IT営業は、さまざまな開発プロジェクトにおいてクライアント企業の担当者と自社エンジニアの間を仲介する重要な役割を果たします。やりがいがある一方でさまざまな問題に直面することも多く、きついと感じている方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、IT営業のきつい部分とやりがいがある部分について詳しく解説します。ほかにも、必要なスキルや資格を知ることで、自分にマッチした仕事か判断できるでしょう。

IT営業にはきつい部分もあるが楽しい部分もある

ほかの職業と同様に、IT営業にきつい部分があるのは事実ですが、やりがいを感じる部分や楽しい部分も存在します。きつい部分や楽しい部分に対してどのように感じるかは、IT営業が適職かを左右する要素です。たとえば、同じIT業界でも、営業向きの人材とエンジニア向きの人材のように人によって適性が異なります。

IT営業にも向き不向きがあるため、さまざまな要素をチェックして自分にマッチした仕事かどうかよく考えて転職を決めるとよいでしょう。

IT営業のきつい部分7選

IT営業がきつい仕事であると聞いて、転職に関して悩んでいる方は、きついといわれる理由を正しく理解することが大切です。ここでは、IT営業として働くときに厳しいと感じやすいポイントを7つ紹介します。自分がどのように感じるかをよく考え、転職について判断するとよいでしょう。

商材によっては差別化しにくい

取り扱う商材によっては他社が提供する競合製品との差別化が難しく、販売するのが大変だと感じるかもしれません。特にサーバーやネットワーク機器、PCを扱うハードウェア営業や、Google Cloudのようなクラウドサービスを販売する営業は難しくなりやすいでしょう。

これらの製品は基本的な仕様や設計が似ているものが多く、さまざまな企業が同じ製品を取り扱っているため、自社ならではのアピールポイントが少ない傾向があります。

事務処理のような定型業務が多い

IT営業はヒアリングを通じてクライアントの課題を聞き出し、自社のITソリューションを活用した解決策を提示することで契約を獲得する仕事です。業務内容には見積書や注文書、納品書の作成をはじめとした事務作業が多く、大変だと感じる方も存在します。

定型業務を担当する専門のスタッフがいる会社であれば問題ありませんが、すべてを営業が担当する企業では業務量が増えて時間に追われるため、厳しいと感じやすいでしょう。

クライアントと開発の板挟みになりやすい

プロジェクトを進めるときは、クライアント企業の担当者と自社エンジニアとの間の橋渡し役を務めなければなりません。具体的には、以下のような業務に携わります。

• クライアントの要望を開発に伝える
• 技術上の限界や予算の都合によって実現が難しい部分を調整する

仕様を定めたり納期を調整したりする際には、双方の要求が対立して板挟みになるケースもあります。さまざまな状況でうまく交渉をまとめる必要があり、コミュニケーションがきついと感じる方もいるでしょう。

業種によっては緊急対応が発生する

時間外や休日に緊急対応が発生するケースもあります。特にITインフラを扱っているのであれば、故障やトラブルが発生したら即座に対応しなければなりません。IT営業が担当するのは、クライアントに対する状況説明や進捗状況の報告です。

開発中に致命的なバグが発生した場合、納期に間に合わせるため、基本的にはエンジニアが担当するバグ修正に携わるケースもあります。専門分野以外で時間を奪われるのはきついかもしれません。

人間関係が合わないと苦痛になる

IT営業はプロジェクトの立ち上げからアフターサポートまで、さまざまな業務に携わります。運用のサポートを提供している場合、クライアントと長期的に良好な関係を維持しなければなりません。

クライアント企業の担当者や自社エンジニアとの人間関係が良好であれば大きな問題にはなりませんが、自分と合わない方が存在すると苦痛に感じます。「仕事は楽しいものの、人間関係がきつい」と感じるケースがある点に注意しましょう。

プロジェクトの開始・終了時期に業務量が大きく増える

営業はプロジェクトの開始時期と終了時期に業務量が増えて忙しくなる傾向があります。新たなプロジェクトが始まるときは要件定義やプロジェクトチームの編成を担当し、終わるときは完成した成果物を納品して代金を回収します。

複数のプロジェクトを同時進行しているときに、開始時期や終了時期が重なったり別案件のトラブルが発生したりすると、一気に業務量が増えるでしょう。常に繁忙期のような状態に苦痛を感じる場合もあります。

製品・サービスの変化スピードが速い

IT業界は技術が進歩するスピードや新商品・新サービスの開発スピードが速く、次々に新しい技術がリリースされるのが特徴です。場合によっては、いままでとまったく異なる方法で開発が進むこともあります。

最新のトレンドを押さえたうえでプロジェクトを進めるには、営業も最新技術を理解しなければなりません。長期的に活躍するには、継続的に学習する意欲や順応性が不可欠です。さまざまな状況の変化に対応するのが厳しいと感じる方もいるでしょう。

IT営業の楽しい部分3選

IT営業にはきつい部分だけでなく、楽しさを感じられる部分も存在します。ここでは、IT営業の楽しい部分を3つ見ていきましょう。これらに魅力を感じるのであれば、IT営業が適職になる可能性があります。後悔しない転職を実現するためにも、事前にチェックしましょう。

成果が報酬に反映されやすい

企業によって差があるものの、IT業界は全体的に成果が報酬に反映されやすいという特徴があります。インセンティブ制度が充実している企業も多いため、成果を報酬につなげたい方は求人情報の内容を重点的にチェックするとよいでしょう。

現在の職場で成果を上げても報酬に反映されずにやる気を失っていた方や年収アップを目的に転職する方にもおすすめです。

ITに関する知識・スキルを習得できる

IT業界で働いていると、営業でも最新技術に触れる機会が多く、IT関連の知識・スキルを習得できます。新しい知識・スキルを習得するには自発的で継続的な学習が必要ですが、技術面に興味があれば楽しく学べるでしょう。

また、IT技術に関する知識を深めることで、クライアントの課題を解決するために最新技術を活かした提案ができます。自分自身のスキルアップにつなげられるのは、大きなやりがいのひとつです。

キャリアアップにつなげやすい

IT業界は常に発展し続けており、今後もその傾向が続くと予想されます。次々に新技術が開発され、新たなトレンドが生まれるのは、スキルアップしたい方にとって魅力的な環境です。

営業とは別分野の知識を習得して、キャリアの幅を広げるのもよいでしょう。たとえば、営業を通じて開発スキルを学べば、エンジニアへのキャリアチェンジが可能です。IT業界はキャリアアップに適した環境であるため、向上心がある方は意欲的に仕事に取り組めます。

IT営業として活躍するのに必要なスキル

IT営業として活躍したいのであれば、必要なスキルを習得するとよいでしょう。役立つスキルの一例は以下のとおりです。

• 課題解決力

• ヒアリングスキル

• プランニングスキル

• マネジメントスキル

• ロジカルシンキング

• ドキュメント作成スキル

• プログラミングスキル

• IT全般に関する基礎的・応用的な知識

ビジネス全般に共通する汎用的なスキル以外に、プログラミングスキルをはじめとしたIT業界ならではのスキルがあります。プログラミングスキルを習得したい場合、自分が目指している企業や分野でよく使われている言語から学ぶのがおすすめです。

IT営業への転職に役立つ資格

IT業界は経験や実績を重視する業界ですが、自分のスキルレベルを客観的に証明する資格を取得すると、より有利な条件で転職しやすくなります。IT営業で役立つ主な資格は以下のとおりです。

• 基本情報処理技術者試験
• 応用情報処理技術者試験
• プロジェクトマネージャ試験
• TOEIC（700点以上）
• ビジネス法務検定2級
• 日商簿記2級
• ITストラテジスト試験

IT技術に関する資格はもちろん、IT営業として活躍する際は、経営やプロジェクト管理、法務に関する知識が役立ちます。また、海外営業を視野に入れている方はTOEICで英語力をアピールするのもおすすめです。転職の成功や転職後の業務のために学ぶのであれば、中間目標として資格取得を掲げてもよいでしょう。

IT営業がきついときは？おすすめの転職先

IT営業の仕事がきつく自分に向いていないと感じたときは、転職を検討するとよいでしょう。ここでは、IT営業経験者がキャリアチェンジするのにおすすめの転職先を3つ紹介します。どの分野のスペシャリストを目指したいかによって適切な転職先が異なるため、キャリアパスを明確に思い描いたうえで転職活動を進めましょう。

エンジニア

開発技術と向き合う仕事を目指すのであれば、エンジニアへのキャリアチェンジを考えましょう。エンジニアは、システムの開発業務に携わる仕事で、設計やプログラミング、マークアップを担当します。

エンジニアは常に人材不足で、IT営業の経験を活かせる仕事です。たとえば、ヒアリングスキルや交渉に携わった経験は、エンジニアの要件定義や設計に役立ちます。ただし、エンジニアとして働く場合、開発スキルの習得は必須です。自分が目指す分野で主流のプログラミング言語をリサーチし、独学やプログラミングスクールで身につけましょう。

マーケター

マーケターは市場調査やデータ分析から「どのような商品が求められているか」「売り上げ向上につながる施策は何か」を考えて実行します。広告を通じて市場から見込み顧客を集めるのも重要な仕事です。

営業は見込み顧客にアプローチして契約を獲得しつつ既存顧客をフォローしますが、マーケターはより上流の工程に携わります。営業として顧客の要望に応じてプランニングした経験や課題解決スキルを活かせる職種といえるでしょう。

プロジェクトマネージャー

営業と開発の両方に携わった経験があれば、プロジェクトマネージャーへキャリアアップするのがおすすめです。プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの立ち上げからクロージングまでの工程全般に携わります。人材や予算のリソース管理や進捗管理、イレギュラーが発生したときの対応が主な仕事です。営業としてプロジェクトの遂行に携わった経験は、プロジェクトマネージャーとして活躍するうえで役立つでしょう。

企業によっては、プロジェクトマネージャーが営業も兼任しているケースがあります。そのような企業であれば、営業経験をフルに活用できるでしょう。

まとめ

IT営業は、扱う商材による営業の難しさや時間外・休日の緊急対応のようなきついと感じる部分がある一方、成果が報酬に反映されやすいといったメリットもあります。自分にマッチする仕事かどうか吟味してから転職することで、ミスマッチによる後悔を防げるでしょう。

IT営業がきついと感じている場合、転職もひとつの選択肢です。エンジニアやマーケターのような営業経験が活かせる仕事もあります。キャリアパスを思い描いたうえで目指す道を決めましょう。

転職を検討している方は、マイナビ営業エージェントにご相談ください。さまざまな営業の求人を取り扱っており、キャリアパスを実現するためのベストな転職をサポートします。

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