「ご査収ください」という言葉はビジネス文書やメールでよく目にする言葉です。しかし、意味をよく理解せずに何気なく使っている方も多いのではないでしょうか?今回は、「ご査収ください」の意味や正しい使い方、メールの場合、郵送の場合の例文、また、「ご検収ください」や「ご査証ください」など類語との違いなどについても解説します。
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1.「ご査収ください」の読み方と意味
ビジネス文書やメールでよく使われる「ご査収ください」の「ご査収」は「ごさしゅう」と読みます。従って、「ご査収ください」の読み方は「ごさしゅうください」となります。
「ご(御)」は尊敬を表し、「査」は「よくみて調べる、検査する」、「収」は「おさめる、取り入れる」といった意味がそれぞれありますので、「ご査収ください」全体では、「内容をよく確認してお受け取り下さい」といった意味の表現になります。
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2.「ご査収ください」の類語と違い
「ご査収ください」とよく混同される言葉との違いも覚えておきましょう。場面によって使い分けることが大切です。
2.1.「ご検収ください」
「ご査収ください」の類語として「ご検収ください」という言葉があります。「検」にも「よく確認する、調べる」といった意味があります。
ただし、「ご検収」は「納品されたものが、注文した通り間違いなくあるかをよく確かめた上で受け取る」ことなので、相手が受け取るものが異なってきます。使い分けをする場合は下記を参考にしてください。
使う表現 | 相手が受け取るもの |
---|---|
ご査収 | 金銭や書類等 |
ご検収 | 発注に応じて納められた品やサービス |
2.2.「ご確認ください」
「ご査収ください」と「ご確認ください」の大きな違いは「受け取るものがあるかどうか」という点になります。
「確認」は「確かにそうであると認めること」という意味であり、「受け取る」という内容は含まれていません。相手が受け取るものがない場合は「ご査収ください」は使いません。
2.3.「ご査証ください」
「ご査収ください」と「ご査証ください」は、「ご査証ください」が相手に「証明する」という行動を促す点で違いがあります。
「ご査証ください」は、「きちんと証明してください」という意味を含むため、クレームを入れたり、間違いを指摘して修正を求めたりする場合に用いられることが多く、目上の人に使うと失礼になる場合があります。
したがって、「ご査証ください」は、「ご査収ください」に比べ、より注意して使う必要があります。
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3.「ご査収ください」の正しい使い方
「ご査収ください」の言葉の意味について説明してきましたが、ビジネスシーンではどのように使うべきなのでしょうか。正しい使い方について解説します。
3.1.「ご査収ください」はどのような時に使うか
「ご査収ください」は、ビジネスシーンで下記のような場合に使用します。
- 内容をよく確認して欲しい添付ファイルをつけたメールを送信する時
- 内容をよく確認して欲しい書類や資料を郵送する時
前述している通り、あくまでも「内容をよく確認して受け取るもの」がある時にしか使えません。
確認するものがないのに「ご査収ください」と依頼してしまうと、受け取った相手は何を確認すればいいのか分からず困惑してしまいますので注意しましょう。
3.2.目上の人や取引先にも使えるのか
「ご査収ください」は「よく確認してお受け取りください」という意味なので、目上の人や取引先にも使用することができます。ただし、使い方が合っているかどうかは事前にしっかり確認することが必要です。
「ご査収ください」だけでは目上の人や取引先に少しくだけた印象を与え、失礼にあたるのでは?と心配な場合は、「ご査収の程お願い致します」「ご査収くださいますようお願い申し上げます」などといった、より丁寧な言い回しをするとよいでしょう。
■文法的に正しい使い方ができているかチェックするには
「ご査収ください」の正しい使い方ができているかは、「査収」の部分を「指導」や「理解」といった動作を表す言葉に置き換えることでチェックすることができます。
入れ替えた後の表現に違和感がある場合は、「ご査収」の使い方に問題があると判断しましょう。
例として、「どうぞご査収ください」が正しい使い方なのかをチェックしてみます。「査収」を「指導」に置き換えると、「どうぞご指導ください」と少し違和感がある表現になります。
そのため、この場合は正しい使い方ができていないと判断することができます。
3.3.「ご査収ください」を使わない方が良い場合
確認してほしいことがあっても、ひと手間かけて確認作業を行うほどのものではない場合、「ご査収ください」を使うと不自然になることがあります。
例えば、メールの本文に打ち合わせの日時などをまとめて記載したとします。この際、「ご査収ください」と添えてしまうと、相手は添付ファイルでメール本文とは別に受け取って確認すべきものがあると勘違いしてしまうかもしれません。
こういった場合は、単に「ご確認ください」とし、誤解を招かないようにしましょう。
3.4.文語表現のため口語では使わない
「ご査収ください」は書面やメールで使う文語表現です。そのため、対面や電話でのコミュニケーションでは使うべきではありません。
口語で「ご査収ください」と同じような意味で伝えたい場合には、「お目通しください」あるいは「ご確認ください」「ご確認のうえ、お納めください」といった表現を使いましょう。
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4.「ご査収ください」を基本とした例文5パターン
ここでは「ご査収ください」を基本とした例文を5パターン紹介します。実際に仕事をしている時に使いやすいものをいくつかピックアップしていますので、是非参考にしてください。
例文①ご査収ください
【メールの場合】
・お見積書を添付致しますのでご査収ください。
・明日の会議資料を添付致しましたのでご査収ください。
【郵送の場合】
・領収書を同封致しますのでご査収ください。
例文②ご査収願います
【メールの場合】
・ご依頼いただいた資料を添付致しましたのでご査収願います。
・先日の会議議事録を添付致しましたのでご査収願います。
【郵送の場合】
・提出書類一式を同封致しましたのでご査収願います。
例文③ご査収くださいますよう
【メールの場合】
・企画書を添付致しましたのでご査収くださいますようお願い申し上げます。
・下記の書類を送付しましたのでご査収くださいますようお願い致します。
【郵送の場合】
・請求書を同封致しましたのでご査収くださいますようお願い申し上げます。
例文④ご査収のほどよろしくお願いいたします
「ご査収」の後に「のほど」をつけると、つけていない時より少し丁寧な印象を与えます。目上の人や取引先に失礼にあたらないか心配な場合は、この使い方をするとよいでしょう。
【メールの場合】
・ご依頼いただいたデータをまとめた資料を添付しております。ご査収のほどよろしくお願いいたします。
・訂正しました書類一式をお送りしますのでご査収のほどよろしくお願いいたします。
【郵送の場合】
・契約書を同封しておりますのでご査収の程宜しくお願い致します。
例文⑤ご査収くださいを英語で使う場合
・Please find the attached invoice. (添付の請求書をご査収ください。)
・I am sending you the reference that you requested. Please check the contents. (ご依頼いただきました資料を送付致しますのでご査収ください。)
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5.「ご査収ください」の返事のしかた
「ご査収ください」と記載されたメールや文書を受け取った場合、相手が自分に対し「よく確認してから受け取って欲しい」と依頼してきているものなので、返事をする際にはしっかり確認した旨を伝えるようにしましょう。具体的な返事のしかたをいくつか紹介します。
①確認した内容に問題がない場合
「書類を確認いたしましたが、特に問題はございませんでした。お忙しいところご対応いただきありがとうございました。」
②確認し受け取った旨を丁寧に伝えたい場合
「お送りいただきました資料を拝受いたしました。迅速なご対応に感謝申し上げます。いただいた資料の通り進めていただければと存じます。今後とも何卒よろしくお願いいたします。」
③確認した上で修正をお願いしたい場合
「書類を確認いたしましたが、修正していただきたい箇所がございましたので、ご対応をお願い致します。修正箇所につきましては下記の通りとなります。」
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6.「ご査収ください」を言い換える場合
ここまで「ご査収ください」の意味や使い方を紹介しましたが、「ご査収ください」には似た表現や言い換え表現もあります。
誤った使い方をしないために、意味を理解してシーン別に使い分けましょう。
①ご確認ください
「ご確認ください」は内容を確認してもらう意向を伝える言葉です。「ご査収ください」を言い換える場合の言い回しとして、同じような意図で使えます。
ただし、「確認」には受け取る意味は含まれていないため、確認してもらうことが第一の目的の書類を送る時に使いましょう。
②ご高覧ください
「ご高覧ください」は「ご覧ください」をさらに尊敬語にした形で、社内外含めて目上の人に対して使う言葉です。
「ご高覧」はメールなどの書き言葉として使える言い回しなので、かしこまって連絡する必要がある相手に使えます。
③お目通しください
「お目通しください」は対象が書類となるため、「ご査収ください」の言い換え表現として使えます。
ただし、メールなどの書き言葉よりも口頭で使用される場合が多いので、社外よりも社内で使うことが多い言葉です。
④ご一読ください
「ご一読ください」も「ご査収ください」の言い換え表現の1つです。「一読」には「一通りざっと読む」という意味があり、例えば会議前にあらかじめ資料に目を通しておいて欲しい時などに使います。
「ご査収ください」よりはボリュームのある内容の場合に、また「お目通しください」よりは軽く確認する意味合いで使われる傾向があります。
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7.「ご査収ください」と同様に間違いやすい言葉
「ご査収ください」の他に、メールや手紙で間違いやすい言葉について以下の記事でご紹介していますので、併せてご覧ください。
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8.まとめ
いかがでしたか。「ご査収ください」はあまり耳慣れない言葉かもしれません。しかしビジネスの場面では、このような日常生活ではあまり使わない言葉がたくさんあります。
社会人として言葉の意味をしっかり理解し、正しい使い方をしていきましょう。
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