「御中」とは会社や団体などの宛名につける敬称のことです。社会人にとって基本的なビジネスマナーですが、「正しい使い方がわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「行」を「御中」に書き換える際の「行」の消し方や、御中と「様」「各位」との使い分けなどについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】「【正しいビジネス敬語の使い方】間違いやすい言い回しや実例を紹介」
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1.御中とは?正しい使い方は?
「御中(おんちゅう)」とは、メールや手紙など送付物の宛名に添える敬称です。宛先が団体や組織、部署、グループ、店舗、施設などの場合に使用します。
【御中の使用例】
○○株式会社 御中
株式会社○○ 営業部 御中
一般社団法人○○ 御中
○○ラーメン 御中
また、団体宛に「御中」を使用してメールや手紙を送付するシーンとして考えられるのは、該当団体の誰が目にしても問題ない内容である場合や、担当者名が不明である場合などです。
1.1.「様」との使い分け
「様」は個人名と対になる敬称です。
相手の属性や関係性にかかわらず、特定の個人に使用できます。2人以上の個人に宛てる場合は、一人ひとりの氏名の後に「様」を記載するのがマナーです。
1.2.「各位」との使い分け
「各位」とは、「皆様」「皆様方」といった意味をもつ敬称です。
特定の団体や組織に宛てる「御中」、個人に宛てる「様」に対し、「各位」は多様な属性に該当するすべての人たちに向けて使用します。例えば、「A店お客様各位」と記載があれば、A店のすべての来店者が該当します。
また、自らが発信者となり「自社の取引先に夏季休暇のスケジュールを一斉に周知したい」という場合は、「取引先各位」「関係者各位」という形で使用します。
その他、「各位」の意味や使い方の詳細については以下の記事を併せてご覧ください。
【関連記事】「【例文付き】「各位」の正しい使い方とは?利用シーンや注意点を解説」
1.3.「殿」との使い分け
「殿」は目上の方から目下の方に対して使われる敬称です。そのため、社外の方に対して使用するのはNGです。一般的には、上司から部下への社内文書などにおいて、「〇〇係長殿」「営業部 〇〇殿」といった形で使用されます。
ただし、やや堅苦しく古い表現であることから現在はあまり使用されず、「様」で代用されることが多くなっています。
【関連記事】「ビジネスメールはどう書けばいい?書き方や文例、返信の仕方を解説」
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2.御中を使う際の注意点
「御中」の使用にあたっては気を配るべき注意点があります。ここで、しっかりと理解をしておきましょう。
2.1.個人名には使わない
「御中」は個人名に対しては使用しません。上記で説明したように、特定の個人に宛てる場合は「様」を使いましょう。
2.2.敬称が重複しないように気を付ける
「御中」を使用しているにもかかわらず、別の敬称を重複して使用するのは誤りになります。
「様」を使用した個人宛の文書に「御中」はいらないので、記入する際は注意しましょう。例えば、以下のケースは敬称の重複にあたります。
「株式会社○○ 人事総務部御中 田中様」
2.3.担当者が分かる場合は使わない
手紙や文書を送る際、担当者の個人名が分かる場合は「〇〇会社 御中」ではなく、「〇〇会社 △△様」と担当者を宛名にします。
相手が名前を開示してくれていたり、何度かやり取りをして名前を知っていたりするにもかかわらず、「御中」を使用して会社宛てに送るのは失礼にあたります。
過去のやり取りを確認して、担当者名がある場合は必ず個人宛に送りましょう。
【関連記事】「【ビジネス用語一覧】厳選110選|基本をマスターするための例文も紹介」
3.御中をメールや封筒で使う際の書き方
メールと封書の2つのシーンに分けて、「御中」の書き方をご紹介します。相手との信頼関係を保つためにも、正しい書き方を確認しておきましょう。
3.1.メールの場合
ビジネスメールは「一目でメールの意図がわかること」が基本です。
件名が長すぎたり意味が読み取れなかったりすると、開封してもらえないリスクもありますので、メールの件名には宛先を含めず、本文の一行目に「宛名+御中」を記載すると良いでしょう。
3.2.封筒の場合
こちらが差し出す場合は、通常通り先方の宛名に続いて「御中」を記入します。必須ではないものの、宛名と「御中」の間に一文字分程度の空白を設けると見栄えが良くなります。
繰り返しになりますが、「御中」と「様」の使い分けや重複にも注意しましょう。敬称の使い方はビジネスマナーの基礎になります。メール、封筒、どちらの場合においても気をつけましょう。
【関連記事】「【学歴・職歴の正しい書き方】転職の際の書類作成の基本的なルールや注意点」
【関連記事】「ビジネスメールの書き出しはどう書く?マナーや例文をパターン別に紹介」
4.御中を返信用封筒で使う際の書き方
先方から送付された書面に対して何らかの返送が必要となる場合、先方が返信用封筒を同封してくれていることがあります。
その場合、返送先となる先方の住所や宛名が明記されている状態であり、団体や組織名の後には「行」「宛」「係」といったと記載されていることもあります。
ここでは、そのような返信用封筒における「御中」の書き方をお伝えします。
4.1.「行」「宛」は二重線で消して書き換える
「行」や「宛」は「御中」への書き換えが必要です。「行」の記載部分に二重線を引き、縦書きなら左側か下部に、横書きなら右側に「御中」と記載するのが消し方のマナーです。
この際に注意したいのが、「行」を消す二重線を丁寧にまっすぐ引くことです。非常に細かい部分ではありますが、「必ず誰かの目に入る部分である」という意識を持ち、注意するようにしましょう。
なお、返送先の宛名については、企業名が押印されているだけのケースもあります。その場合は、押印部分には触れずに「御中」のみ書き足しておくのがスマートな方法です。
善意の気持ちから「行」を修正テープや修正液で消し、その上から「御中」を記載する人も稀にいますが、こちらもマナーとしてはあまり推奨されていませんので注意しましょう。
4.2.「係」はそのまま残して書き添える
宛名の敬称に「係」が使用されていることもあります。係は組織の中に属する、一つの部署や団体に用いられる敬称です。
「係」の場合は「行」や「宛」のように消すことなく、残したまま「〇〇係 御中」と書き添えます。縦書きの場合も、「係」の下に「御中」を書き足すだけでOKです。
【関連記事】「【例文付き】ビジネスにおけるお礼メールの書き方やマナーを解説」
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5.応募書類を送る際は「御中」と「様」との使い分けに注意する
転職活動において企業宛てに応募書類を送付する際にも、敬称の使い分けには注意が必要です。
企業や部署なら「御中」、採用担当者個人なら「様」を使用しましょう。宛先は基本的に求人情報に記載されているため、必ずチェックをしておきましょう。
【記載例】
○○株式会社 御中
株式会社○○ 人事部 御中
○○株式会社 採用担当者 様
株式会社○○ 人事部 採用担当者 様
株式会社○○ 人事部 ○○ ○○ 様
上記の他にも、応募書類送付に関しては知っておくべきマナーがあります。以下の記事では使用する封筒の書き方を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】「【「履歴書在中」を記載する理由】封筒の選び方・書き方やマナー・注意点も解説」
6.御中に関してよくある疑問
ここからは、御中を使用する際によくある疑問を紹介します。間違えて記入した場合の対処法や、英語表現などについて解説するので、ぜひチェックしてください。
6.1.誤って他の敬称を記入した場合はどうする?
手紙やはがきで本来は「御中」を使用すべきところ、誤って「様」や「各位」など他の敬称を記入してしまった場合、まだ送っていないのであれば破棄して新しく書き直します。修正液や二重線で消すのはマナー違反です。
もしも、送った後で誤りに気づいた場合は、電話やメールを使い、「敬称を間違えたまま送付してしまいました。大変申し訳ございませんでした」などと謝罪しましょう。
敬称の誤りだけで大きな問題に発展する可能性は少ないものの、相手から「マナーのない人」という印象を持たれてしまう恐れがあります。
6.2.「行」を「御中」に書き換えないとどうなる?
返信の「行」を二重線で消して「御中」に書き換えるのは、社会人としての基本的なマナーであるため、できていないと「一般常識がない」と低く評価される可能性があります。
近年は、メールやSNS、チャットでのやり取りが主流となり、手紙やはがきを出す機会は減りつつあります。しかし、重要資料の受け渡しや転職の採用通知など、郵送を利用する機会は依然として多いものです。
デジタル化が進む現代だからこそ、基本的なビジネスマナーへの意識を高めれば、相手からの信頼度をアップさせられるかもしれません。
6.3.英語で「御中」を表記するには?
海外では宛名に敬称をつける習慣がないため、「御中」に直接対応した単語はありませんが、同じような意味で使用できる言葉には以下のようなものが挙げられます。
For the attention of:
Attention:
Attn:
例えば、「Attention:Accounting Department, DEF Inc.」と表記すれば、「DEF社 経理部御中」という意味になります。
なお、「関係者各位」という意味の表現には、「To Whom It May Concern,」が使用できます。また、個人宛の「様」にあたる表現には、「Dear」を用いるのが一般的です。
7.「御中」と同様に間違いやすい言葉
「御中」の他に、メールや手紙で間違いやすい言葉について以下の記事でご紹介していますので、併せてご覧ください。
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8.まとめ
社会人になると、メールや手紙のやりとりは必須です。その中でいかにマナーを守り、丁寧に対処できるかによって、相手が感じる印象や信頼感は大きく左右されます。
「御中」の使い方もそのうちの一つであることを心に刻み、丁寧なコミュニケーションに努めましょう。
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