き換えるとよいでしょう。

3.2.「とんでもございません」は使ってもいいの?

「とんでもございません」は「とんでもない」という言葉を丁寧に表現していると思われがちですが、じつは違います。

本来であれば「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」が正しい言い方です。「とんでもない」は一つの形容詞なので、それを「とんでも」と「ない」に分け、「ない」の部分だけを「ございません」と変換することは正しい日本語の使い方ではありません。ただ、もとは誤用ではあるものの、「とんでもございません」も多く使われていることから、現在では社会的に容認されるようになりました。

ちなみに、「とんでもない」には下記のように複数の意味があります。類語もあわせて記載していますので参考にしてみてください。

①「思いがけないこと」という意味

【例】とんでもない発見をした

【類語】信じられない発見をした

②「あるべきではない」という意味

【例】連絡もなく3日も休むなんてとんでもない人だ

【類語】連絡もなく3日も休むなんて非常識な人だ

③「否定」の意味

【例】とんでもない!私ではありません。

【類語】滅相もない!私ではありません。

④「謙遜」の意味

【例】とんでもございません。皆様のご協力のおかげです。

【類語】身に余るお褒めの言葉をいただきありがとうございます。皆様のご協力のおかげです。

3.3.定着してしまっているNGの言葉使い

丁寧な言葉使いであり、定着している言葉使いでも実は間違っているものがあります。

ここでは、いくつかの例を紹介します。

【例】

・「~になります」

→「~になる」は物事や状態が変化するような場面で使用するのが適切です。「来月より営業時間が10時からに変更になります」などに使用し、「あちらに見えるのは〇〇になります」などは正しくありません。

・「~のほう」

→「私のほうで対処いたします」などは言ってしまいがちですが、「私が対処いたします」とするのが適切です。

・「~させていただく」の過剰使用

→「先日〇〇をさせていただいたのですが」「資料を添付させていただいております」などは、「させていただく」の過剰使用です。「先日〇〇をしたのですが」「資料を添付しております」などシンプルな敬語に直しましょう。

4.ビジネスメール|正しい敬語の使い方

実際に会って話しをするのとは違い、メールは顔や表情が見えないため受け取り方によって印象を左右してしまいます。円滑に信頼関係を築くためにも、正しい敬語を使ってメールを送ることは大切です。

【関連記事】「ビジネスメールはどう書けばいい?書き方や文例、返信の仕方を解説」

4.1.メールでよく使う言い回し

ここでは、ビジネスメールでよく使う言い回しをパターン別に紹介します。

4.1.1メールの書き出し

書き出しの挨拶の後に、会社名・部署名・氏名を名乗ります。

【初めてメールを送る場合】

・初めてご連絡をさせていただきます。

・突然のご連絡失礼いたします。

【2回目以降のメール】

・いつも(大変)お世話になっております。

・平素より大変お世話になっております。

【関連記事】「ビジネスメールの書き方とは?書き出しマナーや例文をパターン別に紹介」

【関連記事】「ビジネスで初めての相手に送る挨拶メールの書き方やマナーを解説【例文付き】」

4.1.2依頼メールを送る場合

相手に依頼メールを送る機会は多いです。快く依頼を受けてもらえるように正しい表現を使いましょう。

【書類を添付する場合】

・ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。

【書類を送ってもらいたい場合】

・お送りいただければ幸いです。

・ご送付いただけますようお願いいたします。

・ご送付いただけますでしょうか。

【教えてもらいたい事項がある場合】

・ご教示ください

【関連記事】「「依頼・お願いメール」のポイントやコツは? 役立つフレーズ・すぐに使える例文を紹介」

4.1.3結びの挨拶

用件を伝えた上で、最後に結びの挨拶を添えることで柔らかく丁寧な印象を与えられます。

・今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

・お忙しいところ恐縮ですが、ご確認の程よろしくお願いいたします。

【関連記事】「【保存版】ビジネスメールの結び・締め言葉の基本は? マナーと例文集を紹介」

5.「貴社」「御社」の使い方の違い

「貴社」と「御社」はどちらも相手の会社を指す敬語表現です。

ただし、この2つは使う場面で明確な違いがあるので注意してください。

メールなど文章で使用する場合は「貴社」を使います。

また、電話や会議など口頭では「御社」を使います。

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6.まとめ

敬語は社会人としてしっかりと身につけておきたいマナーのひとつです。最初は少し難しく感じますが、慣れてくればスムーズに使えるようになります。

そして、敬語を使う上で最も大切なことは相手を敬う気持ちです。最初は間違うこともあるかもしれませんが、相手を敬う誠意が伝われば、大抵の場合大きな問題にはなりません。苦手意識を持たずどんどん使っていきましょう。

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