3月は冬の寒さがやわらぎ、ようやく少しずつ春の足音が聞こえ始める時期です。しかし、俳句における3月は春半ばを意味する仲春と呼ばれます。そんな3月の季語には、花や木の芽など春を感じさせる言葉が多く揃っています。
本記事では、3月の季語を分類ごとにわかりやすく一覧でまとめました。また、3月の季語が使われている有名俳句や、手紙で使える時候の挨拶も詳しく紹介していきます。
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1 3月の季語とは
俳句や手紙で使う3月の季語には、どのようなものがあるのでしょうか。ここではまず、俳句の世界における3月の区分と恒例行事、季語の傾向などを解説します。
1.1 3月はどんな季節?
俳句の世界においては、2月4日頃(立春)から5月6日頃(立夏の前日)までの3ヶ月間を「三春」と呼び、「春」と区分しています。3月は三春の中で、半ばにあたる「仲春」と呼ばれる季節です。
3月は気温差が激しい時期であり、上旬はまだ肌寒さが残るものの、下旬になると一気に気温が上昇することもあります。20日頃の春分の日を境にして昼の時間の方が長くなり、地域によっては桜の花が咲き始めるなど、日ごとに春らしさが増していきます。
1.2 3月の恒例行事
3月には二十四節気の「啓蟄」「春分」のほか、雛祭りや卒業式といった行事があります。3月の主な恒例行事には以下のようなものがあります。
日にち | 行事 |
---|---|
3月1日~14日 | 修二会 |
3月3日 | 雛祭り、桃の節句 |
3月6日頃 | 啓蟄 |
3月20日頃 | 春分 |
3月中 | 卒業式 |
3月中 | 春休み |
1.3 3月の季語の傾向
3月はいよいよ寒さが遠のき、春本番を迎える季節であることから、雪解けに関する季語がいくつか揃っています。また、冬の間地中でじっとしていた生き物が地上に顔を出す様子を表した季語や、開花を始める花々の季語が多いのも特徴です。
なお、多くの地域で3月に開花する「桜」は、晩春(4月)の季語とされてます。3月に使用できる桜の季語には、「初桜」「彼岸桜」などがあります。
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2 3月の季語一覧
ここからは3月に使える季語を、7つの分類ごとに一覧で紹介します。
2.1 【時候】3月の季語一覧
季節・時期・暦上の区分など、時候に関する3月の季語には以下のようなものがあります。
三月、如月、啓蟄、仲春、春分、春社、彼岸、初朔日(はつついたち)、三月尽、龍天に登る
2.2 【天文】3月の季語一覧
星・月・風・雷など、天文に関する3月の季語には以下のようなものがあります。
春一番、初雷、初電、貝寄風(かいよせ)、雪の果、酒星、雪ねぶり、鳥曇、彼岸西風(ひがんにし)、涅槃西風(ねはんにし)、比良八荒
2.3 【地理】3月の季語一覧
田畑・山・海・川など、地理に関する3月の季語には以下のようなものがあります。
流氷、氷解、薄氷、氷解く、凍解、雪解、雪解雫、残雪、雪間、雪崩、雪代、水温む、春出水、彼岸潮
2.4 【生活】3月の季語一覧
衣食住・仕事・健康など、生活に関する3月の季語には以下のようなものがあります。
入学試験、卒業、進級、春休、雛あられ、白酒、桃の酒、山葵漬、木の芽漬、蕨餅、草餅、菱餅、五加飯(うこぎめし)、嫁菜飯、田楽、苗床、挿木、植木市、雁風呂、釣釜、麻蒔く、花種蒔く、茄子蒔く、南瓜蒔く、芋植う、雪割、雪晒、北窓開く、目貼剥ぐ、胴着脱ぐ、外套脱ぐ、鳴鳥狩(ないとがり)
2.5 【行事】3月の季語一覧
イベント・お祭り・俳人や有名人の忌日など、行事に関する3月の季語には以下のようなものがあります。
雛祭、雛納め、雛流し、お水取り、二日灸、出代、寒食、事始、日迎え、春場所、帆手祭 、春日祭、 涅槃会、修二会、 彼岸会 、道明寺祭、お札流し、 聖ヨセフ祭、御告祭、灰の水曜日、赤彦忌、利休忌、光悦忌、妓王忌、兼好忌、西行忌、元政忌、丈草忌、基角忌、月斗忌、大石忌、竹冷忌、犀星忌
2.6 【動物】3月の季語一覧
鳥・魚・虫など、動物に関する3月の季語には、以下のようなものがあります。
燕、初蝶、引鶴、引鴨、帰雁、孕雀(はらみすずめ)、子持鯊(こもちはぜ)、雪代山女、彼岸河豚、鳥帰る、白鳥帰る、こやまがえり、熊穴を出づ、蟇穴を出づ、蛇穴を出づ、蜥蜴穴を出づ、地虫穴を出づ、蟻穴を出づ
2.7 【植物】3月の季語一覧
花・草・木など、植物に関する3月の季語には、以下のようなものがあります。
初桜、彼岸桜、枝垂桜、沈丁花、木蓮、アザレア、連翹(れんぎょう)、蒲公英(たんぽぽ)、三椏(みつまた)の花、たらの芽、柳の芽、楓の芽、山椒の芽、草の芽、ものの芽、分葱、蕨、大蒜、雪柳、海老根、紫雲英(げんげ)、辛夷(こぶし)、薇(ぜんまい)、双葉、春大根、芽立ち、水草生ふ、一人静
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3 3月の季語を使った有名な俳句
3月の季語が使用されている有名な俳句をいくつか紹介します。
俳句 | 作者 | 季語 |
---|---|---|
三月の 声のかかりし あかるさよ | 富安風生 | 三月 |
初雷や ものに驚く 病み上がり | 正岡子規 | 初雷 |
人影の 映り去りたる 水温む | 高浜虚子 | 水温む |
白酒や 玉の杯 一つづつ | 村上鬼城 | 白酒 |
雛祭る 都はづれや 桃の月 | 与謝蕪村 | 雛祭 |
蕨餅 たうべ乍らの 雨宿り | 杉田久女 | 蕨餅 |
夕燕 我にはあすの あてはなき | 小林一茶 | 夕燕 |
蛇穴を 出でて石垣の 春の水 | 河東碧梧桐 | 蛇穴を出づ |
顔に似ぬ 発句も出でよ 初桜 | 松尾芭蕉 | 初桜 |
木蓮の 花びら風に 折れてあり | 松本たかし | 木蓮 |
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4 3月上旬に使える時候の挨拶
季語は手紙に季節感を添える際にも使用されます。そこで、ここからは手紙に使える時候の挨拶を紹介します。まずは、3月上旬~3月中旬頃に適した時候の挨拶を、書き出しと結びに分けて解説するので、ぜひ参考にしてください。
4.1 3月上旬の書き出しに使える時候の挨拶
改まった手紙の書き出しでは、「拝啓」など頭語の後に季節感を添える時候の挨拶を続けるのが一般的です。3月上旬に適した書き出しの時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
- 仲春の候、貴社におかれましては、ますますご繁益のこととお慶び申し上げます。
- 啓蟄のみぎり、、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
- 野山の雪も解け始め、春の日差しがきらめく頃となりました。
4.2 3月上旬の結びに使える時候の挨拶
手紙の最後に挿入する「敬具」など結語の前には、一般的に内容を締めくくる結びの挨拶を添えます。3月上旬に適した結びの時候の時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
- 軽暖の候、皆様のますますのご健勝を心よりお祈り申し上げます。
- 寒暖定まらぬ時節柄、御身おいといくださいませ。
- 年度末を控え何かと慌ただしくなりがちですが、体調管理にはご留意ください。
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5 3月下旬に使える時候の挨拶
次に、3月中旬から3月下旬にかけて使用できる時候の挨拶を紹介します。
5.1 3月下旬の書き出しに使える時候の挨拶
3月下旬に適した手紙の書き出しに使える時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
- 春分の候、〇〇様にはご健勝のこととお喜び申し上げます。
- 麗日のみぎり、貴社にはますますご清栄の由大慶に存じます。
- 柔らかな春風に花の香りが漂う頃となりました。その後いかがお過ごしですか。
5.2 3月下旬の結びに使える時候の挨拶
3月下旬に適した手紙の結びに使える時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
- 春色の候、皆様のますますのご健勝を心よりお祈り申し上げます。
- 浅春の時節柄、ご健康にはくれぐれもご留意ください。
- 新年度も変わらぬご厚誼を何卒お願い申し上げます
6 他の月の季語
他の月の季語は、下記の記事でご紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。
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7 まとめ
俳句の世界において、3月は春の半ばである「仲春」にあたります。寒暖差は激しいものの、徐々に春の色合いが濃くなり、動物や草花の活動も活発になり始める時期です。そのため、3月の季語には雪や氷が解けて動物が地上に顔を出す様子や、植物が芽吹いたり咲き始めたりする様子を表したものが多くなっています。
また、中学生や高校生が使用しやすい「入学試験」や「卒業」といった身近な行事も、3月の季語として認知されています。バラエティ豊かな春らしい3月の季語を、俳句作りや手紙で活用しましょう。
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