4月は本格的な春を迎え、樹木が新しい緑の葉を付け始める時期です。新年度がスタートすることもあり、心がウキウキする希望に満ちた季節と言えます。そんな4月の季語には、美しい花や活動を始めた動物など、春の息吹を感じさせるものが多く揃っています。
本記事では、4月の季語を分類ごとにわかりやすく一覧でまとめました。また、4月の季語が使われている有名俳句や、ビジネスで使える時候の挨拶も詳しく紹介していきます。
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1 4月の季語とは
俳句や手紙で使う4月の季語には、どのようなものがあるのでしょうか。ここではまず、俳句の世界における4月の区分と恒例行事、季語の傾向などを解説します。
1.1 4月はどんな季節?
俳句の世界においては、2月4日頃(立春)から5月6日頃(立夏の前日)までの3ヶ月間を「三春」と呼び、「春」と区分しています。4月は三春の中で、終盤にあたる「晩春」と呼ばれる季節です。暦の上では春の終わりですが、もっとも春らしい時期とも言えます。
寒さは遠のき、多くの草花が活発に生育を始めます。ほぼ全ての地域で桜が開花し、青々とした葉を茂らせるのもこの季節です。また、入学式や入社式が行われ、新生活をスタートさせる方も多くいます。
1.2 4月の恒例行事
4月には二十四節気の「清明」「穀雨」のほか、入学式やゴールデンウィークといった行事があります。4月の主な恒例行事には以下のようなものがあります。
日にち | 行事 |
---|---|
4月上旬 | 入学式・入社式 |
4月上旬~下旬 | お花見 |
4月5日頃 | 清明 |
4月8日 | 花祭り |
4月13日 | 十三参り |
4月20日頃 | 穀雨 |
4月29日 | 昭和の日 |
4月29日頃~5月5日頃 | ゴールデンウィーク |
1.3 4月の季語の傾向
4月の季語の特徴は、何と言っても植物が多いことです。桜やチューリップ、菜の花やスイートピーなど、4月の季語にはたくさんの花の名前が並びます。
また、行事や生活に関わる季語でも、「花」や「桜」が付く言葉が多い傾向です。さらに、屋外での仕事や行事、活動を始めた鳥や魚の季語も多くなっています。本格的な春を楽しむと同時に、行く春を惜しむ気持ちが込められた季語もあります。
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2 4月の季語一覧
ここからは4月に使える季語を、7つの分類ごとに一覧で紹介します。
2.1 【時候】4月の季語一覧
季節・時期・暦上の区分など、時候に関する4月の季語には以下のようなものがあります。
花冷え、春深し、春暑し、八十八夜、夏近し、春惜しむ、行く春、弥生、四月、晩春、花時、春近し、清明、穀雨、苗代時、暮の春、蛙の目借り時、田鼠化して鶉と為る(でんそかしてうずらとなる)
2.2 【天文】4月の季語一覧
星・月・風・雷など、天文に関する4月の季語には以下のようなものがあります。
忘れ霜、春の露、梅若の涙雨、油風、鰊曇(にしんぐもり)、春驟雨(はるしゅうう)、蜃気楼、初虹、春の虹、花曇、風炎、桜まじ、油まじ、菜種梅雨、花の雨、鳥曇
2.3 【地理】4月の季語一覧
田畑・山・海・川など、地理に関する4月の季語には以下のようなものがあります。
凍解、凍返る、苗代、逃水、潮干潟、弥生山
2.4 【生活】4月の季語一覧
衣食住・仕事・健康など、生活に関する4月の季語には以下のようなものがあります。
苺ミルク、花菜漬、桜漬、桜餅、蕗味噌、製茶、茶摘、聞茶、海女、蚕飼、数の子作る、蓮植う、蒟蒻植う、果樹植う、牛蒡蒔く、南瓜蒔く、苗売、桜狩、桜衣、桜人、花軍、花篝(はなかがり)、花車、花衣、花疲、、花盗人、花の宴、花の鈴、花の都、花の宿、花見、花筵(はなむしろ)、花守、夜桜、畦塗、磯遊び、野遊、踏青、新社員、春闘、春日傘、磯開、遠足、風除解く、鐘供養 寒食、桑売、小袖納、炬燵塞ぐ、汐干狩、霜くすべ、霜除とる
2.5 【行事】4月の季語一覧
イベント・お祭り・俳人や有名人の忌日など、行事に関する4月の季語には以下のようなものがあります。
花祭、復活祭、甘茶、行基詣、経供養、曲水、御灯、巳の日の祓、都踊、薬師寺最勝会、蘆辺踊、稲荷祭、桜花祭、大原野祭、鴨川をどり、義士祭、山王祭、清明祭、須磨の御禊、浅間祭、先帝祭、高山祭、東大寺授戒、どんたく、長崎の凧揚げ、浪花をどり、花換祭、鎮花祭、水口祭、靖国祭、やすらゐ祭、柳祭、吉野の花会式、虚子忌、梅若忌、荷風忌、光太郎忌、小町忌、三鬼忌、俊寛忌、善導忌、泉湧寺開山忌、宗因忌、高山祭、啄木忌、達治忌、放哉忌
2.6 【動物】4月の季語一覧
鳥・魚・虫など、動物に関する4月の季語には以下のようなものがあります。
いかなご、浮鯛、子持鮒、桜鰔(さくらうぐい)、ひがい、桜蝦、桜鯛、鰆、鰊、乗込鮒、初鮒、花烏賊、鱒、若鮎、ぎんぽ、菜種河豚、蛍烏賊、岩燕、麦鶉(むぎうずら)、頬白、藪雨、鶯の巣、雀の子、戻り鴨、春の雁、呼子鳥、雲丹、蚕、春蝉、蝌蚪(かと)、馬の仔、猫の子、お玉杓子、魚島、むつごろう、落し角、巣立ち鳥
2.7 【植物】4月の季語一覧
花・草・木など、植物に関する4月の季語には以下のようなものがあります。
桜、芝桜、八重桜、山桜、遅桜、スイートピー、チューリップ、ヒヤシンス、シクラメン、スノーフレーク、フリージア、藤、霞草、勿忘草、アネモネ、ライラック、青木の花、杏の花、苺の花、銀杏の花、一輪草、桜桃の花、翁草、かりんの花、かわぢしゃ、木苺の花、金鳳花、楮の花、さんざしの花、山椒の花、樒(しきみ)の花、李の花、花水木、桃の花、まるめろの花、白樺の花、楓の花、樫の花、春の筍、独活(うど)、草の若葉、茎立菜、明日葉、アスパラガス、山葵、雀隠れ、十二単
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3 4月の季語を使った有名な俳句
4月の季語が使用されている有名な俳句をいくつか紹介します。
俳句 | 作者 | 季語 |
---|---|---|
山葵田の 水音しげき 四月かな | 渡辺水巴 | 四月 |
春惜しむ 人や榎に かくれけり | 与謝蕪村 | 春惜しむ |
風に汲む 筧も濁り 花の雨 | 杉田久女 | 花の雨 |
桜狩り 奇特や日々に 五里六里 | 松尾芭蕉 | 桜狩り |
旅人も まじりてそそぐ 甘茶かな | 吉武月二郎 | 甘茶 |
問ひたきは 花盗人の こゝろかな | 井上士朗 | 花盗人 |
雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る | 小林一茶 | 雀の子 |
こまごまと 白き歯竝や 桜鯛 | 川端茅舎 | 桜鯛 |
観音の 大悲の桜 咲きにけり | 正岡子規 | 桜 |
チューリップ 花には侏儒が 棲むと思ふ | 松本たかし | チューリップ |
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4 4月上旬に使える時候の挨拶
季語は手紙に季節感を添える際にも使用されます。そこで、ここからは手紙に使える時候の挨拶を紹介します。まずは、4月上旬~4月中旬頃に適した時候の挨拶を、書き出しと結びに分けて解説するので、ぜひ参考にしてください。
4.1 4月上旬の書き出しに使える時候の挨拶
改まった手紙の書き出しでは、「拝啓」など頭語の後に季節感を添える時候の挨拶を続けるのが一般的です。4月上旬に適した書き出しの時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
- 清明の候、〇〇様におかれましては、ますますご壮健のことと拝察いたしお慶び申し上げます。
- 晩春のみぎり、皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
- 桜の花が舞い散る春爛漫の時期を迎えました。その後いかがお過ごしでしょうか。
4.2 4月上旬の結びに使える時候の挨拶
手紙の最後に挿入する「敬具」など結語の前には、一般的に内容を締めくくる結びの挨拶を添えます。4月上旬に適した結びの時候の時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
- 桜端の候、一層のご隆盛を衷心よりお祈り申し上げます。
- 花冷えの時節柄、どうぞご自愛くださいませ。
- 新年度を迎えられ何かとお忙しいことと存じますが、お健やかな日々を過ごされますようお祈りいたしております。
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5 4月下旬に使える時候の挨拶
次に、4月中旬から4月下旬にかけて使用できる時候の挨拶を紹介します。
5.1 4月下旬の書き出しに使える時候の挨拶
4月下旬に適した手紙の書き出しに使える時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
- 穀雨の候、〇〇様におかれましては、ますますご隆昌のこととお喜び申し上げます。
- 麗春の折、皆様におかれましては、一段とご壮健のこととお慶び申し上げます。
- 桜の花も盛りを過ぎて、行く春を惜しむ季節となりました。皆様お元気でいらっしゃいますか。
5.2 4月下旬の結びに使える時候の挨拶
4月下旬に適した手紙の結びに使える時候の挨拶には、以下のようなものがあります。
- 若草の候、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
- 花時は天候が不安定な日もございます。どうぞお体を大切になさってください。
- どうか皆さまお健やかに、麗らかな春をお過ごしください。
6 他の月の季語
他の月の季語は、下記の記事でご紹介しています。ぜひ参考にご覧ください。
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7 まとめ
4月は二十四節気において、春の後半を意味する「晩春」にあたります。さまざまな花が一斉に開花し、鳥や魚など生き物の活動も活発になる時期です。4月の季語には、そんな春爛漫の生き生きとした世界を表す言葉が揃っています。
桜はもちろん聞き慣れた花の名前や、入学式、遠足といった身近な行事も4月の季語です。ぜひ、この記事で紹介した4月の季語を、俳句だけでなくお世話になっている方への手紙や、ビジネスの挨拶状でも活用してみてください。
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