「とんでもございません」は「とんでもない」の敬語表現としてよく使われますが、日本語として間違いであるという意見も聞かれます。
そこで本記事では、「とんでもございません」の意味や間違いとされる論拠、使い方や言い換え方などについて、分かりやすく解説します。
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1. 「とんでもございません」は敬語として間違い?
「とんでもございません」は「とんでもない」の敬語表現としてよく使われる言葉ですが、「とんでもない」は形容詞であることから、「ない」を切り離して「ございません」とするのは本来は正しい日本語とは言えません。
しかし、現在「とんでもございません」という言い方は、一般的な言葉として定着しています。表現に違和感を感じる人も少ないことから、ビジネスシーンなどで使用しても問題ないと言われています。
1.1. 「とんでもございません」が間違いとされる論拠
「とんでもない」は単語かつ形容詞であるため、「ない」だけを切り離して敬語表現にするのは日本語の文法的に誤りである、というのが「とんでもございません」が間違いとされる論拠です。
そのため、形容詞を崩さずに「とんでもないです」「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」と表すのが敬語表現として正しいとされています。
例えば、「情けない」「もったいない」など、同じく「ない」が付く形容詞を「情けございません」「もったいございません」とは表現しないことを考えると分かりやすいでしょう。
1.2. 文化庁も「とんでもございません」を認めている
ただ文化庁でも、「敬語の指針」において、「とんでもございません」が一般的な言葉として定着しているとの立場を示しています。
この指針では、「謙遜して,相手の褒めや賞賛などを打ち消すときの「とんでもございません」( 「とんでもありません」 )という言い方自体はかなり広まっている」と記されています。

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2. 「とんでもございません」の意味と例文
「とんでもございません」は、基本的には謙遜や否定を表す言葉として使われます。
元となる「とんでもない」には驚きや非現実的な様子を表したり、非難や批判を意味したりする使い方もありますが、「とんでもございません」は目上の方にも使える敬語表現と認識されていることから、以下のように自分を低めたり相手を気遣ったりする使い方が定着しています。
なお、「とんでもございません」は話し言葉としても、またメールやチャットにおける書き言葉としても使用可能です。
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2.1. 褒められた場合
ビジネスシーンなどかしこまった場面で、特に目上の方から褒められた場合は、「まだまだです」と謙遜するのが一般的です。そんなとき、「とんでもございません」は便利な言葉として使用できます。
- とんでもございません。まだまだ改善点が多く恐縮です。
- とんでもございません。先輩方のご指導のおかげです。
- とんでもございません。皆様の努力の賜物です。
- とんでもございません。これからも精進してまいります。
2.2. 感謝された場合
相手に感謝されたときも「とんでもございません」を使用すると、低姿勢で好印象な返答ができます。
- とんでもございません。こちらこそお手伝いできて光栄です。
- とんでもございません。また力になれることがあればいつでもおっしゃってください。
- とんでもございません。私のほうこそ色々と助けていただきありがとうございました。
- とんでもございません。無事にことが進んで本当に良かったです。
2.3. 謝罪された場合
相手からの謝罪に対して使うと、「気にしなくてもいいですよ」「謝らなくてもいいですよ」といった、相手を気遣う気持ちを伝えられます。
- とんでもございません。こちらこそ確認不足がありご迷惑をおかけいたしました。
- とんでもございません。どうぞお気になさらないでください。
- とんでもございません。また何かありましたらお気軽にお申し付けください。
- とんでもございません。ご丁寧にご連絡いただき、ありがとうございます。
2.4. 誤解を強く否定したい場合
目上の方の誤解や勘違いを否定したいときに「とんでもございません」という言葉を使うと、「まったくそうではない」「絶対に違う」という強い気持ちを伝えられます。
- とんでもございません。そのようなつもりは一切ございません。
- とんでもございません。そういったことは考えたこともございません。
- とんでもございません。そのようにお感じになられたのであれば、私の言葉足らずでございます。
- とんでもございません。むしろ〇〇であることをお伝えしたいのです。

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3.「とんでもないです」などとの使い分けに注意
「とんでもない」を本来の日本語の文法的に正しく敬語表現にするなら「とんでもないです」「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」などとなりますが、これらは「とんでもございません」とは異なるニュアンスを持つ場合があります。
文化庁の「敬語の指針」でも例として、褒められた場面で「とんでもないことでございます」 と返答すると、「あなたの褒めたことはとんでもないことだ」、つまり非難や批判の意味で受け取られる恐れがあるとしています。
解釈に相違が起きないよう、謙遜や否定をしたいときは「とんでもございません」を使う、「とんでもないです」などに言葉を加えて補足するなどの工夫が必要です。
【出典】文化庁「敬語の指針」
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4. 「とんでもございません」の言い換え
「とんでもございません」と同様に、謙遜や否定の意味で使用できる言葉はいくつか存在します。状況に合わせてこれらの表現を使い分けましょう。
4.1. 「滅相もありません」
「とんでもございません」と同じく、謙遜や否定をしたいときに使用できる言葉です。こちらも、「滅相もないことです」が正しい日本語ですが、「滅相もありません」「滅相もございません」という言い方は定着しています。
- 滅相もありません。チームの協力があってこそのものです。
- 滅相もありません。お役に立てて光栄です。
- 滅相もありません。このデータには一切触れておりません。
4.2. 「恐れ入ります」
「恐れ入ります」は謙遜しながら相手に敬意を表する言葉であり、褒められたときや感謝されたときに使用できます。また、こちらからお願いをしたり、謝罪の気持ちを伝えたりする際にも適しています。
- お褒めいただき恐れ入ります。
- 過分なお褒めの言葉をいただき恐れ入ります。
- 恐れ入ります。もったいないお言葉です。
4.3. 「恐縮です」
「恐縮です」も「恐れ入ります」と同様に、「恐れ多いことです」という謙遜の気持ちを表す言葉であり、「とんでもございません」の言い換えとして使用可能です。
- 〇〇さんからお褒めの言葉をいただき大変恐縮です。
- そのように言っていただき、大変恐縮ですが嬉しく存じます。
- わざわざご対応くださり、恐縮です。
4.4. 「光栄です」
「嬉しい」「ありがたい」という気持ちを、ストレートに表現できる言い換え言葉です。褒められたときや感謝をされたときに使うと、相手に喜びをまっすぐ伝えられます。
- 身に余るお言葉をいただき、大変光栄です。
- お褒めにあずかり光栄です。
- 光栄です。これからも全力で努めてまいります。
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5.「とんでもございません」と同様に間違いやすい言葉
「とんでもございません」の他に、メールや手紙で間違いやすい言葉について以下の記事でご紹介していますので、併せてご覧ください。
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6. まとめ
「とんでもございません」という表現は本来は正しい日本語とは言えないものの、現在は多くの人が違和感なく使用している言葉であり、ビジネスシーンにも定着しています。
褒められたときや感謝されたときに、謙遜の気持ちを表現できる便利な言葉で、フォーマルな場所で誤解を強く否定したいときも使用できます。言い換え表現もいくつかあるので、シーンに合わせて正しい使い方をしましょう。
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